ひとり山歩き295 : 西沢金山跡から往時の道筋を辿り金田峠に登り、於呂倶羅山そして北尾根へと足を伸ばしました。金田峠への道筋は笹薮化していますが、なんとか辿れました。周辺の山では於呂倶羅山の紅葉が楽しめました。
西沢金山跡から金田峠〜於呂倶羅山(2020)〜1982尾根
2007年10月15日(月) 曇り
1 行程
ルートマップ 
自宅(3:30) = 光徳温泉(5:25/5:55) = 山王林道治山記念碑(6:15/6:30) −取付き地点(西沢金山の福祉施設跡付近)(7:00) − 作業道出合(7:15) − ガレ沢通過(8:00) − 水場通過(8:45) − 金田峠(9:25/9:40) − 1949P(10:05/10:10) − 於呂倶羅山(11:10/11:25) − 1982P分岐(11:40) − 1192P(11:55) − 山王林道治山記念碑(13:00/13:20) − 自宅(16:30)

2 自宅 − 山王林道治山記念碑
 高薙山と於呂倶羅山からそれぞれ東と北に線を引くと交わる辺りに西沢金山跡がある。この金山は明治時代に操業を開始して、昭和12年に閉山された。その金山跡付近から於呂倶羅山の北西鞍部の金田峠を越す道があり、現在でも踏跡が残っていて、掲示板でお馴染みの@記念碑 正面の山は高薙山宇都宮さんと日光稜線紀行のstarionさんが辿っている。両者のルートマップとレポートを参考に、西沢金山跡付近から金田峠に登って見ることにする。その後は於呂倶羅山経由で1982ピークを通る北尾根で山王林道の治山記念碑へ下る。
 駐車地は下山地点の山王林道治山記念碑とした。今回は7時間程度の山行なので暗いうちに歩き始める必要はない。6時に歩行開始目標で家を出た。途中で道路が濡れていて、昨夜降雨があったようだ。笹が濡れていて嫌らしいなどと考えながら、光徳から山王林道に進む。ゲートが閉ざされていて、夜間(17時ー8時)通行禁止となっている。仕方なしに光徳温泉の駐車場に駐めて、どうするか検討した。その間にゲート方面に向かった車が戻ってこないのに気がついた。ゲートは閉まっているが開けられるのだ、ということに気付いた。ゲートを留めるピンに錠がかけてなく、錠は傍に置いてある。無事通過して山王峠そして於呂倶羅山登山口を通過して栗山村(現日光市)に入る。そこから約3km先の最初のヘアピンカーブののところが広場になっていて東屋と治山記念碑が建っている。ここに車を駐めて、出発準備にかかる。最後に下りてこようとしている尾根の末端に明瞭な道筋を見かける。ロープなしで下山できるのが確認できたが、ザックの底にいれたロープはそのままとする(舗装してある林道に下りる可能性がある時は、コンクリート擁壁で下りづらいことがあるので携帯必須)。

3 治山記念碑 − 金田峠  西沢金山跡から金田峠までは薄い踏跡(古道)を辿れる
 針葉樹主体の高薙山東斜面もけっこう紅葉が美しい。今日は紅葉が楽しめるかも、勇んで山王林道のヘアピンカーブを下る。林道はかなり荒れているようで片側通行の部分が多い。ヘアピンカーブの折り返し幅がダンダン短くなり、U字型の次のV時型の底の地点で左から小沢が流れる。宇都宮さんの詳細ルートマップから推測して、ここから取付くと多少の行程短縮が期待できたが、オーソドックスにV字の左肩まで下ると、すぐ下に湯川橋が見える地点に達した。山側に薄い踏跡が見えたのでここを取付き地点とした。金田峠
 薄い踏跡に入ると、草付きの平坦地となる。踏跡の周辺にはガラスや茶碗の欠片が目に入る。金山が閉山になって既に70年が経たが、昔の生活の跡が窺える。この平坦地付近には、医局、学校、雑貨店があったらしい(日光近辺旧道 http://www.geocities.jp/matagi44/ を参照)。踏跡を追ってV字の底付近で作業に出合い、すぐ先に砂防ダムが見える。左数メートル下には林道が見える。この付近は陸夫飯場跡のようだ。
 作業道を数分進むと二つ目のダムで作業道は消える。左に第三の砂防ダムを見送って、右の涸れ沢沿いに進む。涸れ沢の左岸の膝程度の笹の中に踏跡が薄く続く。やがて右後方から尾根コースの踏跡を合わせる。すぐ先で谷筋から別れて南西へと進む。小沢に二本の丸太が渡してあり、歩く人は結構いるようだ。南西へ薄い踏跡をトラバースを続ける。針葉樹が主体だが、広葉樹は既に黄葉していて、愛でながらノンビリと歩ける。標高1600位で涸れ沢を渡り、南西から北西に向きを変えて勾配の緩やかなトラバースが続く。笹薮は濃淡あるが踏跡を見失うようなことはなく気持ちよく歩く。於呂倶羅山の北尾根先端部のトラバースを続けて、向きが再び南西に転じる地点で高薙山が多少枝に邪魔されるが展望できる。於呂倶羅山北尾根の先端を廻りこみ南に進むようになると、笹の皆無な所や胸丈の笹部を通過してガレ沢に出合う。
 二俣の中間に赤と黄テープを見て右俣の左岸に這い上がる。踏跡は今までに比べると薄くなるが、見失うようなこともなく追うことが出来る。尾根を西から南西にトラバースすると水場として活用できる小さな沢に出合う。涸れた上流へ少しばかり遡りテープを見て左岸に上がり踏跡を辿る。途中で正規ルートから踏み外したのか、踏跡だか獣道だか分からないような部分を辿る。左上に稜線を感じながら西にトラバースを続ける。峠直下で赤テープを見ると、笹は胸程度となり、かき分けて最低鞍部の金田峠に達した。水場から峠の間で一部でルートを見失ったが、大部分は正規の古道を辿ることができた。
 峠付近の少ない広葉樹は紅葉していて、滅多にしない山腹歩きがうまくできたことと相まって喜び一入。胸丈の笹は下部まで濡れている。夜露によるものではなく、昨夜雨が降ったためであろう。雨具の上は着用していなかったので、笹の深い峠を少しばかり動き回る間に全身びしょ濡れ、靴下まで濡らしてしまう。今の時期なら、雨具で完全装備で汗をかくよりは気持ちがよい。

