ひとり山歩き607 : 飛越トンネルから北ノ俣避難小屋に一泊して黒部五郎岳をピストンしてきました。特に危険箇所はありませんが、避難小屋までは展望もなく泥濘に悩まされました。避難小屋からは樹木もなく復路では展望を楽しめました。
飛越トンネルから黒部五郎岳(2839)
2015年9月14日(月)〜15日(火) 両日とも晴れ時々曇り
1 行程
@コースタイム : 
第一日 自宅(2:50) = 飛越トンネル駐車場(9:30/9:50) − 神岡新道分岐(11:55) − 寺地山(12:55/13:00) − 北ノ俣避難小屋分岐(13:45)− 避難小屋(13:50)
第二日 避難小屋(0:10) − 太郎平分岐(2:30) − 北ノ俣岳(2:45) − 赤木岳(4:05/4:20) − 中俣乗越(5:00) − 黒部五郎岳の肩(7:05) − 黒部五郎岳(7:25/7:40) − 黒部五郎岳の肩(7:55/78:05) − 中俣乗越(9:40) − 赤木岳(10:45) − 北ノ俣岳(11:55/12:00) − 神岡新道分岐(太郎平分岐)(12:15) : 避難小屋(13:34/14:05) − 寺地山(15:20) − 神岡新道分岐(16:50) − 飛越トンネル駐車場(19:45/20:05) = 自宅(9/16 6:25)
Aルートマップ
B写真集

2 自宅 − 飛越トンネル
 易老渡から光岳のピストンを計画していたが、易老渡への林道で落石が多発しているようで行く気が失せてっしまった。それで年一の北アルプス訪問に切り替えることにした。12年9月26日(ひとり山歩き490)に新穂高温泉から笠ケ岳をピストンした際、抜戸岳〜笠ケ岳稜線から眼にした黒部五郎岳にいつかは行ってみようと考えていた。日帰りはとても無理なので、飛越トンネルから北ノ俣避難小屋に一泊すれば、可能性があると判断して準備を進めた。
 初日は北ノ俣避難小屋に泊まるには10時頃に 飛越トンネル登山口をスタートすれば充分に明るいうちに避難小屋にたどり着ける。高速道料金節約のために、4時までに高速道に乗れるように家をでる。松本ICまで260km、高速道を下りてから飛越トンネルまでは約100kmの計360km。二度ばかり行ったことのある新穂高温泉までは320kmで約40km距離が長いが、初日は歩く時間は約5時間だから問題なし。北関東道、上信越道経由で長野道の松本ICで高速道をおりる。高速道を下りると、丁度通勤時間帯で一般道は渋滞中。新島々バスターミナル以降にはコンビニはなさそうなので、最初のコンビニで食料を調達。上高地への分岐からは車は少なくなり、安房有料道路はETCが利用可。新穂高温泉への分岐を過ぎると通行量は更に少なくなる。全面舗装道で工事区間もなく快調に車を走らせ飛越トンネル駐車場に到着(車載温度計15度)。先着の二人組が出発準備中であった。急いで車中で朝食を済ませ準備をしていると単独行者2名が相次いで到着。今日は一人旅ができるだろうと思っていたが、豈図らんや今夜の避難小屋泊りは5名。月曜日は連休後で少ないと思っていたが・・・ 他の人達は今夜は寂しい思いをしないで済むと喜んでいる(本心はどうかは不明だが)、こちとらはガッカリ。
 
