ひとり山歩き59 : 八本歯のコル経由で北岳と間ノ岳に登ってきました。これ以上はないというくらいの好天に恵まれ、山頂からの景色を堪能してきました。紫外線が強く、黒い顔を益々黒くして帰ってきました。
北岳(3192.4m)〜間ノ岳(3189.3m)
2002年9月2日(月)−3日(火) 快晴
1 行程
9月2日 : 自宅(0:40) − 広河原(5:05/5:40) − 二俣(7:30/7:35) − 八本歯のコル(9:50/10:00) − 北岳(11:15/11:45) − 北岳山荘(12:50)
9月3日 : 北岳山荘(5:10) − 中白根山(5:40) − 間ノ岳(6:35/7:05) − 中白根山(7:45) −北岳山荘(8:05/8:20) − 八本歯のコル(9:25/9:30) − 二俣(10:45/11:05) − 広河原(13:00/13:20) − 自宅(18:40)
3 自宅 −広河原  今年の最大イベントの小屋泊まりの山歩き二俣(標高2220m)から見る北岳
 今年の最大イベントの小屋泊まりの山歩きをということで、北岳・間ノ岳をターゲットにしていた。問題は時期である。昭和45年の大阪万博開催時、松山から大阪への出張の度に利用した関西汽船(当時は飛行機での出張は原則として認められていなかった)のすし詰め、時には甲板にまで寝かされた、という嫌な思いが頭にいつまでも残っている。そのようなことがあって、ギュギュウ詰の山小屋は馴染めない(こんなことを言っていては山歩きはできない、ということは理解しているのだが・・・)。そこで山小屋の空いている今の時期を選んだ。
 東北道・首都高・中央道と乗り継いで甲府昭和ICでおりて、南アルプス街道で広河原を目指す。甲府昭和ICまでは早朝ということもあって、極めて順調。R20号の竜王立体橋を左折する際、間違って手前を左折してしまい道に迷う。コンビニに寄って道を教えてもらい、再スタートする。南アルプス街道を道なりに順調に進んでいると思っていたのだが、急に行き止まりとなる。どうやら右折して橋を渡るべきところを直進してしまったのだ。やっとのことでUターンして戻り道を探す。この二箇所のために30分以上はロスしてしまった。広河原に着いた時には明るくなったばかりで、タイミング的には丁度良かった。駐車している車は結構多い。登山者はどんどん広河原山荘の方に向かって進んでいた。
4 広河 − 北岳  長いハードな登りの後に素晴らしい展望が待っていた!
 広河原山荘で登山者カードを投入して、登山道へ。目の前を同年輩の夫婦が通る。どうせ抜くのだから、先に行くのだった、と悔やむ。ところが八本歯のコール過ぎまで、後を追う形となる。もう一組の夫婦は二俣から後をついて来る。さすがに夫婦で北岳のような高山へ来る人は健脚なのだなア、と感心する。
 広葉樹林の岩のゴツゴツした道を登りはじめる。崩壊地で大樺沢の左岸から右岸へ渡り、15分位で左岸へ渡り返す。このあたりはダケカンバの樹林の中を進むが、程なく樹林が疎らになって、前方に北岳のバットレスが朝日を受けて輝いて見えるようになる。前方が見え出すと、大樺沢沿いの急な登りが目に付きドット疲れが出る。先北岳山頂から見る甲斐駒ケ岳の見えるのも良し悪しだ。
 しばらく草付きを登ると文字通り二つの沢が合流する二俣である。岐阜から来たという夫婦と話してみる。北岳・間ノ岳から塩見岳へ縦走するとのことであった。この夫婦とは北岳山頂まで殆ど同行することになった。二俣から前方を見上げると、急勾配の登りが長々と続いているのには度肝を抜かれる。雪渓は二俣のすぐ上のあたりに200M(?)くらい残っているだけである。意を決して左俣の登りに取り掛かる。遠くを十数人のグループが登っているのが見える。だんだんバットレスが間近に迫ってくる。気が付いてみると、先行のグループ(殆どが女性)に追いついてしまった。団体の後をついて歩くのも嫌なので道を外して追い抜く。この時間(8時)になると下山者を見かけるようになる。
 バットレスが目の前に迫り、ロッククライマーの掛け声が聞こえてくる。幾つもの(断続的に北岳山頂から見る仙丈岳20以上はあったように思う)木の梯子を登って行くと、八本歯のコルにたどり着く。このあたりから八ヶ岳らしい山も見えて展望は良い。コルからは岩場が続く。北岳山荘分岐を左に見送って、更に進むと間ノ岳分岐となる。ここに荷物を置いて山頂を目指す。ここから山頂までは例の岐阜からの夫婦と同行する。
