ひとり山歩き594 : 仁下又沢を詰めて残雪の錫ケ岳に登ってきました。仁下又沢源頭までは難しい所はありませんが、北東斜面は急傾斜、雪の膨らみと針葉樹ヤブで苦労しました。
仁下又沢を詰めて残雪の錫ケ岳(2388)
2015年5月6日(水) 晴れ
1 行程
@コースタイム : 自宅(0:25) = 菅沼白根山登山口(2:50/3:00) − 丸沼高原スキー場口(3:30/3:45) − リフトおおひろ基部(4:55) − 大広河原(仁加又沢林道出合)(5:05) − 取水口(5:35/5:45) − 二俣(錫水場分岐)(7:00) − 沢源頭部(8:05/8:15) − 錫ケ岳(9:45/10:15) − 錫ケ岳東鞍部(標高2200)(10:40) − 仁下又沢出合(11:30) − 二俣(錫水場分岐)(11:40) − 取水口(12:40/12:55) − 大広河原(13:25) − リフトおおひろ基部(13:45) − 丸沼高原スキー場口(14:50/14:55) − 菅沼白根山登山口(15:55/16:10) = 自宅(18:40)
Aルートマップ 
B写真集
2 自宅 − 魔r沼高原スキー場
 ここ数年、5月上旬になると残雪の錫ケ岳が山行の対象となる。その経緯は、HP「群馬山岳移動」の重鎮さん(現在は鎮爺さん)が99年5月に丸沼高原スキー場から仁下又沢経由で残雪の錫ケ岳に登られた記録を見つけ、08年7月17日(ひとり山歩き324)に仁下又沢を詰めて錫ケ岳に直登し、北尾根を周回した。その後、08年9月9日(ひとり山歩き328)に笠ケ岳まで縦走している。これらの記録に添付したルートマップを参考にデイダラボッチさんが、09年と11年の5月上旬に仁下又沢を詰めて残雪の錫ケ岳に登られた。これらの記録を今度は自分が参考にして残雪の錫ケ岳を考えるようになった。過去二度ばかりその気になって出かけたが、丸沼高原スキー場のゲレンデで雪が深くてやめたり、仁下又沢の取水口まで行ったが、沢の水量が多くてやめてしまった。これで諦めてしまったわけではなかった。デイダラボッチさんにまだ一度もお会いすることもないうちに鬼籍に入られた。今年こそは、残雪の錫ケ岳を踏んで、デイダラボッチさんに捧げたい。
 丸沼高原スキー場は本日が営業最終日につき、スキー場口に駐車するわけにはゆかない。最近、折りたたみ自転車を購入したので、その試運転を兼ねて菅沼白根山登山口に駐車して、自転車で丸沼高原スキー場口まで行くことにした。距離としては約5k、最初だけほんの僅か登ってからは比高にして約100メートルの下りだから楽なことこの上なし。丸沼高原ウキー場口には、案の定駐車禁止のロープが張ってあった。自転車を邪魔にならない場所にデポしてスキー場へと進む。
3 往路  仁下又沢源頭までは特に困難なところはない 源頭からの急斜面は膨らんだ雪と針葉樹とで登りづらい
 本日で営業終了となるスキー場はやはり雪が多く、いつも利用する業務用補修道はどこにあるか不明。方向を決めて登ってゆくが道筋は見えないので,ゲレンデを直登することにしてチェーンスパイクを装着する。装着して立ち上がると、薄明るくなって右手に補修道らしいのが見えた。そちらへ行ってみると、地肌が露出した補修道に出合う。これを暫く進むと、道筋には雪が連続しゲレンデ状に整備されている。蛍塚山分岐の標識を見たので、補修道の上を歩いていることは間違いない。すぐ先が、大河原方面へ下る道があるのだが、見逃して雪を被った補修道(今はゲレンデ)を山頂駅の方に向かっているのに気づいた。落ち着いて軌道修正し、大河原へと下る林道に出合った。道筋にはほぼ雪が連続し、リフトおおひろ基部に達した。ここからは白根山の山頂部が見えて雪は少なそうだ。南斜面のゲレンデには雪は全くない。
 通行止めの柵をすり抜けて雪の間歇する林道を下ると大広河原で仁加又沢(地元では仁下又沢ではないようだ)林道に出合う。ここからは仁下又沢(堰堤の銘板には仁加又沢、以下紛らわしいので地形図に従って仁下又沢を用いる)右岸の補修道を歩くのだが、道筋は崩れて川原歩きが多い。無雪期には少ないのだが、今の時期は雪解けで水流は多い。道筋が崩落していて沢に下りるのが嫌で高巻くと、雪斜面はチェーンスパイクでは登りづらかった。その他には特に問題なく取水口に達した。

