ひとり山歩き553 : 横川から瓢箪峠経由で大佐飛山へ行ってきました。展望では黒滝山・大長山コースよりも劣りますが、こちらの方が残雪歩きの醍醐味があります。今の時期は早朝の往路では残雪はよく締まり歩きやすいですが、午後の復路になると踏抜きと滑りに悩まされます。
横川から大佐飛山(1908)
2014年4月23日(水) 晴れ
1 行程
@所要時間 : 自宅(22:10) = ワイルドフィールドおじか(旧JOBSおじか)(0:20/0:30) − 廃・運搬路入口(1:35) − トラバース開始(3:25/3:35) − トラバース終了(5:05) − 瓢箪峠(6:35/6:45) − 標高点1622(7:05) − 名無山(1870級ピーク)(8:30/8:35) − 標高点1824(9:20) − 大佐飛山(10:00/10:25) − 名無山(11:35) ー 瓢箪峠(13:20/13:35) − 1730級ピーク(13:45) − 標高点1642(14:05) − 尾根分岐(14:25) − ルートミスに気付く(15:20) − 沢(栃の木沢?)(15:50) − 栃の木橋(16:45/16:50) − 廃・運搬路分岐(17:30) − ワイルドフィールドおじか(18:50/19:05) = 自宅(21:10)
Aルートマップ
C写真集

2 自宅 − 横川(ワイルドフィールドおじか)
 今シーズンの残雪歩きは横川から男鹿山塊に洒落て三回は行ってみようと考えた。最初は4月7日(ひとり山歩き551)に瓢箪峠経由で男鹿岳を目指したが、林道の残雪が多く男鹿岳はとても無理と判断して廃・運搬路で退却し単なる偵察行となってしまった。次は月15日(ひとり山歩き552)に過去二回失敗している尾ケ倉沢左岸尾根で日留賀岳をピストンした。最終回としては、瓢箪峠経由で大佐飛山のピストンに挑戦することにした。ルートは今回と少し異なるが06年4月18日(ひとり山歩き238)に胡桃橋から尾根を辿って瓢箪峠経由で大佐飛山をピストンしている。その後、技術的には向上しているも体力と気力は落ちている。まだ横川から大佐飛山の日帰りが可能か挑戦して見ることにした。
 前回の挑戦は、山歩きを始めて5年で、技術は伴わなくとも体力・気力も最も充実している時であった。その時は丁度17時間要した。現在は当時に比べ技術は向上するも体力はかなり衰えいる。自分の活動指針である“明るいうちにスタート地点に戻る。それができなければ明るいうちに下山完了する。”は守りたい。前夜の睡眠時間を4時間確確保すると、自宅を出発するのが22時ころとなり、前回と同じく零時半頃の歩き始めとなる。
 思惑通りに睡眠時間もとれて、三週連続でワイルドフィールドおじか(旧JOBSおじか)を目指した。天気予報では6時ころまでは曇天だが、ワイルドフィールドおじかについた時には星空で気分を良くする。気温0度

3 往路(廃運搬路経由)  廃運搬路は慣れていないと暗い時には歩けない  残雪はよく締まっていてワカンは無用だった 名無山からの下りは展望が良い
 先週は放牧場A団地までは残雪は消えていたが、今回は廃運搬路入口までは二三箇所にスポット的に残雪が認められるだけ。廃運搬路に入ってからも残雪はわずかで、先々週は退却地点までに2時間要したが、今回は1時間10分で過去の山行時とくらべても標準的。白滝沢の最初の右俣の渡渉地点は06年当時は朽ちた木橋が残っていたが、現在は導水管を貫通させた橋になっていた。廃運搬路の崩落地点は暗い時には通りたくないので、山葵田の作業道を下って白滝沢に流れ込む枝沢をわたってショートカットする。残雪の作業道が消えた地点で斜面を這い上がって廃運搬路に復帰したすると石垣地帯である。何度も経験して道筋を覚えているから出来る芸当で、初めての人がヘッデン頼りで歩くには困難を伴う。その後は残雪が連続したり、沢状の箇所を歩いたりで、時には道筋を失うも古い地形図に記載の道筋を辿っている。
 廃運搬路が急斜面を大きくトラバース開始する地点に達した。ここでアイゼンを装着して右(南)へトラーバースを開始したが、最初は道筋のようだったが、すぐに様子が急変した。先刻の地点から先には道筋は消えていたが、山腹を北東にもう少し進んだ地点が正規のトラバース開始地点であると判断し、藪のでかかった急斜面を直登して廃運搬路に復帰した。しばらくは廃運搬路らしき箇所を歩いたが、不明瞭なので再び急斜面を直登し、今度は明瞭な道筋(もちろん残雪は連続)に再復帰し北東に進むと、傾斜は緩み道筋は消えた。ここがトラバース終了地点で、12年4月25日(ひとり山歩き475)に鹿又岳へ行く時は、ここでワカンを装着したが、今日は雪がよく締まっているのでワカンは無用。
 トラバース終了地点からは東に向かえば何処を歩いても塩那道路に達する。従来は標高点1472の南側を通っていたが、今回はその北側を進んで見ることにした。標高1480(1472の東)で針葉樹林となり、勾配が幾分増したが、歩きやすい所を進んでいるうちに見覚えのある箇所に達した(浅い溝を北東へ)。この浅い溝が消えた地点で尾根に取り付いた(一昨年は、この尾根を乗越して沢状の溝を東に進んだ)。時々振り返ると、霞んだ会駒付近が展望できた。塩那道路(主稜線)が近づくと古いトレースが残り、これを追うと主稜線に達して右手にプレハブ小屋が見る。ここから残雪の塩那道路を5分程歩くと瓢箪峠に達した。目印としては西側は石垣、左側には小看板が立っている。ここからは男鹿岳、大倉尾根、那須岳が展望できる。ここでエネルギーを補給しなが大佐飛山へのルートを確認する。瓢箪峠までは、自分の足では6時間程度だが、今回も標準通りで気を良くしたのだが、果たしてこの先はどうなるやら

