ひとり山歩き408 : 奥日光のツメタ沢を詰めて白根隠山に登り、その南東尾根を下りました。ツメタ沢は滝が少なく特に危険な箇所はありませんが、最後は急勾配の登りが待っています。
ツメタ沢〜白根隠山〜南東尾根
2010年7月23日(金) 晴れ
1 行程  
 ルートマップ(GPS)   ウォッちず : ツメタ沢  白根隠山
自宅(1:40) = 赤沼茶屋(3:30/3:40) − ツメタ沢工事道路口(4:55/5:00) − 工事道路終点・二段堰堤(5:40) −二俣(6:15) − 小休止(標高1910)(8:05/8:20) − 美弥古滝(?)(8:50/8:55) − 沢源頭(9:55) − 白根隠山(11:00/11:20) − 三角点2268(11:50) − 標高点2193(12:15) − 標高点1702(13:30) − 遊歩道出合(14:10) −遊歩道口(14:15) − 小田代が原BS(14:25/15:02) = 赤沼茶屋(15:15/15:20) = 自宅(17:50)

2 自宅 − 赤沼茶屋
 梅雨明けのこの時期は暑くて低山は堪える。北アルプスあたりへ行きたいのだが、梅雨時の山行ブランクで身体が鈍ってしまった。これを解消するには、更に一二度の山行が必要。北アルプスへ行くと岩稜歩きは避けられない。身体が重いせいか、岩稜のような段差歩きは大の苦手である。栃木の尾根歩きでは、そのトレーニングの場を求めるのは難しい。沢のゴーロ歩きで脚腰が鍛えられるのでは、と浅墓な考えを持った。
 沢歩きは、全くのど素人であるから、危険な沢には出かけられない。インターネットを検索しても遡行の記録が載っていないような沢は、その道のベテランが見向きもしないイージーなものであることが多い。地形図を見ながら奥日光の沢遡行の記録をインターネットで検索するもツメタ沢に関しては記録が見つからなかった。この沢を地形図で調べると、源頭から主稜線(白根隠山〜白檜岳)への最後の登りは急勾配で、鍛錬には適しているように思われる。地形図には美弥古なる滝が記載されている。滝越えが多少心配、危険を感じたら引返せばよい。もし沢を詰めることができたら、白根隠山からその南東尾根を下ることにする。この尾根は03年9月17日に登っているので、下りながらその後の様子を探るに適している。
 ツメタ沢に入るには、車で傍までは行けないので赤沼茶屋に駐車することにした。広い駐車場には拾数台が駐まっているようである。

