ひとり山歩き449 : 大清水から尾瀬沼に登り、鬼怒沼への縦走路を小渕沢田代、赤安山、黒岩山を経由して歩いてきました。途中の藪尾根を下って奥鬼怒スーパー林道を歩いて大清水に戻りました。縦走路は明瞭で特に危険個所はありませんが、黒岩山頂以外ではあまり展望は得られません。
大清水から尾瀬沼〜黒岩山〜奥鬼怒トンネル上
2011年9月8日(木) 曇りのち晴れ
1 行程   写真
ルートマップ(GPS)  ウォッちず : 大清水  尾瀬沼 小渕沢田代 赤安山 黒岩山 下山尾根
自宅(9/7 23:20) =  大清水(2:15/2:25) − 一ノ瀬休憩所(3:15) − 三平峠(4:25) − 三平下(4:50) − 尾瀬沼ビジターセンター(縦走路入口)(5:10/5:25) − 小渕沢田代(6:30/6:40) − 大清水分岐(6:50) − 只見幹線記念碑(7:05/7:10) − 赤安清水(8:10/8:20) − 赤安山(9:05/9:10) − 縦走路別れ(尾根直登)(10:20/10:30) − 黒岩山(11:25/11:40) − 黒岩分岐(12:20) − 黒岩清水(12:40) − 小松水場(13:15/13:25) − 下山開始地点(奥鬼怒トンネル上尾根)(14:25/14:40) − 下山地点(奥鬼怒トンネル西口)(16:05/16:10) − 小渕沢林道分岐(17:20) − 大清水(18:05/18:25) = 自宅(21:20)

2 自宅 − 大清水
 三股から常念岳〜蝶ケ岳を日帰りするだけのスタミナがまだ不足している。今回は15時間前後の歩行コースということで大清水から赤安山、黒岩山、鬼怒沼、物見山の縦走コースを検討した。現在の脚力と、日没時間を考えると、物見山の下りで日暮れてしまう可能性がある。暗くなってからの下山は危険で、このコース取りは没とする。その代わりに、今回のコース取りを考えた(注)。奥鬼怒トンネル上の尾根下りは広尾根と藪密度に不安はある。場合によっては、以前に通ったことのあるゴザ沢を下って、奥鬼怒スーパ林道で大清水に戻ることにした。万一の場合には鬼怒沼避難小屋に泊まれるだけの最低限(食糧、水、着替え)の装備とした。そのために通常の日帰りのザック重量よりも2kgオーバーの9kg。 (注 : 時間短縮のために、奥鬼怒スーパー林道から小渕沢沿いの林道を経由して、小渕沢田代の東側に登ることも考えたが、朝露に濡れるのを嫌った)
 明るいうちに駐車場に戻る、最悪でも下山完了とする。そのためには尾瀬沼到着を5時ころとすべく、前日の23時20分に家を出ることにした。大清水は初めてで、山歩きを始めた2011年に戸倉経由で鳩待峠までいっただけで鎌田からの道路がどうだったか全く記憶にない。鎌田で左折して401号に入ると戸倉までは立派な2車線道路、戸倉からは中央線はないが幅広の舗装道路で、これから山へ行くなんていう感じがしない。ゲート手前の駐車場(容量30台程度?)には7割方駐まっていた。車内で出発準備していると、後から1台入ってきたが、仮眠するらしい。

3 大清水 − 尾瀬沼 − 黒岩山  縦走路は明瞭で藪なし 高低差も少なく単調   黒岩山への直登は倒木多い
 林道(沼田街道)を一ノ瀬休憩所目指す。ダート道ではあるが、一般車の通行がないせいか道路面は平坦で歩きやすい。建物を右に見て、これが一ノ瀬休憩所と知る。すぐ先で三平橋を渡ると、ダート道は続く(ウォッちずには記載なし)が、左手が登山道入口である。カードボックスのそばに「尾瀬沼南岸道路通行禁止」の立札がある。三平下から尾瀬沼ビジターセンター方面へ行けないのかと不安が頭をよぎる。そもそも南岸道路ってどの範囲なの? 全く不親切な標識である。今更、大清水まで戻る気はしない。だめならその時に考えよう!!
