ひとり山登り196 : 栗山ダムから大日向山往復、そして栗山ダム北岸尾根伝いに夫婦山まで歩いてきました。大日向山へは残雪が少なく、思ったより楽に往復できました。栗山ダム北岸尾根は笹薮が残雪に隠れ快適な歩きができました。
栗山ダムから大日向山(1176.5)〜夫婦山(1341.6)
2005年4月8日(金) 晴れ
1 行程
ルートマップ (地形図 : 川治 1/25000)  
自宅(3:20) = 栗山ダム駐車場(5:25/5:40) − 栗山ダム北端尾根取付き(6:05) − 1180ピーク(6:20/6:30) − 東電巡視路出合(6:55) − 147号送電鉄塔(7:00) − 1030ピーク(7:15) − 大日向山(8:00/8:20) − 1030ピーク(8:50) − 147号送電鉄塔(9:00) − 尾根取付き(巡視路から)(9:10) − 1180ピーク(9:50/10:00) − 1204ピーク(10:20) − 1270ピーク(10:50) − 夫婦山(11:25/11:50) − 大岩(12:05) − 車道出合(日蔭牧場)(12:25) − 栗山ダム駐車場(12:45/13:00) = 自宅(15:10)

2 自宅 − 栗山ダム
 お馴染みの山部さんは厳寒の1月に深雪の中、栗山ダムから大日向山を往復している。Yoshiさんは11月に栗山ダムから月山〜大日向山〜夫婦山を周回している。自分には深雪の中を大日向山を目指す技量はない。Yoshiさん程の精神力とスタミナがないので、藪を漕いで三座を周回するのは難しい。小佐飛山〜長者岳の尾根を先週歩いた際、残雪歩きがとても楽しかった。今年は積雪が多いので、ひょとしたら大日向山〜夫婦山の尾根には残雪があるのではと、急遽実行することにした。残雪期なら三座周回も可能性があるが、月山は一度登っているので、時間と余裕があれば登ることにして準備を進めた。ここにひとつ問題がある。デジカメを舗装道に落とし故障してしまった。最近は使っていないデジタルビデオカメラを利用することにした。
 例によって早朝に家を出る。栗山村日蔭集落に近づくにつれて周辺の山々は未だかなり白い。残雪歩きが楽しめるかもしれない、と期待しながら県道23号から左折して栗山ダムへの舗装道に入る。この道は完全に除雪されているので快適なドライブができる。いくつかの開放されたゲートを通過し、懐かしの夫婦山登山口から夫婦山を見上げると、南斜面のせいか雪はついていない。車から見える月山の斜面はまだかなり白い。トンネルを通過すると直ぐ先が栗山ダム駐車場である。さすがにこの時期、この時間帯にここへくる人はいない。

3 栗山ダム − 大日向山  南斜面の勾配は急だが、山頂部は樹林の中の広い笹原
 栗山ダムへ向かう途中で、赤薙山周辺が良く見えるので、ビデオで撮影を始めたらバッテリー交換のサインが出るではないか。バッテリーは充分充電してきたのに、おかしい!! どうやら長年使用したバッテリーは劣化しているようだ。以後はビデオ撮影は止めてスチールカメラとして使用することにした。バーベキュー広場への道から分かれてダム方面に歩を進める。ダムの南端に達すると風が強い。帽子を飛ばされないよう手で抑えながら歩く。風は強いが気温は8℃あり体感温度もそれ程低いことはない。ダムの北端に着くと、土捨場の杭が立っていた。ここが今日の登山口で、ここから藤原町/栗山村境界尾根に取付く。
 北北西に向かう尾根にはミヤコザサが付いているが薄い踏跡が認められる。登って行くにつれて残雪の島々模様が大きくなってゆく。夫婦山と大日向山への分岐である1180ピークには30cm程度の積雪があった。気温が高いために表面は軟らかく踝まで潜る。大日向山までは町村境界尾根を辿るのだが、1180ピークの境界線上は急勾配なので、先ずは北北西の尾根を146号送電鉄塔まで下って、巡視路を辿って147号送電鉄塔に行き、そこからは境界尾根を進む事にする。
 尾根上の雪の状況がわからないので先ずは壷足で下ってみることにした。残雪は30cm程度で軟らかく、踝まで潜ってしまう。アイゼンもワカンも無用と壷足を続けることにした。標高1100位からは残雪は少なくなり、尾根の前方に146号送電鉄塔と右手に147号送電鉄塔が枝越しに見えるようになった。146号送電鉄塔まで下る大日向山の山頂つもりであったが、両者の中間に向かう小枝尾根があったのでこれを下った。標高1000付近で東電巡視路に出合う。巡視路の大部分は雪下だが、147号送電鉄塔に向かう道筋は何となくわかる。途中で何回も膝まで踏み抜いたが容易に147号送電鉄塔に辿り着けた。鉄塔付近からは北東に高原山、前方に前衛峰の1030ピークと大日向山が聳えいる。ここでショッキングなことを見てしまった。大日向山斜面の植林から杉花粉の白煙が舞い上がっていた。聞いてはいたが見たのは初めて。幸い花粉症とは今までのところ無縁なので、安心して先に進む。
 雪の消えた境界尾根筋は自然林で低いミヤコザサが生えているが、歩行の妨げになるほどではない。前衛峰の1030ピーには容易に達した。前衛峰からほんの僅か下った鞍部を通過する。山部さんは左下の蜂ケ沢から積雪の中を急勾配をものともせずに登ったのだ。雪がなくてもとても辛そうだ!!  他人事ではない、尾根は消えて急勾配の斜面が待ち受けていた。斜面には障害物はないが、喘ぎながら登る。標高にして150m、時間にして30分の奮闘で勾配が緩やかになると残雪歩きとなる。雪下には胸高さのクマイザサが隠れている。残雪は軟らかく踝まで潜るが、藪に比べたら比較にならないくらい楽な歩きができる。残雪を数分歩くと三枚の山名板のある大日向山山頂にたどり着いた。
 山名板は山部さん、RKさんと黒羽山の会のものであった。樹林の中で展望はあまりよくないが、南西に赤薙山と夫婦山、北東に高原山が伺える程度。戻りの準備をしていると今年初めてのウグイスの鳴き声が聞こえた。

