ひとり山歩き198 : 福島県境の次郎岳(荒海山の南東)付近の偵察に芹沢から1530ピークを目指しましたが、標高1400付近の残雪急斜面は手掛かりがなくて登れませんでした。アイゼンだけでは無理でピッケルも必要でした。偵察は中止して、芝草山に登ってきました。時間の都合で芝草山から県境尾根をめざす尾根歩きは他日を期すことにしました。
次郎岳偵察芝草山(1341.6)登山
2005年4月27日(水) 快晴
1 行程
ルートマップ (地形図 : 荒海山、五十里湖 各1/25000)  
自宅(1:15) = 芹沢林道ゲート(3:20/3:35) − 芹沢林道終点(第三ダム)(4:35/4:40) − 尾根取付き(4:55) − 標高1300(6:15/6:30) − 退却(大岩)(7:30/7:40) − 標高1300(8:05) − 尾根取付き(9:00) − 林道終点(9:15/9:45) − 芹沢林道ゲート(10:30/10:35) = 芝草山登山口(中ノ沢林道分岐)(10:55/11:00) − 33号送電線鉄塔(11:35/11:40) − 大岩基部(12:40) − 大岩上(12:45/13:00) − 芝草山山頂(13:55/14:10) − 枝尾根取付き(14:30) − 中ノ沢林道出合(15:15) − 中ノ沢林道分岐(15:45/15:55) = 自宅(18:15)

2 自宅 − 芹沢林道ゲート
 4月18日に日向倉山から次郎岳(福島県境の1560ピーク)への尾根を歩きほぼ中間点から下山したが、次郎岳付近の厳しさが観察できた。自分の技量では日向倉山からの尾根伝いに次郎岳を通過するのは困難と判断した。斎藤@宇都宮さんから次郎岳〜1530ピーク周辺の明瞭な写真と情報を提供していただいた。
 提供していただいた写真から、藪が雪下の今なら芹沢から1530ピーク(昨年の11月23日に藪で途中退却)に登り次郎岳と県境尾根の観察ができるかもしれないと考え、予定していた芝草山の尾根歩きを計画変更した。気温が上がってきたので残雪が締まっているうちに登ろう、と例によって早朝出勤(無職だから山歩きが仕事!?)。芹沢林道ゲートには10日前にも来ているのでスイスイ運転。ゲート付近の広場には軽RV車が先着で、運転手は仮眠中のようだ。自分のような変わり者それとも釣り人??