 登山道は木道や砂利道だが、笹が登山道にはみ出していないのが良い。冬路沢を渡ると、勾配はまして木階段が増える。木階段、木道、石畳状の道が続く。長い木道を緩やかに登りつめると、右手に尾瀬国立公園の説明版を見て三平峠に達したことを知る。三平峠からは木道を下り、標高1700あたりで木階段に変わった。何の気なしに時計を見たときに、濡れていた木階段でスリップして前に倒れた。左の脛と右の大腿をひどく打ってしまった。上半身は木階段からはみ出す格好となったので、ダメージはなかった。以降はストックをつきながら慎重に下る。でも、脛と腿が痛み、先行きが心配になるも痛みが増すことはなかった。三平下で消灯してヘッデンを格納する。道標のそばに「南岸道路は土砂崩れで、三平下〜沼尻は通行止め、尾瀬沼を一周できません」の表示を見て安心する。三平橋の登山口にもこの程度の注意書きがほしかった。大清水へ引き返さなくてよかった、と木道を尾瀬沼ビジターセンター方面に進む。途中で木道が二筋に分かれる。尾瀬沼の写真が撮れるかもしれないと、左手の湖岸沿いに進む。靄が立ち込める尾瀬沼は見えるも、残念にも燧ケ岳は樹林で半分隠れている。尾瀬沼ビジターセンター前の小渕沢田代分岐で、エネルギー補給で一休み。この先の藪状況がわからないので、念のために雨具の下だけ着用する。
 木道を東進するとキャンプ場で、テントが3張り、2張りでは朝食中であった。キャンプ場の外れからは木道が切れて山道となる。シラビソ樹林の道筋は明瞭で多少は荒れた所もあるが、概して歩きやすい。標高点1911ピークを北東に巻いて登るあたりがやや勾配がきつい。先刻痛めた脛と大腿は多少は痛むが、歩行の大きな支障となるほどではない(翌日は家の階段を上り下りするのが苦痛で、トレセンもサボる)。1911ピークの北側からは南東への下りで、途黒岩山頂 (後方は燧ケ岳)中から木道を緩やかに下る。大江湿原からの木道を合わせ、木道を右にとると、すぐ先が開けて小渕沢田代の西端となる。木道を東に進んで行くと右手には、物見山から燕巣山、四郎岳が見えて、白根山も展望できた。田代の東端で単独行者とすれ違う。昨日、大清水発で赤安清水にテント泊したとのこと。物見山から湯沢付近の様子を伺う。
 小渕沢田代から樹林に入ると、登山道の笹は最近刈り払われたようで、この先ずっと続いていた。田代の東端から10分ほどで、大清水分岐に達した。分岐から見る限り、道筋は藪もなく明瞭であった。ここへ直登すれば1時間くらいは短縮できたであろう。更に15分ほどで只見送電線下に達した。送電線はほぼ南北に敷設してあり、送電線の直下には、巡視路が続いていた。これを下れば、奥鬼怒スーパー林道に下れそう。縦走路そばに、只見幹線竣工記念碑を見る。ほぼ真南に富士山とその手前に赤城山(黒檜山)が視認できた。
 記念碑からは南東に進み、県境が南に向かうあたりからは、袴腰山北側を巻いて、左下の切れた縦走路を下ってゆく。今日の縦走路では、一番歩きづらい場所であった。途中で、赤(ピンクだったかも)リボンを見かける。斜面には獣道のような薄い筋がついている。多分ここから標高点1985に登って、北尾根を詰めると袴腰山に達するのだろう。今回は袴腰山は計画外で縦走路を南東に進む。東向きになるあたりから林床は笹からシダに変わる。アップダウンを繰り返しながら下った最低鞍部が標高点1878で赤安清水(Web記録ではここを赤安清水としているのが多い)かと思ったが、登り返しとなった。赤安清水の標識を見落としたかと思いながら、標高にして十数メートル(150メートル)ほど進んだ地点に「←尾瀬沼3時間 鬼怒沼方面5時間10分→」の標識を見る。その下の標識は読み取れなかった。ここにテントは2張は張れそう。水場への薄い踏跡が認められ、正確にいうとここが赤安清水。 今まで我慢してきた雨具の下を脱ぐ。途中の笹が刈り払ってあったので、今日は雨具は不要だった。
