ひとり山歩き176 : 芹沢林道終点付近から南西尾根に取付いて県境尾根の1530ピークに登り、標高点1560ピークを通過して荒海山を目指しました。1530ピーク直下までは比較的順調にたどり着けましたが、大岩とチシマザサとシャクナガ等の混合藪に身動きが出来なくなってしまいました。大岩を回り込むと時間切れが予想されましたので、残念ながら途中退却としました。退却点から薄く雪化粧した燧ケ岳、白根山、太郎山、女峰山が望めたのが救いでした。
芹沢林道から荒海山(途中退却)
2004年11月23日(火) 快晴
1 行程
自宅(3:30) = 芹沢林道ゲート(5:40/6:10) − 芹沢林道終点(砂防ダム)(7:15) − 南西尾根取付き(7:35) − 標高1300(9:00/9:10) − 退却(標高1490)(10:15) − 尾根取付き地点(11:35) − 林道終点(11:45/11:55) − 林道ゲート(12:50/13:00) = 持丸林道偵察(13:10/13:25) = 自宅(15:40)

2 自宅 − 芹沢林道ゲート
 4月26日に滝向山から日向倉山の稜線歩きをした時から、日向倉山から荒海山につながる稜線を歩いて見たいと思っていた。今月の17日に向山から白倉山の稜線歩きをした時に見えた荒海山がとても魅力的で,更に惹きつけられた。この時期は日中時間が短いので、日向倉山から荒海山まで日帰りは難しい。
 今日は二つの目的を持って芹沢林道終点から荒海山を目指した。@万一に備えてエスケープルートを確保するために、芹沢林道を歩きながら日向倉山〜標高点1560ピーク(県境尾根、荒海山の南西800m)の枝尾根を偵察する。A県境尾根付近の藪状況を探る。日中時間が短いので、絶対に無理をしないことを銘記して家を出た。
 芹沢林道には国道121号の藤原町中三依で右折して芹沢橋を渡り、三依小の脇を通って北西に進む。約6kmで上湯沢橋に達する。橋の左手前に広場があり、右に芹沢林道ゲートを見る。まだ暗かったので橋を渡って通過してしまい、芹沢林道は道が良いんだなア、と思いながら先に進む。3km先で峠に上り詰めてしまった。様子を探ると、どこかで見たような道祖神が右に見えた。高原山探訪のYoshiさんの岬トンネル〜高瀬山〜持丸山〜湯坂峠縦走記にあった湯坂峠の写真と同じだと直感した。上湯沢橋からは平沢芹沢林道であることを思い出し、慌ててUターンして戻る。橋の袂の広場に車を駐めて支度をする。

3 芹沢林道 − 南西尾根取付き  林道はよく管理されている  林道筋の枝尾根先端には危険箇所ない
 ゲートから芹沢左岸のよく管理されたダート道を北西に進む。最初にさかえ橋で右岸に渡ると以降はほぼ北に向かって進む。次いで砂防ダム、赤金橋、砂防ダム、西ノ沢橋、砂防ダムを繰り返す。三つ林道終点から県境尾根(左:1530P 右:1560P)を望む  (下山後撮影)目の砂防ダムのすぐ先で道は消えたので、ここを芹沢林道終点とした。途中で枝尾根の様子を観察しながら歩いたので、約4kmに一時間要した。
 林道沿いには崖状の所やコンクリート法面が少ないので、日向倉山〜県境尾根稜線からどの枝尾根を下っても林道に下りられると見た。あまり参考にはならないが、林道沿いの藪密度は低い。
 当初計画では、林道終点のダム付近から枝尾根に取付き、日向倉山〜標高点1560ピークの稜線に登るつもりであった。林道終点すぐ手前の尾根と終点の少し先の尾根とも取付き可と見た。終点の先に明瞭な踏跡が続くので、様子を探るために沢に沿って右岸を進んでみた。数分は草ぼうぼうの林道跡らしい踏跡を歩くと、沢に下りてしまった。沢を更に進むと、地形図の沢源流点先の標高点1026で沢は枝分かれしている。間に挟まれた南西尾根を登りつめれば、県境尾根の標高点1560ピークの西隣の1530ピークに辿り着けると判断して、ここを南西尾根取付きとした。林道終点付近の枝尾根から取付くには勾配が急であり、こちらは楽そうであった。更に林道終点まで戻るのが面倒で安易に計画変更してしまったのは禍根を残すことにならねばよいが。

