ひとり山歩き441 : 甲子温泉から甲子山、須立山、三本槍岳、赤面山と周回してきました。登山道は整備されていますが、赤面山へのトラバースの一部は残雪の中でした。灌木帯が多いので展望は良好でした。
甲子山(1549)〜三本槍岳(1916)〜赤面山(1701)周回
2011年6月7日(火) 曇りのち晴れ
1 行程   
ルートマップ(GPS)   ウォッちず : 甲子山 三本槍岳〜赤面山
自宅(1:00) = 剣桂神社駐車場(3:05/3:20) − 甲子温泉(4:00/4:10) − 猿ケ鼻(5:15) − 甲子峠分岐(5:50) − 甲子山(6:10/6:25) − 新旧道分岐(6:40) − 坊主沼新避難小屋(7:30/7:35) − 主稜線出合(7:50) − 須立山(8:55/9:10) − 三本槍岳(10:10/10:30) − 赤面山分岐(11:10) − 登山道失い藪漕ぎ(11:20/12:25) − 赤面山(13:00/13:10) − 赤面山スキー場分岐(13:40) − 標高点1150(14:45) − エスケープ分岐(15:05/15:15) − 三角点1052(15:45) − 青少年自然の家・剣桂ハイキング道分岐(16:00) − 剣桂神社駐車場(16:35/16:45) = 自宅(18:40)

2 自宅 − 甲子温泉
 恒例の年一の松山旅行や梅雨入り等で山行のタイミングがなかなか取れなかった。以前から計画していた甲子山・須立山・三本槍岳・赤面山の周回を実施することにした。このコースは日帰りよりも、避難小屋利用で二日で歩く人の方が多いようである。最近は12時間超のロングウォークがないのでちょっと心配だが、昼時間の長い今の時期なら何とかなるだろう。今年はいずこも残雪が例年に比べて多いようで、赤面山分岐からのトラバース道と坊主沼付近が気がかり。もう一つの問題は下山後の車の回収で、舗装道歩きができるだけ短く、しかも登りを少なくしたい。地形図やWebで調べると、国道289号から別れて甲子温泉への道に入って約1kmの場所に剣桂神社の駐車場があることを知った。しかも下山後は下りで登り返しのないことが分かった。その分だけ往路で甲子温泉まで歩道道を3kmばかり登らねばならないが、これは仕方ない。
 自宅から約120kmの距離で栃木県内ならば高速道を利用しないのだが、県外ということで久しぶりに高速道を利用することにした。鹿沼ICで東北道に乗り、白河ICで高速を下りてから約20kmで剣桂神社駐車場に到着。いつものように山道がないから運転も楽だった。ヘッデンはなしでペンライトを手に歩き始めたが、進行方向の右手(阿武隈川側)には樹木が少ないので、ペンライトも時々使うだけで甲子温泉の大黒屋に到着。

3 甲子温泉 − 甲子山 − 三本槍岳  登山道はよく整備されている  灌木地帯の歩きで展望はよく利く
 大黒屋の駐車場を突っ切って、阿武隈川に下って、狭いコンクリート橋を渡る。これから先の山道が2008年 9月21日に甲子トンネルが開通するまでは車の通らない国道289号だったとか。橋を渡るとすぐにジグザグの登りとなるのだが、家に帰ってGPSで調べてみると、地形図のように大きな振幅は描いていないようである。温泉神社を右上に見て進んで行くと、大黒屋の標識があり左下に建屋が見えてその方向に建屋がある。これは甲子トンネル関連の施設のようで、そこから5分も要しないで登山道に登れるような距離に見えた。その後、甲子トンネル手前の甲子大橋が目に入った。この橋は甲子山から須立山、三本槍岳への縦走中に何度も目にすることになる。登山道には浮石や浮き根は少なく、踏まれて小さく砕けた落ち葉がクッション代わりになり気持ちよく登ってゆくことができる。1時間ほどでジグザグが終わり、勾配が緩むと猿ケ鼻の道標を見る。