 赤安清水からは登りとなる。この縦走路はずっと尾根の左(北)を巻いているが、いったん尾根の右側になると、鬼怒沼山、物見山、四郎岳とその後方に白根山と錫ケ岳の頭が一瞬展望できた。再び尾根の左手を登ってゆくと、赤リボンを見る。そばに薄い踏跡があり、これを辿ると3・4分で山名板を見る。板には群馬大WV’77年夏合宿 山王峠ー尾瀬ー銀山平と記入してあった。その先は笹薮を少しばかり漕ぐと笹に隠れた三角点を見て赤安山頂に達した。樹木と笹薮で展望は全く得られない。
 縦走路に戻って緩やかに下ってゆく。この縦走路はアップダウンが少なく、途中で顕著なピークを通らず、展望もないので歩いていて楽しいということはない。途中の標高点1981と2019は縦走路から多少は離れた高みにあるのだろうが、見分けはつかない。こんな場所にもピンクテープがけっこう多い(林業関係?)。縦走路は尾根の左手を巻いてきたが、方向が南東から南に変わったあたりからは尾根の右手を巻くようになった。標高点2019あたりからは平坦となり、縦走路が東から南南東に急変する。この地点を縦走路別れとして尾根を直登することにする。この縦走路を黒岩分岐まで07年10月7日に歩いている。黒岩分岐まで約30分、分岐から黒岩山まで約30分で1時間程度は要する。直登する尾根の藪が密でなければ、黒岩山頂まで約1時間と推定。同じ道筋を通るのは面白味にかける。ここは尾根を直登することに決めて、エネルギーを補給する。
 尾根筋は広く、どこを歩いても倒木が多く、針葉樹の小藪が多い。密ではないが、倒木を右へ左へと避けながら登るので、効率的ではない。標高2100くらいになると、倒木は少なくなり登りやすくなる。台倉山、孫兵衛南峰から続く福島・栃木県境尾根に登りつめた。ここから南に向かう尾根筋には赤テープと薄い踏跡を見かける。途中でシャクナゲが現れると尾根筋は細くなり、岩稜となる。大岩に突き当たり、右手を巻くことにしたが、急斜面と樹木で巻くのが難しい。岩は嫌いだが、やむなしと、大岩の間に登ると、左手に細い踏跡があった。これをほんの2・3分辿って岩場を越すと見覚えのある黒岩山山頂に達した。しばし360度の大パノラマを楽しむ。山名板は最初の03年7月3日には、山部3Dと達筆(もう一枚あったかも)、次の07年7月6日には栃木の山紀行が加わって4枚、今回は7枚くらいあった。登る人が増多いということか。

黒岩山からの展望(ビデオ)


黒岩山からの展望(カシミール3Dで作成、ビデオの補助・・・山座同定

4 黒岩山 − 奥鬼怒トンネル上尾根 − 大清水  トンネル上尾根は方向がとりづらい 一部に笹地獄あり 
 黒岩山から黒岩分岐への下りは、踏跡とテープ類が続き迷うことはない。黒岩分岐で日光沢からの単独行者が昼食中であった。これから尾瀬沼にむかうとのこと。黒岩分岐から鬼怒沼方面には前出2回のほかに、07年10月7日にも歩いているので詳述はしない。登山道は明瞭だが、倒木を越す際に道筋を見失うことがあるので注意が必要。黒岩山までの縦走路同様に顕著なピークはなく、高低差が小さくピークを巻いて通過するので、現在位置がつかみづらい。途中で黒岩清水小松水場を通過するが、最近の多雨で水量は多い。小松水場は湧きだし口の水が飲めてうまかった。今日は3リットルの水を持参し、ここまでに1.5リットル消費。腹いっぱいここで飲んで、万一に備えて0.5リットルをペットボットルに詰める(ザックに2リットル)。
