ひとり山歩き564 : 太郎山の旧道を歩いてきました。旧道跡はごく一部にしか残っていませんが、新薙新道から旧道そして新道へと一応つながりました。藪はありませんが、倒木や針葉樹間のすり抜けは多いです。
太郎山旧道を歩く
2014年8月19日(火) 晴れ
1 行程
@コースタイム : 自宅(2:00) = 裏男体林道駐車場(梵字飯場跡)(4:25/4:35) − 太郎山新薙登山口(5:25/5:30) − 登山道別れ(6:05) − 阿弥陀如来像(6:20/6:25) − 新薙へ下りる(7:30) − 溶岩滝下(7:45/7:55) − 踏跡出合(旧道跡?)(8:00) − 新薙溶岩床渡渉(8:15/8:20) − 新薙登山道出合(8:30/8:40) − 太郎山新薙登山口(10:25) − 駐車場(11:25/11:35) = 自宅
Aルートマップ
B写真集

2 自宅 − 太郎山薙登山口
 @宇都宮さん情報(08年11月13日)に基づき09年11月15日(ひとり山歩き379)に太郎山を歩いた。現在の新薙登山道が敷設さて久しいので、旧道跡をたどるのは困難だった。新薙右岸の標高2110で、比較的明瞭な踏跡にたどり着いた。これが旧道跡と推測したが、軽い腰痛のまま出かけて来たので当日はそれ以上に無理はせずに、新薙を横断して新道に戻った。その後(10年7月19日)、@宇都宮さんが前記の標高2110先の踏跡を追って、旧道が新薙の右岸から左岸へと渡ると思しき地点に、ロープ通しと思われる6本の鉄杭を発見した。「全踏査 日光修験道三峯五禅頂の道」の著者である池田正夫氏の Mt.masaoのブログ( http://ameblo.jp/mt-masao/ )で、昨年の10月に前出の鉄杭にロープを取り付けたことを知った。それとは別に最近きりんこさんが旧道を歩かれたのを知った。前回は、新薙の溶岩流末端の溶岩滝下に立ち寄った際に鎮魂碑(沈魂碑)を見逃したので、今回はこれをぜひとも写真におさめること。更には昨年10月に敷設されたロープ部で新薙を渡るのを主目的とする。
 旧道筋を辿った後は、太郎山の山頂に登り、寒沢薙左岸沿いを下るか、小太郎山(2328)から御沢右岸尾根を下る計画。太郎山新薙登山口付近に駐車できれば前者、裏男体林道が工事中で、車を梵字飯場跡駐車場に駐めざるをえない場合は後者とする。裏男体林道に入り、太郎山方面に進むと、湯殿沢橋架替工事中(10月26日まで)で、車での通り抜けはできるが、復路で工事の邪魔になってはとUターンして梵字飯場跡駐車場に戻ってすぐに支度。ヘッデンなしで太郎山登山口に向かう。湯殿沢橋工事現場についた時分には充分明るく太郎山の写真を一枚。太郎山分岐からはダート道で約1km12分で太郎山新薙登山口に到着。

3 太郎山旧道を歩く  標高2060以上で太郎山の旧道と思しき踏跡を拾えた 新薙の渡渉地点にはロープが設置してあった 笹ヤシャクナゲ藪はないが倒木と針葉樹間すり抜けは多い
 前回、新薙コースから離れて新薙に下ったのは標高1840付近でシャクナゲが登山道脇から消えた地点であった。当時は踏跡などなかったが、たそがれオヤジさんの最近の山行録によると、明瞭な踏跡があるようだ。登山道の左下へと落ちる小さな涸れ沢、その先のシャクナゲ地帯を過ぎて、注意をしながら進むと確かに明瞭な踏跡が新薙方面へ下っている。目印のテープもある。更に驚いたのは、新薙への下りは明瞭な踏跡ができて、目印のテープも多い。新薙と言ってもこのあたりは単なるガレ沢で薙なんていう感じはない。前回はガレ沢少し登って右岸に上がったが、今回は対岸に薄い踏跡が目についたのでそれを追ってみた。踏跡はすぐに見失ったが、北西に進むと時々テープを見かけるもコンパスに従って進むと、5年ぶりで阿弥陀如来像(坐像で高さ5、60cm)に対面。
 ここまで三四種類のテープを見かけたので、この先も踏跡ができているかと思って歩き出すと、踏跡はすぐに消えて賑やかだったテープも見かけなくなった。小さな赤テープだけは、その後も何度か見かけた。広い尾根筋には笹やシャクナゲの藪はないが、旧道跡を見つけるのは困難(多分残っていないだろう)で、適当に倒木と細い針葉樹を避けて登ってゆく。それでも時々は薄い踏跡らしい箇所を歩くもすぐに消えてしまう(古い切株も多いので杣道跡かもしれない)。標高1930あたりからは多少尾根筋が見え出したが、新薙の溶岩流末端の溶岩滝(@宇都宮さんのネーミングに従う)に寄るために尾根の右手(東側)を歩くようにした。標高2020付近で右直下にガレ沢が見え出したので、新薙に下りた。よく見かけるガレ沢で尾根よりは歩きやすい。ガレ沢を15分程登ってゆくと、溶岩流末端である溶岩滝下にたどり着く。前回は見逃してしまった沈魂碑(通常は鎮魂なのだが、沈魂とした意味は不明)を写真におさめて目的のひとつをを果たす。  