4 尾根取付き − 県境尾根直下(退却)標高1350付近の藪
 滑りやすい急斜面をわずか登ると、尾根形が現れた。標高1300m付近までは雑木で、シャクナゲと腰丈のチシマザサが現れるが、突破にそれ程の苦労はなかった。当初計画で歩こうとしていた尾根が右手によく見える。アップダウンは多いが、何となく藪は少なそうに感じた。今までの所は藪もそれ程でなく、尾根筋も比較的明瞭であるが、両サイドには小さな枝尾根を見かけた。下りでは多少の注意が必要。標高1300付近の平らな所で小休止をして後半に備えた。
 標高1300付近からは再び尾根形が明瞭となり、ブナ疎林となる。シャクナゲは少なくなリ、腰丈のチシマザサ1530P直下の大岩上部がやや密になってきた。標高1350付近からは尾根形が再び消えて勾配は急になり、笹の密度と背丈が高くなってきた。悪いことにはシャクナゲ等の潅木も混ざりだした。やがて前方が藪で見えなくなり、藪を乗り越えて進むようになった。藪の薄いところを求めているうちに標高1470付近で右(東)に寄り過ぎて、前方に大岩、右下は崖で身動きだできなくなってしまった。左(西)へ回り込もうとしたが、シャクナゲを中心とした密藪は容易に移動させてくれない。標左:1530P直下の大岩  右のピーク:1560P  (大岩直下から)高1490までの20mを登るのに約30分要してしまった。県境尾根までは残り40m、更に左に巻きながら登るには小一時間かかりそう。ここで計算してみる。県境尾根着は11時、荒海山着は12時半過ぎる可能性が強い。今日のタイムリミットは12時と決めてきたので、荒海山到着は諦め、せめて県境尾根までと決めた。それなら急ぐ必要なしとバッグを下ろそうと振り返る。すると西に燧ケ岳、南西に白根山、小真名子山、太郎山が見えるではないか。いずれも薄っすらと雪化粧をしている。いつも見慣れた男体山は太郎山の陰で全く見えないのは淋しい。反対側からしか見たことのない人は太郎山を男体山と勘違いするのではなかろうか。そんなことを考えているうちに、意欲が薄れてしまった。どうせ途中で引き返すなら、未練を残さないように今が潮時と、標高1490mを退却点と決めた。下山する前にもう一度となりの標高点1560ピークを眺めると、日向倉山から稜線伝いに歩いてきても、このピークを越すのは容易ではなさそうだ。

5 下山
 苦労した最後の密藪も瞬く間に通り過ぎてしまった。下りは方向を取りにくいので注意していたが、標高1200から尾根形が不明瞭なのに気付いた。どうやら右手(西側)の小尾根を下っているようだ。地形図を調べたら障害物もなさそうなので、そのまま下り続けた。特に問題なく、沢に下りられた。約5分沢筋を下ると、今朝の尾根取付き点に辿りついた。
 林道終点に戻って、1530ピークを眺めると、今朝は光線の加減で見えなかったが、ピークの左手は樹木がなく笹原となっている。この笹原を登ればよさそうに思えた。林道ゲートへの帰り道も枝尾根を観察しながらゆっくり歩いた。林道入口のゲートに着いたのは13時前。こんなことを予想して白倉山(三依)と若見山の地形図を用意してきたが、今から登るには余裕がない。今日は家に早く帰ることにして、途中で持丸林道の偵察をしてゆくことにした。
 薬師堂の傍で橋を渡り、持丸林道を進む。あまり管理された道ではないが、支障なく走れた。滝見橋の前で工事跡か道路がやけに膨らんでいる。案の定、腹を擦ってしまった。立続けに三回も腹を擦ってしまった。これほどひどく腹を擦ったのは、昭和40年代に四国の山道以来である。嫌気がさして途中で偵察を止めて戻ってしまった。もし近いうちに持丸山か白倉山に登るとしたら、滝見橋の手前に車を駐めるか、芹沢沿いから直接尾根に取付くか。
 今日は荒海山までたどり着けなかったが、自分は山頂に登るよりも尾根歩きを楽しみにしているので、それ程残念には思わない。心残りは県境尾根と日向倉山〜県境の尾根筋を探れなかったことである。これが今日の目的のひとつだったのだが・・・ 
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