ひとり山歩き558 : 栃木側(馬坂2号線)から県境の帝釈山〜田代山そして田代山林道を下り周回してきました。長い林道歩きは楽ではありませんでいた。おまけに下山途中で大雨に見舞われ散々でした。
栃木側から帝釈山〜田代山周回
2014年6月19日(木) 曇り後雨
1 行程
@コースタイム : 自宅(23:40) = 村道馬坂2号線入口(2:10/2:20) − 栃の葉橋(3:55) − 軽トラ便乗(標高1370)(4:35) − 馬坂峠(4:55/5:00) − 帝釈山(5:55/6:00) − 弘法大師堂(避難小屋)(7:35) − 田代山湿原(7:40/8:15) − 小田代(8:35) − 猿倉登山口(9:30/9:35) − 田代山峠(栃木・福島県境)(10:20) − 田代山林道ゲート(13:10) − 村道馬坂2号線入口(14:00/14:10) = 自宅(16:50)
Aルートマップ
B写真集

2 自宅 − 馬坂2号線入口
 栃木県と福島、群馬県境の山でまだ栃木側から登っていないのは、田代山、帝釈山と台倉高山の三座である(現時点では茨城県境の山については、山行の対象にはしていないので数えない)。前述の三座を栃木側から日帰りで登ろうとするとルートが限られる。なんとか三座を同時にと考えたが、現在の脚力では無理筋である。今回は、Yoshiさんと@宇都宮さんが、それぞれ05年8月と10月に、村道馬坂2号線(川俣檜枝岐林道)から帝釈山〜田代山と周回している。これらの記録やルートマップを参考に、Yoshiさんの山行に倣うことにした。村道馬坂2号線のゲートから林道を歩き、馬坂峠から帝釈山そして田代山へと縦走し、猿倉登山口からは田代山林道を下って周回する計画である。
 @宇都宮さんの05年8月情報によると、村道馬坂2号線ゲート付近までは、土呂部方面からはほぼ全面舗装ということで安心して深夜運転が可能。気がかりは三週間の山行ブランクで、身体が鈍っていることと、本日は午後になると雨になる可能性(雷注意報もでている)が大きいことである。雨が予想されるときは山には行かないようにしているのだが、このさき一週間も天気は芳しくない。雷は怖いが、午後になってからの雨なら林道歩きだから決行することにした(10年位前だったかに、帝釈山で雷に打たれて死亡者がでているのを覚えていて気にはなるが)。全工程の歩行時間は14時間程度と見積もって、下山途中の田代山林道歩きでは雨にあう可能性を極力少なくと、24時前に家をでた。09年12月2日(ひとり山歩き382)に日加倉山に登るのに土呂部までは来たことはあるが、その先は初めてだが、完全舗装で特に運転に気遣うほどのこともなかった。田代山林道入口(ゲート閉鎖)を確認して、3.5km先で馬坂橋を渡ると、すぐ先の右手に林道入口が見えた。車を駐めて確認すると、村道馬坂2号線(村道檜枝岐線)と書いてあった(一般的には川俣檜枝岐林道の一部)。
3 駐車地から馬坂峠  中から便乗し1.5時間の短縮  林道の上部は道が荒れているので乗用車は無理
 林道はダートだが、砂利が土に埋まっている箇所が多く歩きやすい。この林道は沢沿いに敷設されていてアップダウンがなく単調である。明るい時に歩くと退屈するが、ヘッデン頼りの時はラジオを聴きながら歩くと退屈せず、嫌いではない。栃の葉橋(昭和55年完成)まで1時間35分で、@宇都宮さんのペースよりは僅かに遅い。@宇都宮さんは3時間20分で馬坂峠に到着している。これなら4時間程度で馬坂峠に辿り着けそうと思い、このペースを保つことにした。橋を渡って消灯し、少し進むと、前方に帝釈山の山頂部が見えたりするようになった。このあたりから勾配が増しているのがわかる。進むに連れて更に増すのは覚悟のうえ。
 スタートして2時間25分後の標高1370あたりで後方からやってきた軽トラが止まって、途中まで乗って行かないかと声をかけてくれた。先刻からラジオで雷注意報が出ているのを知っているから、時間短縮のために便乗させてもらうことにした。進むにつれて道筋は荒れだし、帝釈山と台倉高山の山開き(12日)に合わせて開通となったばかりだが、乗用車では無理であろう(便乗箇所くらいまでなら乗用車でも可)。軽トラの運転者は85歳で補修工事に出かける途中で工事現場を過ぎると、馬坂峠までもう少しだから行ってあげようと車を走らせてくださった。便乗時間は20分(距離にして約5km・・・GPSから算出)、歩いたら約2時間として1.5時間の短縮。この1.5時間が後刻大きな助けとなるとは、この時点では知る由もない。馬坂峠の広い駐車場には先着車が一台、夫婦が準備中であった。

