ひとり山歩き331 : 柏原新道登山口から鹿島槍ヶ岳をピストンしてきました。好天に恵まれ展望を楽しむことが出来ました。紅葉はピーク時期のようでしたが、期待ほどではありませんでした。
扇沢から鹿島槍ヶ岳(2889)日帰り
2008年10月3日(金) 快晴
1 行程
ルートマップ(GPS)  
10月2日 : 自宅(11:30) = 扇沢市営駐車場(16:15、車内泊)
10月3日 : 柏原新道登山口(1:40) − ケルン(3:05) − 石畳(4:25) − ガラ場通過(5:15-5:20) − 種池山荘(5:55/6:05) − 爺ケ岳・南峰(6:55/7:00) − 赤岩尾根分岐(8:00) − 冷池山荘(8:15/8:25) − 布引山(9:45) − 鹿島槍ヶ岳・南峰(10:50/11:20) − 布引山(12:05) − 冷池山荘(13:05/13:10) − 爺ケ岳・南峰(14:45) − 種池山荘(15:20) − 石畳(16:15) − ケルン (17:00) − 登山口(17:50) − 市営駐車場(18:05/18:20) = 自宅(2:20、途中SAで2時間仮眠)

2 自宅 − 扇沢
 扇沢登山口から鹿島槍ヶ岳の日帰りピストンを計画していたが、天候不順や歯の治療等で延び延びになってしまった。 9月24日に焼岳に登り、翌日に鹿島槍ヶ岳に登るつもりで出かけたが、焼岳登山後にその気になれず帰宅してしまった。今年はもう無理と一旦は諦めた。福島県境尾根歩きを準備していたところ、あまりにも好天が続くので挑戦意欲が湧いてきた。
 自分の脚力では、扇沢登山口から鹿島槍の往復は15時間程度と推測した。明るいうちに下山するには、早朝2時頃に登山開始する必要がある。いつもの山行のように登山口に到着して即登り始めるというわけには行かない。スタート前に登山口付近で車内泊が不可欠であり、前日の午後に車移動することにした。高速道を更埴ICで下りて、カーナビまかせで大町市を目指す。途中の県道で工事中のために迂回するなどしたが、順調に大町市にたどり着いた。扇沢スカイラインの途中でコンビに立ち寄り、食料と飲料水を調達した。扇沢の柏原新道登山口付近の駐車場にはまだ余裕あるも、沢音がやかましいので車内泊には不向きと判断して、扇沢駅の駐車場に向かう。扇沢駅駐車場のすぐ手前に市営駐車場が見えた。広い駐車場に数台が駐まっているだけ。静寂で安眠には最適と、ここに車を駐める。
 早速、登山口に偵察に出かける。登山口付近の駐車場の車はすべて無人であった。登山口で様子を見ていたら、夫婦連れが下山して来た。登山道の様子を教えてもらう。駐車場に戻り、夕食を摂って19時頃に座椅子を倒して横になる。例によってすぐに寝付いてしまったようである。

3 登山口 − 種池山荘  ヘッデン頼りに慎重に登る 登山道はよく整備され、特に危険を感じた箇所なし柏原新道の紅葉(石畳付近、復路で撮影)
 24時過ぎに目を覚ますと、扇沢駅駐車場に向かう車が多い。市営駐車場にも1台入ってきて、すぐに仮眠に入ったようである。車内でコンビニ弁当で朝食を済ませ、ザックを担いで登山口に向かう。登山計画書を投函して登山道に入る。
 柏原新道はよく整備されているので、ヘッデン頼りの歩行でも特別に危険は無い。扇沢駅の照明を樹間に見ながら高度を上げて行く。南東に大町市街の明かりが見たりする。早朝登山ならではの光景。標高1600付近で八ツ目ベンチ(八ヶ岳が見える)の標識を見る。扇沢駅の照明を時々見ながら急登を続けると、登山道の左側にWebの記録によく載っているケルンを見る。特に危険を感じる場所はなかったが、最近の体力不足と慎重さで幾分計画よりは遅れ気味。