左: 業務用補修道も今はゲレンデ(蛍塚山分岐付近) 右: リフトおおひろ基部 (右上は白根山)


左: 大広河原への林道からゲレンデを見る 右: 取水口補修用道路と川原は見分けがつきにくい


左: 最初の堰堤(全部で7基あり) 右: 取水口 (ここから先は何度も渡渉・・・足を濡らすことはない)
 先の積雪状況が分からないので、取水口でアイゼンに履き替えて出発。右岸は進めないので、取水口下で左岸に渡る。暫くは雪は申し訳なさそうに出てくる程度で、アイゼンは早まった感じ。全部で7つの堰堤を適当に右や左を選んで越して行く(取水口先が第3堰堤)。積雪が多くなって、水流はだんだん細くなり、全面が雪で覆われてしまうと二俣(錫水場分岐)に達した。なんの目印もなく、左手に二俣の小さな沢筋(雪で覆われている)が見える。その左俣を遡れば錫の水場に達する(右俣を進むと標高点2170)。今日は直登するので二俣の幅広の右俣へ進む。

左: 堰堤は左岸や右岸を適当に (第6の堰堤) 右: 標高1870付近の様子


左: 二俣(錫水場分岐) ここは右俣へ 左俣は更に二俣に別れ、錫水場はその左俣へ
 数分進むと左手(南南東)に狭い沢筋が目に入る(ここは夏場には水流があったように記憶)。「群馬山岳移動」の鎮爺さんが99年5月に登った沢筋だ。ヒョとしたら復路ではここを下って来るかもしれないと思いながら真っ白な沢筋を登ってゆく。標高2030から2100にかけては沢筋に頭大程度の落石が連続している。沢の両サイドは数メートルの高さで、高所からの落石でなく、土手が崩れて落石となっているので、大きな危険はなさそう。雪はよく締まって足底が沈む程度だったが、日当たりが良くなるにつれて積雪表面は緩み、靴跡が残るようになってきた。
 標高2140で小さな二俣(水流はない)が現れ、無雪期と同じく左俣に進む。デイダラボッチさん等は二回目には右俣に進んだようだ(どちらが良いかは???)。進むにつれて残雪は少なくなり、雪解けで緩んだザレ場は足元が滑って登るのに苦労する。やがて、標高2230あたりで沢源頭に達する。振り返れば、遠くには四郎岳と燧ケ岳、近くには白根山が展望できる。


左: 落石が続く(標高2050付近)・・・両サイドは低いの、あまり危険でない? 右: 二俣(標高2140)、ここは左俣へ (デイダラボッチさん等は右俣へ?)



左: 仁下又沢源頭が近づくと、ザレが目立つ(標高2170付近) 右: 振り返れば白根山、2296(右手前)と2394(白檜岳、右奥)


雪解けで地面が緩く、ザレと相まって登りづらい 左: 沢源頭部 右: 振り返る 
 沢源頭からは無雪期と同じようにコンパスを合わせて急斜面に取り付く。無雪期には針葉樹の枝の助けを借りながら登って行けたが、今の時期は残雪がコブ状に膨らんでいてより急斜面になっている。おまけに針葉樹の枝が邪魔して立ち歩きは難しい。ピッケルのピックを利用して四つん這いで登ってゆく。急斜面ではあるが、樹林の中だから滑落しても樹木が受け止めてくれそうで恐怖感は全くなかった。でも、復路でここを下りるのは嫌だな、錫の水場からあるいは鎮爺さんのコースをたどるしかないなと、復路のことばかり考える。デイダラボッチさんと四名の女性軍は自分のルートとは多少異なるかもしれないが、この付近を下ったのだからすごい。臆病な自分にはとてもできそうもない。密な針葉樹林に突入し、なんとか立ち歩きができるようになった。時には雪が消えるが、無雪期に比べるとかなり歩きづらい。やがて勾配が緩み、白錫尾根歩きの薄いトレースに出合いこれをたどると、8回目の錫ケ岳山頂に達した。