 ミズナラ中心の広葉樹林の中の登山道は藪のはみ出しもなく気持ちよく歩ける。ミツバツツジと白ヤシオが散見できるのがよい。自分は変わり者なのか、ツツジが一箇所にまとまって咲いているよりも、甲子山から旭岳を望むポツリポツリと咲いているのを見る方が好きなのである。甲子峠への分岐は地形図よりも少しばかり甲子山頂に近いようである。分岐を過ぎると左手に旭岳(赤崩山)や三本槍岳から赤面山の稜線が見え隠れする。標高1500を超すと勾配は急になり、長いクサリが流してある。下が濡れている場合は使うかもしれないが、通常は必要ないであろう。パッと開けて甲子山の山頂に飛び出す。山頂には方位盤が設置してあり、山座同定の助けとなる。360度のパノラマが広がるが、どうしても目はこれから進む南側に向いてしまう。圧巻は目前に聳える旭岳で、赤崩山と呼ばれ所以の山肌の赤茶けた色が印象に残る。旭岳は今回の縦走からは時間の都合で省いているが、いつかは登って、激藪の南斜面を下って見たいものである(南斜面を下ったWeb記録は、HP「たそがれオヤジのクタクタ山歩き」に見る)。エネルギーを補給しながら景色に見とれていたら、風が冷たく肌寒さ感じてザックを担ぐ。
 灌木地帯を下り、ブナ林になると鞍部で新旧道分岐の道標を見る。尾根筋へ進む右の旧道方面には通行止めの表示があり、道筋は薄くなりつつあるようだ。左の新道に進むとすぐ先で水場の標識を見る。左下に踏跡があり、水流を見る。緩やかなアップダウンを繰り返しながらブナ林の中のよく整備された登山道を進むと、三つ四つの小沢を越す。登山道はふかふかしていて歩くのが楽でよい。新旧道分岐から約20分で50メートル位の残雪が現れ、勾配が急になる。残雪部を登りつめると再び勾配は緩み右手に旭岳の東斜面が見え隠れする。標高点1586あたりを通過して坊主沼を経由することなく、坊主沼新避難小屋に達した(帰宅後、ウォッちずを調べたら新道が記載されているのを知る)。避難小屋を覗いてみたら、真新しく寝具まで揃えてあった。
 小屋から少し進むと、旧道を合わせる。その地点の標識に避難小屋は坊主沼方面をさしていた(標識が更新されていないのだろう)。主稜線(旭岳の南稜線)出合を目指して緩やかに登ってゆくのだが、このあたりは笹が登山道に寝そべっていて足を乗せると滑って歩きづらい(今日の登山道では唯一の藪被り場所)。主稜線に出ると再び整備された登山道歩きとなる。旭岳の南尾根は激藪で登るのも下るのも二の足を踏みそう。主稜線歩きになると灌木の上に頭を出したりひっこめたりの歩きで、前方には須立山、三本槍岳〜赤面山稜線が目に入ってくる。ポツポツと見かけるシャクナガの花が疲れを癒してくれる。鞍部から登り返して標高点1638を越し、次の1640級ピークでは灌木が少なく、風あたりが強くなって肌寒さを感じる。今日は曇っていて、気温があまり高くないので疲労感少ない。このコンディションなら目標の12時間は問題なしと、この時点では確信したのだが・・・
 須立山の北鞍部から約100メートルの登りで大したことはないと思ったのだが、登山道はガレていて足元が滑って登りづらい。長いロープの助けで25分要したが、ロープがなかったらその倍近い時間がかかったかもしれない。苦労して登りつめた須立山の山頂も360度のパノラマが広がる。前方の三本槍岳から赤面山稜線も間近となり、後方の旭岳への稜線も見通せる。旭岳は須立山から見る姿も美しいが、なんといっても甲子山から眺める姿が一番。もちろん流石山から大倉山の尾根筋も秀逸。エネルギーを補給して先へと急ぐ。
 須立山から少し下った鞍部は鏡ケ沼分岐で右下(西)に鏡ケ沼が見える。ここからは三本槍岳を見ながら240メートルの登りとなる。風は爽やかで緩やかな登りなので疲労感はない。大峠分岐から10分程で三本槍岳の山頂に達した。ここまでが前半戦で歩き始めて約7時間はほぼ目標通りである。ザックを下して、5度目の山頂からの展望を楽しむ。かすんでいて遠望が利かないのが残念。登山者が現れすぐに下山してしまった。そのあとにザックなしのトレイルラン姿の人が現れ、すぐに姿を消してしまった。

4 三本槍岳 − 赤面山 − 青少年の家  赤面山分岐からのトラバースで残雪で道を失い、藪漕ぎに苦戦
 三本槍岳の下りから清水平・中の大倉尾根分岐までの沢状のえぐれ道には小石が敷き詰めてあり整備されて雰囲気がよくなっている。清水平分岐までに20人以上とすれ違う。さすがは人気の山である。中の大倉尾根方面から来る人は少ないようで、赤面山分岐で女性二人組が三脚で撮影していたのにすれ違っただけ(もっとも中の大倉尾根方面を歩いた距離はほんの僅かだが)。
