ひとり山歩き513 : 残雪の日留賀岳に登ってきました。標高1750の南肩より下では一部を除いては夏道が利用できました。南肩以下の雪堤はヤブが出現し突破に苦労しました。山頂からの展望は抜群ですが、周辺の山々の残雪は少ないようです。
残雪の日留賀岳(1848)
2013年4月9日(火) 晴れ
1 行程
@所要時間 : 自宅(2:45) = 中塩原白戸集落の林道に駐車(4:55/5:05) − 登山口(5:15) − 鉄塔・林道合流(5:45) − シラン沢林道終点(6:10) − ナタムロ沢乗越(6:30) − トラバース終了・尾根出合(7:10」 − 1510級ピーク(8:15/8:30) − 木の二重鳥居(8:40) − 南肩(10:25) − 日留賀岳(10:55/11:25) − 南肩(11:45) − 木の二重鳥居(13:00) − ナタムロ沢乗越(14:15) − 林道終点(14:40) − 鉄塔・林道別れ(14:40) − 登山口(15:20) − 駐車地(15:30/15:40) = 自宅(17:35)
Aルートマップ
Bウォッちず : 日留賀岳  登山口
C写真集


2 自宅 − 登山口林道終点にある登山口、破線路は左へ
 男鹿山塊の名ある山で積雪期に登っていないのは、日留賀岳だけである。早朝から行動を開始するので、通常の登山口である中塩原白戸集落の小山氏宅からスタートでは迷惑をかけるようで気が進まない。対策として横川第一放牧場から1301、1591経由で日留賀岳へ登るルートを思いつき07年4月11日(ひとり山歩き276)11年4月15日(ひとり山歩き436)にトライしたが、二回とも標高1700の痩せ雪庇で危険(滑落の恐怖感に勝てなかった)と判断して退却となった。残雪歩きを重ねるに連れて、滑落に対する恐怖感も少なくなってきたので、そろそろ三回目をトライしてみようと考えていた。ブログ「アキ爺の山歩き・沢歩きPart2」に4月4日に横川から別ルートで日留賀岳を目指したが、残雪が少なく藪の出現で途中で断念したという記録を拝見した。自分の考えているルートも同じだろうと判断し諦めた。他方、中塩原からのルートに関しては、ヤマレコにShamineko氏が4月1日に山頂を踏んでいる(Shamineko氏の3月16日の大佐飛山記録に刺激されて、自分も3月22日に実施した)。
 中塩原から日留賀岳を目指すことにして、小山氏宅に迷惑をかけないですむ登山口を検討した。第一にウドウ沢林道からシラン沢林道経由、これは林道ゲートから歩くと往復で2時間程度余分に時間がかかる。第二は小山氏宅の東方350メートルの林道末端に破線があり、この破線はすぐ先で小山氏宅からのルートに接続している。うまく登山口へたどり着けるか一抹の不安はあるが第二案を採用することにした。
 日留賀岳へ登ったのは、02年10月17日(ひとり山歩き64)以来である。その時は小山氏宅へゆく道筋がわからず苦労した。国道400号から塩那道路に入ってすぐ先の木の葉化石園前を左折して、白戸集落に向かう。カーナビは細い道路(3.5m幅以下だったかな?)は案内を停止してしまい、所定の林道へ入り損ないウドウ沢林道に進んだり苦労する。カーナビ画面を見ながらなんとか所定の林道に入ることができた。林道入口には、関係者以外立入禁止とあるも暗くて見えなかったことにして(?)侵入する。林道は舗装してあり、通常の走行には問題ない。登山口まで進めるか不安を抱えながら進んでゆくと、路肩の広い場所がありここに駐車することにした。登山口まで600メートルほど林道を歩く。登山口の林道終点までは舗装してあり、車でも侵入可能であった。

3 往路
 5分ほどこの破線路を進むと、小山氏宅からの登山道を左から合わせる。その後はよ整備された登山道を進むと、日留賀嶽神社改築記念碑を見たりしながら樹林の中を進み、塩原線13号鉄塔にたっする。鉄塔の先で左から林道を合わせる。このシラン沢林道を30分弱歩いて行く。ウドウ沢林道のゲートが開いていれば車でも来れるが、ゲートが常に開いている保証はない。林道を進むにつれて落石が多くなり林道終点までは車での侵入は困難。

                                                左から石碑、鉄塔、シラン沢林道終点(登山道は左へ)
 
林道終点からは比津羅山を北東から北へと巻きながらゆるやかに下ってゆくと、樹木に赤ペンキやテープの目立つ場所に達した。ここをナタムロ(鉈室」沢林道乗越といい、古い地形図を見ると破線はそのまま北上するようになっている。現在はその破線の左(西)手をトラバースするように付いている。ここはおとなしく現在の登山道に沿って、カラマツ林の中をトラバースする。カラマツ林から自然林になると勾配は増して、東へと方向を転換してトラバース終点の尾根上に達する(旧破線路との合流地点)。
 この尾根筋は急勾配が続く。標高1400あたりで針葉樹林に入ると、初めて残雪を見る。以降は登山道に残雪はポツポツと現れ、標高1450で勾配が緩み方向が北西から西向きになって登山道は残雪で覆われてしまう。仕方なしに尾根上の笹藪漕ぎをしながら登ってゆく。途中でブナ林にアスナロが目立つ地点を通過すると1510級ピークに達した。