3 赤沼 − ツメタ沢 − 白根隠山  ツメタ沢は特に危険箇所はない  美弥古滝の位置が地形図から大きくずれている??
 夜明けは大部遅くなってきたが、ヘッデンなしでザックを背負って低公害バス走行道路を小田代が原に向かうと、自転車二台が追い越していった。貴婦人撮影のカメラマンであろう。小田代が原入口には自転車を四台見かけた。木道の上にカメラをセットして明るくなるのを待っている人もいる。委細かまわず千手が浜方面に向かう。気温は16・7度と思われるが、今日は暑くなりそうだ。右手に外山沢を感じながら歩き、左岸から右岸に橋を渡ると右手に林道入口が現れる。これは地形図にも載っているが、ツメタ沢の砂防ダム建設用の工事道路であろう。
 工事用道路の入口で、登山靴(沢歩きは基本的にはしないので、沢靴は持っていない)にスパッツを着けて破損したゲートを通過する。すぐに遊歩道(西ノ湖2.5km、小田代が原2.6km)に出合う。地形図の工事道路終点は小広場となっているが、予想通り更に続い右が美弥古滝か、地形図の位置に近いのは左ている。左下に砂防ダムを見て、道路はUターンして山に登って行くが、地形図の最後の砂防ダムまでは続くものと読んで先を急ぐ。地形図上の終点からは荒れて自動車の走行は難しいが、歩くには全然支障はない。崩落部を乗り越して進むと道路は沢に下って終点となり、その前に二段堰提(平成2年、ツメタ沢コンクリート堰提)。
 二段堰提を左岸側から越して沢内に入ると、ゴーロ歩きとなる。北ア岩稜歩き想定の訓練歩行という気分で遡行する。ほぼ地形図どおりで二俣に達した。右俣に進むと、少し先で方向が北向きに変わり沢筋が狭まる。地形図では両岸が土崖記号が並んでいるが、特に気になるような箇所はなかった。美弥古滝(地形図では標高1750)を楽しみに進んだが、いっこうに滝は現れない。標高1800で沢床が狭まり、すぐ先で高さ3・4メートルの滝を見る。まさかこれが美弥古滝じゃないよね、と写真に収めて先を急ぐ。相変わらずのゴーロ歩きだが、特に危険箇所はなく沢筋を適当に遡行する。標高1910で二俣状になり、左はガレで右が本流。疲れたのでここで休憩をとるべく荷を下ろして振り返ると、西ノ湖の一部が展望できた。気温は高いのだろうが、心地よい風があり疲労はあまり感じていない。美弥古滝は見過ごしてしまったのか、標高1800付近の小滝がそれなのかサッパリ分からない。
 沢床は狭まり、勾配はかなり急になってきた。この沢は水に濡れた岩も全然滑らないので安心して歩ける。沢筋が一層狭くなって勾配も増すと前方に7・8メートルの滝が見えた。先刻の小滝など比較にならないくらい滝らしい。ひょっとしたらこれが美弥古滝かもしれない(沢遡行記録を見ていると、滝の位置が地形図とは異なることは往々にあるようだ)。これを美弥古滝と勝手に思って写真を撮る。滝の右手の岩を越す(それ程難しくはないが、一箇所だけ手がかりがなく、少しばかり苦労したが)。滝上に出るとすぐ上流に4・5メートルの滝があるが、これを越すのは全然問題なし。
 沢幅は狭くなり、水流の中を歩くことも多いが、岩がヌルヌル滑らないので安心。その反面、沢内の小石がずり落ちるので登りづらくなる。振り返ると、西ノ湖がより広く見えるようになり、中山とか黒檜岳が見分けられるようなる。水流も細々となり、両岸の樹木が近くなってきた。標高2230あたりで水流は見えなくなってっしまったので、ここを沢源頭とする。ガレ沢はまだ続くが、勾配はますます大きくなり、危険と判断して左手のダケカンバ林に逃げ込む。すると踏跡(獣道と違い方向性が読める)が東北東に続き、白根隠山の南東尾根に向かっている。これを更に追えば楽かもしれないが、沢遡行の最後の仕上げとしては安易すぎる。ここは厳しくても白根隠山に直登すべく方針転換。藪はないが、急傾斜で木の根や樹木の助けを借りて最後の仕上げ。ケルンが見えて白根隠山の山頂に達した。南東尾根を登ってくるよりも時間はかかったが、慣れない沢遡行を無事に終えて喜びも一入。
 草付きの山頂とそこから拡がる大パノラマはお気に入りのひとつ。山頂訪問は今回が九回目、最近では4月30日に雪景色の訪問である。いつ来ても素晴らしい!! 欠点は樹木がないので、直射日光が強い時には堪える。エネルギーを補給し、写真撮影を済ませて下山にかかる。

美弥古滝の様子


4 南東尾根を下山   藪は少ない 03年に比べて踏跡が濃くなったような気がする白根隠山から日光連山と中禅寺湖
 03年9月17日にこの南東尾根を登っているので参照願う。当時はインターネットで検索したが、この南東尾根については記録が見つからなかった。その後は、歩く人も増えたようで、数件検索できた。 
 この尾根は急勾配部があるが、概して藪は少なく登り易い尾根であると記憶に残っている。さて下りはどうであろうか。記憶どおり藪は少ない。膝程度の笹と、低い石楠花に針葉樹の枝藪が現れるが大したことはない。03年の記録を見ると明瞭な踏跡はなく、テープ類は皆無であった。今回は気のせいか踏跡(獣道かも)を拾えたし、ピンクテープ(一種類だけ)は要所要所に付いていた。下りだから尾根筋を外さないように、しばしば磁石設定を修正しながら下った。家に帰ってGPSで軌跡をチェックすると二箇所で少しばかり変な動きをしているが、これは藪を避けたため。
 前回は三角点2268を見逃したが、今回はバッチリ。標高点2193は小さなコブだが、左手を巻いて通過。標高点1702は地形図よりは幾分東よりの小さなコブ。全体に展望はないが標高2100付近で男体山と戦場ケ原が樹木の切れ間から見えただけ。標高点1702手前からは勾配は緩み藪は皆無で歩き易くなる。小田代が原15時02分のバスに間にさわせようと、歩行速度を上げる。標高点1587付近は平坦で大木が茂り気持ちよい場所なのだが、北東部をショートカットして東尾根へ乗る。このあたりまで来るとバスには充分間に合うが、勢いは止らない。遊歩道に無事下山し、外山沢に架かる木橋を越すと、遊歩道口でそこからバス道路をショットカットして弓張峠へ。小田代が原が近づくと散策する人が多くなる。小田代が原バス停で30数分の待ち時間。赤沼茶屋へ歩いて戻るよりは早く着くので、バスを利用することにした。赤沼茶屋の駐車場はほぼ満車。
 車に乗り込んで車載温度計を見ると28度、帰路での最高は33度。家に帰って車を降りるとドッと汗が吹きだす。下界は最高に暑かったようだが、沢歩きから尾根歩きは下界に比べたら天国みたい。 

白根隠山からのパノラマ

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