3 第一日(登山口 − 避難小屋) 泥濘に悩まされる 危険箇所はないが小さなアップダウンが多い
 先着の二人組み(78歳と74歳・・・小屋で知る)の後を追って、準備してきたカードを投函して登山道に進む。今日はゆっくりと言っていたが、かなりの健脚者だ。あっという間に見えなくなってしまった。送電線鉄塔で景色を見ていた二人組に追いついた。評判通りの泥濘が多く、ゆっくり歩いているようで下りになると追いつく格好になる。そのうちに後続の単独行者2名が追いついてきた。先行者に引っ張られ、後続者に押されるようで自分の歩きよりは早くなる。これではバテてしまうので、後続者に追い越してもらおうとしたが、今日は急がないのでと前に出てくれない。ひとり歩きなら写真を撮ったり地形図に書き込んだりしながら立ち止まって休むのだが、後続者に悪いようで、つい急いでしまう。そのうちに5人が相前後して歩くようになった。
 寺地山山頂でシャッターをお互いに押して、先へと進む。今までの道筋は特に危険箇所はなく、樹林の中のアップダウンが多い。今日は疲れがないのであまりアップダウンは気にならなかったが、復路では悩まされた。展望は寺地山のすぐ先で南側が開けているだけ(ガスで遠望は利かなかった)。途中に小さな湿原状の草地を何度か目にする。寺地山から下って登り返すと樹木が切れて北ノ俣避難小屋分岐に達した。ここから木道を5分ほど下ると避難小屋に到着。計画では5時間で歩く予定だったが、同行者達に引きずられて4時間。
 小屋は10名は泊まれるというが少し窮屈な感じ。5人では程々のスペースが確保出来た。翌日は0時にスタートするので、出入り口に近い場所を譲ってもらった。駐車場に後続の単独者の一人は黒部五郎小屋まで足を伸ばすので同じく0時スタート、残りの3名は4時スタートとのこと。水は小屋前で得られる。翌日の水を確保すると、あとは何もすることはなし。しばらく雑談して夕食を摂って18時半頃シュラフにもぐる。

飛越トンネル登山口


左 : このような泥濘に悩まされる 右: 時にはこんな小さな湿原


左: 寺地山山頂で 右: 北ノ俣避難小屋
4 第二日の往路(避難小屋 − 黒部五郎岳)  北ノ俣岳〜赤木岳は暗さとガスで何度か道筋探し 特に危険箇所はない
 23時半に起床して、シュラフを袋に詰め込み、握り飯を食べて出発準備完了(シュラフとマットは小屋にデポ)。小屋の外でスパッツを装着しようとするもファスナーが閉まらず諦めて雨具のズボンを着用。その間に黒部五郎小屋まで足を伸ばす人は出発していった。避難小屋分岐から15分ほど木道を歩く。暗くてわからないが樹木は殆どない草原地帯を登ってゆく。道筋はガレのえぐれ道だが、かなりの部分で登山道の脇に踏跡がついている。時々振り返っては富山市街地の灯りを見る。山道から市街地の灯りを見るのが大好き。高度があがると低い這松が支配的となる。道筋は確保されているので、下半身がずぶ濡れになるようなこともなく、昨日のような泥濘がないから安心して歩ける。主稜線直下でガスが発生し気温が下がっているようなので雨具の上着を着用した。主稜線に到達して二三分進むと木道が現れる。太郎平分岐でここは道標を確認して右へ進む。
 木道はすぐに切れてガレ気味の道を行くのだが、尾根幅が広くなり道筋がわからなくなる。GPSで確認しながら進むと北ノ俣岳山頂で山名標柱が見つかった。山頂の先も幅広のガレで道筋を何度も見失う。下るに連れて尾根筋が狭まり道筋が明瞭となるも何度か外しては戻るを繰り返す。地形図では標高点2622が赤木岳となっている。ここは左(東)側を巻いて通過。このピークを下って登り返すと岩場が現れ、岩に白○印が見えたのでこれを追うと山頂に達した。山頂部にはケルン状のものがあったが、はたと困ってしまった。道筋が見つからない。GPSで確認してこの岩場を注意して下ると、道筋が現れ赤木岳の道標が設置してあった。このピークを赤木岳というようで、白○の岩場には巻道があったのだ(ガスで巻道が見えず白○だけがハッキリ見えて、山頂に登ってしまった)。
赤木岳の道標からは道筋も明瞭で迷うこともなく、何度か小ピークを越しながら約150メートル下ると中俣乗越らしい場所に達したが、道標は見つからなかった(復路でも見かけなかった)。

左: 避難小屋分岐から少しの間木道歩き 右: 後方に富山市街地の灯り


ガスで道筋を失いながら進んで 左: 北ノ俣岳の標柱 右: 赤木岳山頂のケルン?(巻道が見えなかった)


