ひとり山歩き237 : 横川から林道を歩き、胡桃橋から尾根に取付いてひょうたん峠に上がり、尾根沿いに男鹿岳へ行ってきました。下山は県境尾根を西に下り、途中から林道に下って出発地に戻りました。ひょうたん峠から男鹿岳の稜線は雪庇の連続でした。そのおかげで那須岳、大佐飛山と会津の山々が楽しめました。
横川からひょうたん峠〜男鹿岳
2006年4月7日(金) 曇りのち晴れ
1 行程
ルートマップ 
自宅(23:35) = ジョブスおじか(旧横川ネイチャーセンター)(1:45/2:00) − 白滝橋(3:10) − 胡桃橋(尾根取付き)(3:50/4:10) − 1210ピーク(5:15) − 尾根合流(7:20) − 標高点1642(7:55) − 1730ピーク(8:20/8:55) − ひょうたん峠周辺(9:10/9:30) − 1730ピーク(9:40) − 1754ピーク(女鹿岳)(11:25) − 男鹿岳(12:05/12:35) − 県境1280ピーク(14:15) − 男鹿川出合(14:55) − 胡桃橋(15:35/15:45) − 白滝橋(16:20) − ジョブスおじか(17:40/18:00) = 自宅(20:30)

2 自宅 − 横川
 遠方から男鹿岳・鹿又岳・日留賀岳稜線を眺めるたびに、残雪の時期に行ってみたいと思っていた。先月、枯木山付近からその稜線を見て意欲が益々強まった。先ずは稜線の様子を探るためにひょうたん峠に上り、周辺のピークへ登ってみることにした。
新雪の影響を受けないよう慎重に決行日を選ぶ。前日は好天だったが、一昨日に雨が降り意欲が湧かなかった。今日は高気圧の谷間で曇りだが荒天はないので決行だ。いつものように早出で雪の締まっているうちに距離を稼ぐつもりで、日付の変わる前に家をでる。日帰りで零時前に家を出たのは多分初めてであろ。国道121号は暗いうちに何度も走っているので問題なく、ジョブス男鹿への林道口までは来た。そこから約2kmはどんな道かと心配していたが、多少水溜りがある程度で全然問題なくジョブス男鹿のゲートに達した。50mほど戻って左側のスペースに車を駐めて、即準備にかかる。気温は1℃で風もない!! 今日は冷えるはずだが、防寒着は下だけにした。

3 ジョブスおじか − ひょうたん峠  雪がよく締まって歩き易い  凍結の急斜面で消耗大佐飛山(左)と1870P  (1730Pから)
 林道は除雪してあり僅かに残る雪はよく締まっていて歩きやすい。横川放牧場のC団地入口看板の少し先に除雪用のキャタピラが駐めてあった。これから先は積雪が断続し、やがて連続となった。4月1日に男鹿岳に登った栃木の山紀行さんのものと思われるワカンの古い跡が認められる。ヘッドランプ頼りで、うまく尾根取付きが見つかるか心配であったが、沢を渡るときに橋の名称がなんとか確認できたので、現在位置がすぐに判明した。渡る橋の順序は「栃木の山283+」の山部さんの1年半前の男鹿岳の記録を参考にさせていただいた。白滝橋、桂沢橋、高泉橋と渡り男鹿川の左岸歩きとなった。次の橋が尾根取付きの胡桃橋と心の準備を整える。いよいよ胡桃橋と名盤を調べたが、あいにく雪で隠れている。暗闇の中で慎重に確認、林道の進む方向と渡った枝沢の方向から間違いなく胡桃橋に達したと判断して、アイゼン装着して尾根に取付いた。
 尾根先端は崩れかけていて登りづらかったが、すぐに尾根上に出る。急勾配で雪が段差を作っているので歩いているというよりは攀じ登っているという感じ。カラマツとクロベの尾根を暫く急登すると1210ピークで、この先記念碑のスペースハウスは尾根が細り小さな雪庇が発達していた。登りだすと尾根幅は広くなり前方に尾根合流点が見えて急登を覚悟させられる。振り返ると会津の白い山々が見えるが同定をしている暇はない。標高1400を越すと急勾配となり、ダケカンバが目立つようになった。新雪が数センチあるも締まっているので踝までもぐる程度。やがて勾配は益々急になり針葉樹林の中で雪は締まっているというよりは凍結といった方が早い。今日のコースではもっとも労力を要した。南側尾根との合流点に青リボンを見かけた。ここを下るのは難儀すること必至、願わくば別のルートをと祈る。
 尾根合流点からは幸い勾配が緩やかになったので呼吸を整えながら歩く。右手に時々鹿又岳付近が目に入る。標高点1642付近で向きを南東にしばし急登を続けると前方が開けた1730ピークに達した。ここからは大佐飛山と1870ピーク(名無山)、那須岳と大倉尾根、男鹿岳が展望できた。茶臼岳の中腹から白煙もひょうたん峠から男鹿岳を望む 塩那道路は左斜面(樹木の下)認められる。ここでこれからのルートを検討した。案を三つ持ってきた。@大佐飛山ピストン。 A鹿又岳・日留賀岳経由で横川放牧場に下る。 B男鹿岳経由で県境尾根から胡桃橋付近に下る。ここまで登ってくるのに急勾配で消耗し、時間的にも30分は余分にかかってしまった。@案は時間切れで明るいうちに胡桃橋に下りられるか微妙。自分の能力を越すと考えて諦める。A案もB案も時間的には問題ないだろう。予想できないような困難が待っているかも知れない、と弱気になる。主目的のひょうたん峠付近の偵察だけで往路を戻るか。それでは冒険がなさ過ぎる。B案なら男鹿岳から林道へのルートは4月1日の栃木の山紀行さんの報告を参考にできる。いろいろ考えた結果、もっとも可能性の強いB案をとることにした。そうと決めたら、急に腹が減ってきた。那須岳を眺めながら朝食とする。
 男鹿岳に行く前にひょうたん峠付近を偵察せねばと尾根を南に下ると平坦地で、前方にスペースハウスの上部が雪上に見えたので行ってみる。塩那道路は雪の下でなんとなく分かる程度。記念碑のてっぺんが雪面レベル、小屋は殆どが雪の下で使えそうにない。近くによって見ると、ドアは微開で前面の雪は周辺と比べて汚れていない。最近どなたかがスコップで除雪して小屋に泊まったような感じを受けた。ひょうたん峠の大佐飛山への取付きを探って、今日の主目的のひとつは達成した。

