ひとり山歩き398 : 湯元温泉から白根山を目指しましたが、途中退却して白根隠山へ行ってきました。よく締まった残雪は連続していて歩き易かったです。
湯元温泉から白根隠山
2010年4月30日(金) 晴れ
1 行程  
ルートマップ(GPS)   ウォッちず : 白根隠山
自宅(1:05) = 湯元温泉(2:55/3:05) − 登山口(スキー場入口)(3:10/3:25)  − 登山口道標(3:55) − リフト最上部(4:20) − 外山分岐(5:45/6:00) − 標高点2325(6:40) − 前白根山(7:05) − 避難小屋分岐(7:30) − 避難小屋(7:45/8:00) − 白根山・退却地点(標高2400)(8:45) − 奥白根平へ下山(9:05) − 標高点2385(9:45/9:55) − 白根隠山(10:15/10:30) − 避難小屋分岐(11:05) − 前白根山(11:35/12:00) − 外山分岐(12:50) − 登山口(14:25) − 駐車場(14:30/14:45) = 自宅(17:10)

2 自宅 − 湯元温泉
 Jobsおじかから男鹿山塊へ残雪歩きを考えていたが、海外旅行等により行きそびれてしまった。もう一つの懸案である「湯元温泉から積雪期に白根山に登る」を実行することにした。雪の締まる前ではラッセルに労力を要して、自分の脚力では湯元温泉から日帰りは難しい。今の時期は雪が締まり過ぎて滑落の不安がある。危ないと思えば途中でやめればよい。今月は5日以降山行がなく、座ってばかりいたので体が鈍ってしまったことが心配のタネである。
 例によって早朝の雪が締まっている間に高度を稼ぐために超早出とする。さすがに今の時期は道端に残雪はない。湯の湖まで来て僅かに路肩に残っている程度。いつも厄介になる湯元温泉ビジターセンターの駐車場に車を駐める。心配していたが風は弱く、星空で気温はマイナス1度(車載温度計)。

3 往路(白根山2400mまで)  残雪はよく締まり快適な歩き  白根山の東斜面を下りられなくなりそうで途中退却・・・予想通り!?
 湯元スキー場入口で用意してきた登山カードを投函して、明るい場所でアイゼンとピッケルを装着してスキー場に入る。200mも歩くと薄く残雪が残る。雪はよく締まっていてカリカリ(もと複雑な音だが表現力が乏しい)と気持ちよく歩く。白根山方面の道標を見て尾根に取り付く。トレースがしっかりとついているので迷いようがない。標高1800をリフト最上部として先に進む。標高1900くらいからは積雪が深くなったのか、トレースが深くなるとともに雪ダンゴが多くなるも、足の沈みはなく快調に登り続ける。4時半にはヘッデンを格納して、明るくなっても今日は写真は極力撮らないようにする。山に持参するコンデジは手袋をしていてはシャッター操作ができないので、撮影のたびに手袋を脱着せねばならず、これが以外に時間を要する。
 標高2050付近にシリセードの跡が残っている。せっかくのトレースをシリセードで消して(削って)しまうのは、マナー違反だと思う。シリセードで下る人は快適かも知れないが、後からトレースを利用する人には大きな迷惑である。シリセードをするならトレース外でやるべきでは。標高2100あたりからトラバース気味に登ると道標が見えて外山分岐に到達した。今日は残念ながら富士山は見えない。白根山と五色沼  (前白根山から)
 風が強いので、防寒着を着用して外山尾根を歩きだす。すぐにトレースは消えてしまったが、どこを歩いてもアイゼンの跡がつくだけで、靴底まで沈むのがせいぜい。過去3・4度の歩きに比べてペースは幾分速い(撮影を省いている点もあり)。標高点2325から幾分下ると夏道(天狗平方面)分岐で道標は頭を雪面に出しているだけ。次の2360級ピークに達すると風が幾分強まったが、名物の強風ではない。このあたりから白根山、白根隠山あたりが目に付きだす。ここから前白根山までは強風で雪が飛ばされ地肌が出ているかと思ったが、雪が凍結しているせいか、今までと同じで快調に歩けた。前白根山山頂に達したが、風が強いので写真を一枚撮って先に進む。
 前白根山の下り斜面は岩の頭が出てはいるが締まった残雪が連続していて歩き易い。避難小屋分岐までの稜線もトレースはなく、雪はよく締まっている。避難小屋への道標を見て適当に下って行く。コンパスを見ると真西に下っていることが分かり方向を修正して難なく避難小屋に到達。小屋前は日当たりがよく無風なので、ザックを下ろしてエネルギーを補給する。
 小屋から道標のある白根山登山口までにもトレースは全然認められない。新雪で消されたわけではない。この一両日に登った人はいないと言うことか。とすれば白根山の斜面ににもトレースは見あたらないだろう。白根山の東斜面を見上げてコース取りを考える。森林限界の上に二つの大岩が見えている。取りあえずはこれを目標に登って行くことにした。標高2350の森林限界までは、勾配はあまりきつくなくアイゼンの跡を残しながら着実に登って行く。森林限界を越すと勾配が増してきた。30mほど上方の目標物の大岩を目指して慎重に登る。大岩横のダケカンバに身を預けて様子を見る。未だ開けた高所での恐怖感は現れていない。左に幾分トラバースするように軌道修正して足元を確実に確保しながら登って行く。森林限界を過ぎると直射日光で気温が上がり表面が軟らかくなる。靴底が沈む程度で、雪面を見ながら登って行く限りは恐怖感は全然なかった。この調子で登ってしまって、下りられなくなったら大変。念のためにここで下り具合を試すことにして振り返った。 突然、滑落の恐怖感に囚われて締まった。木に登ったが下りられなくて人間に救出されている猫がどういうわけか頭によぎった。もう駄目、退却だ!!(標高2400)・・・開けた高所での恐怖感克服はまだまだ先になりそう。

