ひとり山歩き476 : 菅沼から奥白根山に登って来ました。雪はよく締まり、展望もよく、今シーズン最後の残雪歩きが堪能できました。
菅沼から残雪の奥白根山(2578)
2012年5月7日(月) 晴れ
1行程   写真
ルートマップ(GPS)  ウォッちず : 奥白根山  菅沼登山口
自宅(2:20) = 菅沼登山口(4:30/4:50) − 弥陀ケ池(6:40/6:50) − 尾根取付き(6:50) − 奥白根山頂(8:35/9:00) − 五色避難小屋(10:05) − 五色沼(10:20) − 弥陀ケ池(11:10/11:35) − 菅沼登山口(12:45/13:00) = 自宅(15:20)

2 自宅 − 菅沼
 今年は降雪が多かったので、残雪歩きが5月中旬まではと期待していたが、最近の降雨と高温で融雪が進んだ。今シーズン最後の残雪歩きということで、菅沼から奥白根山を選んだ。昨日も降雨があり、気温が高ければズボズボの状態が予想される。未明に起床して奥日光の気温を調べると、この数日にしては低いことが判明した。案外、降雨後の低気温で雪が締まり歩きやすいかもと、期待して菅沼に向かう。金精を登ってゆくと周辺には残雪が目に入りだすが、当然ながら路面には雪は残っていない。菅沼登山口に到着した時には、すでに照明なしでも歩ける状態になっていた。今日はGW後の初日、前泊している車はなし。車載温度計で1度(バイアスを考量するとマイナス3度程度)、車から降りて駐車場周辺の残雪に乗ってみると、コチコチで足の沈みは全くなし。駐車場の先は除雪していないので、最初からアイゼンを装着してザックを担ぐ。

3 登山口 − 弥陀ケ池 − 山頂  雪はよく締まって歩き易かった  捜索ヘリ出動(自力げzんしたとのこと)  山頂からの展望は見飽きることがない
 トレースで雪面が乱れているが、雪はよく締まりサクサクと快適な歩きができる。この時期は未だ夏道方面にはトレースはなく、沢筋のトレースを追って登ってゆく。標高11850から1920あたりは落石地帯で頭三つ大から小石程度のものが多数雪面に落ちている。落石地帯を過ぎると、勾配が幾分緩み一息つく。
 標高1980の二俣は右俣へトレースを追う。続いてすぐに小さな二俣が現れるが、これも右俣へと進む。ここを過ぎると、勾配は再び急になり、踏み抜きの跡も見られるようになる。今日はよく締まっていて、足の凍結の弥陀ケ池と白根山沈みなどは皆無。標高2100で小尾根を乗り越して左手の沢筋へとトレースを追って移ってゆく。勾配が緩み、一息ついて振り返ると真っ白な会津駒ケ岳が鬼怒沼越しに見えている。勾配の緩やかなところを5分ほど進むと、弥陀ケ池の北端に達する。弥陀ケ池は南端の一部を除いては凍結している。最近の雨で融雪が進んだのだろうか、昨年の5月5日に比べたら白根山は白さが少ないようである。風が冷たいので、ゴアの上着を着用する。
 弥陀ケ池の南端からトレースは、南の急斜面にも付いている。夏道方面にも当然ながらトレースは付いているが、今日は急斜面のトレースを追って見ることにした。ピッケルが刺さらないくらい雪面は締まっている。アイゼンがしっかりと雪面を捉えてくれるので滑落の心配はないが、途中で諦めて下ることはできない。急斜面を80メートルほど登ると、正規のルートに出合って勾配は緩みホっとする。カリカリとアイゼンを利かせながら登ってゆくと、ヘリコプターが上空を旋回し始めた。どうやら捜索のヘリのようである。ヘリには合図を送るなとの鉄則で、無視して登ってゆくと、上空から、「群馬県警です。○○さんなら合図してください。」との拡声音が聞こえてきた。腕でXサインを送ると、わかったようで捜索活動に戻っていった。以降はヘリの騒音を聞きながらの登りとなる。途中でピッケルもストックもなしで、猛スピードで登ってきた千葉からの方に追い越された(ヤマレコに記録あり)。北峰に登りつめると、南峰の山頂には二人見える。一人は先刻の人でもう一人は丸沼スキー場から登ってきた人である。いつの間にか捜索のヘリは2機となっていた。山頂についた時には、千葉からの人はすでに神社方面に下っていった。丸沼スキー場からの方にシャッターを押していただく。
 へりの捜索活動を見ながら、景色も楽しむ。360度のパノラマが広がっている。奥白根山は17回目の登頂で、そのうち3回は雪のある時期である。雪があってもなくても、ここからの展望は見飽きることはない。栃木ではもっともお気に入りの場所である。奥白根山は相性が良い山で、17回の登頂で、展望がなかったのは、一二度である。
捜索ヘリと山頂からの展望



