ひとり山歩き211 : 荒海山から県境尾根経由で高土山まで歩く計画でしたが、荒海山東斜面と県境尾根の密ヤブに遮られえ途中でエスケープしました。結果的には登山口から荒海山ー1276ピークの周回となりました。荒海山と県境尾根のヤブは超一級でした。
荒海山〜県境尾根〜高土山(途中退却)
2005年9月17日(土) 晴れ
1 行程
ルートマップ (地形図 : 荒海山1/25000)  
自宅(1:55) = 会津高原オートキャンプ場(4:20/4:30) − 八総鉱山跡(4:55) − 登山口(5:25) − 町村界尾根(6:00) − 1251ピーク(6:35) − 荒海山西峰(8:15/8:20) − 東峰(三角点峰)(8:30/8:50) − 東鞍部(9:30) − 1276ピーク手前鞍部(12:15) − 1276ピーク(12:40/12:55) − 1112ピーク(14:15/14:25) − 登山口(15:15) 八総鉱山跡(15:40) − オートキャンプ場(16:10/16:20) = 自宅(18:55)

2 自宅 − 登山口
 6月末に荒海山〜県境尾根〜高土山を歩くべく計画したが、帯状疱疹に罹り2ケ月ほど山歩きを断念せざるを得なかった。回復するにつれてその計画が未遂であるのが気になりだした。強烈なヤブがありしかもロングウォークをするには未だ脚力不足とは思ったが、めげていては回復が遅れると勝手な理屈をつけてトライすることにした。この計画は昼間時間が長い6月末しかも体調十分を前提に立てたものであるから、現状ではかなり無理がある。
 荒海山登山口案内図を見て国道362号から左折して荒海側に沿って林道に入る。1.5km先で高土山登山口の会津高原オートキャンプ場(八総小学校跡)を通過する。計画通りならここに車を駐めておくのがよいのだが、途中からのエスケープを考えて更に2km先の八総鉱山跡を目指した。駐車地に着いたときには4時を過ぎたばかりで当然真っ暗である。エスケープ着地点の地形を探るには早すぎる。ひょっとしたら計画通り高土山から下山できるかもと思い直して会津高原オートキャンプ場に戻り付近に車を駐めた。支度を整え懐中電灯を頼りに登山口を目指した。八総鉱山跡には車1台とテント1張を見かける。荒海川沿いの悪路を進み、やがて川に下りる。荒海山登山コースの標識を見て左岸にわたると枝沢に出合う。ここが登山口である。対岸の枝尾根末端にエスケープしてくることを考えて地形を観察すると、末端はなだらかで着地は問題ないことを確認した。

3 登山口 − 荒海山  登山道は緩やかなアップダウンが多い  山頂からは360度の大パノラマが広がる日光連山(奥) 次郎岳(1560P)  荒海山西峰から
 沢に沿って北西に登って行くと、すぐ先で砂防ダムに出合う。この先は沢の左岸を一部歩くがほとんどは沢の中を歩くことになる。急勾配のところにはロープが設置してあり、特に登りづらいということはない。第4番目のロープを登りきると、田島町/舘岩村の境界尾根に登りつく。
 町村界尾根には登山道が敷設してあるが、緩やかなアップダウンが続きなかなか高度があがらないので嫌になる。尾根筋には顕著なピークはなく、しかも尾根の右直下をトラバース気味に進むので展望もなく単調な歩きとなる。1251ピーク付近で広葉樹に混ざってアスナロが目立つようになる。勾配はやや急になりロープの設置もある。根っこが張り出し、しかも相変わらずのアップダウンのトラバースで時々樹間に急峻な荒海山を認めるだけ。1380ピークを越すと様子は急変して、急登になる。三本目(と記憶)のロープを越すと、抉れて岩が露出した部分を登る。その後は灌木の間を登り左手に景色が広がる。七ケ岳はすぐに分かったがその他は調べている余裕はない。更にブッシュを十数分かき分けて進むと、左に避難小屋を見る。後学のために中を覗くと2畳程度の広さがあった。小屋から一分足らずで、見覚えのある荒海山西峰の山頂に到着した。今日も天気は良好で360度の展望が広がる。日光連山に目を向けると雲海が中腹に浮いていて素晴らしい景色だ。ガスがまだ上昇する前なので360度邪魔するものはない。
 今日は先が長いので、写真を撮ってすぐに三角点の東峰に向かう。尾根筋は密ヤブだが踏跡は続いている。今日の前途を探るために途中でヤブの中を歩いてみたが、ヤブは強烈だ!! 先が思いやられる。すぐに踏跡に戻って東峰へ急いだ。山頂には三角点と色あせた赤白ポールがあるだけ。西峰同様山頂部はブッシュのみで360度の展望が広がる。鉱山跡から西峰まで3時間なら完全回復に近いが20分ほど余分にかかってしまった。脚力回復はまだ十分ではない。しかも東峰から下る県境尾根は遠方は見えるが直近は全く見えない。東峰からの下りはかなり急勾配で尾根筋が確認できない。不安に取り付かれこのまま進むか、引くか踏ん切りがつかない。