左: 新薙への薄い踏跡(左へ) 右: 新薙と踏跡


阿弥陀如来像


左: 細い針葉樹多い(標高1930) 右: 倒木多い この赤テープは三四箇所で見かけた


左: 溶岩滝の一部(正面) 右: 溶岩滝直下の沈魂碑(通常は鎮魂を使う 沈魂にした意味は?)
 沈魂碑の左手に鉄棒が見えたので行ってみると、岩壁基部に沿って踏跡が続く。これを5分ほど追って尾根上に達すると旧道跡と思われる踏跡に出合った(前回もこのあたりで踏跡を見つけたが、その地点から退却してしまった)。南方面が開けて男体山が展望できた。@宇都宮さんの第二回目の旧道歩きのマップを見て意を強くし、踏跡を追って尾根上を登ってゆく。踏跡は薄い箇所もあるが、追うには充分で心を弾ませながら登ってゆく。@宇都宮さんのマップにある木板指導票「太郎山→」を見逃さにように注意を払っていたが、見つけることができなかった。旧道出合から15分で鉄杭とロープの末端に達した。その先には、鉄杭にロープが通してあり、容易に新薙の溶岩床を渡れるようにしてある(このロープは昨年の10月に取付け、詳細は前述の池田正夫氏のブログ参照)。@宇都宮さんは第二回の旧道歩きで、ここを渡らずに更に尾根上を進み標高2160あたりで溶岩床を渡っている。渡渉地点から下流を見下ろすと、溶岩床がかなりの急傾斜で下っている。このような開けた高所はどうにも苦手で上手く写真が撮れなかった。ロープを伝って渡渉した地点からは帝釈山、小・大真名子山が展望できた。
 新薙の右岸に渡りロープがなくなると、踏跡はなくなり藪こぎ状態で新薙登山道目指して登ってゆく。10分程で無事に新薙登山道に辿り着いた。この地点には顕著な目印もマークも無く、太郎山から下ってくると、初めての人には見つけるのが難しいだろう。まだ8時半で、寒沢薙左岸を下るにしても、小太郎山から御沢右岸尾根を下るにしても、時間は充分だが、今日の主目的である沈魂碑を写真におさめることと新薙のロープ取付箇所を渡るのふたつとも果たしてしまい意欲をなくしてしまった。どちらのルートをとっても登りで歩いているので、ぜひともという意欲がわかなかった。それ以上に暑さには参ってしまった。先に進むことにはならず、何度か登り降りした新薙コースを下ることにした。以下省略(写真だけ掲載)。新薙右岸は暑かったが、左岸の登山道歩きは涼しい風が吹く。


左: 鉄棒と沈魂碑 (岩壁に沿って左へ踏跡あり 右: 旧道(?)出合から男体山


左: このような踏跡が続く(薄い部分もあり) 右: 鉄杭とロープ末端(新薙右岸)


左: 溶岩床にロープ(13年10月に取り付け、鉄杭は以前からあり) 右: 溶岩流下部(中央奥へ急傾斜で下って行く、・・・こういう場所は苦手で恐る恐るカメラをかまえた)


左: 渡渉地点から帝釈山、小・大真名子山 右: 左岸側のロープ、この先は踏跡な


新薙登山道出合(格好の目印なし) 左: 古株 右:古株の反対側の窪みを登ってきたが、踏跡はない)


新薙コースの標高1750付近から奥日光の山々

4 地理院地図の新版と旧版  新版の破線は改悪例もある
 現在は国土地理院地図の旧版と新版が使える。近い将来に旧版は使えなくなる(H26.10.1以降?)。登山道(破線)と実際の登山道とのズレが修正されつつあるのかと期待しながら、最近は新版を利用するようにしている。ところが、新版の破線の方が、旧版の破線よりも改悪されているのを何度か経験している。今回の太郎山についてみると、旧版では実際の登山道とのズレは比較的少ないが、新版では大きくズレてしまっている。だれも新版の方が正しくなっていると思いながら使用しているのにこれでいいのだろうか(いい筈はない)。下図を見れば新版の破線は標高2000から2150あたりでは実際の登山道とは大きく異なっている。新板はどちらかと言うと、現在旧道と称しているルートに似ている。何時の時代にかこのようなルートがあったのかも知らないが、こんなルートを新版に載せるのは如何なものか? これに近い例は日光高山でも見つけた。


標高2000〜2150あたりの破線が大きく異る 赤線は現在の登山道(GPS軌跡)
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