 ケルンからは幾分は土まじりに道となり、標高2000付近で一枚岩の標識を見る(復路で確認したがどこに岩がるのか分からなかった)。駅の照明を時々見るが、暗闇での登山には慰めとなってくれる。小岩がゴツゴツし始めた。岩の表面が平坦なので、石畳と言う箇所かなと思っていたら、足元に石畳の標識を見た。すぐ先で岩がなくなって小石混じりの平坦路なって水平道の標識を見る。
 標高2250付近で沢の源頭を渡り方向を変えて登って行くと、ガラ場の標識(注意事項)を見る。このあたりでは明るくなってきたので崩落の様子が見えるようになった。砂礫状で滑り易いので、ひたすら足元に注意を払いながら通過する。途中で扇沢の源頭を通過して無事にガラ場を渡りきる。今日一の難所を無事に通過して景色を見る余裕が出来た。後方には富士山を挟んで八ヶ岳と南アルプスが見える。灌木帯を通過すると山小屋が見え出す。喘ぎながら登りきると種池山荘で、ベンチで一休み。夜明けを種池山荘で迎えようと登山口を出発したのだが、体力不足と慎重な歩きで計画よりも1時間近く遅れてしまった。

4 種池山荘 − 鹿島槍ヶ岳  快晴で展望に恵まれる  稜線上からの展望を楽しむ 山腹の紅葉は期待ほどではなかった鹿島槍ヶ岳  
 山荘のベンチで軽くエネルギーを補給して重い腰を上げる。今までの歩き具合から今日は一日苦しい歩きとなりそう。女性の単独行者を追ってハイマツ地帯を緩やかに登りだすと、周囲の展望が気になりだす。後方に針ノ木岳、左手に剱岳、前方に爺ケ岳、右手に富士山、南アと目移りがして足元がおろそかになる。登山道は広く危険な箇所がないのが救い。景色を楽しんでいる山荘泊まりの人を何人か見かける。登山道から二分ほどそれて爺ケ岳・南峰の山頂に登る。剱岳は言うに及ばず槍ヶ岳と穂高連峰それと鹿島槍ヶ岳とその稜線も展望できる。下方には扇沢駅の駐車場も目にはいる。
 景色に見とれている閑はない。登山道に戻って爺ケ岳の中央峰をトラバースする。ここからは方向が東から北に変わる。北峰に向かって緩やかに下って行くと、冷池山荘泊まりの人とすれ違い始める。山荘は混雑もなく快適だったようだ。足が思ったように伸びない。計画時間よりも更に遅れだした。途中撤退も頭を掠めるようになった。今日の展望は大体こんなもの、見るものも見てしまったので、鹿島槍の山頂を踏まなくても諦めはつく。投げるにはまだ早過ぎる!! 10時をタイムリミットに行けるところまで進もうと歩五竜岳方面 (鹿島槍・南峰から9きだすも、撤退がチラつきだすと足取りは重くなることはあっても軽くはならなかった。前方に冷池山荘が見えているのだが、思ったようには近づいてくれない。それでも単独行の女性を追い越した。稜線上は寒いくらいかと思っていたが、風もなく汗ばむ。爺ケ岳の北峰を越して鞍部への下りで、稜線西側のトラバースから時には尾根上に出ると、風が吹き抜けて涼しさを感じる。爺ケ岳・南峰で気付いたのだが、西側はなだらかで東側切れ落ちている。尾根上に出るとそれをハッキリと目にすることが出来る。鞍部(冷乗越)の少し手前で赤岩尾根分岐に達する。
 鞍部まで下ってシラビソ樹林帯を登り返すと冷池山荘に達した。宿泊者がすでに立ってしまい、ひっそりとした山荘前のベンチで景色を見る。東側に遠方の稜線がガスに浮かぶのだが、スケジュールに気を取られ見ている余裕はない。鹿島槍までは2時間半はかかる。タイムリミットの10時までにはとても到達は出来ない。布引山で撤退を頭に入れて歩きだす。
