ひとり山歩き155 : 女夫渕温泉から鬼怒沼経由で黒岩山をピストンする計画で家を出ました。思ってもいないことに出遭い、計画を変更して県境の奥鬼怒トンネルまで奥鬼怒スーパー林道を歩いてきました。歩く予定だった鬼怒沼山〜黒岩山の稜線を間近に見て、来年再挑戦を期して帰路につきました。
奥鬼怒スーパー林道歩き
2004年6月24日(木) 晴れ
1 行程
自宅(0:50) = 女夫渕温泉(2:50/3:00) − 加仁湯(4:40/4:50) − 奥鬼怒トンネル(6:25/7:35) − 加仁湯(9:05/9:15) − 女夫渕温泉(10:45/11:05) = 自宅(13:30)
2 自宅 − 女夫渕温泉
 女夫渕温泉から鬼怒沼経由で黒岩山までピストンする計画は以前から持っていた。昨年は計画は立てたが、自信がなく取りやめにした。最近のロングウォークで鍛えた脚があれば、日帰りピストンも可能と結論を出し準備を整えた。6月も後半になると気温が高くなり、体力の負担となる。今シーズン最後のロングウォークと決めて家をでた。当然ながら、万一の場合に備え鬼怒沼小屋かツェルト泊に必要な最小限の装備と食料を持参する。
 明るいうちに女夫渕温泉に戻れるよう例によって早朝出発となる。鹿沼・今市・川治温泉経由で県道23号線を女夫渕温泉を目指す。会津西街道では車の往来があったが、県道23号では一台も出あわなかった。このルートは既に往復しているので、道筋には不安はない。予想通りの所要時間で女夫渕温泉に到着した。
3 女夫渕温泉 − 加仁湯  奥鬼怒歩道は入口でシャットアウト  奥鬼怒スーパー林道を歩く
 身支度を整えて、懐中電灯を携えて奥鬼怒歩道に進む。ゲートをすり抜けて進むと、すぐ先で金網が侵入をブロックしている。懐中電灯であたりを照らしたが、何故ブロックしているのか判明しない。しかも蟻一匹通れないほど頑丈な金網である。この金網の頑丈さから奥鬼怒歩道はかなり危険な状態と推測した。金網の前でしばし思案し、奥加仁湯 (スーパー林道の鉄橋から)鬼怒スーパー林道で加仁湯まで行ってその先どうするか判断することにした。 ゲートに戻りそこから奥鬼怒スーパー林道に進む。
 最初は勾配が林道としては結構きつい。暗い道を懐中電灯を点けて十数分登ると、右に「奥鬼怒歩道 入口」の看板を見る。ちょっと先を覗くと道は細くかなり下るようであった。先に何が待ち受けているか分からないので、林道を進むことにした。3時半に消灯する。林道を歩くには無灯火でも全然支障はない。登りつめて一旦緩やかに下ると、手白沢橋を渡る。登り返して下り始めると、左に手白沢温泉への道を分ける。その分岐の先で、加仁湯を見下ろす鉄橋の上に着いた。
 ここでどうするか検討する。時間的には30分以上遅れってしまった。何とかなる時間遅れだが、出だしでの躓きと予定の遠回りの林道歩きで、黒岩山までピストンしようとの意欲が何となく萎えてしまったようだ。ロングウォークは気力が充実していないとできるものではない。この時点で黒岩山ピストンを断念する。鬼怒沼まで行って戻ってくるのでは、感情が許さない。それでは根名草山に登ろうかと地形図を確認する。首にぶら下げるためにスキャナーでコピーした地形図には残念ながら根名草山は載っていなかった。山座同定用に持ってきた地図では登る気にはならない。ほんの数分で出した結論は、奥鬼怒スーパー林道を歩いて見ることだった。たまには山に登らずに帰えるのもいいさ、と自分を慰める。 (歩行距離 : 約6km)
4 加仁湯 − 奥鬼怒トンネル  林道は砂利のフラットダート  トンネル内は予想に反して快適だった
 鬼怒川に架かる鉄橋を渡り、湯沢トンネルを潜って北東に進む。道はダートだが荒れてはいない。砂利道なので快適とはいえないが、歩きづらいことはない。砥沢橋を渡り、振り向くと根名草山と手白山が見え隠れする。進行方向が北東から北西に変わると、前方に2021ピークから黒岩分岐あたりが望めるようになる(黒岩山は北に奥まっているので見えない)。
 ライヤミ沢を越す(林道下を導水)と、左手に鬼怒沼山から派生する東尾根の先端を回りこむスーパー林道(標高1500付近)  前方は県境尾根(黒岩分岐方面)。この尾根は先端は勾配がキツイが途中は緩やかなので下りられそうだと直感する。
