ひとり山歩き157 : 女夫渕温泉から鬼怒沼経由で黒岩山をピストンしてきました。鬼怒沼から黒岩山まで大部分に明瞭な踏跡があり、県境尾根の高低差は小さく、倒木以外の障害物はなく快適に歩けました。黒岩山への登りでは多少のヤブこぎはありますが、山頂は360度のパノラマが楽しめました。
鬼怒沼から黒岩山(2162m)
2004年7月3日(土) 晴れ後曇り
1 行程
自宅(0:20) = 女夫渕温泉(2:30/2:45) − 加仁湯(4:15) − 日光沢温泉(4:30) − 丸沼分岐(4:45) − オロオソロシの滝展望台(5:10/5:20) − 鬼怒沼(6:30/6:40) − 鬼怒沼山直下(7:10) − 小松湿原口水場(8:40/8:50) − 黒岩清水(9:20) − 黒岩分岐(9:40) − 黒岩山(10:15/11:00) − 黒岩分岐(11:25) − 黒岩清水(11:40) − 小松湿原口水場(12:10/12:20) − 鬼怒沼山直下(13:50) − 鬼怒沼(14:10/14:30) − オロオソロシの滝展望台(15:30) − 日光沢温泉(16:00) − 加仁湯(16:10) − 便乗(16:40) = 女夫渕温泉(16:50/17:05) = 自宅(19:55)
2 自宅 − 女夫渕温泉  
 鬼怒沼経由で黒岩山をピストンする計画は昨年から持っていた。昨年は自信がなく計画倒れとなった。6月24日には意を決して実行に移したが、予想もしていなかった奥鬼怒歩道の通行止めにより断念してしまった。気温上昇により日帰りピストンは無理と考え、来年を期することにしていた。ところが昨日は梅雨時には珍しい爽やかな日となった。天気予報によると、本日も同じような天気が期待できるとのことであったので、急遽決行することにした。
 6月24日同様に早朝に家を出て、女夫渕温泉を目指した。女夫渕温泉に着くと、4人の若者が駐車場で車座になって宴会を開いていた。山歩きか釣りを楽しむのか知らないが、睡眠でもとっておけばよいのに、と思いながら彼らを横目に日光沢温泉へと出発した。
3 女夫渕温泉 − 鬼怒沼  早朝に無人の鬼怒沼を楽しむ 花の季節にまだ少し早  鬼怒沼(手前) 白根山(右奥)と根名草山(左奥)いようだ
 奥鬼怒歩道は約1km先から仮歩道とつながっている。仮歩道の状況を掴んでいないので、これを避けて奥鬼怒林道経由で日光沢温泉を目指した。幸い月夜で歩きやすかった。3時15分に消灯したが歩行には不自由しない明るさであった。加仁湯手前で林道から奥鬼怒歩道におりた。日光沢温泉で冷たい水を飲んで呼吸を整える。
 日光沢温泉の先で橋を渡り鬼怒川の右岸から左岸に移ると山道となる。川沿いに緩やかに登って行くと15分で丸沼分岐で、左に湯沢峠への道を分ける。分岐からはトウヒ、アスナロ、シラビソ等の樹林帯に入り勾配も急になる。更にジグザグに急登を続けると、オロオソロシの滝展望台に達する。展望台で滝を眺めながら軽く朝食を摂る。
 展望台からは露岩が多くなり、所々にロープが張ってある。木製ベンチを設置した休憩所で白根山と根名草山を眺めて先へ進む。道は窪み岩が多くなるとともにジメジメしてくる。その反面、勾配は緩くなってくる。今日は先が長いので焦らないようにゆったりした気持ちで登る。なだらかになり鬼怒沼まで残り距離を示す道標を見てからが結構時間がかかった。木道になるとすぐ先が鬼怒沼で、やっと着いたという感じになる。
 北外れの鬼怒沼小屋に向かって木道を歩いていると、ワタスゲが目に付いた。まだ花の季節には少し早すぎるのか、その他ではタテヤマリンドウが僅かに咲いていた。振り返ると白根山と根名草山、そして前方には燧ケ岳が望める。無人の鬼怒沼をひとりで歩く快適さに、早朝からの歩行による疲れも吹き飛び、黒岩山まで往復してやろうとのファイトが沸いてきた。 
