ひとり山歩き371 : 折立から薬師岳に登ってきました。コースには特に危険箇所はなく、登山道が整備されているので快適な歩きが出来ました。好天ににも恵まれ360度のパノラマを楽しめました。
折立から薬師岳(2926)
2009年9月14日(月) 快晴
1 行程   
ルートマップ(GPS)    ウォッちず : 薬師岳  折立登山口
9月13日(日) 自宅(2:00) = 称名滝見物(8:30/9:45) = 立山駅(10:00/10:30) = 有峰林道口(12:00) = 折立登山口(12:45)
9月14日(月) 折立登山口(0:15) − 三角点1871(1:55/2:00) − 仕切りの登山道開始(2:40) − 太郎平小屋(4:25/4:35) − 薬師峠(4:55) − 薬師平(5:15) − 薬師岳山荘(6:35) − 薬師岳(7:35/8:25) − 薬師岳山荘(9:05) − 薬師平(9:35/9:40) − 薬師峠(10:20) − 太郎平小屋(10:40/10:55) − 標高点2196(11:30) − 仕切りの登山道終点(12:10) − 三角点1871(12:50) − 折立登山口(14:15/14:30) = 亀谷温泉(15:30/16:00) = 自宅(9/15 1:10 横川SAで仮眠4時間)

2 自宅 − 折立
 恒例となった年一のアルプスへの山行は、早い時期から薬師岳と決めていたが、足の故障などで出遅れてしまった。今週末からは五連休があり、その次の週には健康診断があり、その間を縫ってうまく好天日が得られるか心配。足の故障に多少の不安はあるが、14日は好天が予想された。このチャンスを捉えねばと12日に準備を整える。13日は称名滝の見物等で時間をつぶして、薬師岳登山口の折立で車内泊をすることにした。
 13日は日曜日で高速道の割引で混雑するかもしれないので、早朝に高速道を突っ走ることにした。北関東道・上信越道・長野道・北陸道はすべてガラガラで拍子抜け。長野道から北陸道へと進む頃には晴れ間も出てきた。明日も好天疑いなしと喜ぶもつかの間、越中境辺りでトンネルを抜けた途端に大雨にびっくり。有磯海SAで食事をするついでに新聞を買ったら、富山県なのになんと富山の天気予報がない!! 長野、金沢や新潟の予報から推測するのみ。
 称名滝の駐車場に着いた頃にやっと雨が上がった。傘を持って称名滝まで約20分歩く。前回(98年8月)に来た時の記憶では滝の1km手前位から滝の音が聞こえていた。実際は沢の音ですぐ傍まで行かねば滝の音は聞こえなかった(今日は雨上がりで水流が多いせいもあるかも)。今までに見た滝の中では、水量と落差とも一番。前回に比べたら観瀑台で受ける水しぶきは少ないようだ(風向きの影響かも)。
 折立に行くには未だ早すぎる。立山駅に寄って見たが前回の記憶は全くなかった。付近に閑をつぶす場所はない。最近話題になった「点の記 剱岳」で立山信仰の登山基地となった岩峅寺と芦峅寺を思い出した。カーナビで探してみると岩峅寺が見つかった。カーナビを設定して行ってみると、辺りには民家しか見当たらない。人通りがなく聞くに聞けず諦めて折立に向かうことにした(岩峅寺や芦峅寺はお寺かとばかり思っていたが、どうやら地名のようだ)。
 カーナビでコンビニを探し食料を調達する。峰林道ゲート(小見線の亀谷)で通行可能時刻(6時〜20時)を確かめて、1800円を払って林道を進む。ごく一部を除いて舗装されているが、大型車が通ると離合しづらい場所もある。途中で展望もあるかと思ったが、有峰湖展望台で湖を眺めるだけ。時間のつぶしようもなく、折立登山口の駐車場に着いたのは12時45分。駐車場は満車に近くざっと数えると40台。天気が良くもないのに、登る人もいるものだと変に感心。時間を持て余し、新聞を読んだり、ガイドブックを読んだりして時を過ごす。14時過ぎになると下山者を見かけるようになった。17時頃で下山者は一段落したので、車内でコンビに弁当を食べて、車のシートを倒すとお決まりのコース。相撲の放送が終わらないうちに眠ってしまった。

3 登山口 − 薬師岳   特に危険箇所はなく歩き易い  山頂からの展望は抜群
