ひとり山歩き610 : 鳥倉林道登山口から三伏峠小屋で一泊して塩見岳を往復してきました。三伏峠小屋到着時は山頂は初冠雪で白くなっていました、。当日は登山道の有る南斜面は雪も消え快晴と相まって素晴らしい展望が楽しめました。山頂直下の岩場の通過は落石注意ですが、一番乗りで特に問題ありませんでした。
鳥倉林道登山口から塩見岳(3047)
2015年10月13日(火)−14日(水) 両日も晴れ
1 行程
@コースタイム  
第1日 : 自宅(2:00) = 鳥倉林道駐車場(ゲート)(8:15/8:40) − 鳥倉林道登山口(9:25) − 三伏峠(13:00/13:20) − 烏帽子岳(14:20/14:30) ー 三伏峠小屋(15:15)
第2日 : 三伏峠(3:35) − 三伏山(3:50) − 本谷山(4:50) − 塩見小屋(7:10/7:20) − 塩見岳(西峰)(9:00/9:10) − 塩見小屋(10:20/10:35) − 本谷山(12:30) − 三伏山(13:30) − 三伏峠(13:45/14:04) − 登山口(16:15) − 駐車場(16:50/17:05) = 自宅(15日 1:00) 途中のSAで2時間仮眠・・・居眠り運転防止及び高速料金割引のため)
Aルートマップ
B写真集
2 自宅 − 鳥倉林道登山口
 一週間前に三伏峠でテント泊して塩見岳を往復する計画だったが、テント泊当日の夕刻に三伏峠付近は短時間の降雨が予想された。そのために急遽計画を変更して黒菱から唐松岳に変更した。三連休開けには三伏峠小屋の営業は終了し、施設の一部を冬季避難小屋として提供していると判断し、テント泊の代わりに三伏峠小屋を利用させてもらうことにした。
 好天が予想されるので決行することにした。初日は三伏峠に早めに到着して近場の烏帽子岳に登ることにする。栃木ICから松川ICまで高速道を使用するのと、佐久南ICで高速道を下りて一般道を利用すると距離的にはほとんど同じで高速度料金が約半分で所要時間は一時間長いだけ。早朝は得意なので、後者を選んだ。早朝だから一般道もスイスイと伊那市長谷まですすんだが、大鹿村との境界の分杭峠は道幅が狭く離合に難儀した。大鹿村で国道152号と別れ一般道にはいり高度を上げ始めると道幅は狭まり夜間通行時には苦労しそうな箇所もあった。幸いに高度を上げると道幅が広がり安心して紅葉を楽しみながらの運転となる。鳥倉林道ゲート前の駐車場に到着時には、先着車は7台。車載温度計7度。
3 第1日(登山口 − 三伏峠 − 烏帽子岳)  段差が少ないから歩きやすかった 丸太の桟道は要注意 烏帽子岳は期待以上の好展望
 先着車7台のうち何人が三伏峠小屋を利用するのかちょっと気がかり。飛越トンネルから黒部五郎岳を目指した時に北俣避難小屋で過去最高の大いびきに悩まされたので、願わくば自分だけの静かな夜を期待しながら鳥倉林道を登山口に向かう。沿道は針葉樹に広葉樹が混ざり
その紅葉が美しい。ゲートから登山口まで約3kmで登山口の直前まで舗装してある。用意してきた登山カードを投入して山道に入る。
 カラマツ林内の登山道はあまり段差がなく歩きやすい。標高1920あたりで、遭難防止用の位置情報に1/10なる標識が設置してあった。この標示は9/10(標高2460付近)まで設置してあるので、進捗度の目安になる。標高2080からはカラマツ林からシラビソの多い針葉樹林となる。特に危険箇所はないが、標高2100から2400にかけて木の桟道が十数箇所に設置してある。丸太を番線で固定したもので逐次補修を加えているので決して快適とはいえないが、落下の心配はない。でも濡れた時に下る際は充分な注意が必要。標高1950で尾根に乗ってからは道筋は南側を巻いているが、標高2150で道標「三伏峠まで2km 2時間」を見ると北側の巻道となる。標高1350あたりに水場「ほとけの清水」があり、水量は充分。
 展望はほとんど得られないが、標高2430で塩川分岐(塩川林道崩落で通行止め)を過ぎると、樹木の枝の切れ目から仙丈岳と駒ケ岳更には山頂部が少し白くなった塩見岳を初めて目にする。山頂部の積雪が気がかりとなり、翌朝に三伏峠小屋を発つまで行くべきか戻ろべきかの逡巡する。三伏峠小屋まで200歩の標識を見て元気になり、歩測していみると小屋の一番手前まで丁度200歩。少し進んで三伏峠の標示板前でザックを下ろす。
 烏帽子岳帰りの人が通りかかり、話を聞くと烏帽子岳までは約1時間、塩見岳山頂部の白さは徐々に薄くなっているとの情報を得た。烏帽子岳を往復してきてからでも、翌日の塩見岳を諦めて本日のうちに鳥倉林道に下山は可能と、ペットボットルとアンパンだけを持って烏帽子岳に向かう。


