ひとり山歩き379 : 旧登山道を辿って太郎山に登り、その後はハガタテ左岸尾根を下り、梵字滝と金剛峡を見物してきました。
旧道から太郎山(2367)〜ハガタテ左岸尾根
2009年11月15日(日) 晴れ
1 行程   
ルートマップ(GPS)    ウォッちず : 太郎山  新薙登山口  ハガタテ左岸尾根  御沢金剛峡・梵字滝
自宅(2:50) = 梵字飯場跡(5:15/5:25) − 太郎山新薙登山口(6:20/6:25) − 登山道別れ(7:05) − 旧道の石仏(7:30/7:35) − 新薙の溶岩滝(溶岩壁)(8:40/8:45) − 旧道退却(9:05) − 薙内(9:25/9:35) − 新薙登山道復帰(9:40) − お花畑外れの石仏(11:00) − 太郎山(11:20/11:35) − 小太郎山(12:05/12:10) − 登山道別れ(ハガタテ左岸尾根へ)(12:35) − 下山(標高1590)(14:10/14:20) − 御沢林道(仮称)(14:45) − 梵字滝(15:00/15:05) −無名橋(金剛峡を覗く)(15:20) − 梵字飯場跡(15:30/15:40) = 自宅(18:05)

2 自宅 − 太郎山新薙登山口
 三日前に冬用タイヤに交換の際、腰を痛めてしまった。たいしたことはないが、大事をとって今週は山行をやめようと考えた。でも15日を逃すと好天は期待できない。日曜日なので気が進まないが、思い切って出かけることにした。@宇都宮さんの情報に基づき、太郎山への旧道を辿って石仏と溶岩滝を見る。更に金剛峡と梵字滝の見物もする、という「つまみ食い」を同時に計画した。途中を自動車移動は自分の流儀に合わないので、太郎山・小太郎山・ハガタテ左岸尾根を周回すれば両者を同時に満足させることが出来ると考えた。
 下山後の自動車の回収を考えて、裏男体林道の金剛峡入口付近に駐車することにした。古いガイドに記載の梵字飯場跡の小広場に車を駐めて、ヘッデンを点けて太郎山新薙登山口を目指す。途中で志津乗越へ向かうRV車に追い越される。太郎山林道に入る頃にはヘッデンを格納して、右手の山側の様子を探りながら歩く。新薙登山口手前の砂防ダム前の駐車スペースには予想通り車は見当たらない。

3 新薙登山口 − 太郎山  旧道筋で石仏と溶岩滝に感激 
 途中の橋上が凍結しているくらいだから、登山口の笹のはみ出しも濡れる心配はない。昨年の11月11日に寒沢宿へ行く際、登山道をよく観察しながら登ったので目印等を良く記憶していた。宮界乙bフ標石を数えながら登って行く。左下へ下る小さな涸れ沢を過ぎるとシャクナゲのトンネルとなる。そのすぐ先で@宇都宮さんの情報に基づき、登山道から別れて左下の沢(名称不承、新薙右の下流)に下りることにした。樹木の助けを借りて急斜面を下ると、あっけな旧道の石仏く沢床に下ることが出来た。なんということもない普通の涸れ沢という感じ。
 少しばかり涸れ沢を遡り、適当な場所で斜面に取り付く。尾根上に登るとすぐ先に浅い沢状の窪みが見られた。窪みを詰めて左手の高みに登ると薄い踏跡が見えた。@宇都宮さんが見た石仏は近いと感じると同時に樹木が薄くなって、小広場に全高60センチ程度の鎮座する石仏が目にはいった。石仏はこけがついていて古さを感じる。傍に欠けた酒瓶を見るだけ。最近は@宇都宮さん以外には人が近づいた形跡はない。それにしても@宇都宮さんはよくも見つけたものだと感心する。
 太郎山への旧道は尾根筋のどこかにあったのであろうが、踏跡と思しき場所は通るのだが長くは続かない。仕方なしに尾根上を適当に障害物(倒木や細木)を避けながら北北西に登って行く。小枝や倒木は多いが避けて通れるので藪に悩まされることはない。標高1930付近は古い溶岩滝切株が多く、唯一の古い赤テープを見た。標高1950あたりからは薙への下降地点を探るために尾根の右寄りを歩くようにした。隣の新薙登山道から人声が聞こえてくる。右下に@宇都宮さんが名付けた「溶岩滝」らしい岩壁が見えたので、急斜面を下って薙内に下った。前方には溶岩壁が砂防ダムのように立ち塞がっている。今日はこの溶岩滝の上を歩いて新薙登山道に復帰することに気をとられていて、溶岩滝にあまり近づかなかったので、@宇都宮さんのように迫力ある写真が撮れなかった。
 溶岩滝上に出るべく左手を登って行くと上部で岩が邪魔していて左(西)へ岩下を大きく巻かねばならなかった。薙に再び下ろうとしたが、かなり急斜面を下らねばならない。普通に歩いている限りは腰の痛みはあまり感じないが、段差で踏ん張ると痛みを感じる。今日は溶岩滝上を通るのを諦めて、薙を横断して新薙登山道に復帰することにした。退却を決めて尾根上に出てみると、明瞭な踏み跡が現れた。これを追えばよいのだが、無理は禁物と自重した。今日も先が長いので、この踏跡を追うことはせずに徐々に高度を下げるようにして薙内下りた。ここで小休止をとってエネルギーを補給する。溶岩滝上を渡れなかったのは残念だが、石仏と溶岩滝を見れたことに満足して斜面を急登して新薙登山道に復帰した。
 新薙登山道もこのあたりからは岩が多くなり、トラロープが二箇所に設置してある。その代わりに後方の展望は良くなる。二番目のトラロープを過ぎると新薙出合となる。通常ルートはこれを渡ってお花畑へ行くのだが、尾根筋を辿ることにした。密な樹木の中に踏跡があるので然したる苦労はなく登って行く。大岩につきあたりこれを左に巻こうとしたら、岩の下に多数の寛永通宝(径2.3cm、銑鉄製)が散らばっている。完全に錆びてしまったもの、文字が読めるものとがある。腰が痛く屈むのが苦痛でよくは調べなかったが、現代の硬貨はなさそうであった。いつの時代に賽銭(?)として撒かれたものか。踏跡を辿って左下のお花畑に下った。お花畑の南入口で三人が憩っているのが見えた。先刻の話し声の人達が下山して憩っているのであろうか。お花畑の北外れの石仏に参って山頂を目指す。
《寛永通宝 : 江戸時代の通貨の一。円形で中央に方形の穴があり、表に「寛永通宝」と刻し、裏に鋳造地の頭字などを刻したものもある。一文銭は径約2.3センチメートル、銅銭と鉄銭とがあり、1636年より1862年まで鋳造され、明治になって一厘として通用。四文銭は径約2.8センチメートル、裏に波模様を刻し、銅銭と真鍮(しんちゆう)銭とがあり、1768年より1868年まで鋳造された。ほかに十文銭も一時鋳造されたがほとんど使用されなかった。・・・三省堂大辞林》
 後方から人声を聞きながら登山道を登り、小太郎山分岐から二分ほどで太郎山の頂上に達した。無人で静かなのはよいが、突風で吹き飛ばされそうになる。晴れていて遠望も利くが、写真を急いで撮って小太郎山分岐でエネルギー補給で一休み。お花畑で休んでいた三人組が登ってきて、お花畑に突然現れたのでビックリしたようでどこから来たのか問われた。説明ですぐに納得できたようである。途中で熊よけの鈴音が聞こえたのかしら。続いて単独行の女性が一名通過。