 分岐直下のトラバース道に残雪が少ないのを願いながら、進むと100メートルも歩かないうちに残雪帯となる。道筋は隠れてしまった。残雪部は急傾斜で滑りやすいので、残雪と笹薮の境界を笹につままりながら下って行く。笹はまだ寝ていて雪解けで濡れているから始末が悪い。ちょっと手を緩めると滑り台を滑り降りる感じとなる。残雪部を回り込むように歩き、斜面に対して下りから平行歩きとなる。笹が寝ているのでつかむものがなくなり、笹の上を数メートル滑り落ちてしまった。残雪に片足でもかけていればよかったのだが、時々踏み抜くのが嫌で笹の上を歩いていたのが失敗のもと。登り返そうとしても滑ってなかなか登れない。進行方向の右下を見渡すと、樹木の手前に笹の切れ目が見えた。登山道が笹の切れ目の下にあると、思い込み下ってしまったのが、これから始まる大格闘の始まり。冷静に考えれば残雪に沿って進めばどこかに登山道が見えるはずなのだが。もともと藪漕ぎは厭わないのでそのうち登山道に出合うと気軽に考えて前方に見える残雪原を利用しようと、密なネマガリダケ地帯をトラバースし始める。藪漕ぎをする人なら、だれでも経験しているが、登るよりも労力を要する。今の時期はネマガリダケならぬネソベリダケでしかも濡れているあらトラバースどころではなくドンドン高度が下がってしまう。そのうちに水流のあるV字型の沢に出逢ってしまった。最初に登り返さなかった罰で、この沢を越すのにひと苦労。沢の中にに入ったはいいが、ネソベリダケが蜜で足が滑って沢を越すことができない。50メートルほど蜜藪の沢を下り、どうにか脱出に成功した。木の枝に足をかけて残雪原を探りその方向に登り返すこと10数分で残雪部に到達し、残雪部をストックを頼りに登ること10分でやっと登山道に復帰できた。藪漕ぎをすること1時間と5分、素直に残雪部から登山道を歩いて来れば15分くらいの距離で、約50分のロス。
 登山道復帰で安心したのか、いつの間にか平坦な前岳を通り越してしまった。前方に赤面山を見ながら、少しばかり下ってからガレ道を登り返すと赤面山の山頂に達した。山頂には方位盤もあり全展望で、いつの間にか曇りから晴れに変わっていた。山頂からは須立山・旭岳・甲子山の稜線が見通せる。朝日岳、茶臼岳と中の大倉尾根と展望はよい。ここには昨年の3月20日に登っているが、雪景色の方がはるかに素晴らしい記憶が残っている。ここから下山までに約3時間、ノンストップで歩くために最後のエネルギー補給をする。
 山頂からしばらくはガレ道が続き、やがて土道となる。ダケカンバ林を越してブナ林となり、今は廃業の赤面山スキー場分岐に達する。場合によってはスキー場にエスケープして那須甲子道路を歩くことも考えていたが、現時点では舗装道を歩くほうが苦痛で、計画通り那須甲子青少年自然の家経由で下ることにした。登山道は相変わらずふわふわした場所が多く足に優しい。標高1200あたりで露岩帯が現れるが特に危険な個所はない。場所によっては滑り易いので注意が必要。標高点1150の手前で北進する道はテープで通行止めとなっていた。地形図には記載のない標高点1150を東に進み、北へ下るようになっている。鉄梯子を下りると太い道があり、右(東)はエスケープ、右が青少年自然の家へのルートとなる。
 西に進んで沢を渡ると、道筋は地形図の破線とは異なり北側を遠回りしている。破線道に復帰して、沢コース分岐を過ぎると三角点1052の広い山頂に達する(現在はウォッちずには記載なし)、道標にしたがって北に下り、東に方向を転ずると、舗装した管理道に出合う。道なりに進むと、青少年自然の家の一角に達し、剣桂ハイキングコース方面に進む。
 剣桂ハイキングコースを下って行くと、赤ペンキコースと黄ペンキに分かれる。沢コース分岐からは青少年の家特有の標識があり、通過者には意味不明。地形図から判断して左の赤ペンキ(実際は赤テープ)に進む。最後は地形図とは異なり、東へ方向を転換することなく、国道289号に無事下山。そこから駐車場までは、下りで15分、トータル時間は13時間15分で計画より75分の遅れ。この大部分は赤面山分岐からのトラバースでの藪漕ぎによるもの。久しぶりの12時間超で自信回復。
 今日のコースは、Webで調べると紅葉の時期が良さそう。

須立山と赤面山からの展望
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