4 鬼怒沼 − 黒岩山 踏跡は明瞭で倒木以外に障害物なし 高低差少なく、ピークは巻いて通過 水場二箇所
 鬼怒沼小屋からショートカット道を東へ向かい県境の道に向かう。約5分で県境の道に出合う。この道を東から北向きに変えながら2141ピークの右下を巻いて通過する。下り始めると、リボンと薄い小松湿原口水場(左) 同標識(右)踏跡が左の2141ピークへ誘うが、ここは無視して北進する。鞍部から登りにかかると、今度は右手に道標を見る。ここが鬼怒沼山取付きで踏跡が見える。今日は物見山も鬼怒沼山も無視することにしているので、ここも通過する。
 鬼怒沼山の左を北から北東にまいて進むと左手に燧ケ岳が一瞬望むことができた。根の張った踏跡を下り鞍部から登り返すと、2070ピークへの急登となる。登りで振り返ってみると鬼怒沼山の三つのピークを間近にする。2070ピークの左を巻いて通過する。このあたりが奥鬼怒トンネルの真上になる。トンネル上を西に伸びる枝尾根にはヤブを刈払った踏跡があった(昨年の9月に群馬移動通信のJQ1HXFさんが確認)が、踏跡は消えてしまっていた。何のために刈払いをしたかは不明である。もう一つの2070ピーク、2069ピーク、2055ピークを左に巻いて通過する。この県境尾根は高低差が小さく、その上ピークは巻いて通過する。倒木以外には障害物もない。更に踏跡はが明瞭なので大きな苦痛なしに歩ける。ただし、距離が長いということだけは常に頭に入れて無駄なエネルギーは消費しないことが肝要である。
 2055ピークを巻いて通過し、下ってゆくと樹木にMWVの青色標識を見かける。黄色のペンキで小松湿原と記入してあった。更に、栃木の山、全山踏破の山部さんが白マジックで追記した「水←」も認められた。左下を見ると小さな水流が見える。その奥にはテントが二張は充分なスペースがある。ここが小松湿原口水場である。たらふく冷たい水を飲みエネルギーも補給すると、元気が回復した気になる。
 水場の先の鞍部からは方向を左に変えて2043ピークに向かう。ここは右を巻いて通過するのだが、気がついたら左を巻く方向に進んでいた。踏跡が薄くなったのですぐに戻り事なきを得る。2043ピークの右を巻いて南東へ下ってゆくと、前方にやっと黒岩山が姿黒岩山頂にてを現した。鞍部から少し登りはじめると、焚火跡のある狭いスペースに出る。この左手に水が湧き出していた(小松湿原口程の水量に比べ少ない)。ここが黒岩清水だが、なんの標示もなかった。
 黒岩清水からはジメジメした倒木の多い所を進む。10分程で「尾瀬沼方面5時間、奥鬼怒方面3時間10分」の案内板を見る。ここが黒岩分岐で案内板の上の赤リボンを見ると、一つは昨年の8月24日に山部さんが付けた物で、もう一つにはヤブこぎ40分以上と書いてあった。
 尾瀬方面はここから方向を北西に変えて進むことになる。黒岩山には県境尾根に直接取付かずに東の踏跡に向かう。倒木の多い踏跡にはピンクリボンが目立つ。方向をだんだん北向きに変えて進む。分岐から取付きを探しながらキョロキョロ歩くこと約10分で踏跡はヤブっぽくなった。このあたりが取付きか、と左手(西)を見ると薄い踏跡が見つかった。奥を覗くととリボンが見えたので、ここから黒岩山の東斜面に取付いた。