4 ひょうたん峠 − 男鹿岳  雪庇の発達した裸尾根状態で展望良好
 ひょうたん峠から男鹿岳方面への塩那道路は斜面になっていて、とても歩けそうにもない。1730ピークに戻って尾根上を歩くことにした。1730ピークからごく僅か下ると男鹿岳まで尾根筋が見通せるようになる。東側に張り出した雪庇の連続だ。3月25日の県境から枯木山稜線の雪庇に見劣りしない。枯木山のときは樹林側を歩けば高所にいるという感じはなかったので恐怖感はなかった。今日の尾根筋はもっとも嫌いで苦手な裸尾根状になっている。なぜか裸男鹿岳直下の雪庇(1754Pから)尾根を歩いていると谷底に引きずり込まれそうな恐怖感が生じて脚が出なくなってしまう。引き返そうと思ったが雪庇は広いので西側を歩くようにした。張り出し側に近いところは比較的平なので歩くには都合よいのだが、どうしても斜面歩きになり返って危険なのは分かっているのだが、どうしようもない。最近は雪庇の上を恐々とはいえ歩けるようになっただけ進歩したと言うか慣れたというか。こんなところへやってくる人はひょうたん峠−男鹿岳を一時間強で歩いてしまうようだ。へっぴり腰で一歩ごとにピッケルを突き刺しながらの歩きではどのくらいかかるやら推定もできない。 いくらなんでも時間切れということはあるまい。幸い晴れ間も広がってきて遠望が利くようになってきたので、景色を眺めては気を紛らわす。西側は白い山一色だが、同定している余裕は全くない。
 いよいよ1754ピーク(女鹿岳と呼ぶ人もいる)への登りで50m程度だが、いままでより厳しい雪庇が待ち受けている。たった50mの登りに30分もかかってしまった。1754ピークの山頂は雪が深く樹木の先端部が雪上に覗いている程度。ほっとして男鹿岳を見ると同じような雪庇がまだ続いている。更に30分で男鹿岳の平坦な山頂部にたどり着いた。真新しいスノーシュー跡追ってゆくと、栃木の山紀行さんの山名板を見つけた。三角点はいうに及ばず他の山名板は雪に埋まっている。
 男鹿岳は一昨年の9月19日に山部さんと初めて出会ったのがこの山頂で思い出の山の一つである。そのときは感激で景色を見る余裕もなかったが、那須岳が間近に展望できた。大佐飛山は山頂部からは樹木の陰だが、手前で眺めてきた。スノーシュー跡を追ってみると福島側に伸びていた。下山に備えて那須岳を眺めながら昼食を摂る。

5 男鹿岳 − ジョブスおじか  県境尾根のルーファンは問題なし 林道歩きで踏み抜きの連続男鹿岳山頂
 スノーシュートレースと分かれて県境尾根を西へと下る。ダケカンバ疎林の広い尾根を前方に会駒、七ケ岳等会津の山々を見ながら下るのだが、今までのように雪庇がなく安心して進めた。踝ないし脛まで沈むので適度なブレーキとなって快適、と油断していると気温上昇で雪が緩み時には踏み抜きがあるので注意。やがて尾根筋は狭まりシラビソとクロベの樹林帯に入る。ルーファンは容易だが、標高1400付近で方向を西から南西に変わる時は手前に小枝尾根があるので若干紛らわしい。すぐに方向を再び西に戻すと、すぐ先で平坦な細尾根歩きとなる。針葉樹林の中で雪庇と凍結部があり、またもや歩みが遅くなる。平端部から30mほど登り返すと1280ピークで左(南)にクロベの枝尾根が認められる。
 この枝尾根を南南西に下ってゆくのだが、途中からカラマツ林になると雪が緩み踏み抜きの連続となる。下りなのでワカンをつけずに我慢して下ってゆくと男鹿川に出合う。飛び石を利用して対岸に渡り、川に沿ってほんの少し進むと古いワカン跡があり、すぐ先で林道に出合う。とちのき橋を渡り10分も進むと、ひょうたん峠への取付き点の胡桃橋に辿りついた。
 ここでアイゼンを脱ぎピッケルを収めてストック歩きとした。ここからは脛までの踏み抜きの連続で、ワカンを装着すればよいものを例のものぐさで苦労の連続。5月末の桐生24時間・100kmウォークの訓練などと負け惜しみを言う始末。往路では暗闇で橋しか認識できなかったが、地形図と比べ林道筋を確認しながらの歩きとなる。白滝橋の先で除雪部分になると楽になった。ジョブス男鹿のゲートに戻ると、明日は山王峠から男鹿岳にテント泊で行くという二人組みとしばし立ち話。
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