 東尾根を回り込むと、進行は西向に変わる。この編曲点からは間近に今日歩こうとしていた稜線を望める。特に2043ピークと黒岩分岐あたりは間近にできる。黒岩山が直接見えないのは残念。来年の楽しみにしよう。振り返って見ると、南東に女峰山と男体山が霞んではいたが望めた。
 この編曲点からはトンネルまでほぼ真っ直ぐに西に進むことになる。トンネルが近づくにつれて前方の稜線の山肌が荒れているのが目に付く。ミナミ沢橋を渡ると、すぐ先が奥鬼怒トンネル入口だった。入口に近づくと、冷たい風が群馬側から吹き抜けてくる。トンネルは真っ直ぐで群馬側の出口が小さく見えている。出口の光から見て群馬側のほうが少し低いようだ。トンネル入口の左手(南側)の沢には赤リボンが取り付けられている。追ってみると、沢には左1とか記入した木のペッグを多数見かける。このリボンは登山者が付けたものでなく、治水治山関奥鬼怒トンネル(栃木側) 係者が付けたものと考え、すぐにトンネルに引き返した。
 トンネル入口で涼を取りながら、エネルギー補給してトンネルを潜って群馬側に行ってみることにした。看板によると、長さ1309m、ほぼ中央が県境だ。出口の光がかすかに見えるが、中は暗闇で不気味。懐中電灯で照らしながら進む。中は漏水でジメジメしているのを予想していたが、舗装してあり、水漏れも障害物もなく歩くには全然支障がなかった。風が冷たくて快適ではあるが、何か飛び出したらどうしようなどと思うと足取りは重くなる。十数分でトンネルと抜けるとホットした。
 トンネルの出口でこれからどうするか検討する。このまま帰路に着くには時間的にも早すぎる。@このまま林道をもっと進むか。(大清水まで8km位?)Aトンネル出口から県境尾根に向かう尾根は、ひょっとして登れるかもしれない。@については群馬側の詳細ルート図の持ち合わせがない。砂利道の林道歩きは負担が大きく、復路で支障をきたす可能性がある。これらの事情で@は諦める。Aなら県境尾根から黒岩山は無理として、鬼怒沼山までは行けるかもしれない。Aに決めてトンネル入口付近の取付きを調べる。どこも密薮だ。右手のブナ沢から取付いてみることにした。沢筋は結構荒れている。沢の右岸の尾根に取付こうとしたら、濡れたヤブですぐに下半身がびしょ濡れとなる。もともとヤブこぎを覚悟してきたのではないから、すぐに諦めた。一旦気分が緩んでしまうと、再度気力を充実させるのは難しい。最近の山歩きには見られない淡白さだ。こんな日は無理をすると怪我をする、と自分に言い聞かせて帰路に着く。(歩行距離 : 約6.5km)
5 復路  奥鬼怒歩道はゲートから絹姫橋の間が危険で仮歩道が設置
 加仁湯から沢沿いの奥鬼怒歩道を歩くことも考えたが、何故入口でシャットアウトされたか不明なので、万一を考えて往路をそのまま折り返す。林道の途中で泊り客を女夫渕温泉まで送り返したと思われる三台の空車のバスに出逢う。栗山村の二台のゴミ回収車とも出会う。この地区の温泉宿のゴミを回収するためか(ゴミ収集にしては二台とは多すぎる)、それともどこかに廃棄物処理場でもあるのか。
 林道は1300m位のところを長く走っているので、なかなか高度を下げない。このあたりのガードレールは破損したり変形したりしている部分が多い。雪崩とか雪の圧力によるらしい(除雪車にやられるとのこと、後日確認)。往路では気付かなかったが、「奥鬼怒歩道○入口」の○の部分は仮が消されているのが判明した。女夫渕温泉に戻り、奥鬼怒歩道ゲート口で確かめると、「ゲートから絹姫橋までの間に危険箇所があるので通行禁止。入口は1km先、850mの仮歩道区間」の大きな看板が目に付いた。出発時は暗い中で慌てていたので見過ごしてしまったのだ。これを見ていても、黒岩山に行くことにはならなかったであろう。更にトイレの入口に小さな張り紙があって、5月1日から仮歩道を通行するように書いてあった。
 今日は砂利道の林道を約25km歩いた。疲労はたいしたことはないが、足底には負担であった。早いご帰還(?)に家内は何事かとビックリ!!  たまには空振りもあるさ!? 
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