ひとり山歩き587 : 大丸温泉から朝日岳〜三本槍岳〜中の大倉尾根〜北温泉を周回してきました。三本槍岳までは雪はよく締まっていましたが、中の大倉尾根以降は気温上昇で雪が緩んでいました。 今年は積雪が多いようで地肌の露出は皆無でした。
大丸温泉から朝日岳(1896)〜三本槍岳(1916)〜中の大倉尾根〜北温泉周回
2015年3月17日(火) 快晴
1 行程
@コースタイム : 自宅(0:50) = 大丸温泉駐車場(3:05/3:25) − 峠の茶屋(5:25) − 峰の茶屋(5:30/5:35) − 剣ヶ峰(6:00/6:05) − 朝日の肩(7:05/7:10) − 朝日岳(7:25/735) − 朝日の肩(7:45/7:55) − 標高点1900(8:15) − 三本槍岳(9:25/9:45) − 北温泉/清水平分岐付近(10:15/10:20) − 北温泉夏道分岐(12:00) − マウントジーンズスキー場展望台(12:20/12:30) − 尾根別れ(13:15) − 北温泉(14:05) − 北温泉駐車場(14:20/14:25) − 大丸温泉風車場(15:05/15:25) = 自宅(17:45)
Aルートマップ
B写真集

2 自宅 − 那須
 登山靴を2足同時に底張替え中で、手元に残っている分は靴底が薄くアイゼンが外れ易い。そのような訳で県外の雪山に行きたいのだが、ここは県内の雪山で我慢する。2月21日には茶臼岳(ひとり山歩き584)に登っているので、今回は朝日岳〜三本槍岳〜中の大倉尾根を歩いて見ることにする。天気予報では、晴天だが、気温が高くなるらしい。雪の締まっている早朝に朝日岳から三本槍岳へ行き、気温上昇で雪が緩む頃は中の大倉尾根をスノーシューで下ることにする。
 剣ヶ峰で日の出を迎えるべく、見計らって家をでる。大丸温泉駐車場に到着時は10台位駐まっていたが、ほとんどは那須ナンバーで登山者は少ないようだ。駐車場で感じる風の強さはそよ風程度(外界なら4、5m/sという感じ)。気温は車載温度計で1度
3 大丸温泉 − 朝日岳  積雪は連続しよく締まっていた 朝日の肩手前のトラバースは斜面化しているがアイゼンとピッケルで危険は感じなかった 冬景色はなんていても栃木では那須岳!
 駐車場外れのトイレ前で用意してきた登山カードを投函し、途中での面倒を嫌ってアイゼンを装着して、トイレ右手の階段へと進む。すぐ先で舗装道に出合い、そこからは除雪済の舗装道を歩く。ロープウェイ駅からは先はどうなっているか分からないので、冬道へと進む。今日は気温は低くないにもかかわらずトレースはよく締まり、時々踝まで沈む程度。トレースを追って行くと峠の茶屋は駐車場には寄らずに茶屋前を通過。
 登山指導所先の鳥居は2月21日には貫下だったが、今日は貫が半分隠れている。トレースは明瞭で足の沈みは殆どなし。樹林帯を抜けたのは分かったが、暗くて中の茶屋跡は気づかずに通過。通常ならこの辺からは地肌が露出して凍結しているのだが、峰の茶屋まで積雪が連続。過去何回か1〜3月に歩いているが、積雪連続は記憶に無い。名物の風は微風(?)で写真撮影で手袋を外しても指先の痛みは感じず、今のところ最高のコンディションに満足。
 茶臼岳は2月21日(ひとり山歩き584)で登っているので、今日はパスして剣ヶ峰へ向かう。今日の日の出は6時1分(宇都宮基準)、剣ヶ峰でお日様を拝めるよう先を急ぐ。12年1月18日(ひとり山歩き464)では登りも下りもガレ場が多かったが、今日はすべて雪の上を歩く。雪は締りアイゼンが気持よく利いてくれる。剣ヶ峰の山頂のお地蔵様は首だけ出している。前回は見た山部3Dプレートを見かけなかった(雪の下のようだ)。山頂からの下りは急勾配で、恐ろしくて逃げ帰りたくなてしまう。意を決してアイゼンとピッケルを利かせながら下ると、滑るようなことはなく時間はかかったがなんとか鞍部に着地。ヤマレコ記録によると二日前の15日にトラバース(南東稜から?詳細は不明)から滑落してヘリが出動したらしい。 