4 山頂 − 五色沼 − 弥陀ケ池 − 下山 
 南東斜面の残雪は表面が融けて上滑りあり  踏み抜きは皆無
 丸沼スキー場に下って見たいが、車回収に1時間の道路歩きが嫌らしい。当初計画通り、五色沼、弥陀ケ池経由で下ることにした。相変わらず横着でアイゼンは履いたまま、岩場を下ってゆく。窪地の水は薄く凍っているが、登山道には雪はない。いつもの様に登山道からほんの30メートルほど外れて不動明王像に挨拶してゆく。三つめの道標(県境)の先からは残雪が連続している。トレースは夏道よりは南側に付いている。南斜面で遮るものがないので、残雪の表面は融けて、上滑りするので始末が悪い。カリカリに凍結していたほうがアイゼンが利くので楽なのだが。例によってヘッピリ腰で下ってゆく。先行の千葉からの方の真新しいトレースは、軽アイゼンでストック、ピッケルもなしで歩幅が広い。かなりの速度で下っているのであろう。自分には一生涯かかってもできそうもない。慎重に慎重に下ってゆく。
 森林限界のすぐ上で、シリセードの準備で、ストラップに腕を通したままピッケルから手を離し、上着やウェストポーチのファスナーを閉めていたら、突然スリップして滑落しだした。ピッケルを握っていれば、どうとは言うことはなかったのだが、かなりのスピードで滑っているのでなかなかピッケルが握れない。腹ばいになって大の字になってピッケルを握ろうとしているうちに止まってくれた。30メートル程度は滑落したようである。樹林帯に入ってからは、5、60メートルはシリセードで下る。傾斜が緩んでからは、方向修正して避難小屋に向かう。
 小屋から先も表面は気温上昇で融けているが、足の沈みはない。五色沼は未だ全面凍結している。場所によっては表面が融けて踝まで沈む。五色沼の北西端からの登りは、針葉樹の落ち葉で汚れていてトレースがわかりづらい。トレースを追わなくても足の沈みは全く無いので、方向を定めて適当に登ってゆく。登り切った県境付近では一部に地肌が現れていたが、五色山分岐からは再び残雪歩き。わずかに下ると、弥陀ケ池に達する。コースを離れたら、今日初めて膝まで踏み抜く。池の北端で上着を脱いて小休止。白根山北斜面の大岩のあたりを下っている人が肉眼でも見える。
 合駒を前方に見ながら下ってゆくと、捜索隊の三人が猛スピードで下りてきた。捜索結果を尋ねると、無事に自力下山したとのことであった。捜索隊員のスピードの早さに驚かされる。観察すると、トレースのないところを選んである程度足を沈ませながらうまくストックを活用して下ってゆくことがわかった。真似してみたところ、ステップ状の踏跡を追うよりは歩きやすいことがわかった。でも、下降スピードを制御するのに苦労する。一朝一夕でこんな芸当はできるはずはない。生兵法は怪我の元、ゆっくりとトレースを踏んで下ることにした。トレースを追っている限りは足の沈みはない。急いで落石地帯を通過する。早朝には聞こえなかったが、小さな落石音が左(西)て斜面から聞こえてくる。家に帰って、昨年5月5日の写真と比べると落石は少ないようである。夏道分岐あたりからは勾配は緩み、今日は残雪歩きの最後を飾るにふさわしい一日だった。最後が良ければすべてよしだが、安心するのは早かった! 駐車場手前で除雪が切れて、目の前に有料駐車場の立て札が立っている。写真に収めようと歩きながらカメラ操作をしていたら、アイゼンを岩に引っ掛けて転倒してしまった。油断大敵大胆不敵という熟語があるが、小生には前部は備わっているが、後部は備わっていないようだ。
 菅沼登山口の駐車場は6月1日から有料になるようである。料金の一部は自然保護、登山道整備に使うとのこと。車は他に2台。
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