 奥鬼怒トンネル真上の鞍部あたりで、これから下ろうとする尾根筋を視認して、地形図をよ確認しながら歩行する。山腹の藪はほとんどなかったが、トンネル上あたりからは皮肉にも、笹を含む灌木藪が増えてきた。下山開始地点を慎重に確かめて、エネルギーと水分補給。磁石を合わせて尾根を下りだす。さっそくシャクナゲ藪で藪の左側を下ってゆく。地形図では尾根形が明瞭だが、段差が大きく思った以上に傾斜はきつく尾根筋が分かりづらい。木の枝につかまりながらジグザグに下ってゆく。最初は枝越しに燧ケ岳が見えていたので、これを目印にした。標高1850あたりからは針葉樹の小藪に混ざって笹薮が現れ始める。藪をこぐ心配よりも、急斜面で滑落しないことと方向取りに注意を払う。こんな時にGPSは大きな助けになると、思ったら大違い。計画ルートよりも少し外れるとGPSの磁石は大幅に軌道修正を要求する。これに従うとオーバシュートしてしまい、余分なハンチングを起こしてしまう。時々チェックして大幅にずれていれば修正できるので、あまり使用しなくても持っているだけで安心感はある。
 標高1770あたりからは背丈を越す笹の劇藪となる。急勾配で笹につかまって下っても、滑って尻餅をつくことが多い。笹を丁寧にかき分けて下れない(急傾斜で笹につかまりながら下るため)ので、笹が絡まって進めなくりその都度ほどきながら下って行く。藪漕ぎをしたことのない人には理解できないであろう。唯一の助けは、笹の寝た方向に下ってゆけば、尾根筋から外れていない点である。笹の劇藪漕ぎ15分(標高にして約50メートル) は方向取りにはに苦労しなかった。笹地獄を抜けると、方向を幾分左手に修正して下って行き、ドンピシャリ奥鬼怒トンネル西口に下山できた。トンネルを覗き込む。04年6月24日に女夫淵温泉からここまで歩いてきたことがる。その時はトンネルの入口で冷たい風を感じたが、今日は冷風は感じなかった。
 これから大清水までは約8kmのダート道が続く。時間的にはほぼ計画通りだが、砂利道の下りは嫌らしい。小石を踏むと足底が痛む。今日の縦走路はアップダウンが少ないので、疲労はあまり感じなかったが、奥鬼怒スーパ林道歩きには辟易した。家で靴を脱いだら足底に大きな肉刺が両足にできていた(翌日は階段の下りに苦労する)。何とか明るいうちに大清水に戻るべく頑張るも歩みは遅い。小渕沢橋の手前50メートルほどの地点に只見幹線33号鉄塔への巡視路入口の小さな標識を見つけた。これを辿れは只見幹線竣工記念碑に行けるだろう。小淵沢橋を渡ると、林道分岐で、沢の右岸を辿れば、大清水分岐だが、この先、この林道を辿ることはないであろう。オモジロ沢を渡橋する際、けっこう大きな滝を見る。その後、鹿侵入防止のネットを出て、まだまだ道は続く。うす暗くなってやっと大清水駐車場に戻る。これで奥鬼怒スーパー林道は全部歩いたことになる(バカみたいだが)。
 駐車場前の建屋に備え付けの箱に駐車料金500円を投函して家路につく。今日は計画通りに歩き、歩行時間もほぼ予想通り。15時間以上歩いたが、アップダウンが小さいので、今日のコースで脚力完全回復とは言えまい。最初からその気で、小渕沢沿いに登れば、物見山経由で周回できたかもしれない。ヤマレコを見ていると、大清水、物見山、黒岩山、尾瀬沼を楽々(時間的に)日帰りする報告を見るが、なるほどと頷ける。
HOME
inserted by FC2 system