ひとり山歩き258 : 最近整備された栃木県の中三依からのルートで太郎岳(荒海山)に登ってきました。踏跡は不明瞭な箇所あるも、赤ペンキ、ロープや道標が設置してあるので迷うことはなかった。生憎の積雪で下地が軟弱で急登部でスリップし難儀しました。雨天や積雪時には避けた方が賢明です。
栃木(中三依)ルートから太郎岳(荒海山)
2006年11月8日(水) 快晴
1 行程
ルートマップ 
自宅(3:00) = 入山沢林道ゲート(5:25/5:30) − 入山沢林道終点=太郎岳登山口(6:00) − 倉掛沢二俣(7:00) − 尾根取付き(7:05) − 尾根合流(7:45) − 大岩展望台(8:40/8:45) − 県境尾根出合(9:15) − 太郎岳(10:35/11:05) − 町村境界尾根鞍部(12:50) − 荒海山登山口(13:20) − 八総鉱山跡(13:40) − 会津高原駅(14:35/14:56) = 中三依駅(15:10) − 入山沢林道ゲート(16:00/16:05) = 自宅(18:35)

2 自宅 − 太郎岳登山口(入山沢林道終点)
 荒海山は栃木側では太郎岳と呼ばれているが、栃木側からの登山道はなかった。栃木県藤原町(現日光市)の中三依から太郎岳への登山道が整備されたことをWebで知った。地形図で検討して入山沢林道終点付近に登山口があるものと推定してみた。一週間前に湯西川の白滝から枯木山を目指したが、沢の中を歩いているときに足を踏み外して膝に痛みを感じた。そのため枯木山山行は、付近のヌーグラ沢林道の偵察と安ケ森峠直下の紅葉観賞に化けてしまった。時間があまったので車を中三依の入山沢林道口(芝草山登山口)に車をとめて、地形図も持たずに入山沢を終点目指して歩いてみた。案の定、林道終点に太郎岳登山口の標識を発見した。薄い踏跡が入山沢の左俣(倉掛沢)沿いに認められた。その日は小一時間踏跡を追って、他日を期して家に戻り地形図でルートを推定した。
 膝痛もほぼ回復したので、本日出かけることにした。昨夜の寒気襲来で積雪が心配であったが、今日は好天で暖かくなるとの予報で決行することにした。例によって明るくなったら登山道に入るべく、3時に家をでる。国道121号を北上し、中三依駅の直ぐ先の橋を渡って中三依中学校の案内を見て左折する(先週気付いたのだが、ここに太郎岳・芝草山の案内板あり)。左折して約2km先に太郎温泉(ここの駐車場に太郎岳・芝草山の登山カード投入函あり)があり、先で中の沢にかかる橋を渡った所が入山沢林道口でここが芝草山登山道となる。林道を進むと入山荘で舗装が消えるが、ダートを更に進む(芝草山登山口から約2km)と入山沢林道ゲート(破損している)がある。この先も車で進めるが、通行禁止ということになっているので手前の路肩に駐車する。
 月明かりで照明なしに入山沢左岸の林道を進む。下郷線102号巡視路口、送電線下を通過して橋を渡り右岸歩きとなる。枝沢にかかる沈潜橋を三つ通過すると、林道は二股に別れる。その分岐に太郎岳登山口の案内標識を見る。ここは北東の右下への林道を進み、直ぐ先で枝沢の沈潜橋を渡って更に進む。入山沢に架かる橋を渡って、左岸の林道を北東に2分ほど進むと、林道終点(実際にはやや幅が狭くなるが更に林道は延びている)で「入山沢6号ダム 工事道路」の白杭が広場の右手に認められる。広場左手の樹木に太郎岳登山口の標識が掛かっている。(地形図の実線の林道終点は実際とは異なっている)

3 登山口 − 倉掛沢二俣  踏跡は薄く何度も沢を渡渉する  特別な危険箇所はない倉掛沢の二俣
 入山沢の対岸の岩に赤ペンキとその右に薄い踏跡が見える。入山沢を渡渉して踏跡を辿ると、直ぐ先で入山沢の左俣=倉掛沢(「帝釈山脈の沢」白山書房による)の左岸に沿って進むようになる。踏跡は基本的には左岸に沿っているが、何度(十数回?)も右岸へそして左岸へを繰り返す。標高890位で数メートルの斜滝を大岩の左下をロープを伝って左岸を高巻いて、再び沢沿いの踏跡に戻る。途中から踏跡に薄っすらと雪が被りだしたので踏跡を追いづらい。踏跡を失ったら、対岸に続いていると考えてもよい。赤ペンキのマークがあるので、不安はない。標高920で沢は二俣に分かれるが、ここも右俣へ進む。左手に尾根を感じながら北に遡行すると、標高980で二俣に達する。ここが目標の二俣で、赤ペンキにしたがって左俣に進む。