左: 馬坂2号線入口 右: 栃の葉橋(昭和55年完成)


標高1320付近 左: 林道の様子(このような砂利道が多く、特に荒れた箇所はなかった) 右: 帝釈山


馬坂峠 左: 正面が帝釈山登山口(檜枝岐方面からの先着車) 右: 左手に台倉高山登山口、正面は檜枝岐からの道路、右は休憩所・トイレ

4 帝釈山 ー 田代山  登山道はよく整備されている  オサバグサはこれから  がすで遠望が利かなかったのが残念
 次の記録を参照願う。 03年6月20日(ひとり山歩き101)に猿倉登山口から田代山〜帝釈山を往復している。04年9月15日(ひとり山歩き166)に馬坂峠から台倉高山下山後に帝釈山に登っている。
 先着の夫婦に挨拶して先行する。登山道に入ると、階段や木道が整備されていて歩きやすい。地肌の箇所は最近の雨で湿っているが特別ぬかっていることもない。04年9月15日に登った際、登山道は整備工事中であったが、木道がどの程度あったか記憶していない。露岩帯を通過すると灌木帯になりすぐ先が帝釈山の山頂となる。登山道にはみ出した灌木の枝でシャツの袖はびしょ濡れ、涼しく感じて濡れるに任せる。山頂標柱の田代山湿原の下部に10年前にはなかった南会津町が追加されていた。他には特に変わりはないようだ。残念ながら今日はガスで燧ケ岳、会駒や日光連山が見えなかった。
 田代山方面に進むとすぐに灌木帯の岩場で岩を避けたりロープ(二箇所)を利用しながら下ってゆく。ガスで遠望は全く利かず、今日は景色は諦めるが雨と雷だけは避けたいと急ぐが足取りは重い。標高2000位からは灌木の細尾根から幅広の登山道歩きとなりヤレヤレの感じ。島模様の残雪が二箇所出てくるも踏まないで通れる。途中の道筋には丸太を利用して木道状に縦に並べたり、階段状に横に並べたりと整備されている。泥濘も気にするほどのことはない。ダケカンバ林を通り抜けて標高点1916先の鞍部に達すると残雪があり、ここは微かに残る踏跡を追って通り過ぎる。残雪部からは尾根の左(北)を巻いて通過していると、オサバグサの群生地に達する。時期的にまだ早いようである(03年の今頃歩いた時にはもっと咲いていたように記憶するのだが)。オサバグサ群生地先の鞍部から70メートル程急登すると弘法大師堂(避難小屋)に達した。
 好奇心から小屋の内部を覗くと、大師様が祀ってり、小屋内部はゴザが敷いてある。小屋から5分足らずで田代山湿原入口(南西)に達した。湿原の木道は反時計廻りの一方通行となっている。湿原にはワタスゲ、タテヤマリンドウ、チングルマ、イワカガミ等の草花が咲いているが、藪には興味あるが花には興味なしで、写真を何枚か撮るだけ。残念なのはガスで遠望が聞かないことだ。猿倉登山口からの湿原入口(北東)に達した。天気も良くないので、北側半周には進む気がしない。規則を破って少しだけ弘法沼方面に進んで北東入口に戻り、エネルギーを補給する。馬坂峠で準備中の夫婦が追いつき通過していった。後方には単独行者が見えていた。
 湿原北東入口から木道を進むと明神ケ岳方面が微かに見えるだけ。山道に入るとよく整備されているので安心して下れる。北側が開けても遠くの山並みを確認するには至らない。木道が現れると小田代(小さな湿原)で少し先まで続く。途中で二人組、三人組とすれ違う。沢音が大きくなり、標高点1519の西側で最後の水場の標示を見かける。左下へ階段が設置してあり、沢水を汲むようである。水場から10分あまり下り、入山者カウンターを通り越すと猿倉登山口で、広い駐車場には車が3台、夫婦がこれからスタートしようとしている時であった。


