ひとり山歩き645 : 五十里湖から鶏頂開拓〜川治温泉を古道・高原越えと川治古道で歩いてきました。廃道になって久しいのですが、いまだに道筋は残り、紅葉と相まって楽しく歩くことができました。
高原越え〜川治古道(五十里湖〜鶏頂開拓〜川治温泉)
2016年11月7日(月) 晴れ
1 行程
@コースタイム : 自宅(2:00) = 国道121号駐車地(五十里湖ダム手前のパーキング)(3:55/4:05) − 海尻橋(4:45) − 高原越え取付き(5:30/5:50) − 大畑沢右岸尾根到達(6:20) − 標高点889(7:05) − 馬の背(崩落地)(7:40) − 鶏頂開拓フェンスゲート入り(9:35) − 墳墓群先フェンスゲート入り(10:30/10:45) − 磁石石(10:50/10:55) − 川治・大下村跡分岐(11:50) − 林道歩き(11:55/12:05) − 平方山駐車場(12:35) − 下山(国道121号出合)(12:50) − 駐車地(13:20/13:30) = 自宅(15:25)
Aルートマップ
2 自宅 − 五十里湖
 月17日(ひとり山歩き625)に鶏頂開拓から狸原山に登り、二方鳥屋山に行く途中で鶏頂開拓のフェンス際で「←会津西街道」なる標識を見かけた。その時は、どこかに現在の会津西街道につながる道筋があるのだろうと、軽く考えていた。最近、弊掲示板でおなじみの@宇都宮さんが、高原越え(五十里湖〜鶏頂開拓〜大下村跡)を歩かれた。それを機にネットで高原越えを調べいるうちに自分も歩いてみる気になった。@宇都宮さんは舗装道歩きを含めて36kmを11時間で歩かれたが、自分の脚力では日中時間の短い今の時期にはとても無理。少しでも短縮するルートはないか検討しているうちに、@宇都宮さんのルート途中から分かれて川治温泉に下る川治古道なるものがあることを知った。これを利用すると、トータルで27km程度で、何とかなりそう。
 ネットで調べると、前者の高原越えの記録は少なく、がりつうしん(高原越えのよき案内・・・高原越えで検索)とYoshiさんの記録を参考にした。川治古道についてはネットで多数の記録がヒットする。ここではYoshiさんの記録を参考にした。下山後の舗装道歩きを極力少なくするべく駐車地は川治温泉から五十里湖ダムサイトの間の適当な場所をさがし、高原山取付きを明るくなる6時ころと決めて家をでた。川治温泉付近に駐車地が見つからなかったので、五十里湖ダムサイトと決めて車を進めると、ダムサイト約1km手前にパーキングがありここに駐車した(車載温度計5度)。
 時間調整をすることもなく、すぐにザックを担いで出発すると、気温はそれほど低くないのだが風が強く寒さを感じながらひたすら歩く。2004年(だったかな)に五十里バイパスが開通してからは、海尻橋を渡ったことがなかった。バイパスよりも旧道の方が少し距離があるが、記念のために旧道を歩くことにした。道路状況はよく整備されていて、走行には何ら支障はなさそう。大畑沢橋を渡って、約400m先で家(民宿等)を数件見かける。すぐにバイパスと旧道が合流し、その約400m先の道路右手に小さな標識「下野街道」を見かけた。ここが高原越え取付きで、取付きのすぐ上にも「下野街道」と会津西街道口」の標識が見える。駐車地が川治より先になってしまったせいで、取付きに早く到着してしまい時間調整をする。自動車で走行していたら、この標識を見つけることは至難の業であろう。 
3 高原越え(取付き〜鶏頂開拓)  道型明瞭、藪こぎなし 危険個所一か所あり 紅葉を楽しむ
 6時まで待ってスタートしようとしたが、舗装道歩きで汗ばんだ身体に寒さを感じ、待ちきれずにヘッデンを点けて斜面に設置した階段を上る。階段を上り南へ折り返すと、道筋は明瞭で、下野街道の標識を二ヶ所で見かけた。最初の折り返し地点付近に石仏があるらしいが、暗くて見落としてしまった。道筋は安定しているので、6時ころにヘッデンを収納。うす暗い中にも周辺には紅葉の雰囲気が漂う。約30分で大畑沢右岸尾根に到達、ここからは南東から北東に向きを変える。

高原越え取付きの標識


大畑沢右岸尾根到達(標高730)


標高860〜880付近の様子
 道筋は大畑沢右岸尾根を南から北を繰り返しながら緩やかに登ってゆく。依然として道型明瞭で、紅葉を楽しみながらのノンビリ旅。すると道型が消えてしまった。ここで本日唯一の道ロスト、戻ることなく斜面をズルズル滑りながら軌道修正(少し戻れば楽だったのだが、力仕事が好きで斜面登りでいつも苦労する)。ほどなく標高点889の直下を巻いて通過。
 道型は明瞭で藪は皆無、樹木の紅葉もさることながら、色づいた落ち葉をサクサクと踏みながらの歩きは快適。北側が植林から自然林にいつの間にやら替り、950級の小ピークから北〜北東に山並みが枝越しに見えた(塩沢山〜二方鳥屋山かな、鶏頂開拓までに遠方の山を感じたのはここだけ)。右手が崩落し細くなった踏跡部を通過すると、大嫌いな馬の背が待ち構えていた。左(北)側は崖、右(南)は樹木はあるがかなりの傾斜。バランスの悪い自分には、こんな痩せ尾根と岩場が大の苦手。山に行くと、いつも心しているのは「マーフィの法則」(失敗する可能性のあるものは失敗する=可能性のあることは何時かは起こる)と「物は高きより低きへ」(唯一の例外:お金だけは低所得者から高所得者へ流れる)。岩場なら巻いて通過を心掛けている。でも馬の背は巻きようがない。数メートルの長さだが注意しながら渡ってホットする。