4 荒海山 − 1276ピーク(県境稜線)  荒海山の東斜面のヤブはきつかった!! その他もヤブは強烈荒海山西峰(手前)と次郎岳(左) 荒海山東峰から
 北東の1276ピークまでは今日のコースでもっともヤブが深い部分である。1276ピークまで目標時間は3時間。そこまで行ければ、枝尾根で登山口にエスケープも可能だ。いつまでもヤブ漕ぎを躊躇していたら回復が遅れる。意を決してザックを背負う。
 混合密ヤブの中には獣道すらない。しかも急斜面で進むべき尾根筋も見えない。最初はヤブは強烈だが下り勾配が小さいので、それほどの困難を1276P感じなかった。やがて標高1500付近からは勾配は大きくなり、斜面に段差があって足が地面に届かず何度も1メートル程度ずり落ちるようになる。僅かな樹木から尾根筋を察知して、どうにか尾根に乗った。ヤブもひどかったが、蔓が絡まるのには閉口した。ヤブに隠れていて見えないからたちが悪い。鞍部まで90m程下るのに40分も要した。次郎岳〜荒海山のヤブもひどかったが、もっと強烈だ!! 振り返って山頂を見上げると、急峻でとても戻ることは不可能に思えた。ところがこの急斜面を昨年の11月22日に中央分水嶺踏査で佐藤充信氏等が登っているのだからすごい。
 鞍部からは緩やかな下りではあるが地形図に見えない小ピークがあらわれる。荒海山斜面よりはヤブは薄くなったように思ったら、又すぐに密ヤブになり思ったようには進めない。古い白リボンを途中で三箇所見つけた。大岩を右に巻いて通過すると、下り勾配が少しばかり急になり背丈程度のネマガリダケ混じりのヤブとなる。南東に芝草山とその稜線を見て、方向は東から北東に下るようになる。樹木に赤ペンキがあり薄い踏跡があったので、楽できると思ったがすぐに消えてしまった。途中で小枝に踏み込み10分ほどロスした。ロス時間はたいしたことはないが登り返しがきつい。ブナ林の背丈ほどのネマガリダケを下ると、前方にやっと1276ピークとその手前の鞍部が見えた。ずっとネマガリダケが続いているのが見える。鞍部は背丈程度のネマガリダケの中で何も見えなくなった。もうすぐ1276ピークで、そこで昼食休憩にしようと軽く考えたが。更に30分近くヤブ漕ぎをせねばならなかった。1276ピークは疎林の笹原で展望は全くない。
 荒海山から1276ピークまでは予想以上にヤブが厳しかった。3時間の予定が4時間近くかかってしまった。1276ピークからはヤブは多少薄くなるとはいえ、今の脚力では高土山までは無理、と判断して、ここのピークから北北西尾根に乗り移り登山口に下山することにした。途中退却で残念という気持ちより、よくもここまで来れた、と安堵しながら昼食を摂った。

5 1276ピーク − 登山口 − 駐車地   ヤブは少なかったが、小枝への迷い込み四度荒海山  1276Pの北北西尾根から
 北北西尾根は地形図からは特別の障害物はないようにみえる。小枝が多そうに見えるが、問題はヤブの深さだ。下り始めると県境尾根に比べると問題にならない程度のヤブである。アスナロ、シャクナゲや笹ヤブがあるが、この程度は問題にするレベルではない。助かったと思ったが、ほかに落とし穴が待ち受けていた。地形図を見た時に気になっていたのだが、紛らわしい小枝尾根が多い。途中で3回も迷い込んだ。すぐに気づき復するも、疲れた身には登り返しはきつい。アスナロの1112ピークで小休憩をとり、最後の急下降に備えた。
 アスナロやシャクナゲの目立つ尾根を下っているうちに四度目の小枝への迷い込みで15分もロースしたが、先が見えているので落ち着いて元に戻る。沢音が大きくなり、荒海川右岸に辿りついた。二分ほど下流に向かうと「荒海山登山コース」の標識が見えて登山口に無事戻れた。
 登山口からは下りではあるが、足取りは結構軽く脚力の回復を感じながらの歩きとなった。次の機会には逆コースで高土山から県境尾根を辿り1276ピークを目指そうと考える余裕すらできた。八総鉱山跡には車が三台駐まっていた。今朝とは異なるテントが一張。こんなところでキャンプするのかしら。それとも明日の荒海山登山? 足取りも軽く駐車地に戻った。
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