 北岳山頂からの展望は非常に素晴らしい。日本第二位の山頂からは何も遮るものがないので、360度の大パノラマだ。間近なところでは、甲斐駒ケ岳、仙丈岳、間ノ岳、鳳凰三山。遠くでは、北アルプス、中央アルプス、八ヶ岳。山歩きを始めて蚊取り線香のようにだんだん距離を伸ばしてきた山行。これらの山にたどり着くのはいつのことか、と想像するだけでも楽しい。何時もは富士山が見えたと大喜びしているが、今日見る富士山は間近で手に取るような距離だ。 
5 北岳山荘  フトン1枚にひとりで快適な宿泊ができた
 もっと展望を楽しみたいところではあるが、間ノ岳に行ってみたい気もあり北岳山荘に向かう。山荘に向かって進むと前方に間ノ岳の稜線がくっきり見える。左には富士山、右には中央アルプスと景色を楽しみながら歩く。鞍部には赤い屋根の山荘が美しい。
 北岳山荘に着いたのは13時少し前、早速受付をする。夕食は17時からということで、4時間もある。間ノ岳も往復できるな、と部屋へ荷物を置きに行く。誰もいない部屋に入って、窓から富士山を眺めながら荷物の整理をしていたら急に疲れが出て、間ノ岳ピストンはギブアップ。暫く横になっていると、部屋が段々詰まりだす。最終的には9人部屋に定員通りとなる。空き部屋もあったようだ。フトン1枚に毛布3枚、快適な夜を過ごすことができた。部屋は4人組と5人の単独行者の組み合わせとなる。最も遠い人は長崎から来ていた。各人の山談義も楽しかった。
 2食付きで7700円、食事は予想以上に良かった。弁当は1100円でこれも満足ゆくものであった。ついでに言うと、350mlのビールが500円で、文句なし! 
6 山荘 − 間ノ岳  稜線で日の出を迎える  山並みを見ながら静かなひとり夜明け直前の富士山(山荘の部屋から撮影)歩きを楽しむ
 4時半頃に起床し、窓から外を見ると日の出前の特有な青と赤のコントラストが美しい。5時に朝食を摂って、荷物はデポしてすぐに出発する。日の出が5時15分、どうやら間に合った。山荘付近の稜線でで写真撮影して、間ノ岳に向かう。
 中白根山までは、日の出の余韻と周りの山並みを楽しみながら登る。中白根山から間ノ岳へは岩稜部が多い。静かなひとり歩きを楽しんでいると、もう間ノ岳から戻ってくる人達に出会う。
 間ノ岳山頂に着いてみると、3人組が朝食を摂っているところであった。山頂部は平坦でかなり広く、北岳に劣らず展望が良い。ここからは塩見岳を始め南アの南部がよく見通せる。   
7 間ノ岳 − 広河原  下りもくたびれるもんだね!
 昨日と同じく快晴。今日も暑くなりそう! 涼しいうちに少しでも距離を稼ごうと、あたふたと下山にかかる。この頃になると、これから縦走する人が登ってくる。もう学生はいないだろうと思っていたら、夏休みの最後を楽しむ二組の学生グループに出会う。北岳山荘に帰るまでに出会った人の数は少ない。間ノ岳まで足を伸ばす人は少ないのであろうか。
 デポした荷物を引き間ノ岳山頂から見る農鳥岳取るべく、山荘に寄ると、まだ残っている人はほんの僅かであった。帰りは山荘から八本歯のコルへのトラバースを通る。北岳山頂分岐までの登りがきつい!周りのお花畑を楽しむ余裕がない。右手に富士山が見えているのが救い。八本歯のコルまでの岩場の下りで登山者にどんどん出会う。昨日の今ごろは自分もこの辺りで苦闘していたのを思い出しながらすれ違う。
 八本歯のコルで給水して、梯子下りに備える。この先は下るだけだが、足が思うようには動かない。時間はたっぷりあるので焦ることはない。歩いていれば、広河原に戻れる、と割り切る。たった一人の駈けるように下る若者を除いては、そんな歩行でも追い越されることはなかった。
 二俣で、小屋で買った弁当を食べる。あんな高い所でこんなに安い弁当はないな、の感じ。とても美味しかった。弁当を食べながら振り向くと、ガスが発生してバットレスは全然見えなくなっていた。二俣から大樺沢沿いの下りは2時間もかかってしまった。昨日の登りと殆ど同じ時間要した。白根御池分岐付近で飲んだ水がうまかったのと、広河原山荘に着いた時の安堵感はなんともいえない。ハードな二日間だったが、天候に恵まれ素晴らしい山歩きができた。
8 広河原 − 自宅  首都高は相変わらずの渋滞 
 あわよくば第三日目に金峰山登山を、と考えて家を出たが、とてもそんな余裕はない。もっと涼しくなってからでないと連荘は無理、と尻尾を巻いて退却。駐車場で汗を拭いて上半身だけ着替えて、車に乗る。車は昨日の朝より多い。広河原出合の先にもかなりの車が停まっていた。
 広河原から甲府までは、工事中で多少待たされた以外は順調に進む。問題は首都高である。夕方のラッシュアワー前だというのに進まず嫌になる。中央道と東北道が混雑していなかったので、思ったより早く帰宅できた。家に着くや否やビールビール・・・やっと生き返った。
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