 この薄い踏跡には頻繁にピンクリボンがついている。これを辿って東斜面を登ると、ヤブはまったくなかった。斜面に取付いて約10分の急登で県境尾根に辿り付く。この尾根を北北西に進むことになる(ピンクリボン多数)。尾根には踏跡がついているがかん木をすり抜けて通るので、東斜面を登るよりは労力を要する。尾根を歩くこと15分で、全展望の黒岩山の頂上に到着した。山頂はかん木で囲まれ岩の点在する小広場となっていて360度の展望が楽しめる。北西の燧ケ岳から反時計回りに至仏山、武尊山、錫ケ岳、白根山、男体山、女峰山と遠くの山々が展望できる。霞んでいるのが残念。南の根名草山をはじめ近場の山々の展望も楽しめた。
 山頂の中央には二等三角点があり、山部さんの山名板と、群馬移動通信のBBSで最近話題になっている「達筆標識」の二枚が目に付いた。雨になることはなさそうだが、雲が多くなってきたので重い腰を持ち上げて帰路につく。 
5 下山根名草山(中央左) 白根山(最奥中央) 錫ケ岳(白根山の右)
 往路をそのまま逆戻りなので、ルートは大体頭に残っていて黙々と歩くだけ。小松湿原口水場で水を飲む。冷たい水はうまい!! 3リットル分のペットボトルの水を入れ替える。汗かきなので夏場は最低でも3リットルの水を持参する。今日のようなロングウォークの場合は4リットル持参するが、このコースには二箇所の水場があるので3リットルとした。(参考までに、冬場の低山ウォークで1リットル持参することにしている。)
 奥鬼怒トンネル上の2070ピークを越すと、鬼怒沼山の三つのピークが見え出す。ここから鬼怒沼山への巻き道の登りはさすがに足取りが重かった。2141ピークの道を通過すると、単独行者が写真を撮っていた。熱中していたので挨拶だけ交わして通過する。鬼怒沼小屋へのショートカットを通り抜けて、小屋に着くと二人が宿泊準備をしていた。
 そのまま鬼怒沼に進むと、幾つかのグループになって大勢が木道を散策しているのが見えた。ベンチで握り飯を食べる。今日は爽やかな気候だったので、疲労も少なく水なしで握り飯が喉を通る。元気が回復したので、下山すべく木道を再び歩く。途中で数グループ30人位と出逢う。女性が圧倒的に多い。すれ違う時に問うてみたら、八丁の湯に泊まるとのことであった。14時半の時点で悠々と散策している理由を合点した。
 14時半に鬼怒沼から下山開始した。大体予想通りの時間だ。これなら充分明るいうちに女夫渕温泉に戻れる、急ぐ必要はない。ノンビリと歩いていると、これから鬼怒沼を目指す軽装の二組と出逢う。更に下ってゆくと相次いで重装備の3人の単独行者に出逢う。この単独行者は今夜は鬼怒沼小屋に泊まって、明日どこかへ出かけるのであろう。黒岩山に行く人もいるのかな?オロオソロシの滝展望台付近になると、今度は下山するグループを何組も追い越す。
 無事に日光沢温泉の上まで戻ると、反対側の根名草山方面から数人が下山してきた。日光沢温泉で冷たい水を飲んで加仁湯へと進む。加仁湯からは奥鬼怒歩道を通るか、それとも往路の林道歩きをするか選択せねばならない。奥鬼怒歩道は最後に仮歩道を通って林道に登らねばならない。仮歩道は通ったことがないので多少の不安を感じる。ここは距離は長いが安全な林道歩きをすることにした。林道を30分程歩いたら、加仁湯の送迎バスの運転手さんが同乗を促してくれた。好意をありがたく受ける。宿泊客が乗っていたら同乗はさせてくれなかただろう。ラッキーにも約1時間の林道歩きから開放された。
 女夫渕温泉の駐車場で降ろしてもらい、車に戻ってビックリ。前日に洗車したばかりの車のルーフから右側面にかけて油が飛び散っていた。走行中に付着したものではない。意図的か間違ってかは知らないが撒き散らしたものだ。誰がやったか?何となく想像はできたが、そいつらの車は既に駐まってなかった。折角気分をよく山行を楽しんできたのに、最後に嫌な思いをした。家に帰って車を洗ったら油は取れたのが救い。 
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