左: 2月21日よりも雪が増えている 右: 夜明け前の峰の茶屋 ここまで積雪連続(地肌露出なし)


峰の茶屋から 左: 夜明け前 日の出は剣ヶ峰で 右: 剣ヶ峰(簡単に通過できるように見えるのだが)と朝日岳 


左: 剣ヶ峰の山頂 お地蔵様は首だけ出して、おはようさん 右: 日の出直後(日の出6時1分で撮影は2分遅くなってしまった)


剣ヶ峰から下りてホッと一息 左: 岩(恵比寿岩それとも大黒岩?)の向こう側に急斜面あり 右: トラバースは怖いよ!(15日に滑落事故でヘリ出動したとのこと)
 剣が峰を越して安心していてはいけない。最大の難所は三箇所のクサリの手摺りを越してからの岩壁西側のトラバースである。無雪期にはトラバース道の幅は広くないがクサリが張ってあるのでさして緊張する場所でない。今日はトラバースは全面雪が付いて斜面化している。もっとも狭い箇所は靴底程度の幅しか残っていない。幸いにも雪はよく締まりアイゼンがガッチリと受け止めてくれるので滑る心配はない。だが、ピッケルの石突きを受け付けない場所も多い。そのようなときには残っている石突き穴を利用しながら進む。距離にしたら100メートル足らずだが約10分間は緊張しっぱなし。前回は積雪部は少なく、クサリの手摺りは大部分で露出し、地肌もかなり露出していて今回ほどは緊張しなかったように記憶する(その時途中で出逢った経験者によると、地肌が露出し凍結しているほうが怖いと言っていた)。危険箇所を通過するとすぐに朝日の肩で、この先は特別な危険箇所はない。写真を撮りながら一息つく。
 ここからの展望も素晴らしいが、先ずは、山頂を目指す。ここも積雪が連続していて、地肌が露出しているよりははるかに歩きやすい(前回は、ノーアイゼンで下りで地面の凍結で怖い思いをした)。朝日岳山頂のプレート型山名板はなくなり、柱に変わっていた。360度のパノラマが広がり、いつまでも眺めていたい感じ。雪山の景色は壮大に見えて大好き。個人的には栃木県の山から見る冬景色のNo.1はなんといっても那須岳だ。No.2は白根山、No.3男体山。これから進む三本槍岳方面と中の大倉尾根を観察して朝日の肩に下りて軽くエネルギーを補給し、ピッケルを格納しダブルストックに変える。 

恐怖のトラバースを前に 左: 最初のクサリの手摺り(三箇所あり) 右: トラバース入り前で振り帰って(写真では恐ろしく見えるが、大したことはない)


ラバースは斜面化し、最も狭いところは靴幅 雪がよく締まっているのでアイゼンがよく利いた ピッケルは刺さらず、人様の穴を借用(ピッケル穴泥棒なんていう言葉あるのかな!?)


朝日の肩から(この先は危険箇所はない) 左: 高原山〜日光連山〜燧ケ岳〜会駒(最後列)と男鹿山塊 右: 朝日岳へひと登り(積雪連続で歩きやすかった)


朝日岳山頂からのパノラマ 茶臼岳〜日光連山/男鹿山塊〜大倉尾根〜1900〜三本槍(その右下のピラミッドは旭岳)

4 朝日岳 − 三本槍岳  アイゼンで楽々歩き 山頂からの展望に大満足 白根山や男体山のように日本アルプスは期待できないが、県下随一の冬景色 
 三本槍岳方面へも雪はよく締まり、アイゼンの沈みは殆ど無い。アイゼンの刃型が微かに雪上に残っている程度。特に危険な箇所も急な登りもなく熊見曽根分岐を巻いて通過。前回は地肌が一部に露出していて、スノーシューを履いてたので雪のある斜面を選んで歩いたが、今日はどこでも歩ける。問題は熊見曽根分岐先の鞍部から標高点1900ピークにかけては風の通り道のようで強風が吹き荒れて身体が揺れる。尾根筋は幅広で気温が高いので苦痛は感じずにすんだ。
 1900からはアイゼンがよく利いて楽に下れた。清水平の木道は雪下で吹き溜まりでも踝まで足が沈む程度、どこでも歩ける状態なので三本槍岳へショートカット。標高1850から1900の急斜面は雪が吹き溜まっていたが踝の沈みですんだ。平坦部になると沈みはなくなり、足跡とスキーのシュプールを見かける。雪山の三本槍岳は丁度2年ぶり(北温泉から中の大倉尾根経由で朝日岳と三本槍岳をピストン ひとり山歩き509)。
 山頂からの展望も素晴らしい! 飯豊山、磐梯山、吾妻山も遠望できた。風が爽やかだが、気温はだいぶ上がってきたようだ。


