ひとり山歩き593 : 南会津町の鳥井戸橋から山毛欅沢山に登ってきました。今年は雪解けが速いようで一部に藪が現れていましたが、ブナ林の残雪歩きを楽しめました。
山毛欅沢山(1522)
2015年4月29日(水) 晴れ
1 行程
@コースタイム : 自宅(1:00) = 鳥井戸橋(4:30/4:40) − 石祠(5:30) − 標高点1088(6:25) − 標高点1285(6:25) − 標高点1386(8:30) − 主稜線出合(9:00) − 山毛欅沢山(9:40/10:00) − 主稜線出合(10:35/10:50) − 標高点1386(11:15) − 標高点1285(11:45) − 標高点1088(12:30/12:40) − 石祠(13:10) − 鳥井戸橋(14:10/14:20) = 自宅(17:20)
Aルートマップ
B写真集
2 自宅 − 鳥井戸橋
 ノラさんみー猫さんが4月12日に、鳥井戸橋から山毛欅沢山(ぶなさわやま)をピストンされた。その記録を読んでいて、山毛欅沢山の標高が1522で自分の生年月日(昭和基準)と同じことを知った。こんな山は日本中探しても他にはないだろう。山毛欅沢山取付きの鳥井戸橋は前回登った会津駒ヶ岳の駐車場よりは15kmほど近いだけで道筋は全く一緒。これは絶対行かねばなるまいと準備を済ます。ネットで調べてみると、ゴールデンウィークに登っている記録も数例見つかった。今シーズンは降雪は多かったが、融雪は早いらしいことも分かった。ならばできるだけ早いうちにということで本日決行することにした。
 今日は気温が上昇するようなので、服装はスパッツを除いては夏期服装(ダニ対策で、夏場でも長袖シャツ着用)で、アイゼンとピッケルは持参するが、ワカンは持参しないことにした。明るくなったら歩きだせるように、前回の会津駒ヶ岳と同じく1時に家を出発。途中の道の駅、湯の香しおばら、たじまと番屋に寄り道しながらの運転。計画通り、駐車地の鳥井戸橋に到達時には明るくなっていた。車載温度計6度(予想よりも低かった)
3 往路  融雪が進み一部に藪が露出 ブナ尾根の歩きは快適
 勢い良く流れる深瀬沢に架かる鉄板橋を渡り入山すると目の前に壁のような急斜面が現れる。朝一でこの急斜面は堪えるので、尾根左手に続く薄い踏跡を追って見る。杉林の残雪で踏跡は消えてしまったので、尾根上に登ると、薄いが踏跡が認められた。これなら尾根筋を直登したほうが良かった。薄い踏跡は続き、標高860の平坦部末端(南側の植林が消える地点)に石祠が祀ってある。側板を覗くと天保四までは読めた。天保四年は西暦で1833年、今から180年も前に祀られたようだ。
 石祠を越すと勾配はきつくなり、落ち葉が堆積していて滑って登りづらい。途中で針葉樹の若木藪を突破したりして急斜面をこなすと、標高960あたりから勾配が緩み残雪がほぼ連続となる。一旦残雪が切れて、再び残雪となると標高点1088(ピークではないが進行方向が変わることで判断)に達する。雪面は気温上昇で多少は緩んでいるが、靴底が沈む程度で歩きづらいということはない。 


左: 深瀬沢に架かる鉄板橋を渡る(左に鳥井戸橋) 右: 尾根上には薄い踏跡


左: 藪を避けて踏跡が続く(標高860付近) 右: 標高860付近の石祠(側板に天保四・・・)


左: 石祠からは落ち葉の急登(滑りやすい、復路の下りは怖かった) 右: 標高960あたりから残雪はほぼ連続
 尾根の残雪は急速に解けているが藪を漕ぐほどはなく、快適なブナ林の残雪歩きは続く。前方に標高点1285ピークと主稜線が見えるようになり、先に楽しみが待っているようで気持ちよかった。気温上昇で雪の表面が緩み蹴りこまないと足が滑ったりするので、標高点1285でアイゼンを装着しピッケルを手にする。このピークからは男鹿山塊が見えていた。
 1285からはほんの僅か下って登り返しとなるが、アイゼン装着で足の滑りはなく、ブナ林を快適に歩くと言い難いほど暑くて汗たらたらでサングラスが曇って始末におえない。汗をひと通りかいでしまうまでは、写真撮る回収よりもサングラスの曇を拭うほうが多かった。ノラさんとみー猫さんが歩かれた頃(12日)は残雪も充分で気温もそれほど高くなく時期的には良かったのかもしれない(その頃は山毛欅沢山に登ろうなんて考えもしなかったのだから仕方ない)。 


左: 融雪が急速に進んでいる(標高1020付近) 右: 前方に標高点1285ピーク(山毛欅沢山はその後ろに隠れている)


