ひとり山歩き64 : 北温泉から中の大倉尾根経由で三本槍岳〜朝日岳〜茶臼岳と周回してきました。例年よりも積雪は少なく楽な点あり、その反面,予想外の苦もありました。寡雪とはいえ素晴らしい雪景色が楽しめました。
北温泉から三本槍岳(1916)〜朝日岳(1896)〜茶臼岳(1915)
2016年3月5日(土) 晴れ
1 行程
@コースタイム : 自宅(1:20) = 北温泉駐車場(3:40/3:50)- 北温泉(4:05) - 尾根上到達(4:35) - マウントジーンズスキー場最上部(5:30) - 中の大倉尾根出合(北温泉分岐)(5:50) - 清水平分岐(8:00) - 三本槍岳(8:35/8:55) - 清水平(9:55) -標高点1900(10:20/10:30) - 朝日の肩(10:55) − 朝日岳(11:05/11:15) - 朝日の肩(11:25/11:35) - 剣ヶ峰(12:20) - 峰の茶屋(12:35/12:45) − 茶臼岳(13:45/13:50) - 峰の茶屋(14:20/14:40) - 峠の茶屋(15:10) - 大丸登山口(15:35) - 北温泉駐車場(16:05/16:15) = 自宅(18:45)
Aルートマップ
2 自宅 - 北温泉 積雪は少ないが、歩行に影響するほどではなかった 目に映る景色は白さが足りない・・・今年は寡雪だから仕方なし
 積雪時の茶臼岳〜朝日岳〜三本槍岳稜線歩きは、栃木の山では最高のお気に入り。積雪時にこの稜線は何度も歩いているが、三座同時に歩いたことがない。脚力が年々衰えているので、今年あたりが最後のチャンスと機会ををうかがっていた。先月には大丸温泉スタートで挑戦したが、那須名物の強風で峰の茶屋にも届かぬうちに追い返されてしまった。早朝にスタートすると峰の茶屋付近の強風に追い返されてしまうので、逆回りで北温泉スタートで計画を練り直した。
 モチベーションと天候が合わなかったりで、山行間隔が開くばかり。本日を逃すと天気は下りとなる。でも、前日は東京でクラス会と諦め気分となった。クラス会(暇人の集まりだから昼間開催)から戻って、天気予報をチェックすると本日決行しかありえない。すぐに支度をして床につく。4時間ほど就寝して、軽く朝食を摂り家を出る。本日は天気予報では気温が上がるので、どんなコンディションには対応できるよう、スノーシュー、アイゼン、チェーンスパイクとピッケルをザックに収納、おまけに飲料水も普段よりも多め。ザック重量は約10s、通常の雪山山行に比べたら2〜3kg重い。寝不足と重荷で気持ちも重い。
 北温泉駐車場へは何度も行っているので、特に問題はない。途中のコンビニで食料調達、道の駅で体重調節(?)。道路の雪は全くなく、北温泉駐車場近くで、シャーベット状の雪が少しだけ。北温泉駐車場の周りに積んだ除雪も少ない。車載温度計マイナス2度
3 北温泉 - 三本槍岳  例年に比べたら積雪は少ないが、歩行にはほとんど影響なし
 北温泉から三本槍岳〜朝日岳(ひとり山歩き509) と 大丸温泉から朝日岳〜三本槍岳〜中の大倉尾根(ひとり山歩き587) の写真集を参照願えれば今回の寡雪状態がよくわかる
 雪山ならどこでもござれの装備で駐車場から北温泉へと下ってゆく。除雪してはあるが、路上に多少の雪が残っているのでスリップに注意しながらの歩き。北温泉の露天風呂の裏側に回り沢にかかる橋を渡る。積雪が少なく道筋を見失うようなことはない(過去にはここから道筋がわからず撤退したことあり)。
 山腹のトラバースは雪が少なく、登山靴だけでなんら問題なし。稜線が近づくと積雪は連続になり、僅かな区間で道筋を失い笹薮漕ぎとなってしまったが、すぐに軌道修正できて尾根上に到達できた。尾根上はよく締まっていて、靴底が沈む程度。消えかかったトレースを拾いながら尾根に沿って登ってゆく。林道を横断するころになると、暑くて上着を脱ぐ。夏道分岐あたりからは急登になるとともに、雪面から笹がかなり露出しているので、これを避けながらの登り(記憶では過去の山行に比べて笹の露出が多い)。笹から解放され勾配が緩むとマウントジーンズスキー場の最上部に達する。
 スキー場の管理道路に沿って歩く間は本日一番の楽な歩き。中の大倉尾根出合(夏道の北温泉分岐)まで下って、道標付近には笹がはみ出していて、これから先も積雪が少ないだろと判断。これが楽になるか苦になるかは、現時点では知る由もなし。