左: 帝釈山登山口 右: このような木道が多数


左: 帝釈山直下の露岩帯 右: 帝釈山山頂(ガスで展望なし)


左: 帝釈山北東の露岩帯 右: 同じく灌木帯(露で袖がずぶ濡れとなる)


左: ダケカンバ林(丸太の階段や木道あり) 右: 標高天1916東鞍部の残雪(他は無視小)


大師堂西鞍部のオサバグサ群生地 まだ時期的に早い


弘法大師堂


左: 田代山湿原入口(版時計回りで右手の木道へ進む) 右: 弘法沼(今日は会駒が見えない)


左: 小田代 右: 水場


左: 猿倉登山口 右: 駐車場

5 田代山林道  林道平坦・幅広でよく整備されている  途中で大雨に降られる
 田代山林道は猿倉登山口から栃木側は通行止めになっている(秋の紅葉季節には開通となる?)。幅広のよく管理された林道を登ること45分(標高差170m)で田代山峠に達した。05年10月に山部さんとノラさんのここから枯木山への藪こぎに同行させていただいた思いでの場所である。この時のお二方から藪山の歩き方やテント泊の仕方を習ったことを思い出した。栃木の山ならどんな場所(岩場のような危険箇所を除いて)にでも出かけられるようになったのはこの時以来といっても過言ではない。
 峠の栃木側にゲートが設置してあり、通行止めとなっている。林道はダートだが平坦で幅が広く、往路で辿った馬坂2号線(6月12日以降、通行可)よりも状況は良い。自転車でも走れる感じ。途中で明神ケ岳、前倉山〜馬老山そして三河沢ダムを遠望しながら、ノンビリと下ってゆく。12時頃に突然大雨が降りだした。ここまで田代山峠から1時間40分経過するのに、たったの150メートルしか下っていない。木陰で雨具を着用して、今までのノンビリペースから急ぎ足となる。このあたりから林道の下り勾配が少し増しているのが幸いしているようだ。三角点1540峰は葛沢山で、栃木の山全座踏破を目指しているわけでないから、わざわざこの山に登りに来るつもりはないが、通りがけということで登ることにしていた。この大雨をついて登るほどの価値も興味もないので通過する。今後この山に行くことは多分ないであろう。雨具着用で急ぎ足ときたら暑くて汗だくだくと予想したが、気温が下がりむしろ快適な歩行となる。心配は大雨で土呂部への道路が通行止になってしまわないかと心配。大雨の中、1時間10分で田代山林道ゲートに達した。
 ここからは舗装道ではあるが約3.5km、標高にして200m以上下らねばならない。急いだつもりだが、疲労が蓄積しているせいか50分要して(時速換算4.2km/h)駐車地に戻った。往路で軽トラに便乗していなければ、田代山峠の登りから雨に降られた事になる。好天日を選んで山に行くので、今日のような大雨に降られた事なかった。やはり雨が予想されるときには、山行は避けるべき。


左: 猿倉登山口から田代山峠への道筋 右: 田代山峠(県境)


左: 田代山林道(通行止め中)の様子(平坦幅広で路面の荒れは少ない) 右: 明神ケ岳(中央奥) (田代山峠から)


左: 前倉山〜馬老山(舗装区間から) 右: 三河沢ダム(中央)


左: 田代山林道ゲート 右: 馬坂2号線口

6 追記  栃木の山とは
 栃木と群馬あるいは福島の県境にある山で、一般的に群馬側あるいは福島側から登られる山は、他に男鹿岳、荒海山、燕巣山、皇海山、鋸山、袈裟丸山等があげられる。自分としてはこれらはすべて栃木側から登っている。日帰りにこだわるとすれば燕巣山はまだということになる。燕巣山は丸沼から四郎岳経由で登る人が圧倒的に多いであろう。これだと、山頂で初めて栃木県境に達しただけで、栃木の山というにはなんだかへんな感じ(登頂の定義がないのだから、何処を通っても構わないのだが)。といって栃木側から日帰りするとすれば、ルートは二通り、場合によっては残雪期の大佐飛山なんか比べようもなく、栃木で一番遠い山とも言える。これを読まれた方は、どんなルートがあるか考えてみるのも一興かと・・・余計なおせっかいですが。

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