 23時半頃に目を覚ますと、夕刻には重苦しい空模様だったが、満天星空だ。3年前に劔岳を日帰りするために車内泊した馬場島と全く同じだ。北アルプスは今回が6回目だがいずれも好天、自分の普段の行いのよさの賜物(??)か、ただ単につきか。オニギリとバナナで朝食(夜食?)を済ませて、ザックを背負いアルプうの山々30メートルばかり先の登山口へ進む。休憩所で登山カードを投入して、登山道へと進むと左手に38豪雪で遭難した13人の愛知大学生の十三重之塔を過ぎる。遠い昔のことでこの遭難の記憶は残っていないが、卒論をまとめて残り少ない学生時代を堪能していた頃なのだ。手を合わせて登山道を進む。
 登山道は1メートル近い幅があり、明瞭だからヘッデンの明るさで充分。昨日の雨で登山道はぬかるんでいるかと思っていたが、良く乾いている。1時間ほどで標高1700位になると、樹木が幾分疎らになり星空が見えるようになった。北北西に富山辺りの街明かりが見えたりする。三角点とベンチのある広場に達した。ここまで1時間40分で標準タイムにピッタリ。ベンチが設置してあるくらいだから展望が良いのであろう。復路に期待して先に進む
 三角点広場からは幾分勾配が緩み、木道を交えた登山道となる。次の1934ピークを越した鞍部にはベンチが設置してある。ここも帰りの楽しみ。浮石の登山道が続くが、先週に比べて足の故障部は影響は少なくてホットする。標高1980位からは両端が丸太で仕切られた登山道となる。最初は石畳状の登山道だが、木道あり、浮石部あり、土の部分ありと変化している。木道はキラキラ光っている。どうやら霜がついているようで、滑りやすく要注意。浮石は足の故障には決して優しくない。気温が低く発汗が少ないので歩くには好都合。前方には稜線、後方には雲海に浮かぶ山々がシルエットとして目にはいる。そのうちに沢音が左下から聞こえるようになり、北西から北にかけて広い範囲で街明かりがみえる(金沢〜富山辺りか)。更に木道を登って行くと明かりが見えて太郎平小屋に到着した。5時までに到着すれば良いと思っていたが、標準時間よりも30分ほど短い時間でついてしまった。未だ暗闇で小屋前の広場には誰もいない。小屋の玄関で出発準備している人のヘッデンの動きが分かる。
 軽くエネルギーを補給して先に進むも広場のどこに登山道が続くのか分からない。磁石を合わせて、僅かに見えている看板の方に行ってみると、登山道が見つかった。木道を緩やかに登って下ると薬師峠でテントが5張りほど見えた。トイレと水場の案内標識を見かけた。その先で薬師平方向を確認して、沢沿いの登山道へと進む。右岸そして途中で左岸に渡り、伏流になるとガレ場の登りとなる。この辺りでヘッデンを収納する。充分明るいが、道筋は明瞭ではない。遠方の印を探しながら登って行く。特に危険な場所はないが、歩きづらいのは言うまでもない。ガレ場を通過して、木道に踏み込むと薬師平で愛知大学生の追悼の大きなケルンを見る。ここから槍ヶ岳と黒部五郎岳が展望できた。これから先でも槍ヶ岳を処々で展望できた。ここで写真を撮っていると、太郎平小屋発の夫婦が追い越して行った。
 薬師平の先からは明瞭な尾根歩きとなる。登山道は当然のごとくガレているが、登りづらいというほどではない。もっと早い時刻に稜線上で太陽を拝めるかと期待していたが、6時18分に標高2650付近であった。登山道の東側により高い稜線があり、地形上の問題で仕方なし。薬師岳山荘15分の道標にたどり着いた。ここから振り返ると白山、そして処々で見た槍ケ岳と黒部五郎岳を展望する。この道標から数分で赤屋根の薬師岳山荘に到着。宿泊者は薬師岳に出発したのか、静まり返っていた。
