ひとり山歩き353 : 萩平から小佐飛山をピストンしてきました。例年よりも積雪が少なく、すでに笹藪が出現していました。長者岳・鹿又岳へとテント泊で行く予定でしたが、藪出現のために中止しました。
残雪歩きより藪漕ぎの小佐飛山(1429)
2009年3月26日 晴れ(強風)
1 行程   
ルートマップ(GPS)  ウォッちず  小佐飛山  萩平
自宅(0:40) = 萩平駐車場(2:20/2:30) − 登山口(2:45) − 案内板(3:35) − 巻き道へ(3:40) − 主稜線到達(4:50) − 反射板(6:50/6:55) − 小佐飛山(8:35/9:10) − 反射板(10:20/10:25) − 巻き道分岐(11:55) − 巻き道出合(12:35) − 案内板(12:40) − 登山口(13:20) − 萩平駐車場(13:30/13:45) = 自宅(15:55)

2 自宅 − 萩平
 萩平から小佐飛山・長者岳経由で鹿又岳にテント泊で登るべく計画はすでに作っていたが、WBCのTV放送と二日続きの好天とがうまくかみ合わず伸び伸びとなってしまった。24日に侍ジャパンがWBC優勝で決着がついた。幸い26、27日が好天ということで実行することにした。25日にパッキングを済ませたが、懸念材料がふたつある。一つは今年は積雪が少なく、すでに藪が現れているかも知れないこと。二つ目は26日は栃木県北は好天だが、寒気の来襲で風が強いことである。
 23時半に起床して、アメダスをチェックして最終的にゴーサインを出す。R4号、R400号とつないで関谷に近づくと運転していても風が強いことが分かる。道の駅「湯の香しおばら」に立ち寄ると強い風が吹き荒れている。21日に北温泉駐車場で中の大倉尾根を諦めた時ほどでない。登山靴とスッパツを装着して、萩平に向かう。無人の駐車場で車から降りると「ゴーゴー」と風の音。今日もダメかと挫けかけたが、小佐飛山までは裸尾根はないから大丈夫と自分に言い聞かせてザックを担ぐ。

3 萩平 − 小佐飛山  時期が遅く笹藪が現れ、計画よりも大幅に遅れる
 萩平から小佐飛山は04年4月1日(ひとり山歩き141)のピストン、05年4月1日(ひとり山歩き195)に萩平から小佐飛山・長者岳をピストンしているので参照願う。最近では、「山頂渉猟」を追っての管理者が2月24日に萩平から小佐飛山をピストンしている。
 最初の関門は、駐車場から蛇尾川の右岸へ渡らねばならない。真っ暗でヘッデンだけで浅瀬を渡渉するのは難しいので、東電の頭首工の橋を渡らせてもらう。この橋は立入り禁止となっている。前回通行時は入口にフェンスがなかったが、背丈ほどの金網フェンスが設置してある。多少の工夫をしてフェンスを乗り越して対岸に渡る。
 対岸の足元の悪い踏跡を少しばかり進むと、明瞭な作業道を進むようになる。小蛇尾川にかかる橋を渡って、左岸を3分ほど進むと電柱の約5m先の右側が登山で折り返すように作業道が尾根上へと向かう。多少岩っぽいところもあるが特に危険な箇所はない。10分足らずで尾根上に達して、以降は小蛇尾川側へあるいは大蛇尾川側へと移動しながら高度を上げて行く。小蛇尾川側に出ると風が強いが樹林でさえぎられるので安心して歩ける。途中で二箇所で下り気味の踏跡が分かれているが、これを無視して登って行くと標高760で「←小蛇尾川上流/萩平→」の小さな案内板を見かける。この案内板の地点で左に折れ、すぐ上で右に折れて作業道を進む。案内板から5分ほど進むと作業道は西(蛇尾川ダム方面)にそれて行く、ここで北に向かう巻き道へ入る。尾根を直登する場合は、巻き道へ入ったらすぐに左手(西側)の尾根上を辿ればよい。初回は巻き道を辿り。二回目は暗闇の中を尾根直登コースを辿った。今回も直登コースを辿るつもりであったが、北西からの風が強いことと、重荷を背負って急斜面を登るのを嫌って巻き道へと進むことにした。
 巻き道は明瞭で歩き易すく風もなく安心して進んで行く。巻き道へ入ってから20分経過しても方向がドンドン北東にそれて行く、方向が幾分北向きになったが、いっこうに植林のジグザグ道にならず不安になってきた。地形図から判断するとかなり尾根直登コースからずれてしまったようで、ヘッデンでは廻りの様子が分からず道を間違えたと考えた。巻き道への分岐点まで戻るのは時間がかかるし、癪なので山腹を西に登り主稜線に戻ることにした(GPSを見ながら歩く訳には行かないが、こういう時には助けられる)。斜面はかなりの勾配だが、植林で地面が適度に軟らかく比較的登りやすかった。10分ほどで南西に進む踏跡に出合った。これが巻き道と直感して、これを辿って行く。斜面に取りつくのをもう少し我慢すれば巻き道の折り返し点があったのだ。この踏跡をジグザ小佐飛山山頂グに辿る(時にはショートカット)と西の主稜線に近づいて行くのでひと安心。今までも新雪が薄く所々に積もっていたが、標高950過ぎるとほぼ連続するようになったが、低いミヤコザサの中の踏跡をなんとか辿って主稜線に乗り上げた。
 主稜線に出てからは、薄い新雪の尾根を辿るだけで特に難しい点はない。1110ピークの小さな岩には見覚えがあった。このピークを下ると左手には植林が見え隠れするようになった。方向を西北西に変えてミヤコザサが頭を出している新雪地帯を登って行く。04年は積雪は反射板(標高1310)を過ぎて連続となった。05年の時は主稜線到達地点位から連続となった。今回は主稜線上は薄く(せいぜい2・3cm)新雪が連続しているだけだが、重荷のせいで前二回よりも遅いのはやむを得ないが、ほぼ計画通りに進んでいる。
 標高1230の台地状の地点に乗り上げると、針葉樹林が現れ始める。勾配が緩やかな尾根筋を西北西に進み、大岩群を左下を巻いて通過する。尾根上には時には背丈ほどの笹藪が現れるが密でなく大した障害にはならない。胸ないし肩丈の笹藪を漕いで登りつめると反射板に達する。この笹藪は過去には苦もなく通過したが、今回のように重荷(ピッケル、アイゼン、ワカンを含めて18kg)を背負っているだけに堪える。反射板付近は積雪はあるも笹が頭をもたげているので、蛇尾川ダムの全容が捉えられなかった。
 反射板への登りでやや苦戦したせいもあって、計画時間よりも遅れだした。その先は処々で笹が出ていて隙間を縫って歩くも、重荷では抵抗になり歩みが遅くなる。標高点1343辺りからネマガリダケが立ち上がったり雪上に寝ていたりで、強烈な藪漕ぎとなった。無雪期に軽装備ならこの程度の笹藪はどうということはないが、重荷にダブルスットクでは非常な労力を要する。ストックのリングが引っかかったり、寝た笹の上に乗って滑り腹ばいなったり参った。標高にして30m強を登るのに50分も要した。時間のロス以上に体力の消耗が大きい。標高1380で勾配が緩むと藪密度が低くなって大部歩き易くなった。反射板から山頂までを60分で歩く計画であったが、この時点ですでに60分が経過。頭の中でコンピューターが動き始める。こんな状況下では、今日中に鹿又岳はとても無理。そんなことを考えていると、せっかくの藪の少ない雪上歩きも歩みが遅くなる。途中で高原山や女峰山を樹木の隙間から見ながら登りつめると過去二回の山行時よりも笹の立った小佐飛山山頂に達した。
 山名板は山部3D(05年4月1日には行方不明だった?)、栃木の山紀行、黒羽山の会の三枚で、これは変わっていなかった。三角点は新雪の上に天辺を出していた。山頂からは樹木で展望はない。大佐飛山〜大長山〜西村山の稜線が枝越しに見る程度。