                                                左から標高1300付近、初めての残雪(1400付近)、登山道が雪下になる(1450)
 
この先も残雪が連続すると予想して、購入したばかりのアイゼンを装着する。このピークからは向きを北に変えて笹薮を漕ぎながら僅かに進むと夏道が現れ、木の二重鳥居を通過する。02年10月17日の古い写真でしらべると当時の鳥居の手前に新しく設置して二重になったようである(時期は不明)。鳥居の先の標高点1514あたりからは、夏道も歩けるが、残雪歩きに来たのだからと、尾根の右(東)手の雪堤を歩くのだが、痩せてしまった雪堤は笹薮が露出して連続して歩くことはできない。この時期の完全には立ち上がっていないネマガリダケを突破するのは非常に労力を要するので、その都度夏道へと逃げるのだが、僅か数メートル左手に位置する夏道に出るのがこれまた一苦労。断続的に薄く雪jの残る夏道を歩いたほうがはるかに効率的なのだが、せっかくの新品のアイゼンを試したく、雪堤と夏道へ出たり入ったりしながら登ってゆく。残雪歩きには中途半端な感じ、今年は雪が少ないのでしょうがないか。

                                                鳥居(1500)、雪堤(1600)、夏道(1622)

標高1650付近からは雪堤はほぼ連続するようになった。気温が高く雪表面は腐れ状態で上滑りするので、ピッケルの助けを借りながら登ってゆく。高原山から日光連山を眺めながら登ってゆく、南肩直下になると,、大佐飛山から黒滝山稜線や塩那道路を見ながらの歩きとなる。すると尾根が合流して方向が北向きとなる。この地点を南肩とする。

                                                標高1650から高原山〜女峰山、標高1680上の雪堤、標高1750から大佐飛山〜黒滝山稜線と塩那道路

南肩からは雪堤が連続し、右(東)手の見通しが良い。ここから山頂までの雪堤歩きが今日のハイライトで積雪期ならではの展望が広がる(無雪期はどうだったか全く記憶が無い)。標高差約100メートルの雪堤を30分かけて右手の展望を倒し見ながら登ってゆく。その先わずかだが灌木藪をかき分けて進むと、雪の消えた山頂に達した。途中で雪堤と夏道の出入りで時間を費やしたせいか、計画よりも30分以上は遅くなってしまった。山頂には日留賀嶽神社の石祠と石碑が立っている。山頂からの一部樹木で邪魔されるが、大パノラマが広がっている。

                                                雪堤の途中(1800)で振り返える(後方は高原山〜日光連山)、同じく上方へ伸びる雪堤、山頂の石祠

山頂が姿を現す。雪堤は山頂直下まで続く。(南肩付近から)


                                                日光連山〜会駒〜七ケ岳〜男鹿岳  (手前は日留賀岳の北峰)


                                               男鹿山塊

残雪の日留賀岳


4 復路
 男鹿山塊は今の時期としては残雪が少なく白さが足りないようである。いつの日にか横川からと誓って山頂をあとにする。南肩までは往路を辿るのだが、気温上昇で雪の表面がゆるんでいて滑りやすい(踏み抜きは皆無)。南肩からは夏道を下ってゆく。夏道は尾根の西側にあり、日当たりがよく雪解けが早い。残雪は薄く断続する。南肩からはピッケルに替えてストックにしたが、アイゼンは履いたまま下り、標高1600あたりで残雪は切れたので、アイゼンを脱ぐと足元が急に軽くなる。残雪で夏道が二箇所で消えたが、道筋を失うようなことはなかった。木の二重鳥居を過ぎると、残雪で夏道は消えてしまったが、方向を決めて尾根上をたどれば良い。往路で夏道が消えた地点にうまく出合うことができて、その後はまさしく春山を歩いている感じ。
 標高1250のトラバース開始地点からは、ショートカットすることにした。カラマツ林の急降下だが、林床は低い笹で歩くには障害にはならなかった。家に帰って古い地形図と照らし合わせると破線よりも右(西側)を辿っている(心理として登山道に早く出合いたい気持ちが働いたようである)。ナタムロ沢乗越を通り越した地点から比津羅山の北尾根に取り付くことにしていたが、数メートル進んだ地点で薄いが背丈程度の笹薮を漕ぐ気力がなく登山道に戻った。比津羅山の東側を巻いているうちに登山道を見失ってしまった。どこを歩いても同じ状態なので、戻って登山道探すことはせずに、方向を合わせながら進んでゆくとシラン沢林道終点に無事達した。
 この先は迷うような場所はないので、安心して林道を下り、鉄塔から登山口を目指す。小山氏宅からの登山道合流地点は十字路になっていて、シラン沢方面にも明瞭な踏跡が付いていた。数分で登山口に無事戻る。久しぶりに古い地形図(平成12年5月1日発行)を見たら、今回のルートが記載してあり、小山氏宅からのルートは記載がなかった。現時点ではウォッちずには小山氏宅からのルートと今回のルートが破線で記載されいる。昔(何時頃までかは不明だが、登山口は今回の場所だったようである)。今回のルートでも小山氏宅からでも10分と歩行時間は変わらないだろう。林道も関係者立入禁止となっているので、小山氏宅をスタート地点にすることをお勧めする。
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