ひとり山歩き552 : 横川放牧場A団地から尾ケ倉沢左岸尾根で日留賀岳をピストンしてきました。標高1700の痩せ尾根で過去二度は退却していましたが、今回はさほどの苦もなく突破出来ました。日留賀岳山頂直下からは素晴らしい展望が堪能できました。
横川から日留賀岳(1848)
2014年4月15日(火) 晴れ
1 行程
@所要時間 : 自宅(24:00) = JOBSおじか(ワイルドフィールドおじか)(2:15/2:25) − 横川放牧場A団地入口(2:50) − 尾根取付き(3:35) − 標高点1301(4:40/4:45) − 標高点1591(6:50) − 標高1700のヤセ尾根(8:10/8:15) − 山頂稜線到達(8:55) − 日留賀岳(9:35/10:05) − 山頂稜線別れ(10:45) − 標高1700ヤセ尾根(11:05/11:10) − 標高点1591(11:35/11:40) − 標高点1301(13:10/13:25) − 下山(尾根取付き)(14:05) − 放牧場A団地入口(14:35) − JOBSおじか(15:05/15:15) = 自宅(17:30)
Aルートマップ
B写真集

2 自宅 − 横川
 4月7日(ひとり山歩き551)に横川から瓢箪峠経由で男鹿岳を目指したが、林道の残雪が多く瓢箪峠到着がおそくなるので途中退却となった。その後の好天続きで林道の残雪はかなり少なくなったと思われるが、今林道歩きの少ない横川放牧場団地から尾ケ倉沢左岸尾根で日留賀岳を目指すことにした。これは07年4月11日(ひとり山歩き276)11年4月15日(ひとり山歩き436)の二回試みたが、標高1700の痩せ尾根を突破できなかった。横川周辺の残雪状況のチェックと三度目の正直を狙って見ることにした。そもそもこの尾根を知ったのは、05年4月17日にnomineさんと他1名が、瓢箪峠〜鹿又岳〜日留賀岳と歩き、この尾根を下ったという記録である( http://www.geocities.jp/nomine335/ojika.html )。他には品川山の会さんかくてんのメンバーが07年2月10〜11日にテント泊で山頂を往復している記録である( http://sankakuten.web.fc2.com/sankou2006xxx126.html )。 両者ともに特に危険箇所や難しさの記述がなく、自分にもできるのではと考えたのが発端である。
 日中の気温が高くなっているので、復路での踏み抜きを少なくすべく、いつものように未明の出発とする。国道121号からワイルドフィールドおじか(以前はJOBSおじかだったが、名称を変えたらしい)の看板を見て横川放牧場方面へ入ると、先週は道端に残雪が見られたが、今日は殆ど解けてしまった。JOBSおじか(以下これで統一)手前に車を駐めて準備に入る。気温マイナス2度