 地形図の避難小屋のピークとその左奥に薬師岳を眺めながらガレた登山道を登って行く。この頃になると疲れが出たのか足取りが重くなる。ポツポツと小屋発の登山者が下山してくるのに出合う。荷物をデポしているのと歩き初めということで出合う人はみな足取りが軽そう。小ピークに登ると避難小屋とは名ばかり、1名が座って入れる程度の朽ちた石室である。直下の山荘が設置される前に据えたものか。傍に遭難者追悼のケルンもある。展望は山頂での楽しみと先を急ぐ。薬師岳山頂にたどり着くと山荘泊まりの夫婦が下山していった。これで山頂は独り占めとなる。360度のパナラマで目移りがして山座同定が進まない。次の人が登ってくる前にエネルギーを補給して、写真を撮りまくる。一段落した時点で持参資料を見ながら山座同定する。年一の北アルプスでは地勢を覚えていないので、すべての山を同定することは出来ない。劔岳、鹿島槍ヶ岳、槍ヶ岳、乗鞍岳、御嶽山、白山とかを同定して、あとは家に帰って写真で同定だ。今日は清澄度もよく男体山方面の山並みも写っているが、老いぼれの分解能の落ちた目と安物の3倍ズームカメラでは確認できない。普段は藪山ばかり歩いているので、望遠鏡を持ち歩く習慣がなく今日も当然持参していない。
地形図に薬師岳の圏谷群と記載があるだけに、馴染みの言葉で言うカールが目につく。北薬師岳手間に広がる金作谷カールが特に目につく。山頂には薬師堂があり、今は有峰湖に沈んだ有峰集落の信仰を集めていたらしい。

4 下山  太郎平から登山口への長い尾根下りには辟易
 ピストンは嫌いだが、北アルプスの日帰りではピストンはやむを得ずで来た道を戻る。避難小屋峰下りで薬師岳山荘か薬師平の追悼ケルン  槍ヶ岳 〜 黒部五郎岳辺りが望めるら太郎平山荘そしてその右手には今朝登ってきた登山道も見えている。薬師岳山荘を過ぎると、太郎平小屋発と思われる登山者にすれ違い始める。薬師平で槍ヶ岳を眺めながら一息入れて、ガレ場を下り始める。この辺りは今日一の嫌らしさである。ガレ場そして谷筋を下って薬師峠の天場にテントが2張り。ここから太郎平への登り返しは大した高さであないのだが、足が重い。途中から登山者とすれ違い始めた。どうやら折立を明るくなってから出発した人たちのようである。太郎平小屋前のベンチには数人が憩っていた。エネルギーを補給しながら、多分登ることはないであろう黒部五郎岳を見収める。
 いよいよ長い長い折立への尾根下りである。丸太囲いの登山道歩きは、往路では雲海に山々が浮かんでいたが、山頂での展望を楽しんできた後では、感激は少ない。標高点2196付近で劔岳が展望できたのは儲けもの。有峰湖を見ながら丸太枠で仕切られた登山道の石畳を最後に下ると、浮石の登山道歩きで足の故障部に僅かな痛みを感じるようになった。この辺りですれ違う人は、6時にゲートの開くのを待って有峰林道を通過した人たちのようだ。往路では手袋をつけた指先に冷たさを感じたのだが、今の時刻になると汗をかくほどではないが、暑さを感じるようになった。
 三角点峰付近で見る劔岳はガスってしまった。ボチボチ雲が広がりだしたようだ。ラジオの天気予報では午後は雲が徐々に拡がるらしい。明日の午後は場所によっては雨と予報している。これで明日の雨飾山は中止にする口実が出来たと喜ぶ始末。いつもこうなのだ。日帰りで15時間以上歩くスタミナはあるくが、翌日も登ろうという根性に掛けている。家に帰ったらかみさんにまた笑われそう。
 三角点峰からは勾配がきつくなり、段差部を下りるのが辛い。スリムな高齢者にあっさりと追い越された。後ろから見ていると段差をうまく膝で吸収しているのが分かる。15kgまでとは言わないが10kgばかりスリムになったら楽になるのだろうが、体質なのか横着なのか体重がいっこうに減らない。自分が悪いのだから仕方ないか。往路では泥濘は少ないと思っていたが、霜が融けたせいか泥濘が多くなっていた。十三重之塔を見て登山口に無事到着。丁度14時間で標準時間通りとなった。劔岳、槍ヶ岳や鹿島槍ヶ岳では標準時間をオーバーしているが、薬師岳は厳しい場所がないことが寄与しているのかもしれない。駐車場には昨日と同じくらい駐まっている。アルプスの百名山はどこも人気の山なのだ。

5 帰路
 有峰林道ゲート先の亀谷温泉(600円)で汗を流し帰路につく。立山ICから高速道に乗るも相変わらずガラガラ、このまま運転を続けると21時前に家に帰ってしまう。平日だから高速道料金は7300円、24時を過ぎたら半額の3650円となる。安全運転と料金割引を考慮して横川SAで4時間ほど仮眠して時間調整をした。
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