4 太郎山 − 小太郎山 − ハガタテ左岸尾根  迷うような場所はない  梵字滝と金剛峡は再度改めて
 風が強いので、計画続行か新薙コースを下山するか迷う。小太郎山へ行って考えようと、下りにかかる。尾根の樹木で風は殆ど感じない。そのうちに小太郎山からの登山者とすれ違う。これで安心して小太郎山への鞍部に下る。岩場で注意が必要。登り返すと剣ヶ峰と小太郎山が間近になる。初めて小太郎山を越えるときに剣ヶ峰で逡巡したが、岩伝いに何とか下った。経験をつんだ今だったら引返していただろう。二回目に来た時には巻き道があることを知った。巻き道を通って剣ヶ峰を通過して、今歩いてきた尾根筋を振り返る。積雪期に通って見たいのだが、臆病な自分には出来ないであろうと結論付ける。ほんの僅か登ると小太郎山の頂上で、太郎山の山頂同様に展望がよい。遮るものがないので風が強い。急いで写真を撮って下りにかかる。
 これから先は特別危険な場所はない。登山道には多少は岩が頭を出している場所もあるが、落ち葉で滑るような場所もなく気持ち良く下る。標高2250あたりは霜柱で登山道が白くなっている。難なく標高2150に達した。ここからは登山道と別れハガタテ左岸尾根の下りとなる。梵字滝  落差2m程度
 シラビソに取り付けた赤/黄のマーク地点から方向を南西にとる。この尾根は残雪期に二度(06年3月6日ひとり山歩き232と08年12月24日ひとり山歩き342)歩いているので不安はない。今回も標高2100あたりからは鉈目を拾いながらの歩きとなった。途中で見失ったが、倒木を避けながら適当に下っても藪はない。標高1900あたりからは低い笹の中に明瞭な踏跡を追うことができた。この尾根筋は分からなくなったら、尾根の東側(谷側)を歩くようにしたらよい。標高1850で男体山と大真名子山を展望して、更に踏跡を追うと。標高点181に達する。
 ここからは前二回は光徳を目指したが、今回はほぼ真南の御沢金剛峡を目指す。尾根筋は広いので分かり易く左手(東)の谷筋を感じながら歩くようにした。林床の笹は膝程度であるが、下りであり歩行の障害には殆どならない。比較的明瞭な尾根筋となりカラマツ林に膝丈笹でドンドン下って行く。標高1590で勾配が急激に緩みここを下山地点とした。
 コンパスを設定してカラマツ林の膝丈の笹原を緩やかに下って行く。カラマツ林越しに見える男体山を目標に歩いているので大きく蛇行することもなく進んで行く。狭い水流のある南舟沢を渡渉するとすぐ先で御沢林道(正式名称不承)に出合う。この林道を歩くと再び南舟沢の渡渉となる。行きすぎてからこの沢の下流に梵字滝があることに気付き、笹原を突っ切って御沢の右岸を遡る。南舟沢に突き当たった。この先端が梵字滝らしいが。足場が悪く沢床に下りられない。仕方なしに樹木に掴まって梵字滝を写すも暗さと片手撮影でボケてうまくとれない。付近に木梯子が置いてあったが、自分の体重に耐えそうもないので沢床に下るのを諦めた。
 御沢右岸沿いに戻り、林道に架かる無名橋付近から沢内に下りて金剛峡の最狭部を目指そうとしたが、腰痛を考えて橋上から金剛峡の極々一部を覗いて次回しにすることにした。林道を10分ほど歩くと裏男体林道に出合う。林道入口には「日光演習林 宇都宮大学」の標識がある。駐車地までそこから1分足らず。
 今回も@宇都宮さんが丹念に歩いて集めた情報の「つまみ食い」に終始してしまった。  @宇都宮さん いつももありがとう!! 
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