左: 廃運搬路入口 右: 石垣地帯(立木の後側に続く、締まった残雪が浅く連続)


左: トラバース終了地点(標高1420) 右: 標高1440(1472の北)の様子(正面の尾根は下山尾根) 


左: 標高1640の様子 右: 七ケ岳を展望


主稜線到達地点  左: 右(南)手にスペース小屋 右: 瓢箪峠への塩那道路


左: 瓢箪峠(左端に男鹿岳、右端に三本槍) 右: 大佐飛山への入口(左の石垣の対面)

 瓢箪峠から急下降し鞍部に達するも、以前見かけた水場標識は見当たらなかった。雪はよく締まり靴底の沈みで時々踝まで沈む程度で歩きやすい。標高点1622に緩やかに登って下ると、急斜面が待ち構えている。雪はよく締まりピッケルを打ち込むのも力仕事。前回(06年4月18日)はステップを切ったようなトレースがあり楽に登れたが、今回は大違い。尾根筋は広いのでどこでも歩ける状態で適当に登ってゆく。標高1800位になると勾配は緩み一息つく。男鹿岳〜大倉尾根〜那須岳あたりが展望できるようになり、疲れを多少は癒してくれる。名無山の山頂部はコメツガの大木が数本、その先は広々とした雪の広場だ。前回はコメツガの大木にM大マークを見つけたが、今回は雪が多く見かけなかった(無くなってしまったかも)。山頂部からの展望は素晴らしい。大佐飛山への稜線、男鹿岳〜大倉尾根〜那須岳が特に素晴らしい。標高点1872、1870へと続く南尾根も歩いてみたい衝動に駆られる。以前、誰だったかが山部さんの掲示板に中佐飛山と書いてあったが、言い得て妙でる。
 名無山からの下りは樹木がなく、展望が広がる。大長山北の大回廊ほどではないが、男鹿岳〜大倉尾根〜那須岳、高原山(復路で確認)と目を楽しませてくれる。鞍部からの登り返した1842ピークは右(南)を巻いて通過。鞍部からの登り返しは100メート足らず、疲労が蓄積してきたが山頂が近づくにつれて元気が回復。目の前が切れて雪庇が現れ大長山が見えると、大佐飛山の山頂はすぐ先。山頂には単独行者が帰り支度をしていた。前回はここまで8時間50分だったが、今回は9時間30分。40分の遅れは瓢箪峠から大佐飛山の間。脚力の衰えはどうしようもない。山頂の写真を撮っていると、夫婦が黒滝山コースで登ってきた。お互いにシャッターを押し合って少しの間話しをする。この方は翌日に掲示板に書き込んで下さったひま?じさんだった(古賀志山を年100回の早朝歩きをされているとか・・・すごい!!)。

左: 瓢箪峠の東鞍部(水場標識見かけなかった) 右: 標高1700付近の急登(表面はカチカチ、トレースは見かけなかった)


左: 勾配が緩んだ1770付近  右: 同所から鹿又岳


左: 名無山直下 右: 同所から大倉尾根〜那須岳 


左: 名無山山頂のアスナロ(M大の標識は雪で隠れている? 06年4月には見かけた) 右: 大佐飛山への稜線(左奥は那須岳) 1872への雪の回廊はgood!(大長山の北側程ではないが)


左: 名無山から1824へと続く南尾根 右: 男鹿岳(左)(横筋は塩那道路)〜大倉尾根〜那須岳 


左: 1872直下から大佐飛山 右: 1872への稜線


左: 大佐飛山直下の雪庇 右: 大長山


大佐飛山山頂(6回目、黒滝コース4(内1は無雪)、横川から2) 山名板は7枚(06年4月は1枚だったのに!?)