左: 鳥倉林道駐車場(先着車7台 スペース30台位あり、突き当りがゲート) 右: 登山道へ向かう途中の紅葉


左: 登山口 右: 位置標示1/10(遭難防止境界設置、9/10まであり) 


左: カラマツ林の登山道(標高2080位からシラビソ林) 右: 最初の丸太の桟道(標高2100から2400にかけて十数カ所あり)


左: 標高2300付近のほとけの清水 右: 三伏峠手前で初めて姿を表した塩見岳(山頂部が白い・・・明日は大丈夫かなア)


左: 日本で一番高い峠と言われる三伏峠(北アルプスの針ノ木峠、奥秩父の雁坂峠と並び日本三大峠と言われているそうだ) 右: 三伏峠小屋(一部)と左手に天場、冬小屋はこの小屋の手前右奥にあり
 三伏峠小屋から約200メートル進むと、塩見岳を烏帽子岳の分岐(地形図ではここが三伏峠となっている)に達する。道筋は明瞭で更に200メートルほど進むと水場と烏帽子岳方面の分岐に達する。水は充分(二日分で4.5リットル)背負ってきたので、烏帽子岳に向かう。付近は鹿よけネットで囲まれたお花畑(今の時期は花は皆無)。お花畑のネット沿いに進み尾根に乗るとハイマツ地帯となり明瞭な道筋が続く。三伏峠小屋から丁度1時間で烏帽子岳山頂に達した。山頂からの展望は抜群で、仙丈ヶ岳、駒ケ岳、白根三山、塩見岳、富士山、悪沢岳、赤石岳等が展望できる。肝心の塩見岳の山頂部は、三伏峠直下で初めて見た時に比べて薄くなっているように見える(鉱泉の加減かも)。
 季節の変わり目の高山は油断大敵!山歩きの経験1年後の02年10月10日(ひとり山歩き63)に鳥海山で初雪に見舞われ、積雪で登山道がわからなくなり、岩の間に入り込んで緊急ビバークしたことを思い出した。無理をすることはない今日中に鳥倉林道に下山すべく三伏峠に戻って、荷物整理をしていると、塩見岳からの下山者が通りかかった。山頂部の様子を聞くと、登山道はは南斜面にあるので雪はドンドン消えているし、特に問題ないとのコメントを得た(帰宅後ヤマレコで調べると12日登山の記録では山頂部には薄っすらと積雪していた)。これで明日は塩見岳に行く決心ができた。昨日から使用可の三伏峠小屋の冬小屋に入り、ヘッデンを灯して寝床の準備を完了した。夕食は明るいうちにとキャンプ場に行ってみると、途中で追い越していった人のテントが張ってあった。17時過ぎにはシュラフに潜り込む。何度か目を覚ましたが、自分一人で北俣避難小屋でのようないびきもなく快眠。

左: 烏帽子岳へ向かう途中のお花畑(鹿よけネットあり) 右: このようなハイマツ帯を登って行く


左: 烏帽子岳から塩見岳を望む 右: 悪沢岳〜赤石岳


ズームで 左: 塩見岳 (左奥に駒ケ岳〜北岳・間ノ岳 右: 初冠雪の富士山
4 第2日(三伏峠 − 塩見岳) 好天に恵まれ快適な山行 山頂からの展望は!!!
 2時に三伏峠をスタートすべく1時に起きて軽く朝食を摂りながら、今日のコースをシミュレートしてみる。塩見小屋までは特に危険箇所はなく問題ないが、天狗岩と塩見岳直下の岩場通過は早朝だと凍結している可能性がある。あまり遅く出発すると鳥倉林道への下山が暗くなってしまう。3時出発に決めてもう一眠り。目を覚ましたら3時を少し過ぎている。慌ててシュラフとマットをザックに収納して、就寝前に準備しておいたサブザック(水とアンパンとツエルトを収納)を担いで小屋を出る。
 以降は道筋は明瞭でヘッデン頼りでなんら問題なし。三伏山にわずか登り、約100m下り、本谷山へ150mの登り、そしてまた150m下って標高点2512から権右衛門山を緩やかにアップダウンを加えながらトラバース。道筋はほとんどがシラビソ林の中で明瞭で間違うようなところはない。例によってナイトフライトではないが市街地の灯りを楽しみながら歩く。三伏山も本谷山も通過時は山並みがシルエット状に見えるだけ(景色は復路で楽しめば良い)。暗いと周りの景色が目に入らないから急勾配も気にならない。下りがあるのは楽だが、疲労の溜まった復路ではきついだろうが、今はそんなことを考えず歩くことに専念。
 権右衛門山のトラバースで涸れ沢を渡ると道筋の様子ががらりと変わり、通常の山道からガレ道歩きとなる。勾配もかなりあり、今まで比較的楽な歩きをしてきたが、急に厳しい歩きとなる。標高2650で北側から塩見新道を合わせるも、三峰川林道崩落で通行止め。塩見新道分岐を過ぎると展望が広がりだして写真撮影で歩きが遅くなる。ハイマツ地帯を登ってゆくと塩見小屋に到達。現在は工事中で来年の7月中旬から開業のようだ。小屋には立ち入りできないので小屋上部の登山道で景色を楽しみながらアンパンでエネルギーを補給。服装は長袖アンダーシャツに合いの長袖シャツとゴア雨具で寒くも暑くもなし。 薄手の手袋二枚重ねでカメラ操作に多少は不便を感じるが冷たさを感じない。