3 林道ゲート − 1530ピーク南尾根  標高1400からの急斜面は軽アイゼンでは登れず退却
 懐中電灯片手に勝手知ったる芹沢林道を北上する。10日前には4kmのうち約2/3に残雪があったが、今日はかなり少なくなっている。林道終点(芹沢上流第三ダム)が近づくと雪は連続になるがよく締まっていて歩き易い。林道終では充分な明るさで懐中電灯をザックに収めて、高度計を見るとバッテリー切れの表示が出ている。今日のコースは単調な登りばかりなので問題はない。地形図読解力のテスト、と気楽な気持ちで芹沢の右岸を北上す標高1400付近の斜面  る。薄くなったが靴跡が残っている。数日前に歩いた斎藤さんのものかも、まさか10日前の自分の物ではないよね、など考えながえら進むと、標高点1026の直ぐ先の沢分岐に着いた。対岸が尾根取付きだが水量が多いので慎重に岩を伝って対岸に渡る。
 昨年と全く同じ所から尾根に取付いたが、雪融けで地面が緩んでいるので急斜面を登るのに一苦労した。十数分の奮闘で尾根に乗ると、シャクナゲの藪となるが獣道も続き特に苦労するほどではない。尾根に飴の包装紙等人間が持ち込んだゴミを見かける。林業関係者かそれと登山者が時には入り込むようだ。尾根を塞ぐ直径2m以上の大木を越すとシャクナゲはやや薄くなり、右下から枝尾根を合わせる。地形図通りだもう直ぐ標高1300と読めた。今までのところは尾根には雪は殆どなかったが、尾根筋にも残雪が見え出した。見覚えのある標高1300付近で前回同様に休憩をとりながら、次郎岳を観察する。心配していた「角」は斎藤さんの指摘通り日向倉山から稜線にはないことを自分の目で確認できた。見れば見るほど次郎岳直下の勾配はきつい!! 樹木が付いているので雪がなければ何とかなりそう。
 安全のためにここで6次郎岳(右) 1530P(中央) (芹沢林道終点から)本爪のアイゼンを着用して先へ進む。ブナ林のよく締まった残雪を気持ちよく踏みしめて軽やかに登って行く。ひょっとしたら楽々1530ピークまで行けそうだ、などと淡い期待を抱かせるに充分であった。程なく尾根筋には雪が消えて笹薮が現れた。歩くには反って笹が手助けになる。前方には雪のついた急斜面が待っていた。ブナ疎林で藪は雪下で手掛かりがないので、6本爪のアイゼンとシングルストックでは登れない。ストックをピッケル代わりにしようと先端のリングを取り除こうとしたが、どうしても外れない。ストックを短く持って先端を雪に刺し四つんばいで這うように上部のブナの樹を目指す。ブナの周りには笹が頭を出しているので手を伸ばして体を引き上げる。真上に見覚えのある大岩が徐々に近づいてきた。何とか大岩の上に攀じ登り上部の様子を見ると、前回は藪で見えなかった岩峰が直ぐ上に見えた。前回撤退した辺り(標高1490付近)は真っ白でシャクナゲ藪は隠れている。あと50メートル程登れば岩峰の上から1530ピークから次郎岳辺りの様子がわかりそうだが、上に行くほど樹木が疎らになるのでこれ以上の無理はできない。大岩の上でブナ林の枝越しに高原山、女峰山、大・小真名子山、太郎山、白根山を眺めて退却する。
 残雪歩きの経験に乏しいから、4月中旬の大佐飛山稜線程度の安易な気持ちで出かけてきた。草木にしがみ付きながら登るよなうな急斜面では軽アイゼンとストックではどうしようもないことが分かった。自分の無知さ加減に呆れるとともに、今後はこの経験を生かさねばならない。急斜面からの下山はロープをと考えたが、アイゼンでブレーキを掛けながら変則シリセードで樹木をリレーしながら無事下りられた。急斜面を下りてしまえばどうということはない。難なく林道終点のダムに戻って、ここから次郎岳〜1530ピーク〜1475ピーク周辺の観察をした。次は雪のない時に、正面の真っ白な部分(密藪)は避けて左手の尾根を登ってみよう。
 時間はタップリあるので、準備してきた芝草山に登ることにした。残念だが尾根の縦走は次の機会にまわす。芹沢林道ゲート付近の広場に駐まっていた軽RVは向きが変わって無人だった。釣り人は途中で見かけなかった。日向倉山へでも登っているのか? ザックをトランクに放り込んで、芝草山登山口の中ノ沢林道分岐を目指した。
 芹沢林道ゲートから国道121号に戻って、左へ進み直ぐ先で三依中学校の看板を見て左折して道なりに進む。途中で三角錐の芝草山がチラット姿を現す。見通橋を渡り、先で林道は分岐する。左が入山沢林道、右が中ノ沢林道でこの分岐を登山口の中ノ沢林道分岐(国道から2km強)と呼ぶ。分岐手前の広場に車を駐める。