左: 北温泉から尾根へのトラバースの雪はあっても少ない 右: 夜明け前のマウントジーンズスキー場・・・静かでいいネ


中の大倉尾根出合(北温泉分岐) 右の写真は13年3月4日撮影
 スノーシューのトレースを追って進む。靴底が沈む程度(時々踝まで)で、早朝歩きの有難さ。13年3月4日の写真と比べてもわかるように積雪は少ない。今のところ、積雪の多寡は関係なく歩ける。灌木地帯も終わる地点で風が強くなってきたので、上着を着用するとともに、これからの急登に備えてチェーンスパイク装着(必要性はあまり感じないが、装着したほうが楽だろうと)。
 赤面山分岐を過ぎた標高1820付近のガレ場から風当たりが強くなる。気温が高いから寒さは感じないが、三本槍岳付近はどうなのかな、とちょっと心配。スダレ山から下るにつれて風はおさまり、清水平分岐の道標地点にたどり着く。付近の雪面に出ている灌木も記憶に比べて高いようだ。正面に三本槍岳斜面のトレースは見えるが、清水平方面には見当たらなかった。三本槍岳への斜面登りはトレースが入り乱れている。時には脛まで沈むが、場所を選んで(雪面が小さく波立っている箇所)歩けば足の沈みは小さい。急斜面を登り切って平坦になると小藪がでていて、快適とは言えない。三本槍岳山頂は地肌が露出し予想通り。前回(13年3月4日 スノーシュ歩き)と北尾温泉からの所要時間がほぼ同じで、積雪の多寡はここまではあまり関係なかった。


標高1560付近から茶臼岳と朝日岳 右の写真は13年3月4日撮影・・・白さが違う


標高1560付近から 左: 前方にスダレ山 右: 右手に赤面山


スダレ山直下から 左: 朝日岳と1900ピーク 右: 旭岳(中央)と甲子山、大白森山


左: 清水平分岐から旭岳 右: 三本槍岳は間近
 山頂から見る景色は白さが足りない。多少物足りない点はあるが、ここから眺められるだけでも満足せねばなるまい。何年か後には写真で楽しむだけになっているのだから・・・こんなこと考えると侘しくなってしまうヨ。


三本槍岳山頂から 左: 男鹿山塊 流石山・三倉山尾根 右: 旭岳


左: 1900Pの上に朝日岳〜茶臼岳〜日の出平 右: アップで流石山・三倉山尾根
4 三本槍岳〜朝日岳〜茶臼岳  本日に限ってはストックだけでよかっただろう  白景色がまだら模様で
 気温が上昇するとチェーンスパイクはぽっくり下駄になってしまうので、脱いで何もハカンで山頂を下り始める。15.年3月17日(ひとり山歩き587)に清水平から三本槍岳へは、アイゼン歩きでショートカットをした例に倣い、コンパスを1900ピークに合わせてショートカットを狙ったが、二匹目の泥鰌はいなかった。寡雪でハイマツが雪面に出ていて、踏み抜き地獄になってしまった。こんなこともあろうかと背負ってきたスノーシューを装着。それでもハイマツ地帯だから沈みは大きく、早く脱出せねばともがく。しばらくもがいていると前方をカップルが北温泉分岐方面へ歩いてゆくのが目に入った。そこまで行ってみると、先刻のカップルのトレースが明瞭、足の沈みはほとんどない。ここでスノーシューを脱ぐか迷ったが、取り外すのが面倒でそのまま進むことにした。
 清水平の木道は雪の上、というよりかは付近は白と黒が半々という感じ。1900ピークへ登ってゆくと、朝日岳方面からの登山者とすれ違い始める。アイゼンの人もいればハカンの人もいる。なんでスノーシューなんて履いて歩いているのだろうと奇妙に思ったであろう。標高点1900ピークでスノーシューを脱ぎ、先付けでアイゼンを装着し、軽くエネルギーを補給。


