ひとり山歩き396 : 萩平から小佐飛山をピストンしてきました。テント泊で長者岳・鹿又岳を目指したのですが、強烈な風で小佐飛山で撤退しました。
強風で小佐飛山(1429)から先に進めず
2010年3月30日(火) 晴れ(強風)
1 行程  
ルートマップ(GPS)  ウォッちず : 小佐飛山 萩平
自宅(0:05) = 萩平(1:45/1:55) − 登山口(2:10) − 案内板(2:55) − 尾根取付き(3:05) − トラバース道分岐(4:10) − 反射板(8:25/8:45) − 小佐飛山(7:25/7:35) − 反射板(8:25/8:45) − トラバース道分岐へ(10:10) − 作業道出合(10:30) − 案内板(10:45) − 登山口(11:20) − 萩平(11:35/11:50) = 自宅(13:50)

2 自宅 − 萩平
 藪の出現度、積雪の締り具合等を考量して、以前から計画していた萩平から小佐飛山・長者岳・鹿又岳へのテント泊を決行することにした。天気予報で30日と31日は晴れが期待できるが、寒気団襲来で風が強そうなのが気がかり。4月は用があって二日続きの山行はできそうにない。多少風があっても晴れていれば大丈夫と前日にパッキングを終わらせる。極力荷物を少なくしたが、アイゼン、ワカンまで含めると15kg、通常は冬山の日帰りは8kg程度(衣服込みの総重量は100kg級を辛うじてパス)。風よりもこの方が心配。
 18時過ぎに天気予報を聞いて床に入る。23時に起きだして、アメダスで気象をチェックして掲示板を見てゴーサインを出す。昨年も3月26日に同じことを実施したが、小佐飛山手前で藪の露出度が多く、小佐飛山で退却となった。今年は鹿又岳まで届くかどうかは別にして行けるところまで行くぞ、の意気込みで車を奔らせる。関谷の道の駅で登山靴とスパッツを装着して萩平に向かう。出発時は満月で明るかったが、萩平駐車場に着いた時には雪がチラつきだし朧月状態。昨年は風がゴウゴウと吹いていたが、今日はあまり強くなくひと安心。

3 往路  予想以上の強風で敢え無く小佐飛山から先に進めず
 暗闇で蛇尾川を渡渉するのは嫌らしいので、例によって頭首工の橋を利用させてもらう。蛇尾川右岸を足場に気をつけて少しばかり進むと、明瞭な作業道に通じる。これを辿って小蛇尾川にかかる鉄橋を渡り、少しばかり進み右上への作業道を見る。ここが登山口でこれ以降は作業道をヘッデンの灯りで足元に注意して進むだけ。迷うような場所はない。尾根上を小蛇尾川側あるいは大蛇尾川側と登って行く。途中で二箇所で分岐をみるが、登る方向に進めばよい。←小蛇尾川・萩平↓の案内板を見たら、この先は注意しながらの歩きが必要。
 案内板から10分足らずで分岐が現れる。ここは右の道に進む(左へ行くと小蛇尾川と思われる)。分岐から3分ほど(標高800)で作業道は尾根の右手を巻いて進むようになる。通常はこの作業道を辿り、標高900あたりで左のトラバース道を登ることになる。昨年はこの作業道を辿山頂直下の雪庇ったが、暗くてトラバース入口を見逃してしまった。今回は分かり易いように左の尾根を進むことにした。
 杉植林の中を適当に登って行くと尾根筋が明瞭となり薄い踏跡が拾えるようになる。ここまで達すれば迷うところはない。急登を我慢して黙々と進む。途中で杉植林から雑木に変わると勾配は更に急になり重荷で汗を拭きながらの登りとなる。常に左下に蛇尾川ダムの灯りを見ながらの歩きとなるので不安感はない。疲れては振り返ると市街地の灯りが美しい。ナイトフライトのテークオフ時に似ていて、早朝登山の醍醐味。幾分かは勾配が緩むとトラバース道分岐(大岩・・・大した岩ではないが)地点に差し掛かる。暗くて廻りは見えないが、四回目ともなると雰囲気で判断できた(念のためにGPSにWPを記しておき、復路で確認したらドンピシャリ)。
 トラバース道を合わせてからは積雪は連続となる。雪が相変わらずチラついている。萩平では朧月であったが、それさえも消えて、時々は防寒着についた雪を払うようになる。それとともに風が幾分強くなってきたようだ。今日は絶対に晴れると確信するが、風が気がかり。1110ピークあたりからは左下の蛇尾川ダムの灯りも見えなくなる。その鞍部あたりから、二日前のテントミータカ隊の足跡を時々拾うようになる。鞍部からは方向が北北西から西南西に変わり、寝笹の登りとなる。腰ないし胸丈の笹だが雪の中に横寝状態であるが、特に登りづらいということはない。急登をこなして1230台地に登りつめると針葉樹が現れる。ここからは勾配が緩み、雪はよくしまっていてせいぜい踝まで沈む程度の歩きとなる。標高1250手前で大岩群の左下を巻いて通過する頃になると、オレンジ色のリボンが目に付きだす。標高点1275を越して登りになるとオレッジリボンの下に赤頭のプラスティック杭も目に入るようになる。狭い幅で笹の刈り払いもしてある。反射板への登りの藪漕ぎはしなくてすみ楽をさせてもらう。反射板に登りつめたが、相変わらず降雪で安戸山も見えない。
 反射板から小佐飛山山頂までは条件がよければ50分もあれば届くのだが、昨年は好天だったが重荷を担いで1時間40分要した。今日は重荷と風でどのくらいかかるかな。笹が雪面から出ているが、適当に避けて通れるので藪漕ぎの苦労はない。標高点1343を越してからの登りは2m超級の笹藪が出現する。昨年同様にこれを突破した(右手・北側を通れば薄い・・・復路で確認、昨年も確認していたのだが忘れていた)。密藪地帯を突破すると、勾配はグッと緩み向きはほぼ西となる。ここからから北側から吹きつける風が益々強くなり、吹き溜まりも増えてくる。二日前のテントミータカ隊のトレースは全く見当たらない。吹き溜まりもせいぜい膝程度のラッセルでそれほどの苦痛は感じない。二・三箇所で弱い雪庇地帯を通過する。雪が締まるどころか、強風で雪が吹き溜まっている状態で残雪歩きには程遠い感じ。いつの間にか青空となるも、風は益々強くなる。写真にはうまく捕らえられなかったが、地吹雪も凄い。長者岳に行けるか心配になる。右頬の痛みをこらえながら頑張りどうにか小佐飛山頂に達した。
 山頂部は笹が頭を出しているが、全面積雪している。ザックを下ろして先ずは山頂の写真を撮る。山頂部は樹林の中だが風は強い。ボトルホルダーに入れたポカリスエットが凍っていて飲めない。長者岳方面への尾根筋を偵察していると吹き飛ばされそう。この風は時間とともに弱まるのだろうが、今の時点で危険を冒して、強風をまともに正面か受けながら尾根を下る気にはなれない。雪山で無理は禁物、撤退を決断する。山名板は山部3D、栃木の山紀行と黒羽山の会の三枚。