標高950付近 落ち葉もきれいだ


左: 馬の背少し手前 右: 馬の背(写真では右手が緩やかに見えるが、写真よりも急で落葉を踏むと滑る
 馬の背を越すと、明瞭な踏跡をノンビリ歩き(廃道になって久しいのに藪が皆無なのは不思議)。途中で倒木のオブジェを見るもまた楽し。標高点1060ピークの南側を巻いて通過し、その東鞍部付近は踏跡が錯綜している。一番北側の踏跡を追って進み、向きが東から南に転換した。@宇都宮さんのマップでは、石碑があるらしいのだが見逃してしまった。注意力不足か、辿った踏跡が異なったのかは不明だが残念。
 進行方向が南南東から東に変わる標高1120位になると、まばらではあるが下草は低い笹となる。むろん歩行には全く影響なし。標高1150を超すと、低い篠だけ(今の時期は枯れている)が現れるも道筋は通っている。笹道を南南東に緩やかに登りながら進むと、小沢(涸れ気味)を渡りさらに進むとガイドのトラロープが展張してある。深い笹の中に踏跡は複数あるようだが委細構わず進むと、鶏頂開拓のフェンスに突き当たった。フェンス沿いに少しばかり進むと、3月17日(ひとり山歩き625)に狸原山から二方鳥屋山に向かう途中で見かけた「←会津西街道」の標識を見た。標識の前にゲート(扉)があったが、ひもで縛ってあるので、さらに進んだ地点で鶏頂開拓ゲートIN

倒木のオビジェ 左: 標高980の切通 右: 標高点1060の南東


左: 標高1120あたりから下草が 右: 小沢を渡る 笹が増えるも道筋は明瞭


左: 案内のトラロープ 右: 鶏頂開拓のフェンス


←会津西街道の標識 左: 今回 右: 3月17日に見かけた・・・やはり道はあったのだ
 ゲートIN(競馬みたいだね)して鶏頂開拓の作業小屋を通り抜けるのは気が引けて、少し回り道して舗装道に出る。すぐ北側には電波塔。前回は北に進んだが、今回は南下。鶏頂開拓からは見晴は良好で、北から日留賀岳、高原山(前黒山、明神岳、釈迦ケ岳、鶏頂山)、日光連山(女峰山、太郎山、白根山)等を眺めながら南下してゆく。法華題目道標を見逃してしまった。二体の石像を見て、日塩もみじラインへの道を左に見送って右の道へと進む。藤田農園の横を過ぎると、左手に墳墓群を見て撮影のために立ち寄る。舗装道の終点でフェンスのゲートに突き当たる。ここでエネルギー補給しながら地形図の確認。

左: 舗装道出合(標高点1233) 右: 女峰山、太郎山 白根山(冠雪している)


左: 石像(日塩もみじラインへの分岐) 右: 藤田農園(この突き当りに川治古道への入口フェンス)


左: 墳墓群(江戸時代のもの?) 右: このフェンスからゲートIN 以降、電話線が目印となる
4 川治古道(鶏頂開拓〜川治温泉) 道型明瞭 特に危険個所なし
 フェンスのゲートを開いて中に入り、フェンス沿いに踏跡を5分ほど進むと日光市指定文化財の磁石石に到達。看板横の岩には「文久三年 下ル」と彫り込んである(注:文久三年=1863年) 村人のやるせない気持ちが伝わってくる。
 以降も道筋は明瞭だが、万一迷ったら尾根伝いに設置の電話線を追えばよい。九十九折坂の標識を見てジグザグ下りとなる(標識はここという地点に設置しあるので助かる。でも標識は小さいから見逃さないように)。標高1080あたりで石像と大岩の上に石碑を見かける(がりつうしんに説明あり)。道筋は明瞭で林道と見紛うほどの幅広部分もある。

磁石石 (説明版の栃木保新道は栃久保新道のミス?) 文久三年下ル・・・村民の無念さが伝わる)


左: 紅葉と電話線がちょくちょく目に入る 右: 九十九折坂の標識 (要所にこのような小さな標識あり)


標高1080あたりの石像と石碑


左: 標高1000付近 右: 川治温泉・大下村(二ツ屋)跡分岐 (標高880)
 注意点は標高880付近で川治温泉・大下村(二ツ屋)跡分岐で、川治方面は右(西南西)に下る。次の注意地点は林道出合から下って林道右手の小さな標識を見逃さないこと。林道別れからも道筋は明瞭で、ジグザグに急降下すると平方山駐車場に達する。ここからは平方山遊歩道を下る。途中で鶏頂山神社の石碑と鳥居を見かけるも神社には寄らずに遊歩道をまっしぐらに下り、無事、国道121号に下山。国道を五十里ダム方面へととぼとぼ歩き30分で駐車場に到着。周辺の山腹はきれいに紅葉。
 今日は馬の背で唯一ヒヤヒヤしたが、他は藪を漕ぐこともなくノンビリと紅葉を楽しみながらの歩きで寿命が延びたかも。

左: 林道出合 右: 林道別れ (小さな標識を見逃さないよう)


平方山駐車場からは遊歩道を下る


標高530あたりで 鶏頂山神社の石碑と鳥居・・・川治温泉にある里宮は文久3年(1863)、高原新田宿が廃村となり、その住民が当地に移住した際勧請されたものと云われている http://www.totitabi.com/kawaji/keityou.html


左: 下山地点(国道121号出合) 右: パーキング

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