4 大日向山 − 夫婦山  栗山ダム北岸尾根は残雪で笹薮が隠れ快適に歩けた
 栗山ダム北西の1180ピークまでは往路をそのまま戻る。大日向山の南斜面の急降下は難なく通過したが、1180ピークへの登りは急勾配と腐れ雪に往生した。月山と栗山ダム (北岸尾根から)
 1180ピークからは北西に境界尾根を辿るのだが、尾根上には数メートル幅で残雪が残っている。場所によっては痩せ細っているが雪庇も残っていた。気温上昇で表面が緩み踝までもぐるが、胸丈のクマイザサが隠れているので快適な歩きができた。クマイザサは場所によって多少の濃淡はあるが夫婦山山頂まで続いているようだ。この笹薮をこいで夫婦山まで行ったYoshiさんのタフネスにはいつものことだが驚嘆させられる。
 1180ピークから500メートル南西の1204ピーク(小ピーク)あたりは真南に月山と栗山ダムを見ながらの緩やかな登り。更に北西に尾根を辿ると前方に夫婦山が目に入りだす。所々で雪が消えるが藪はまだ寝ているので歩きに支障はない。向きを南西から北西に変える1270ピーク付近では女峰山や高原山も明瞭にみえたが、今市や矢板方面は晴れてはいるが霞んでよく見えなかった。夫婦山山頂
 次の1180ピークあたりからは残雪が途切れるようになったが、クマイザサはまだ立ち上がっていないので楽な歩きができた。短時間で歩くには結果的には最適な時期であった。3月ならば雪庇も発達していてもっともっと気持ちよい歩きができるかもしれない。標高1300位になると朽ちた鉄条網が尾根に沿って残っていた。山頂が近づくと尾根の左手(南側)に日蔭牧場からの薄い踏跡を見る。2年前の4月28日に月山に登った後に、このルートで夫婦山に登った時のことを思い出した。当時はまだ充分に地形図も読めずに所定のルートから外れてヤマツツジの酷い藪を突破せねばならなかった。東に高原山、西に女峰山を見てひと登りすると、夫婦山の山頂に着いた。
 山頂の南側は開けていて赤薙山周辺、月山と栗山ダムが素晴らしい。残念なのは今市、矢板方面が霞んでいることである。三角点は30cm程度の残雪に隠れていたが、山部さんと黒羽山の会の山名板が目に付いた。あるホームページに3月13日の写真が載っていたが、その時の積雪は1メートル以上はあったのだが、一ヶ月足らずで殆ど融けてしまった。この写真から判断して、もう少し残雪は多いと思っていたのだが・・・  山頂部は笹原の筈だがまだ雪原だった。だましだましつかっていたビデオのバッテリーが完全に放電してしまった。

5 下山  薄い踏跡を辿って日蔭牧場へ
 南西方向を定めて山頂の雪原から藪の中を下ってゆくと、山影に隠れていた西北が開けて田代山・帝釈山から根名草山・金精山辺りまで見通しが利き今日一番の好展望である。県境稜線は手前の稜線に比べ一段と白い。雪はまだかなり残っているようだ。下方に残雪を乗せた尾根筋が見えるし、所々にテープと踏跡を見かけるので安心して下る。明瞭な尾根に乗ると痩せ衰えた雪庇が残っていたが、その左(南)側の寝たままの笹原を歩く。尾根上の大岩からは下方に見える数本の松を目指して、南南東に下る。ヤマツツジの藪の中にも踏跡がありこれを追った。数本松からは今度はほぼ南にカラマツ林を下ってゆくが、あちこちに踏跡とテープ類を見かける。前方が開けて日蔭牧場内の車道に飛び出した。直ぐ傍にゲートがあり、目指す登山口に無事下りられた。
 月山をどうしようか考えながらダム駐車場に歩いて戻る。時間的にも体力的にもまだまだ余裕は充分だが、一度通ったルートには意欲が湧かなかった。カメラ代わりのビデオのバッテリーが放電してしまったことを口実に家路につくことにした。 
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