 山荘から10分ほどで天場に達した。テントは一張りで若者が出発準備をしていた。ここか剱岳方面 (鹿島槍南峰から)らは緩やかになり、右手(北東から南東)の展望が開ける。同定している閑はなく、高妻山や浅間山が展望出来たように記憶する。冷池山荘を今朝立って鹿島槍から戻る人とすれ違い始めた。小屋に荷物をデポしているのか、負う荷物は軽そう。布引山の直下で三人組みに鹿島槍までの所要時間を確かめる。あと1時間は要する。布引山で撤退か鹿島槍まで行くか、ほんの僅か考えて結論を出す。タイムリミットよりは1時間遅くなるが、なんとか明るいうちに登山口に戻れそう。もし戻れなくても、ヘッデン歩きは1時間以内で慎重に下れば問題なし、と決めて布引山を下る。
 僅かに下り登り返しになると、山頂は間近になるが240メートルも登らねばならない。左手の山腹を見ると紅葉が進んでいるが、期待していたものからは程遠い。ガレた登山道にライチョウが数羽歩いている。2メートル位までは近づいても逃げない。ライチョウと戯れている閑はない。ガレた登山道をわき目もふらずに下を向いて登りつめて鹿島槍ヶ岳・南峰山頂に達した。3人が記念撮影をしていた。ザックを下ろして記念写真の撮影をお願いする。計画よりも1時間遅れ。柏原新道の登りで遅れた分だけ遅れてしまった。途中では携帯が通じなかったが、山頂からは家に通じた。万一の場合は、山荘に泊まるかもと連絡したら、気分的に楽になった。
 エネルギーを急いで補給し、山座同定は家ですることにし写真を撮りまくる。今日は雲ひとつなく360度の展望が広がり、男体山や白根山方面も見通しが利く。光線の加減か目の分解能のせいか姿を捉えることは出来なかった。今までの展望もよかったが、山頂からは五竜岳や白馬岳方面も展望できた。もっと山座同定を楽しみたいが、いつもの山行のよう追われるように下山にかかる。

5 下山  ほぼ道標通りの時間で、明るいうち下山布引山〜爺ケ岳稜線  (鹿島槍南峰から)
 往路をひたすら下るだけ。冷池山荘で道標を見ると、爺ケ岳・南峰1.5時間、種池山荘2.5時間、扇沢出合5時間とある。この通りに歩けば、なんとか明るいうちに下山できる。でも柏原新道の往路は慎重に歩いたこともあるが、4時間35分要した。2時間30分で下るのは難しかろう。でも何とかなりそう。もう一度種池山荘で考えることにしよう。
 冷池山荘付近で2名に追い越された。爺ケ岳北峰への登りで更に1名に追い越される。足取りは重いが、自分のペースを確実に守りながら登って行く。冷池山荘に向かう登山者とすれ違う。明日の土曜日は登山者が多そう。何とか爺ケ岳・南峰に登りきった。かなり遅い歩きだと思っていたが、道標時間よりも5分遅れただけ。これから先は登りはない。足まかせで種池山荘に下ると、35分で道標の1時間よりも大幅短縮。登り足は衰えているが、下り足はあまり衰えていないようだ。
 意を強くして山荘を素通りして柏原新道を下る。下りということもあって足取りは重くない。今日一の難所ガラ場も通過してひと安心。先の見通しがついたので、下山の方が登りよりははるかに危険と、注意しながら下る余裕も出来た。水平道を通過して岩が多くなり石畳付近では紅葉も見た。順調に下りケルン付近で4人組みが歩いているのが目にはいった。ケルンの先は少しばかり足場が悪い。急がせてはいけないと、ケルンでザックを下ろしてボットルホルダーに水を補給する。ここで1名に追い越こされた。
 ほどなく4人組みと先刻の単独行者に追いつき、パスさせてもらう。八ツ目ベンチからはすでに八ヶ岳はガスっていて見えなかった。だんだんうす暗くなってきたが、ヘッデンの世話になる前に無事に登山口に到着。登山口周辺の駐車場は出発時よりは増えて満車となっていた。懐中電灯を点けて市営駐車場に向かう。着いたときには暗くなっていた。昨夜は数台だけだったが、今は広い駐車場の半分は埋まっていた。 
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