ひとり山歩き635 : 根利山の平滝集落跡を訪ねて往時をしのび、集落跡から根利山古道をたどってみようとしましたが、見つけることはできませんでした。古道探査の途中で方向転換して丸山に登って帰路につきました。
平滝集落跡から根利山古道見つからず丸山(1344)
2016年6月18日(土) 晴れ
1 行程
@コースタイム : 自宅(1:15) = 平川林道ゲート(4:40/4:55) − さぶゆ橋(5:35) − 三重泉橋(6:05) − 平滝集落跡(6:35/7:25) − 神社跡(7:30/7:35) − 名称不明沢の右岸尾根別れ(9:00) − 名称不明沢右俣(9:05) − 丸山(10:15/10:30) − 泙川出合(下山地点)(12:45) − 三重林道出合(13:05/13:10) − 三重泉橋(13:25) − さぶゆ橋(14:00) − 平川林道ゲート(14:50/15:05) = 自宅(18:25)
Aルートマップ
2 自宅 − 泙川林道ゲート
 昨年の5月26日(ひとり山歩き597)に根利山の砥沢集落跡を訪ねて根利山古道の六林班峠から八丁峠の間を歩いた。その後、鬼怒川温泉の住人さんが平滝集落訪問されたと掲示板に書き込みがあった。その情報に基づき平滝集落跡と砥沢集落跡に通じる根利山古道をネットで調べていた。平滝集落からの根利山古道に関する記録は見当たらなかったが、沢屋さんが小田倉沢〜津室沢を遡行時に、津室原動所跡や中小屋に関する簡単な記述を見つけた。平滝集落跡から砥沢集落跡に通じる根利山古道のルートをHP「今昔 on the map」 ( http://ktgis.net/kjmapw/ )の1928〜1945年版に記載されていることがわかった。現在の地形図とは三角点や標高点に関しては一致するも、細かなな部分ではずれがあることが判明した。それでも大まかなルートは推測できるはずで、現在の地形図に重ねてルートを推測した(ルートマップに推測図を記載)。これに意を強くし、平滝集落跡を訪ねたついでに根利山古道を探査してみることにした。 
 平滝集落跡への入口である沼田市根利町の平川林道ゲートまでは、桐生・大間々経由でも奥日光・金精トンネル経由でも殆ど同じの120km。奥日光方面はしばしば利用しているので、あまり利用機会のない桐生・大間々経由とした。カーナビ任せで、根利町で国道20号から分かれて約2.5kmでカーナビは案内を停止するも、平川林道はゲートまで舗装が続き案内停止から4.5km(計7km)で平川林道ゲートに達する。ゲート前は工事用の車が通るので駐車禁止。ゲートからわずか手前の路肩に駐車。(注:現在は林道では工事中のために大型ダンプが通行するので平日は言うに及ばず土曜もさけた方が賢明・・・復路で大型ダンプと離合できず、ダンプにバックしてもらった。)
3 平川林道 − 平滝集落跡 林道には崩落や落石あるもル君は特に支障ない 平川集落跡で往時をしのぶ
 駐車禁止のゲート前には、通行させないようにトラックが駐めてあった。二重ゲートをすり抜けると、轍が残り、最初に渡った平川5号橋には工事材料あり(帰路では工事をしていた)。林道は概して良好だが、所々で落石や崩落地があるも歩くには特に支障はない。林道はチ小さなアップダウンを混ぜて下り勝手。山際には岩壁部を多く見かける。右下の泙川との比高が大きく沢筋は皆目分からない。

左: 平川林道ゲート(工事車両通行のためゲート前駐車禁止) 右: 平川5号橋(復路で工事していた)