左:標高点1285ピーク(左奥は男鹿山塊?) 右: 標高1320付近のブナ林(ブナ林がずっと続き気持よく歩ける)


左: 標高点1386付近  右: 山毛欅沢山も間近に見えるようになる

 標高1386付近になると山毛欅沢山も枝越しではあるが間近になり、先が楽しみになる。相変わらずのブナ林で踏み抜く心配もなく、まったり歩きが続く。標高1400あたりからは、尾根上には藪が現れ始めて、藪のない西斜面をトラバースぎみ歩くことが多くなる。主稜線直下では、とうとう灌木藪を突破する羽目になってしまった。でも藪はまだ完全に立ち上がっていないから漕ぐのは苦痛でないが、アイゼンに藪がひっかるのですこしばかり梃子摺る。主稜線出合に漕ぎ上がると展望が広がり、山毛欅沢山への雪堤と雪庇が目につく。


左: 尾根上には藪が露出(左や右斜面を巻くことが多くなる、標高1420付近) 右: 三岩岳と窓明山 右に山毛欅沢山 (標高1450付近から)


左: 主稜線直下は灌木藪を漕ぐ 右: 主稜線出合から山頂へと続く雪堤と雪庇 (左奥に三石山と窓開山)


主稜線出合から 左: 南東方面 中央あたりに荒海山? 右: 南方面 田代山、帝釈山、台倉高山等県境の山々
 良く言えば慎重、端的にいうと臆病な性分で雪庇の上を歩くのは苦手で、北側の斜面へ逃げるようにして山頂に向かう。雪庇が割れていたり、雪庇が藪よりも張り出したりしているので、雪庇の上をたどることは出来ない。藪を避けて北側の斜面をトラバースする。みー猫さんのGPS奇跡に比べてより北側を進んでいる(帰宅後判明)。山毛欅沢山の山頂部は小高くなっいて、雪庇が割れているので、あまり前には進めない。しばし展望を楽しむ。自撮り棒を三脚代わりに自分がどんな格好して歩くのかビデオ撮影をしてみる。格好悪う!!


左: 雪庇が割れている(主稜線出合から西へ約100メートル地点 右: 雪堤と雪庇は山頂手前で藪に遮られる


山毛欅沢山山頂 左: 自撮り (自撮り棒を三脚代わりにして) 右: ここも雪庇が割れている 山頂から南東方向 真名板倉山 荒海山 大嵐山等


左: 三岩岳 窓明山 右: 会津朝日岳〜浅草岳
4 復路  標高950からの下りは落ち葉で滑り危険
 毎年かかさずにTV観戦の全日本柔道選手権決勝戦を帰宅して観ようと考えたが、思ったよりも時間がかかりチョット無理な感じ。山頂から主稜線出合の途中で単独行者とすれ違う。この方はノーアイゼンだが、自分は歩き方が悪いのでアイゼンに頼ってしまう。同じ重量なのだから足に着けるもザックで背負うも同じと自分を騙しているが、危険でなければ無装着のほうが労力的には楽なのかもしれない。
 主稜線出合(別れ)で下山に備えてエネルギーを補給。標高1400付近で山毛欅沢山の雪庇を見納めにして休まずに下ってゆく。残雪が途切れる前の標高点1088でアイゼンとピッケルを格納してストックに変える。残雪が切れて標高950で尾根を間違いそうになり、修正しようとしたら落ち葉で滑り、3、4メートル滑落する(すぐに止まるのだが立ち上がろうとすると再び滑り落ちる)。往路の登りでは、滑って苦労したが滑落するようなことはなかった。手がかりが少なく危険と判断して、一旦収納したピッケルを握り、ストックとの合わせ技でソロリそろりと下りる。石祠地点で勾配は緩みヤレヤレ!! お助けロープがあればとは思ったがこんな事は予想もしていなかった。標高840あたりで、下方に窪んだ道筋らしいのが見えたので、これを利用してみようと下りててみると、ここにも落ち葉が堆積していて滑って危険。尾根に登り返すのも癪で、杉林の斜面をトラバースしながら下ってゆく。往路でたどった踏跡も見つからず、その後もトラバース気味に下る。往路も復路も失敗で、尾根筋をたどるべきだった。鳥井戸橋の袂には車が2台、本日の入山は山頂直下で出逢った人と自分の二人だけ。下山でもたもたして全日本柔道選手権の決勝戦は諦めだ。 


左:復路の標高1400あたりから山毛欅沢山(最左端)と雪庇 右: 大戸山〜三岩岳〜窓明山


左: こんなブナも(標高1120付近) 右: 駐車地 (本日の入山は自分と、山頂直下ですれ違った人と二人だけ)
HOME
inserted by FC2 system