4 白根隠山へ  まだモノトーンの世界
 下りようとすれど足が動かない。トラバース気味に下りようとしたが恐ろしい。仕方なしに森林限界まで後ろ向きで下ることにした。これを後方で見ていたらなんと無様な格好だったであろうか。どうにかこうにか森林限界まで下った。勾配が緩んだことと疎らなダケカンバに囲まれて、ホッとする。このまま帰るには早過ぎる。白根隠山に行くことにした。トレースなどないから誰に遠慮することもなくシリセードでダケカンバを避けながら下って行く。先刻の恐怖感と打って変わって快適この上なし。
 シリセードであっという間に奥白根山平登山口付近に着地。ほんの少し南に歩き、窪地の北端から標高点2385への尾白根隠山  (2385Pから)根に取り付く。最初はダケカンバ林、頂上直下では裸地となる。この尾根筋も雪はよく締まっていて、アイゼン跡が残る程度。疲れもあってこの尾根を登るのに約100mを30分も要してしまった。標高点2385ピークの広い山頂部には薄く残雪が広がっていった。ここからの展望も素晴らしい。360度のパノラマが拡がる。燧ケ岳、武尊山、皇海山等も見えている。白根隠山への小さなセッピ状の稜線も絵になる。
 僅かに下って雪庇の上を歩く。時々吹きだまりを乗りこさねばならないが、カリカリと気持ちよく歩くことができる。白根山東斜面では恐怖に襲われたが、最近では慣れたのか、この程度の雪庇では谷底へ引きずられのではという強迫観念はなくなった。周辺の景色を楽しみながら登りつめると、白根隠山の山頂でケルン付近は地肌が現れていた。ケルンにはアングル材にしっかりと取り付けた3Dプレートが設置してあった。白根隠山の山頂は過去に七回通過しているが、ケルンに取り付けられた山名板は風に飛ばされてしまうのか、有ったり無かったり。今度のものは風にびくともしそうにない。山頂からの展望は360度で、先刻通過の標高点ピークに劣らず素晴らしい。白檜岳方面の稜線は白くなっている。

5 下山  GWにもかかわらず錫ケ岳の単独行者とすれ違っただけ
 白根隠山から避難小屋分岐までは弱い雪庇の歩き。気温上昇でときどき踝まで沈むが快適な歩き。2385ピークの次の小ピークからの下りで見えるはずのボロ小屋(失礼、観測小屋)が見当たらなかった。雪の中?? 撤去された?? 見逃した?? (多分、雪の中)
 避難小屋分岐を経由して、往路の自分のトレースを踏みながら前白根山の山頂に戻る。往路とは違って風は弱く暖かい。ここで防寒着を脱ぎ、エネルギーを補給する。ここからの雪景色は何度も見ているが、盆地全体が沼のように見える五色沼が印象的。
 前白根山から外山尾根の下りは気温上昇で、踝ないし向う脛までの沈みとなるも下りで全然問題なし。夏道分岐(天狗平への)付近で錫ケ岳を目指す(テント泊)単独行者とすれ違う。今日出逢った唯一の登山者であった。GWでもあり前白根山あるいは白根山を目指す人は多いと予想していたのだが・・・この時期は白根山東斜面が凍結しているので、あまり登る人はいないのかなア? 外山分岐が近づき針葉樹林の中に入ると足の沈みは小さくなる。
 外山分岐からは樹林帯の中で日当たりが無いので、雪の状態は早朝と殆ど変わっていない。登りでは全然気にならなかったが、雪ダンゴで荒れたトレースは足場の確保が少しばかり煩わしい。標高2050付近のシリセード跡は滑り易いので、トレースを外して下る。リフト最上部からは尾根から外れてスキー場をシリセードで下る。営業を終えたスキー場には人の気は全くない。駐車場に戻ると、早朝は自分の車だけだったが、半分は埋まっていた。
                                  
            前白根山からのパノラマ

 
HOME
inserted by FC2 system