4 倉掛沢二俣 − 県境尾根出合 − 太郎岳  刈り払いで踏跡確保、赤ペンキ・標識が整備  ハイキング気分で歩くルートではない
 左俣を5分ほど進むと右岸に太郎岳の標識が立木に掛かっている。ここが尾根取付きでロープがたらしてあるが急勾配に加えて、積雪とその下の落葉がシャーベット状になりスリップして登りづらかった。ここは下地が乾いていても急勾配で苦労するだろう。踏跡が雪で隠れているが、赤ペンキと周りにくらべて藪が少ない(刈り払い)とかで進路は取れる。北北西に枝尾根を登りつめると北西の県境尾根に向かう別の尾根に合流した。
 ここにも太郎岳と中三依への標識を見る。標識の下に「ケータイが入ります」の記載があった。ここからは灌木帯で勾配が緩やかになり、振り返って芝草山を眺める余裕もできた。踏跡は雪に尾根合流地点の標識隠れているが、赤ペンキと刈り払いで識別はできる。徐々に勾配がきつくなり、標高1300付近で大岩の右を巻いて登ると芝草山と高原山が目に映る。遠方の高い山肌はかなり白くなっているのも分かる。次の大岩を登りつめると展望台になっていて、女峰山、高原山、日留賀岳、男鹿岳まで見通せる。いづれの山も雪景色。下方の登山口方面は紅葉が目に付くが既に時期を過ぎたようだ。
 展望台からは尾根というよりは急斜面をロープや根っこに掴まりながら攀じ登るという感じ。二箇所だったかロープで攀じ登る所は、下地が緩く難儀した。尾根取付きのロープ登りも苦労したが、県境尾根直下の方が勾配がきついだけに苦労した。今日一番の難所で枝尾根の踏跡(標高1230付近)、今日のコンディションでここを下るには勇気が必要。勾配が幾分緩くなって藪の間を登りつめると県境尾根出合だ。太郎岳と中三依の標識(ケータイ可)をみて一息つく。
 ここから太郎岳までは昨年の9月(ひとり山歩き211)に密藪を漕いで下ってきたので尾根筋の記憶は残っている。その時は2時間強要したが、今日は数センチの積雪があるとはいえ刈り払いによって道筋が確保されているので労力ははるかに少ない。踏跡は雪で隠れているが雰囲気で判別できる。迷うときは樹木の枝を払った跡を探して追えばよい。途中で大岩の間を通過したが、これはまだ記憶に残っていた。スパッツを装着しているので靴底のゴムに付着した雪が団子になりストックで落としながらの歩行となる。危険を感じたのは一箇所、大岩をへつりながら狭い岩棚を通過せねばならない。岩棚は30センチ程度で雪が積もっている。岩は平面的で手がかりがない、手がかりとなるような樹木もない。仕方なしに大岩の上を藪にしがみ付きながら突破した。
 地形図に見えない小さなコブを越すと浅い鞍部で、左(南)が開けて好展望が得られる。冠雪した白根山、太郎山、男体山、女峰山、高原山が見通せる。明神岳のゲレンデが一段と白くなっている。大好きな宙に浮く筑波山も見えた。景色を眺めながら英気を養い目前に聳える太郎岳への登りにはいる。昨年はヤマグルマ、シャクナゲ、アスナロと笹の混合密藪を苦労しながら下った。その時は自分の体力と技量では登ることは不可能に近いと感じた。今は枝を切り落として踏跡を確保しているので、通るには苦労しない。急勾配の登りも掴まるものがあるので、尾根取付きと県境尾根直下での苦労に比べたらたいしたことはない。蜜藪地帯を過ぎると勾配も緩くなり、すぐに太郎岳の山頂に達した。ここには三角点が設置してあり、一般的には荒海山の東峰(稀には次郎岳と呼ぶ)と呼ばれる。三角点の傍に栃木名の太郎岳の山名板が設置してあった。
 今日は雲ひとつない好天で山頂からは360度のパノラマが楽しめる。北から七ケ岳、帝釈山方面、会津駒ケ岳、燧ケ岳、日光の山々、高原山、男鹿山塊・・・ 景色に酔っている暇はない。県境尾根から倉掛沢に下るまでの枝尾根の急勾配は雪解けが進み益々スリップしやすい。敢えて危険を冒す必要はない!! 迷うことなく通常の荒海山登山コースを辿り、会津高原駅から野岩鉄道で中三依に戻ることにした。 荒海山は三度目だが、今日も人には出会うことはなかった。

5 下山  福島側に下りて電車で栃木に戻る太郎岳山頂
 藪の間にある踏跡を辿ると5分で荒海山の西峰(太郎岳と呼ばれることもある)に達する。北に伸びる町村境界尾根を辿るのだが、積雪は県境尾根と同じく数センチだが、登山道の周りには灌木が生えているので掴みながら下れば滑落の心配はなかった。標高1350付近の平坦な尾根歩きになると雪は徐々に少なくなり、荒海川に下る町村境界尾根鞍部付近では痕跡程度しか認められなかった。登山口への沢筋下りも特に問題なし。
 登山口からは八荘鉱山跡・会津オートキャンプ場・会津高原駅へと歩く。途中の山腹の紅葉は既に時期が過ぎてしまい、足を止めるような鮮やかさはなかった。会津高原駅から中三依駅に野岩鉄道で戻り、入山沢林道ゲートまでは歩きで車を回収。 
HOME
inserted by FC2 system