朝日の肩から 左: 熊見曽根と1900ピーク 右: 中の大倉尾(中央) 赤面山(右奥) 手前は1900東尾根


1900ピークから 左: 左手後方に燧ケ岳〜会駒 右: 三本槍岳〜スダレ山 (中央のピラミッドは旭岳)


左: 1900下りから朝日岳と茶臼岳 右: 清水平から三本槍岳 (木道は雪下で、どこ歩いても沈みは踝以下


三本槍岳山頂からのパノラマ 茶臼岳〜日光連山〜燧ケ岳・会駒〜大倉尾根  飯豊山、磐梯山、吾妻山も見える(写真集参照)

5 三本槍岳 ー 中の大倉尾根 −北温泉  気温上昇で雪が緩み踝ないし脛までの沈み スノーシューは背負ってハカン(ワカンの間違いではない・・くだらないジジイギャグ)歩き
 三本槍岳からの下りは薄いトレースを追って北温泉/清水平分岐を目指す。スキーのシュプールも多いのだが、分岐の道標は目に入らなかった。コンパスをあせてスダレ山方面へ登ってゆくと、夏道と思われる窪みを見つけてそれを追うことにした。スダレ山を越して下りになると、気温上昇で雪が緩みだして踝までの沈みが常態となった。スノーシューを背負っているが使うほどではない。赤面山分岐付近になると、マウントジーンズスキー場からと思われるスキーを履いた人と出逢うようになった(一人だけスノーシュー)。
 今日は予報通り暑くなってきた。気温上昇に伴い足の沈みも踝から脛までとなるも、これからの残雪歩きに備えてスノーシュは着用しないことにした。標高1500あたりで暑くてたまらずにゴアの上着を脱ぎ、併せてアイゼンも外した。夏道の北温泉分岐付近までに数人と出逢ったが、女性の単独行者だけはツボ足で頑張っていた。残雪期に一度だけ夏道沿いを歩いたことがあるが、斜面化していて歩きづらいのでオーソドックスにマウントジーンズスキー場を経由することにした。スキー場最上部の展望台で朝日岳〜1900〜スダレ山〜中の大倉尾根を眺めながら、エネルギーを補給する。
 最初は南南東に下り途中から南西に向きを変えるのだが、トレースが残っていたのでルーファンは必要なかった。ダケカンバ林では膝上の踏み抜きが増えてきた。それでも今日はハカンで歩き通すことにした。標高点1214の西で樹林が針葉樹で密になる地点が尾根別れでここからは南西にジグザグに下って行く。トレースが残るのでルーファンの心配はないが、斜面化していて雪がグズグズでアイゼンなしのストック歩きでは速度が上がらず時間を要してしまった。このトラバースにこれだけ雪が付いているのも初めて(いつもなら下方では地肌が露出しているのだが)。どうにか尻もちもつかずにトラバースを下り終わった。
 北温泉のプール状の露天風呂の前を通って駐車場への道を登ってゆく。今日は雪が薄くついていて凍結していないので楽々北温泉駐車場に登れた。いつもはここを暗い時に通過するので、駒止の滝観瀑台に寄って滝を見物。立派な観瀑台があるにもかかわらず滝に関する説明板が見当たらなかった。ネットで調べると幅3m、落差20m位らしい。
 北温泉駐車場から大丸温泉駐車場までは距離約3km、標高差130mでけっこう疲れた。今日は天気にも恵まれ素晴らしい歩きができた。次は靴底の張替えが早く済むようなら県外へ遠征してみよう。今日の靴では栃百歩きになるかな。

左: 赤面山  右: 朝日岳〜1900〜スダレ山 (標高1600あたりから) スキー場からの登山者増える(スキーを履いた人が多い スノーシューは一人)


左: 北温泉分岐(夏道) 右: マウントジーンズスキー場展望台から 朝日岳〜1900〜スダレ山〜中の大倉尾根  (左手前は鬼面山)


左: 北温泉 谷間に鬼面山と飯盛山 右: 駒止の滝 (北温泉駐車場の観瀑台から)
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