ひとり山歩き145 : 百村山から黒滝山経由で大佐飛山を日帰りピストンしてきました。この時期は黒滝山から大佐飛山の稜線は残雪で覆われています。そのためヤブこぎからは開放され、思ったより楽に大佐飛山の山頂を踏むことができました。
大佐飛山(1908m)登山
2004年4月16日(金) 晴れ
1 行程
自宅(0:50) = 東電18号巡視路口(巻川林道)(2:45/3:00) − 木ノ俣巻川林道出合(3:25) − 百村山(4:00) − 双子山(1467P)(5:30/5:35) − 山藤山(1588P)(6:05/6:10) − 黒滝山(7:05/7:15) − 西村山(1776P)(7:40/7:50) − 大長山(1866P)(9:00/9:10) − 大佐飛山(10:15/10:50) − 大長山(12:00/12:05) − 西村山(13:10) − 黒滝山(13:45/13:55) − 山藤山(14:30) − 双子山(15:05) − 百村山(16:05/16:10) − 林道出合(16:35) − 東電巡視路口(17:00/17:10) = 自宅(19:05)
2 自宅 − 登山口大佐飛山 (標高1850m付近)
 ホームペジで見る大佐飛山は頂上を踏むのが非常に困難なようである。無雪期には稜線のヤブに行く手を遮られる。。残雪期はヤブからは開放されるが、日帰りは難しい。このような深山に登るのは自分にはありえない。単なる夢の夢に過ぎないと思っていた。
 ところが、高原山探訪のYoshiさんが4月11日に11時間で百村山から単独日帰りした。Yoshiさんの歩行速度を自分のと比較すると、15時間あれば日帰り可能という結論を得た。鷹ノ巣から平ケ岳ピストンを12.5時間、銀山平から皇海山ピストン13時間の経験がある。15時間はそれ程恐れる時間ではない。問題は慣れない雪庇歩きである。これも今月の12日に百村山〜黒滝山〜鴫内山周回である程度経験している。気力・体力とも充実している今を逃す手はない、日帰りを決断した。万一を考えてツェルト泊に必要最小限の装備を整えた。
 15時間という長丁場であるから当然早朝のスタートとなる。暗闇でのスタートだから知らない所は間違いの元、と12日と同じく巻川林道の東電沼原18号巡視路口と決めた。  
3 18号巡視路口 − 黒滝山  暗闇のスタートにもかかわらず、二度目の道で約1時間短黒滝山東側鞍部
 この区間は4日前に歩いているので、ひとり山歩き144百村山・黒滝山・鴫内山周回を参照願う。
 前回との大きな違いは、まだ真っ暗な3時に歩きだしたことである。ヘッドランプの明かりでも知った道だから特に問題はなかった。むしろ廻りの景色が目に入らないので歩くことに集中できた。ふもとの街明かりは飛行機から眺めている感じで、孤独感は全然なかった。三石山(水準1257m)付近で4時半に消灯したが、歩くのには充分な明るさであった。
 河下山(黒滝山手前)の登りで、新しい複数のアイゼン跡をみた。4日前にはアイゼン跡はなかったので、昨日登ったグループがいたのだと思った。
 途中で地形図を確認したり、景色に見とれたりしなかったせいで、急いだつもりはないが前回より約1時間短縮できた。雪庇歩きになれたことも寄与している。 
4 黒滝山 − 大佐飛山  残雪が連続、ヤブからは開放される  展望も楽しめる
 4日前に鴫内山へ行くときに鞍部まで通っているので問題なかったが、黒滝山から西村山へのルートは少し分かりづらい。踏跡を辿り最初は西へそして北西に下るのだが、残雪の踏跡を追えば迷うことはない。残雪がなければ石楠花のヤブに悩まされるだろう。その代わり今日のように気温が高くなると多少踏み抜くのは止むを得ない。鞍部では左に鴫内山への稜線を見ながら踏跡を辿ると、赤リボン大佐飛山登り (標高1850付近)が西村山への取り付きを教えてくれる。稜線にたどり着くと、形の崩れた踏跡に混ざって複数の新しいアイゼン跡が西村山に向かう。どうやら河下山で見たアイゼンの主達は大佐飛山に向かったようだ。展望のない西村山(水準1775m)に難なく着いた。
