ひとり山歩き316 : 奥白根山を途中で諦めて、急遽山王帽子山に登ってきました。山王林道の登山口からはトレースはなく、細いコメツガを避けながら適当に山頂に登りました。針葉樹林の中はワカン着用でも常時脛までの沈みでした。
残雪期の山王帽子山(2077
2008年4月12日(土) 晴れ
1 行程
ルートマップ(GPS) 
自宅(0:50) = 湯元温泉(2:40/3:05) − スキー場リフト最高地点(退却)(4:30/4:40) − 湯元温泉(5:35/5:45) = 光徳温泉(5:50/6:00) − 登山口(7:20/7:40) − 山王帽子山(10:10/10:40) − 下山(山王林道出合)(11:50/12:00) − 光徳温泉(13:00/13:15) = 自宅(15:20)

2 自宅 − 湯元温泉  スキー場最高部で忘れ物に気付き奥白根山を諦める
 積雪の奥白根山に湯元温泉から登って見たいという願望は強い。4月中旬ともなれば残雪もかなり締まって歩き易くなっていると推測した。土曜日よりは日曜日の方がトレースがついていると思われる。残念ながら翌日の日曜日は雨模様。仕方なしに土曜日の今日を選ぶ。脚力が弱いので、日帰りはかなり厳しい。通常は明るくなってから登りだすのだが、止むを得ず早朝から歩き始めることにする。起床してすぐに、奥日光の気圧、気温と風速をwebでチェックし特に問題ないことを確認して湯元温泉に向かう。奥日光は3月12日以来だが、この間に沿道の雪は殆ど消えてしまった。その代わりに中禅寺湖の北岸の路肩に駐めてある釣り人の車を多く見る。湯元温泉無料駐車場に車を駐めて、準備を整えて出発。
 スキー場は既にクローズになり、リフト下のカタピラのトレースを追うと、さすがに雪はよくしまっている。時々踝まで沈む程度で今までにないペース。リフト終点付近から尾根筋に入る踏跡は全然認められない。リフト最高部の巡視路の桟道が見えると吹き溜まりがあって、腰まで沈んでしまう。ここを脱出するのに十数分要した。ヘッデンだけでは通常のルート(より谷側)が見えずに桟道に寄ってしまったのがよくなかった。それでも過去の途中計時に比べて遅くはない。この先はアイゼンとピッケルを装着しようとザックを降ろすとピッケルが見当たらない。通常はピッケルはザックに括り付けて出発するのだが、今日はスタート1時間後には活用するのが分かっていたから、プロテクターをつけて体にぶら下げて歩くことに決めて家を出たので、ザックとは別々に車のトランクに収納した。駐車地から出発時にピッケルを手にしてなんていうことは過去になかったので、ザックだけを担いで出発してしまったのだ。ピッケルなしで奥白根山なんてありえない、即退却とする。
 こんなに早く退却するなんて夢にも思っていなかったので、他の山の地形図を用意してこなかった。地形図なしでも登れる山として山王帽子山を思い出す。昨年は1月5日12月17日に薄い積雪の中を登った。その時はトレースがついていて然したる苦労もなく山頂を往復できた。残雪期の今なら雪も多く、ラッセルで脚力訓練には最適と考え、家にルート変更を連絡して光徳温泉に向かう。