4 復路(瓢箪峠から胡桃橋への尾根経由)  途中でミスするもリカバリーショットがよかった  初めて瓢箪峠に行くには廃運搬路をたどるよりも胡桃橋から尾根通しのほうが分かり易い
 
未だあまり時間が経ていなかったが、復路では気温上昇で残雪の表面が緩み踏み抜くことはないが、よく滑り思うように足を出せない。1824ピークを過ぎた地点で、夫婦が前方から現れた。尋ねると日留賀岳経由で来たとのこと。今夜は瓢箪峠付近のプレハブ小屋に泊り明日は男鹿岳に行くとのこと。一回だけプレハブ小屋に泊まったことがるが、屋外にテントを張るよりは快適だ。鞍部から名無山への登りでは、往路では見えなかった高原山や七ケ岳も展望できた。名無山で名残り惜しく展望を楽しみ下りにかかる。標高1800から1700の急斜面は滑りまくりで、小さくジグザグに下ってゆく。何度も尻もちをついたり踏み抜いたりで遅々ととして進まず。これが奥白根山の南東斜面のように樹木がないと怖いのだが、樹木があると安心してくだれるから不思議。
 1622先の鞍部からの登り返しは、100メートル程度だが急斜面でくたびれた。瓢箪峠に戻った時には、前回に比べて1時間の遅れ。エネルギーを補給しながら、往路をたどるか、前回と同じく尾根通しで胡桃橋に下るか検討。往路は大トラバース地点が不明瞭で苦労しそう。尾根筋を通れば多少の踏抜きはあっても確実と尾根通しで下ることにした。
 瓢箪峠から主稜線上の1730級ピークに登り、針葉樹の北西尾根を下ってゆく。尾根筋は明瞭だが、スリップと踏抜きに悩まされる。この程度の標高の山では今の時期になると、早朝の登りでは雪がよく締まって登りやすいが、午後になると踏み抜きを覚悟せねばならない。標高点1642で方向を北西から西に転ずる。この先は標高1540あたりで尾根が分岐しているので注意をしながら下る。このあたりはこの尾根筋では最も急勾配で、残雪の表面だけが緩んでいるからキックステッップで踵を蹴りこんでも深く入らずに上滑りしてしまう。フットワークが良くないので情けなくなる。標高1450あたりで勾配が緩んでスリップは少なくなったが、踏抜きが増えた。
 前方に荒海山や家老岳が見えて、そのまま明瞭な尾根筋を下り、10分くらいしてルートミスに気付く。荒海山や家老岳の写真を撮った地点から尾根筋の不明瞭な西に下らねばならないのに北西に下ってしまった。所定のルートに戻るには50メートルも登り返さねばならない。ここで地形図を見ながらどうするか考える。今いる尾根筋を下ると地形図に破線が記載されている。これを辿れば栃の木橋に出合うことは間違いない。問題は林道がどの程度崩壊しているかである。もし崩壊箇所が多くても林道を設置するくらいだから沢筋は幅広と判断する。暗くなる(18時半過ぎ)までに栃の木橋に辿り着くのは大丈夫と判断。通常は沢に不時着をすることはしないのだが、地形図の破線にかけることにした。沢(栃の木沢?)に下ると、残雪のついた林道跡らしい。これを追って行くと、林道が崩壊している箇所も多かったが、沢沿い歩くのはさして苦労しなかった。前方に橋が見えて、欄干の銘板で栃の木橋であることが確認できた。ここでアイゼンを外し、男鹿林道(このあたりは過去に2回歩いている)で駐車地に戻るだけ。数分の歩きで下山予定地点だった胡桃橋を通過。
 途中の橋名称はすべて覚えていた、順に高泉橋、桂沢橋、白滝橋、と通過し往路で分岐した廃運搬路入口に着いた時には17時30分。ここまで林道に雪の残り具合はザックリ30%。元気なら駐車地まで約1時間だが、足取りは重く1時間20分要してワイルドフィルード前のゲートを通過して駐車地に戻った時には、照明の必要はなかった。辛うじて明るいうちにスタート地点に戻れた。前回に比べて1時間20分の遅れ、歩き通していみるとこの程度で済んだかと、少しばかり自信回復。


1824から 左: 奥に高原山(手前は1870ピーク) 右: 七ケ岳


名無山手前鞍部から 左: 名無山への稜線 右: 大佐飛山と大長山(右奥)


瓢箪峠から 左: 男鹿岳(左のピーク) 右: 那須岳


左: 1730級ピーク 右:直下の尾根筋


左: 尾根分岐付近(アスナロからダケカンバ) 右: 標高1400付近(カラマツ混ざり)


標高1330から、ここから西へゆくべきなのに北西尾根へミスルート 左: 荒海山(左のピーク) 右: 家老岳  


左: 沢(栃の木沢?)筋の林道跡 右:林道跡が消える  地形図に破線あり、沢に沿って進めば栃の木橋に突き当たる


左: 栃の木橋 右:胡桃橋(ここへ下山の計画だった。 瓢箪峠へ初めて行く時にはここから尾根に取り付くと分かり易い・・・特に危険箇所なし)
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