清水平の少し手前から 左: 朝日岳と1900ピーク 右:1900ピークの右奥に男鹿山塊


清水平から朝日岳と1990P 左: トレース 右: 木道


1900ピークから 左: 朝日岳と茶臼岳 右: 三本槍岳
 熊見曽根分岐方面は地肌が露出しているて、アイゼンの先付けは大失敗。岩に足を取られないよう注意しながらの歩きで速度はあげられない。今日は三本槍岳以降は先読みが稚拙。朝日の肩につくと登山者が多くなる。アイゼンを履いている人もいれば履いていない人も多い。ましてやスノーシューを担いでいる春団治は他にはいない。
 ザックをデポして山頂に向かう。雪はまだらについているだけ。前回、北温泉から来たときは、何もつけずに登り、下りで山頂直下の凍結部を恐る恐る下った。今回はアイゼンを履いているから安心。朝日岳山頂部には数人が景色を楽しんでいた。風景の写真を数枚とり、自撮り棒で自分を写して下山。


熊見曽根分岐(隠居倉分岐)から 左: 朝日岳 右: 隠居倉 


朝日岳直下から 左: 山頂 右: 茶臼岳〜剣ヶ峰


朝日岳山頂からのパノラマ 
 朝日の肩に戻り、エネルギーを補給して、トラバース部の様子を聞くと、雪はほとんどなしでアイゼンも不要とのことだった。先に進んで再装着するのは面倒で履いたままとする。前回剣ヶ峰方面から来た時には、トラバースは靴幅程度であったが、今日は春道というよりは初夏の道といった感じ。手すり設置地帯の岩場もアイゼンのひっかけを注意して鞍部に下りると恵比寿大黒の道標を見る。ここは基本通りに目前の恵比寿大黒岩目指して登ってゆく。この岩を過ぎると連続の雪面となる。アイゼンを履いているので安心して登り詰めると、剣ヶ峰山頂で、山部3Dと栃木の山紀行の山名板が目に入った。先に進むと子抱地蔵が姿を現す。剣ヶ峰からの下りは雪はなく、ガレ気味の斜面を注意して下ると、すぐに峰の茶屋に到着。


左: トラバース 雪はほとんどなし 本日はアイゼンは邪魔物 右: 手すり地帯から剣ヶ峰


左: 恵比寿大黒岩 右: 剣ヶ峰(山部3Dと栃木の山紀行の山名板健在)から茶臼岳


左: 剣ヶ峰の子抱地 右: 剣ヶ峰からの下り前方に峰の茶屋
 茶臼岳に登らずこのまま下山してしまうと積雪期に三本槍岳〜朝日岳〜茶臼岳稜線を縦走することは、今後は先ずないだろう。後悔しないよう茶臼岳に登ることにした。今日の積雪状態では、中の茶屋付近へ直接下山すると植生を痛めそうでやめるべき。そうなら、峰の茶屋に戻るので、ザックをデポして登ることにした。登り始めたら、大腿が攣ってしまった。2、3分立ち止まって休むと引き攣りは治った。2月11日の編笠山(ひとり山歩き622)では大腿の引き攣りに悩まされたが、それ以後の山行ではバナナを控えているせいか引き攣りはあっても軽い(医学的根拠は??)。今日は初めての引き攣りだが、それ以降はなんともなかった。
 標高1850あたりまでは雪は断続していたが、以降は山頂直下までほぼ連続。下山者数人とすれ違いながらの登り、茶臼岳山頂に到着。雪景色はパットしないのですぐに下山にかかる。山頂と三角点の中間あたりで何ケ所かで岩の隙間から湯気が噴出していた。今までにこのあたりで湯気を見た記憶はないのだが。下る途中ですれ違う人はいなかったから、自分が本日最後の登山者だったようだ。峰の茶屋に戻り、アイゼンと上着を脱いで荷物を整理して下山にかかる。


茶臼岳の標高1800付近 左: 雪が連続になるのは標高1850あたりから 右: 朝日岳


左: 茶臼岳山頂 右:南月山 白笹山 日の出平
5 下山
  中の茶屋まではほとんど雪がない。アイゼンを外したのは正解だった。樹林帯に入ると積雪は連続となり。雪面は緩み足元が滑りスピードを上がられない。アイゼンを再装着するほどでもなくそのまま、下ってゆく。峠の茶屋駐車場で朝日岳を見納めにして。冬道のトレースを追う。山麓駅から下は道路の除雪は済んでいるようだが、冬道を歩く。大丸登山口に下山。
 大丸からは舗装道歩き30分で、北温泉駐車場に無事到着。駐車場は満杯になっていた。
 今日は春山というよりは初夏のような温かさだった。積雪状態が読めずに、不要物を持参したり、装着しないでよいものを装着して歩いたりで、余分な苦労をしてしまった。


左: 峰の茶屋から下山道 右: 中の茶屋


左: 鳥居  15年3月17日には鳥居の貫が埋まりそうだった 右: 峠の茶屋駐車場から朝日岳
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