 今までのところアイゼンの必要性は感じなかったが、念のために軽アイゼンを着用して大長山に向かった。西村山を下り始めるや、前方が開けて大長山と右前方に那須連峰が見えるようになる。北西に進む稜線は残雪が連続しているので、ヤブの心配はない。鞍部付近で3張りのツェルトをみる。大佐飛山にでかけているようだ。大長山への登りは西側は樹木でブラインドになっているが、東側には雪庇が連続していて、狭いスキー場のゲレンデを歩いているような錯覚に陥る。未だ9時前だが雪庇の先端からは雫がたれている。雪融けがドンドン進んでいるのが分かる。残雪も緩くなり始めて、踏み抜きも増えてきた。
 大長山が近づくと、左手の樹木の合間から日留賀岳と長者岳から鹿又岳に続く稜線が見えるようになる。大長山直下で左手が切れて、南西ないし南に日光連山、と高原山まで見通せた。高原山の手前に送電線のある峰が見えたが、弥太郎山か。西には日留賀岳方面も見える。今までは右手の那須連峰しか展望できなかったので、しばらくの間景色を楽しむ。そこからコメツガ林を15分程登り大長山の山頂に着くのと同時に、大佐飛山戻りの同年輩の男女各2名のグループに出逢う。群馬県太田市から来て、昨晩は鞍部のツェルトに泊まったとのことであった。これでずっと続いていたアイゼンの主も分かった。山頂には青色のMWVの山名板が数枚同じ立木に取り付けてあった。リーダー養成のために定期的にこの山域にきているようだ。
 大長山から下り始めるとすぐにコメツガ林を抜けて、間近になった大佐飛山が目に入る。前方にゲレンデ状に雪庇が伸びて、足跡が筋状に見える。このような経験は始めて益々気分爽快となる。しばらくは緩やかな下りで、大佐飛山頂那須連峰が楽しめる。茶臼岳、朝日岳、三本槍岳が明瞭に見分けられる。
 鞍部からほんの僅か登り返すと、山頂部が平坦な1813ピークに達する。大長山からは北に進んできたが、このピークからは再び北西に向かっての登りとなる。雪庇部は樹木がないので、常に日を受けながら明るい所を歩く。そのせいか不安感は全く生じない。大佐飛山への登りは緩やかで、コメツガに混じってシラビソも目に付くようになる。山頂が近づくにつれて踏み抜きが増えた。雪でハッキリしないがこのあたりは石楠花と笹が下に隠れているようだ。山頂直下は勾配が緩やかで、なかなか頂上に到達しない。ダケカンバが増えだすと、やっと念願の大佐飛山山頂に到着した。Yoshiさんが6日前に来た時には山名板が雪に埋もれていたが、今日は雪の上に現れている。雪融けがドンドン進んでいるいるのが分かる。
 夢の夢の大佐飛山に来ることができた。思ったよりは簡単だった。ヤブこぎは皆無に近く、深雪に悩まされるとこともない。時期がよかったのであろう。今の時期なら多少山歩きになれた人なら誰でも登れる山だ、と感じる。深山なので日帰りは誰にもできるわけではないが、先刻の4人グループが証明しているように一泊すればそれほど難しいことはない。
 山頂は樹林の中で展望はない。高原山、鹿又岳と長者岳の稜線が枝越しに伺えるだけ。帰り道も長いので、ゆっくりはできない。記念写真を撮り、帰り支度にかかる。 
5 下山  夢の夢の日帰りも無事達成
 往路と全く同じルートを辿る。往路の歩きと異なる点だけを記したい。
 気温が上がり雪が軟らかくなり、軽アイゼンに雪が付着しだしたので、下りでは取り外した。登りでも必要はなかったと思う。踏み抜きが往路に比べ俄然増える。足跡を追っているつもりだが、思わずズボッとくる。大佐飛山から黒滝山の所要時間は往路と同じく約3時間要した。疲労よりも気温上昇による雪の緩みが起因している、と思う。
 西村山を下り、黒滝山へのルートも足跡を追うことで難なく解決。黒滝山に戻って一安心。これで明るいうちに下山できる確信を得た。ホットして飲む水はうまい!! 
 黒滝山からの雪はかなり緩くなっていた。足を降ろすだけでひとりでにキックステップを踏んでいるようで踏跡が深くなる。下るにつれて、残雪が切れて山道に移ると、疲労で脚力が弱り制動が利き難い。残雪部を歩いた方がはるかに楽。三石山(水準1257m)下りでカタクリが咲き始めていた。百村山を過ぎるとかなり咲いていた。
 東電18号巡視路の急勾配の下りになると、脚が思うように動かない。転倒しないように立木にすがりながらの哀れな姿となる。巡視路口に戻り、自分の車を見たらホットした。計画の15時間に対して14時間。銀山平〜皇海山往復13時間よりは楽だったように感じる。
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