3 光徳温泉 − 山王帽子山  登山道にはトレースなし ワカンで直登、常時脛までの沈み
 ワカンは歩きづらいので好きでない。そのためかワカンでの長時間歩行の経験がない。今月末に計画しているテント泊での長須ケ玉山・孫兵衛山・台倉高山の尾根歩きに備えてワカン歩きの訓練ということで、ピッケルとアイゼンは持参しないことにする。
 山王林道は今月末の通行規制解除に向けて除雪作業が進んでいるようで、路面にはブルドーザで除去しきれなかった雪が僅かに残る。日中に融けた雪水が夜間に凍結しアイスバーン状態になっている部分が多い。そこを避けて歩くので速度は上がらない。何度かヘアピンカーブを通過し、右手に雨量観測局を見山王帽子山・太郎山の登山口るとすぐ先で太郎山の道標が見えて登山口に達したことを知る。前二回の時は笹が雪面に出ていて溝状にトレースがついていたが、今日は踏跡の痕跡も残っていない。
 地図の類を持っていないので、磁石で山頂方向を合わせる(GPSは持参しているが、山王帽子山のルートやウェイポイントはアップロードしていない)。ワカンにダブルストックで道標横から雪原に入る。最初は樹木はまだらで笹薮は完全に雪下だが、トレースらしい狭い溝が見えた。これで楽ができると喜んで傍に行って見ると、これは獣道でガッカリ。今日はワカンでのラッセルの訓練と意識を変えて山頂目指して直登にはいる。疎林帯ではワカンの沈みは踝程度であったが。標高1800を越した細いコメツガジャングルにはいると男体山(山頂直下の台地から)、樹木の間を摺りぬけるのに苦労するは、ワカンは膝まで潜るはの責め苦にあう。コメツガ細木はルート取りの邪魔にはなるが、身体を引き上げる補助には役立つ。コメツガ細木は功罪相半ばというところ。テープ類を時々見かけるので夏道付近を通っているのは間違いない。丁寧にテープ類を追うことも考えたが、探すのに手間がかかりそう。猪突猛進型の性格にはあっていない。標高1900位になるとコメツガとダケカンバ林の通過となる。時々日あたりのよい場所を通過する際、後方に奥白根山方面が見えるのだが、急斜面でワカンでは振り返って停まっているのが困難で慌てて樹木の中へ逃げ込む。ピッケルを持参すればよかったかも知れないが、今日は意地でもピッケルのお世話にはなりたく。
 台地状のダケカンバ林で勾配が緩み、やっと息がつけるようになった。男体山や山王帽子山の山頂部を眺めて、呼吸を整えて登り始める。このあたりになると盛んにテープ類を見る。テープ類をあまり気にせず歩き易い所を選んで進む。再び針葉樹林に突入し、これを突破すると立ち枯れと灌木地帯になり、後方には展望が広がる。於呂倶羅山から高薙山、前白根山方面(白根山はガスの中で一度も姿を現さなかった)、皇海山と瞬時景色を楽しみ、そこからひと登りで山王帽子山の山頂に達した。前回は雪も浅く、トレースがあって壷足で2時間25分だった。今回はトレースなしの直登で2時間30分、ワカンの助けを借りたが思ったよりは短時間で登れたものだ。
 山名板は山部3Dと達筆が残っていた。南東方面は樹木が疎らで男体山方面が見通せる。戦場ケ原には雪は殆どなくなっているのが分かる。太郎山は樹木越しに確認できる程度。山頂から僅か戻るも燧ケ岳、会駒や飯豊山の遠方はガス模様で見えない。

4 下山白根山(ガスで見えない)方面  (山頂直下から)
 余程方向を間違えない限り、山王林道が受け止めてくれるのでブラインド下りとはいえ気分的に楽。いざとなればGPSが往路を記録しているのでこれを追うこともできる。心配は無用で往路のトレースが残っているので、これを追うことにした。時間的には僅かしか過ぎていないが、ワカンでも膝下まで沈む状態。よく締まった場所でワカンの跡が辛うじて認められる所でも脛まで沈む。それでも下りだから楽なものだ。
 往路のトレースを時々見失うがすぐに復帰できていたが、標高1850付近のコメツガ細木地帯で完全に見失ってしまった。そこからは適当に少しばかり下ると左下に浅い谷筋が見えた。樹木が少なく歩き易そうなので浅い谷に下りた。ワカンの沈みは脛程度で今までと変わりはない。左手はカラマツの低い尾根筋となったので、数メートルほど登って尾根筋を辿り、赤テープを見て山王林道に下山できた。正規の登山口から約100mほど光徳側の地点であった。 山王林道は往路とは異なりアイスバーンは日光で融けて水幕状に林道を流れていた。滑る心配がないのでユッタリした気分で光徳温泉に戻る。
 今まではワカンはアイゼンをつけたまま履いていたが、今日は登山靴に直接装着した。アイゼンの爪で横バンドが固定されていたが、登山靴に直接装着すると横バンドがずれて何度も修正する必要があった。次回までに対策を考えておく必要がある。
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