左: 朝焼け (標高点2608付近で) 右: 権右衛門山を巻き終えて塩見小屋への登り


 標高2700付近から 展望が広がると歩きが遅くなる 左:手前に権右衛門山 奥に中央アルプス 右: 塩見岳 間ノ岳〜農鳥岳(奥に) 


左: 工事中の塩見小屋 奥に塩見岳と天狗岩 右: 天狗岩が近づく
 塩見小屋からハイマツ地帯を僅かに下った鞍部からの登り返しは天狗岩の南側を巻いて通過する。この巻道は黄色ペイント印を追って進んで行く。殆どが岩場でクサリやロープの設置はないが手がかり足がかりは十分あり特別険しいというほどではない。より困難なのは天狗岩を巻き終わって標高2950あたりの岩場である。ここも黄色ペイント以外には人口物は何もない。標高3000を過ぎると岩場は終了し、今度は僅かに雪が残っているが特に支障はなかった。ついに塩見岳の西峰山頂で御料局三角点と国土地理院三悪点が設置してある。
 展望は360度のパノラマが広がる。本日は北アルプス方面が霞んでいたのが残念。山頂一番乗りでゆっくり展望を楽しみたいところだが、風が強いのと、三伏峠出発が計画よりも1時間以上遅かったので、東峰へ行くのは諦めて下山にかかる。

左: 天狗岩を巻いて通過中 右: 巻道から塩見岳(急斜面だが、どうやって登るの?)


塩見岳直下の岩場は黄色ペンキを追って慎重に (クサリもロープも梯子もない)


左: 山頂部の御料局三角点 右: 塩見岳西峰

左: 仙丈岳、駒ケ岳、白根三山 右: 奥に中央アルプス 中央部やや右に塩見小屋


左: 悪沢岳〜赤石山 右: 富士山と東峰(風が強いのと時間遅れで行かず)


パノラマ: 富士山 東峰(手前) 悪沢岳〜赤石岳


パノラマ: 中央アルプス 仙丈ヶ岳 駒ケ岳 白峰三山
5 下山
 下山を開始すると、岩場で早朝に登山口を出発した単独行の若者とすれ違う。続いて昨晩は三伏峠小屋にテントを張った単独行者が登ってきた。以降は10人以上の登山口出発者とすれ違う。一番遅くすれ違ったのは権右衛門山のトラバースであった。本谷山への登り返しで早くも山頂直下ですれ違った単独行者に追い越された。以降は駐車場までに4、5人に追い越された。
 塩見小屋でゴアの上下を脱いで身軽になって、今日の食料のアンパンをかじる。権右衛門山のトラバースが終了して本谷山への登りと、本谷山を下って三伏山への登りは堪えた(本谷山と三伏山に達した頃には丁度ガスが上り始めて展望は楽しめなかった)。道筋の展望は殆ど無く気分的に紛れるものがないので余計にくたびれる。三伏峠小屋でザックを回収し荷物の整理(余った水を捨てる)して登山口への下山にかかる。冬小屋にザックがデポしてあった(最後にすれ違った人の?)。
 水場で数人の学生グループ(多分三伏峠小屋でテント泊)とすれ違う。三伏峠からは下り一方で大きな段差がないから足腰が疲労している割には楽な歩きができた。丸太の桟道部だけは注意しながら渡る。登山口着は思ったよりは早かった。駐車場までは紅葉を楽しみながらの舗装道歩き。駐車場には7台の車が駐まっていた。

6 帰路
 帰路は松川ICから高速道に乗るために県道22号を20km程度走行したが、道は良いのだがカーブが多い上に照明類が皆無。山の中みたいなところだから街灯がないのは仕方ないとして、ガードレイルに反射板が取り付けてないから運転が難しい。後続車が来るとすぐにハザードランプを灯して追い越しをさせる。最近は大概の山道にもガードレイルがあれば反射板が付いていると思うのだが。
 普通に走れば22時半には帰宅可能だったが、居眠り防止と高速料金割引(24時〜4時の間、高速道に乗っていれば3割り引き)のために横川ICで約2時間仮眠をとる。 
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