4 下山 雪解けで地面が緩み慎重に下る。
 長者岳への稜線も1380ピーク付近と標高点1453付近は藪が出ていることが懸念される。この先も計画通りに歩けそうもない。鹿又岳はとても無理、せいぜい長者岳を一泊でピストンするのが落ち、と判断して今年は諦めることにした。体力と気力が来年も残っていれば(かなり疑問だが)、再挑戦ということで潔く下山することにした。
 罰として余分な水も捨てずにそのままザックを背負って下山を開始する。往路で苦労した笹の密藪も下りでは踏み倒して行く。時々笹が絡み身動きが取れなくなるので、立ち止まって絡みを解く。密藪地帯も往路の1/3の時間で通過。自分の踏跡を忠実に辿るも、時には見失うが下りではどうということはない。反射板で西村山から鴫内山の稜線を確かめて、先に進む。
 標高1230からの下りでは直進しないように注意を払い慎重に下る(往路では笹の中をトラバース気味に登ったので自分の足跡を見失う)。下るにつれて往路では薄く雪が付いていたが、融けて地肌が出始めている。そのせいで薄いが踏跡を追うことが出来るようになった。途中で南側に植林が出始めると薄く新雪が残っているが、日当たりのよい場所では自分の靴跡が融けて靴型に地面が現れている。1110ピークそして往路で尾根上に出た地点を通過すると、小さな岩が三・四個目につく。ここが往路に辿った植林の中の巻き道への分岐である。
 復路は尾根上を下ることにした。左手(東側)は植林で右手は自然林の尾根上には薄い踏跡がついている。重荷と急勾配更には新雪が融けたばかりで地面が緩んでいて滑り易いので慎重に下った。やがて勾配は幾分緩み両サイドとも植林となり、踏跡が薄くなるが委細かまわず下って行く。標高800付近で往路で辿った巻き道に出合い、すぐ先で案内板に達した。
 これから先は作業道を辿るので道筋を間違えることはない。重荷を背負い疲労もたまっているのでより慎重に下る。尾根筋からジグザグに桟道やロープを辿って小蛇尾川左岸の登山口に無事下山。すぐ先で小蛇尾川を底板が網状(ハニカム状)の橋を渡ることになる。往路では暗闇で渡ったから問題ないが、今は明るいので川面が見えて渡るのが恐ろしい。こんなところで高所恐怖症が出てしまった。躊躇するもこれを渡らないと駐車場には帰れない。欄干を片手で持って上を見ながら歩くも、足元が気になって下を見ると脚がすくむ。今日一番怖い思いをして何とか難所を通過。
 大小が合流して蛇尾川となった右岸の踏跡を戻り、頭首工が見えて砂防ダムに達した。靴とスッパツの下部が汚れているので、洗濯を兼ねて蛇尾川を渡ることにした。砂防ダム下流の堰の下に小さなテトラボッド状の捨石部を渡っている写真を見かけるが、なんとなく不安定。砂防ダム下の堰上は流れは早いが浅い感じ。ここまで戻れば靴に水が入っても問題じゃないと、果敢に堰上を渡る。流れが速いので足を取られないように注意しながら渡る。幸いに水深は踝以下で難なく渡れた。お陰で靴もスッパツもきれいになった。駐車所には車が三台駐まっていた。頭首工付近で工事をしているらしい。相変わらず強風が吹いている駐車場を後にする。来年も来ることになるかな???
HOME
inserted by FC2 system