4 復路  トラバース道を確認
 山頂滞在10分で退却となる。山頂直下は10数分前の自分のトレースがかなりの部分で消えている。勾配はゆるいが下りはやはり楽だ。密藪地帯は北側の藪を避けて下る。密藪地帯を通過して尾根の向きが変わると今度は西側からの風に変わるが先刻に比べたら天国状態。反射板まで下って朝食を摂る。北北東に鴫内稜線の剣先(1723)あたりが樹木の間から展望できる。南南東に安戸山とその後方には筑波山が展望できる。南南西には八汐ダムと樹木に宇都宮市からのグループ邪魔されて高原山が展望できる。ここでは今までの風が嘘のように静かとなっていた。 
 1230台地から下って行くと、宇都宮からの五人グループと出逢う。標高点805付近から北に伸びる作業道はトラバース道入口よりも更に北に続き下り気味となったので、尾根に取りついて1110ピーク付近に登ったとのことである(復路で1110付近で東尾根からのトレースを確認)。話しているうちに、唯一の女性hosoyaさんが、私が烏ケ森の住人であると気付いた。私の正体を知る人は数人しかいない。山中で出逢って私をすぐに確認してくださった人は、@宇都宮さんとhosoyaさんだけ。
 積雪はかなりのスピードで溶けているようで、往路の足跡がスッポリとくりぬいたように地面が現れている。1110ピーク手前で東尾根に複数のトレースを確認。これを辿って見ようかと一瞬考える。重荷で急峻な尾根を下るのは危険と諦める。
 復路はトラバース道を辿ることにして大岩(大した岩ではないが)から杉植林を下り始める。最初は雪と笹で道筋が分からない。適当に南東に数分下って行くと標高1000あたりで明瞭な道筋に出合う。トラバース道と判断して、これを辿る。立派な作業道で安全に下れる。大岩から20分で標高点805付近からの作業道に出合う。家に帰って詳細に調べると昨年はこの入口を通り越して尾根に取り付いたことが判明した。このトラバース道は見逃しそうなので、手前7メートルの森林公団の「火の用心・森の愛護」の立て看板を目印とすればよい。
 この作業道を辿り、往路で尾根に取り付いた地点を過ぎると、すぐに案内板を見る。この先は迷いようがない。無事に登山口に下りて、今日の行程でもっとも恐ろしい床板がハニカム状で透けて見える鉄橋(橋は頑丈)を恐る恐る渡り終えてほっとひと息つく。汚れた靴を洗うべくダム下の堰を渡るつもりであったが、なんと木橋(板と丸太)が仮設してあるではないか。これがあれば渡渉で苦労することない(ワイヤで結んであるので流れてしまうこともないだろう)。駐車場に戻ると車が4台。今年も小佐飛山から先に進めなかった。残雪歩きで今回計画ルートの鹿又岳はこれで断念し、長者岳〜鹿又岳は藪漕ぎにするか(塩那道路は辿っているので不可)。
HOME
inserted by FC2 system