左: 沢源頭から斜面に取り付くと、標高2280付近で日光連山 右: 急斜面の一部(厳しい場所は四つん這いで写真など撮る余裕はなし


左: 雪のない場所もときには 右: 四郎岳、燧ケ岳が目に入る・・・時にはごほうびもなくちゃ!
 山頂の射的標識はいつも場所を変えているが、無くならないから不思議。これを初めて見たのは02年8月25日、これで8回目、これから何回会えるかな。自撮り棒を三脚代わり(棒を伸ばして雪に刺すだけだから簡単、でも無雪期には地面には刺せない)に記念撮影。展望はあまり良くなく日光連山と中善寺湖、それから宿堂坊山や三俣山方面が見えるだけ。


山頂の様子 射的はいつも場所が変わっているが、不思議にも無くならない(最初に目にしたのは02年8月)


山頂から 左: 男体山と中禅寺湖 右:宿堂坊山、三俣山方面
4 復路
 復路は錫の水場(無雪期に通った事あり)または鎮爺さんに倣って山頂東鞍部の2220(無雪期には池塘あり)から沢筋を下ることに決めて山頂を後にする。今日のトレースは見当たらないが、気温上昇で解けて不明瞭になったトレースを追うことができる。山頂から少し下ると展望が開けて日光連山と中禅寺湖を見ながら回廊歩きもある。積雪表面は気温上昇で多少は緩んできたが、足の沈みはなく快適な歩きができる。錫ヶ岳東鞍部(標高2220、無雪期には池塘あり)まで下りて来た。ここで沢筋を観察すると、針葉樹が邪魔に鳴るかもしれないが、危険ははなさそう。鎮爺さんに倣うことにする。
 最初は針葉樹が蜜な急斜面下りで、沢筋ははっきりしない。枝や部を避けながら左に右にと逃げながら下ってゆく。雪の表面近くにピンクリボンを何度も見かけた(力して無雪期に取付けたのであろう)。下るに連れて勾配は緩み、針葉樹の間隔が広がり雪面歩きが楽になった。往路の急斜面を下るよりは断然楽だわいと、ほくそ笑む。仁下又沢に出合って、一安心。登りもここを通ったほうが楽だったかもしれない。数分で錫水場分岐の二俣に到着。

左: 白錫尾根(標高2330付近) 右: 錫ヶ岳東鞍部(2220、無雪期には小さな池塘のある場所) ここから左手の沢筋を下る


左: 鞍部から沢筋を俯瞰 遠方には平ガ岳。荒沢岳、燧ケ岳、会駒 手前には四郎岳〜燕巣山 右: 標高2140あたりから


左: ピンクリボンがちらちら 右: 二俣(錫水場分岐から四郎岳と燧ケ岳)
 往路に比べて気温上昇で雪面は緩み歩きづらくはなっているが、この先は雪が少ないので取水口でアイゼンとピッケルを格納し、合わせてエネルギー補給。大広河原に戻る途中でニホンカモシカに遭遇、いつものことだが人間がカモシカを観察しているのか、カモシカが人間を観察しているのか。リフトおおひろ基部から白根山を見るとかなり雪解けが進んでしまったようだ。
 スキー場の業務用補修道に戻ると、スキーヤーとボーダーが盛んに滑り降りてくる。蛍塚山へといつも思うのだが、是が非でも登ってみたいという欲求はなく今日もゲレンデと化した補修道の山寄りを素通り。残念ながら下手くそなボーダーよりも速度は遅い。最後にゲレンデを横切らねばならない。ボーダーのほうがスキーヤーよりも多いようだ。7:3〜6:4の割。無事スキー場口まで戻った。
 問題はここからだった。往路では菅沼駐車場からスイスイとブレーキをかけながら自転車で下ってきたが、復路では比高にして100メートル以上の登りが待っていた。ギアを落としてのろのろスピードで坂を上がると、車輪径20インチではハンドルがふらついて危険(ママチャリで低速走行だと不安定なことは経験上知っていたが、車輪が小さいと、これほどふらつくとは思わなかった。今日は連休最終日で車の往来が多いので危険と判断し、押して坂を登る破目になってっしまった。登りでは使えないということを知っただけでもよしとしよう。菅沼白根山登山口駐車場に戻ると、車は他に2台、今日は白根山に登る人は少なかったのかな。
 今日はデイダラボッチさんに倣って念願の仁下又沢を詰めて残雪の錫ヶ岳に登れた。天国のデイダラボッチさんにこの記録が届けばいいな。やっと今頃になって登れたのかって笑われるかも。

 左: 逃げないカモシカ(取水口から大広河原に戻る途中で) 右: リフトおおひろ基部から白根山(雪が少ないようだ)


左: 業務用道路もゲレンデ(蛍塚山分岐付近) 右: 営業最終日の丸沼高原スキー場
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