左: 中俣乗越付近でやっと明るくなり始める(左のピークは赤牛岳?) 右: 標高2500あたりで黒部五郎岳が確認できた
 中俣乗越を過ぎると、前方の空がが明るくなり、赤牛岳や黒部五郎岳が確認できるようになった。黒部五郎岳の肩に達すると、ザックが幾つかデポしてあり山頂を目指す人が見え、更にはポツポツとカールの方から登ってくる人が確認できた。自分もザックをデポして山頂を目指した。約20分で念願の黒部五郎岳山頂に達した。晴天ではあるがガスが上昇中で周辺の山々は稜線と山頂部が姿を現すだけ。計画よりも一時間近く遅れてしまった(遅れの最大要因は暗くて道筋が確認し辛かった)ので、山頂に長居はできない。ガスの切れるの待っては写真を撮る。

黒部五郎岳の肩の少し上から 左: カールへ下る登山道が見える (後方は赤牛岳〜水晶岳) 右: 黒五山頂への稜線


黒五山頂から 左: 槍ヶ岳〜穂高岳 右: 抜戸岳〜笠ケ岳 (乗鞍岳と御嶽山も頭を出している)


左: 薬師岳 立山 (白馬岳付近) 赤牛岳〜水晶岳 右: 赤牛岳〜水晶岳〜鷲羽岳
5 第二日復路 (黒部五郎岳 − 避難小屋 − 登山口)  避難小屋から登山口まではかなりのアップダウンに悩まされる
 黒五の肩でエネルギーを補給。往路では暗くて景色を楽しめなかったので、堪能しながら自分のペースを守りながら下ってゆく。黒部五郎岳〜太郎平の縦走者は多く追い越されたりすれ違ったり。赤木岳で避難小屋を4時に出発すると言っていた三人に追いつかれた。今までに出会っていないので、不思議に思っていたが、どうやら黒五の肩からの下りで東側を下った(三人は自分の往路と同じく西側を通った)ためにすれ違ったようだ。
 北ノ俣岳でエネルギーを補給しながら、所要時間を推測する。計画よりも約2時間遅れ(原因は、往路での道探しとガレで速度を上げられなかった。更には昨晩の睡眠不足が祟っているようだ)。これからは下るだけなので更に大幅に遅れることはないだろうと楽観視。神岡新道分岐付近で昼食を摂っている単独行者とすれ違う(推測するに今朝に飛越トンネルを出発したのであろう)。神岡新道は樹木がないので、気持よく歩ける。道筋は抉れのガレ道が多いが脇に踏跡がついていて歩きやすい。計画通り2時間で避難小屋まで下れた。デポしておいたシュラフとマットを収納して下り始める。
 避難小屋からは下り一方とあまく考えていたが、昨日よりは疲労の蓄積した足腰には小さなアップダウンが堪える。歩行速度がドンドン遅くなるのが分かる。泥濘を避けるのも煩わしい。下山は暗くなるのを覚悟、17時半頃だったか、後ろから声を掛けられる。神岡新道分岐で昼食をとっていた人だ。あれから黒部五郎岳を往復してきたとのこと。飛越トンネルから日帰りだ(ヤマレコにはこんな健脚者の記録をよく見かける)。 18時過ぎにヘッデンをつけて下って行くが、高低差は小さいがアップダウンが多いのには辟易させられる。「飛越トンネルすぐそこ」の標識を見てからも長かったこと。無事に登山口に到着。車が1台(前泊のようだ)。本日の行程時間19時間半。多分、いままでで最長だろう。 

黒五の肩付近から 左: 中俣乗越〜赤木岳〜北ノ俣岳 右: 薬師岳〜(立山)〜赤牛岳


中俣乗越付近から 左: 赤木岳(中央、その右に北ノ俣岳)への登り 右: 薬師岳〜赤牛岳 中間の谷間に五竜岳


中俣乗越付近から 左: 黒部五郎岳 右:赤牛岳〜水晶岳〜鷲羽岳


北ノ俣岳山頂 左: 後方は赤牛岳〜水晶岳〜鷲羽岳(右奥に大天井岳) 右: 幅広のガレた山頂(往路ではガスで先が見えず道筋を探す破目に)


左: 神岡新道の主稜線別れから避難小屋への稜線 右: 避難小屋分岐上の木道と池塘 
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