4 芝草山  残雪はなく踏跡は明瞭  大岩に設置されたロープで登下降が楽に
 分岐から左の舗装された入山沢林道に150mほど進むとカーブミラが右側に設置してある。ここが東電の塩原線33号鉄塔への巡視路で登山口の小さな標識が立っている。巡視路はジグザグに尾根を登って行く。登り始めたら汗がたらたら出だした。しかも巡視路は日当たりが極めてよいのだからたまらない。この時期の昼間近にこんな低い所を歩いていることは、自分の山行では例外だ。。早朝に登り、尾根をタップリ歩いて午後遅く下山するのが流日向倉山  (33号鉄塔から)儀である。今朝の斜面登りは気温5℃で気持ちよかったが、現在は20℃を超えている。暑さに弱いので帰ればよかった、と愚痴が出る。山部さん、satoさんやシャロームさんはしばしば一日に3〜4座に登られる。これができないと栃木の山283座を短期間に踏破できないのだ。全座を踏破するすごさを今更知らされる。自分にはとてもできない。
 巡視路ではあるが勾配は結構きつい。周りの景色は目に入らない。ただ黙々と下を向いて歩く。汗がポタポタとサングラスに降り注ぐ(?)ので、拭うとグラスが曇りそのうち汗の水滴で用をなさなくなる。止むを得ずまぶしいがグラスを外す。どうにか送電線鉄塔33号に辿り付いた。送電線の延長線上に尖った次郎岳と西に日向倉山を確認するしか余裕がなかった。
 尾根左手の34号鉄塔巡視路を10分程進むと、小さな標識に巡視路から分かれて尾根に登るよう促される。日留賀岳と振り返ると高原山の一部(鶏頂山)が見える。植生はミズナラ、リョウブ、ツツジに登山口からずっと松が混ざっている。標高1000mあたりで12時になり、下のほうから有線放送が聞こえてくる。今朝歩いてきた辺りに比べると里に近づいたという実感がする。踏跡は山頂まで続いている所を見ると、登る人は多いのであろうか。花をつけたイワウチワをあちこちで見かける。山で花を見たのは今年初めて。左手に次郎岳から荒海山、右手に日留賀岳から男鹿岳に連なる稜線が、そして歩を止めて振り返ると高原山の釈迦ケ岳も姿を現している。ペースは上がらないが確実に高度は上がっている。
 33号鉄塔からほぼ1時間で大岩の基部に辿り付いた。計画時間よりだんだん遅れだした。左に回りこむと、山部さん等が4月2日に取り付けたロープが見え出した。土の露出したルンゼに18mmφのロープが通っている。早速、ロープを試してみる。根っこが現れている時は大岩ルンゼのロープ  実際にはもっと勾配はきつい、ロープなしでも登れるが雪のついた時や下りには効果大のようだ。重さ17kg、長さ50mのロープを積雪の中、担ぎ揚げて設置してくださった山部さん、氏山さんと常吉さんに感謝感謝!! ロープを伝って岩上に登り、エネルギーを補給する。幾分楽になったようで、山座同定もする気になった。樹木に邪魔されるがかなりの範囲が楽しめた。イワウチワの花も疲れを和らげてくれたようだ。
 大岩先の小ピーク1194を過ぎると、イワウチワが多く勾配もゆるく何とか山頂まで行けそう。ブナと笹が目に付きだすと、その先には急登が待っていた。急斜面になっても踏跡はつながっていた。尾根筋には雪は殆どなく斜面に多少見かける程度。喘ぎ喘ぎ登りきると勾配が急にゆるくなり3分ほどで芝草山の山頂に辿り付けた。山頂には三角点を中心に少しばかりのスペースがあるが樹木で充分な展望が得られないのが残念。山部さんの真新しい山名板とSHCフクミズさんのは半分欠けていた。もう一枚は下側に緑色で山を書いたプレートでどこかの山で見かけた記憶がある。

5 下山  枝尾根と谷を中ノ沢林道目掛けて急降下 
 疲れているので、往路を辿るつもりだったが、山頂から下った鞍部から山部さん等が残雪をものともせず中ノ沢林道に下ったことを思い出した。尾根屋の習性か枝尾根を見ると下りたくなる。往路をダラダラ下るよりは短時間で急降下した方が楽と実行。地形図では明瞭な尾根筋が中ノ沢林道目掛けて下っているのだが、途中で急勾配になり尾根が消えてしまった。谷は浅く多少の小岩があるが樹木を伝いながら駆け下りた。家に帰って調べると途中に大岩もあったので山部さん等が下ったのと同じルートだったようだ。林道らしいところに下りついた。傍に警笛の道路標識が残っていた所を見ると、林道の面影がない位荒れ果てた中ノ沢林道である。林道には樹木も生えている。こんな林道を歩くのはかなわんとブツブツいいながら歩いていると直ぐに車の走れる道になった。20℃以上あった気温も15℃に下がりのんびりと登山口に戻った。
 
HOME
inserted by FC2 system