4 金田峠 − 於呂倶羅山 − 治山記念碑  1982P北尾根は薮なしで快適に下山
 峠からは得意の薮尾根歩き、胸丈の笹を漕いで1949Pへ急登する。ますます濡れるが動いているので寒いという感じは全くない。登るにつれて笹丈は低くなり、途中で薮が消えたかに思えたが、再び腰程度の笹薮となり1949Pに登り詰めた。山頂部も腰程度の笹に覆われていて、周辺の山々が見通せる。紅葉は於呂倶羅山の西尾根が最も見栄えがする。次いで山王帽子山、三岳等は針葉樹が主体で部分的に紅葉。今日は雨は降りそうもないが、曇天で白根山や男体山はさえない。
 1949Pから少しばかり下った鞍部付近は薮は少ない。時には尾根上にシャクナゲが現れるが、左手に獣道を拾いながら進む。於呂倶羅山直下になると、シャクナゲ薮が待っている。04年4月30日に於呂倶羅山の紅葉  (1949Pから)於呂倶羅山経由で高薙山をピストンした際、この薮に捕まって苦労したので、これを避けて左側の針葉樹林の中を進むと、テープに案内されて踏跡を辿ることが出来る。踏跡を丹念に辿り、尾根上に復帰すると2分で見覚えのある於呂倶羅山の山頂に達する。山頂部は低い笹に覆われているが、三角点周辺は土が露出している。天気がよければ皇海山、白根山、男体山等が見えるのだが、遠方は霞んでいて見えない。黄に色づいた山腹のダケカンバを眺めながら軽くエネルギー補給。山名板は栃木の山紀行のみ残る。
 於呂倶羅山からは西に緩やかな下りとなるが、薮山には似つかわしくないテープ類の品評会となる。薄い踏跡は続き、これでもかこれでもかと各種のテープを見かける。テープ類絶対反対論者ではないが、こんな状態では薮山歩きの醍醐味であるルーファンが楽しめないのでは?? 薮の薄い平坦部にさしかかると左手に枝越しにこれから下ろうとしている尾根筋が窺える。平坦部の中央あたりを1982P分岐とする。
 雨の心配も時間の心配もないので、ここから北尾根を辿り山王林道の治山記念碑に下山することにした。薮が少なければ、正規のルートで1789P経由で下山して山王林道を辿るよりも時間短縮できるかもしれない。腰下の笹を掻き分けて北に進む。1982Pが近づくと笹に代って針葉樹の小薮となる。1982P(小さなコブ程度)の右手(東側)の笹原を通過する際、前方に川俣湖の一部が見える。笹斜面は歩きづらいので尾根上に復帰してコメツガ林を歩く。コメツガにダケカンバも混ざっているので、多少の色づけはしてくれる。林床は踝程度のミヤコザサだが、尾根上には土の露出した部分が続き、薮なしで快適に歩ける。これは踏跡なのか、自然に出来たものなのか判断がつかなかった。コメツガ込み合った部分もあるが、土の部分は続く。途中で、まだ錆の発生していないワイヤの巻き束が木の枝に掛けてあるのを見る。
 標高1700位で脛程度の笹が密になるが、その中に踏跡は続く。標高1680付近で人為的に尾根を削った平坦部を見る。古い空の一升瓶が一本残っている。飯場でもあったのかもしれない。更に50メートルほど下ると、とつぜん50センチ幅の道筋が右上から下っているのに出合う。この道筋を辿ると、すぐ下で木製のベンチと上方に展望台の道標を見る。南東に太郎山を見るもガスで山頂部は隠れている。更に10分ほど緩やかに道を下ると、山王林道治山記念碑に無事下山。於呂倶羅山から1時間35分、正規ルートで下山して山王林道を歩いても大体同じ。期待通りに歩けて至福の時を迎える。

5 帰路
 奥日光経由で帰ると渋滞にあう可能性があるので、川俣湖経由で帰ることにした。治山記念碑から噴泉橋13km、戦場が原9kmの標識を見ながら計算すると、約15kmの遠回りとなる。渋滞に出合うよりは早く帰れるかも。山王林道筋は紅葉はまだま先のこと。先週、女夫渕温泉から引馬峠〜鬼怒沼間を周回した際、通った県道23号川俣温泉川治線は空いていて快適なドライブを楽しむ。未踏の平五郎さんの入口である楡の木沢林道口を走行しながら確認。
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