左: 概ね道筋は良好 右: 所々で落石あり


左: 最初のトンネルは平川隧道 右: さぶゆ橋 (林道の山側には岩壁箇所多い)
 進むにつれて崩落個所が増えてくる。名称不明隧道を過ぎると右下の沢筋との比高はぐっと小さなくなる。三重泉橋を渡ると、林道の名称が平川林道から三重林道に変わる。小田倉沢〜津浦沢を遡行する人は三重泉橋から入渓するらしい。沢遡行に関する記録はネットで多数ヒットするが、これらの記録は平滝集落は通らないので記載はないが、途中の津室原動所跡や中小屋に関しては簡単な記述を見る。平滝集落跡手前から丸山への登山に関する記録は3件ヒット。人気の山ではないようだ。この3件の記録には平滝集落跡の記述はない。
 三重泉隧道続いて平滝隧道を通過すると、泙川の右岸に平坦な場所が増えてくる。

左: 崩落 右: 名称不明隧道


左: 三重泉橋(上流側に砂防ダム) 右: 橋を渡ると三重林道に名が変わる


左: 三重泉隧道 右: 平滝隧道
沢への踏跡が見えたので下りてみると平川集落跡で最初に平滝小屋が目に入った。この辺りは平坦地でステンレス製の記念碑も見かけた。文字は読みずらいので、HP「平滝 利根村」( http://www.aikis.or.jp/~kage-kan/10.Gunma/Tone_Hirataki.html )から引用する。表側: 短夜や 障子ふるはす 瀑の音  風可 裏側: コノ郷ハ足尾銅山ノ用材供給地トシテ明治卅六年ヨリ昭和十三年マデ約四十年間古河私有地トシテ事業ガ続ケラレマシタ 美シイ自然ト温カイ人情ニ抱カレタ平和ナ別天地デシタ 其ノ後此ノ地ニ関係シタ人々ガ根利山会ヲ作リ毎年集ッテハ旧交ヲ温メテイマシタ 当時ノ古河社長来山ノ折平滝ニユカリノ句ヲ作ラレタノデコレヲ刻ミコノ記念碑ヲ建テマシタ  昭和五十年 八月  根利山会有志
 
平滝小屋の東50メートルの平坦地が平滝分校跡で流し台(?)の上に平滝分校跡の記念碑がある。そばには雨量観測所が設置してある。集落跡を歩き回ると石積みが多数残り、往時の生活の跡がうかがえる。泙川には平滝(正式名称不明)があり、その上流側に堰堤がある。右岸の集落跡から対岸の山腹に踏跡がありそうに見えたので堰堤を越して対岸の山腹を西進すると神社跡で献灯や手水石が残っている。その奥の小高い場所に石祠あり、木階段は朽ちてはいるが姿は往時のまま。

平滝小屋と内部


左: ステンレス製の記念碑 右: 石積みが多数残っている


左: 平川分校跡(平滝小屋の東50メートル) 右: そばに雨量観測所


左: 平滝(正式名称は不明) 右: 平滝上流の堰堤(ここを渡って対岸へ)


平川小屋の対岸を少し進むと神社跡 左の写真の奥に石祠
4 根利古道探査 − 丸山  根利山古道は入口がわからずそれらしいものは見つからず 仕方なしに丸山に東斜面か
 神社跡から古道探しを始めるのだが、どこが古道入口なのかさっぱりわからない。名称不明沢には道筋はなさそう。仕方なしに神社から南東へと細尾根を登ってゆく。こんな急峻な細尾根を往時の人は健脚でも荷物を背負って登るのは現実的ではない。そのうち尾根筋が幅広になり、何やら人工物らしいものが現れて低いシャクナゲ地帯に突入する。尾根筋には踏跡だか獣みちだか判別しがたい筋が通る。尾根筋を追っているうちに右下の沢筋はドンドン深まって下りるに下りられない。古マップから推測したルートはシャクナゲのなくなったあたり(標高1050付近)から登ってきた尾根筋から西側の山腹トラバースになっている。途中で道筋らしいものは見ないかった。道筋が尾根上にあればわかりやすいが山腹のトラバースになると見つけずらい。登ってきた尾根筋を進めば、やがては沢筋との比高が小さくなり、適当な場所で尾根に分かれれば沢筋に下りられると判断し尾根筋を登ってゆく。尾根上には藪も下草もなく歩き易かった。
 やがて右下約30メートルに沢筋が目に入ったの尾根に別れて沢に下る。下った地点は名称不明沢の二俣付近で、丸山峠に進むには右俣を進めばよいと推測できた。そのまま沢筋を辿ればよかったのだが、ガレ気味でこれを嫌って右岸を辿るべく沢を離れようとした。急斜面を登るのに夢中になり、気が付くと西へと急斜面を登っていた(丸山峠方面へは南西にトラバースすべきだった)。現在位置は四つん這いで登るような急斜面でトラバースはとても無理とあきらめる。我慢して150メートルほど登り丸山山頂を目指すことにした(トラバースも引くこともダメならそうせざるをえない)。標高差150メートルを50分かけて丸山山頂に達した。山頂部は平坦なあ広場状で一気に地獄から天国にたどり着いた感じ。山名板は目に入らなかった。

左: 古道が見つからず細尾根を登ると、何か人工物?(標高1120) 右: 尾根筋が広くなると低いシャクナゲが出現(踏跡か獣みちか窪みはあるのだが)


左: 名称不明沢の右岸尾根は藪も下草もない(谷底・沢筋が深くなって下りられない 右: 右岸尾根を進むうちに谷筋が低くなったので下りてみる・・・これを進めば丸山峠だったのに、右手を登ってしまった


丸山峠を諦めて東斜面を急登して丸山山頂(小広場状の山頂、山名板は目に入らなかった
5 下山 丸山からの下山は尾根筋を外し、樹木にぶら下がって下る羽目に
 丸山からの下山は登ってきた東斜面に比べて尾根筋があり多少は楽そうだが、急傾斜の下りだから油断禁物。腹ごしらえをして下山にかかる。急斜面ではあるが、それほど難しい下りではない。標高1160から1060にかけての低いシャクナゲ地帯を通過すると傾斜が増してきた。樹木や根っこを頼りに慎重に下ってゆくうちに尾根筋が見えなくなってしまった。尾根筋は北西についているが、気付くと西に下っている。方向を転換しようにもトラバースは下るよりも難しい。覚悟を決めて樹木と根っこにすがって慎重に下る。足元が滑って片手で樹木にぶら下がるようなことも何度か。どうにか下山した地点は泙川の堰堤の上で、尾根先端よりは約150メートル西の地点。
 対岸の林道に復帰するために、適当な場所を求めて泙川の左岸のゴーロを遡り、崩れた護岸フェンス付近から飛び石で沢を渡り、ガレた斜面を2、30メートル登ると三重林道に無事到着。根利山古道は入口が見つからず失敗に終わったが、平滝集落跡で往時を多少はしのぶことができてよかった。復路の林道歩きはゲートまでは標高差は50メートル程度だが登り勝手でくたびれた。平川5号橋では早朝にゲート前に駐めてあったトラックがあり、工事中であった。ゲートに戻り車で林道を下る途中で、大型ダンプとすれ違い。離合できずダンプにお願いしてバックしてもらった。運よく工事中の場所で離合できた。泙川林道は現在工事中なので、平日は言うまでもなく土曜日も避けた方が賢明(日曜日は工事していないかも)。

左: 急斜面を下る(この辺は写真を撮る余裕あり、標高1260付近) 右: 低いシャクナゲ地帯(1160から1060)・・・この先は地獄の急斜面降下


左: やっとこさで泙川の堰堤に下山 右: 少し上流に進むと破損した護岸フェンス(ここを渡り対岸へ)


左: 樹木の隙間から林道ありとにらんで 右: ガレ場を僅か登ると三重林道に無事たどり着く
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