3 JOBSおじか − 日留賀岳  三度目の正直 今回は鬼門の標高1700の痩せ尾根を突破・・・意外に優し(易し)かった
 天気予報では6時ころまでは曇りだが、満月でヘッデンなしでも歩けそうな好天気。踏抜きに備えてゴアのズボンを着用するも上は厚手のシャツでスタートする。先週は男鹿橋を渡ると残雪の連続だったが、その後の好天気続きで残雪は解けてしまい、放牧場A団地入口までにはごく僅か。放牧場内を通る林道には残雪はごく僅か。放牧場からの出口は残雪でよく分からず少しだけウロウロ。以前はゲートになっていたと記憶する部分は固定されて柵の一部となっていた。柵を乗り越えて残雪の林道を進むと、すぐ先が尾根取付きでその先は雪は消えていた。
 急斜面を少しばかり登ると尾根筋はゆるやかになり、薄い踏跡が続く。地肌は砂状で滑って登りづらい。標高1350あたりからは針葉樹林となり残雪が現れるが、殆ど踏むことなしに登ってゆく。残雪が薄く連続となるとすぐに標高点1301ピークに達した。アスナロ林の中の山頂部には何も目印になるようなものはない。
 ここから方向を南東に変えてゆるやかに登ってゆくのだが、尾根筋はアスナロ林ですぐに残雪が連続するようになった。残雪は浅く早朝で雪も締まっていて、時々踝まで沈む程度。標高1300あたりで比較的新しいピンクリボン(やっと手が届く高さ)と古いテープを二箇所で見かけたが、以降では見かけない点から山頂まで行った形跡はない(こんな明瞭な尾根に目印を付ける程度の技量の持ち主に登れるはずがない・・・でも、自分と同じで技量はなくても挑戦意欲は買っておこう)。標高1330あたりで枝越しに荒海山を見て、これからの急登に備えてアイゼンを装着する。06年4月15日(ひとり山歩き436)で歩いた時には踝からスネまでの沈みを経験しているので、今日はスノーシューを担いできたが、単なるお荷物になりそう(復路で使うことになるかもと我慢我慢)。
 標高1370あたりは笹が頭を出していたが、歩くには全然問題なし。このあたりで枝越しに鹿又岳南峰あたりが見えたが、それ以外には展望はなくアスナロの尾根を黙々と登ってゆく。標高点1591は低いコブ状になっているが、特に目印となるようなものはない。ここからは尾根筋は南から南東に代わり、アスナロに代わり針葉樹(コメツガだったかな?)となり、勾配が増してくる。嫌らしい標高1700の痩せ尾根が近づき、緊張感が増してくる。勾配が厳しくなる標高1650で日光連山〜燧ケ岳〜会駒あたりを写真に収めて、ピッケルを利かして登ってゆく。魔の痩せ尾根を前にして又々の又(三度目だから)歩が進まなくなってしまった。痩せ尾根をトラバースで逃げられないか、試みたが急斜面で滑落の危険を伴う。オーソドックスに尾根上を越すか、逃げ帰るか尾根上に戻って考える。今日は絶対に逃げ帰らないぞ、と覚悟してきたのでここでしっぽを巻くわけにはゆかない。進めなくなったら戻るだけと決して、針葉樹藪で先の見えない痩せ尾根に突入。10分程度針葉樹藪をこぐと痩せ尾根の針地獄は突破できた(藪にしがみついて歩くから滑落の心配はないが、アイゼンを引っ掛けないよう細心の注意が必要)、案ずるよりも産むが易しとはよく言ったものだ(前二回は先が見えないので、滑落と痩せ尾根がどのくらい続くか不安でたまらなかった)。
 ここを越してしまうと尾根筋は太くなり藪もなく歩きや易くなる。おまけに鹿又岳方面が展望できるようになり、先ほどの緊張感から解き放されルンルン気分になる。急斜面をひと登りすると山頂稜線出合でここからの展望は素晴らしい。復路で鹿又岳経由で北尾根を下ってみたい願望もあったので、塩那道路の雪の付き具合を調べる。塩那道路出合から先の内の沢からつらら岩あたりが斜面化しているように見える。尾根筋を通るだけのスタミナもなし、このルートでの下山は諦めよう。
 日留賀岳への尾根筋はかなりの部分で残雪が消えて混合藪(ハイマツ、イヌツゲ、シャクナゲ)の下には数年前の刈払跡が残っていた。アイゼンを引っ掛けないよう注意を払う。残雪部は広くなったり狭くなったりでズンズン進むというわけにはいかない。雪山でこのような周囲が見通せる尾根歩きは、大の苦手(こんな場所が苦手だから藪が好きになったのかも)。もう一つの復路の経路として、Yoshiさんが12年4付月15日(奇しくも同じ日付)に白倉山〜桃の木峠〜日留賀岳と登ってきた尾根を利用して横川に下る。このルートはきりんこさん等が3月16日に下っている。観察するとこの尾根筋は登ってきた針葉樹尾根とは異なり落葉樹の尾根のようで尾根筋は雪庇状になっているようにみえる。高所恐怖症の自分には、こんな長い雪庇歩きは辿れない。往路を戻るしかなさそう。思ったよりも山頂稜線出合から日留賀岳山頂までは時間がかかったが、どうにかとどりつけた。
 雪が解けてしまった山頂からの展望をしばらく楽しむ。日光連山〜会津の山々〜男鹿山塊と素晴らしい。昨年の4月9日(ひとり山歩き513)に塩原側から登って、この好展望を見ているのだが、こんな景色は何度見ても見飽きない。


左:尾根取付き(林道はこの先は雪が溶けていた) 右: 1301ピーク (アスナロ林、残雪薄い)


左: 標高1330の様子(アスナロ林が続き残雪は薄い) 右: 枝越しに荒海山


左:標高1400付近は笹が露出 右: 標高1510付近の様子(時々踝まで沈む程度)


左: 標高1620付近(アスナロが消える) 右: 枝越しに日光連山


標高1700の痩せ尾根に針葉樹藪(もっと密だが、写真撮る余裕なかった)・・・密藪地帯は10分程度で滑落の心配はない・・・通ってみればどうということはなかった


左: 標高1750になると歩きやすくなる 右: 同所から鹿又岳南峰


山頂稜線出合(鹿又岳方面分岐)からのパノラマ  日光連山〜会駒〜七ケ岳 (右奥に飯豊山)


左: 日留賀岳への稜線 右: 好展望が広がる(尾根上の残雪が消えた部分には刈払跡が残る)


左: 日留賀岳山頂  右: 日光連山


左: 燧ケ岳〜会駒 右: 七ケ岳  (右奥に飯豊山)


左: 男鹿山塊(中央に鹿又岳) 右: 大佐飛山〜大長山〜西村山稜線 中央右端は長者岳


山頂からのパノラマ (日光連山〜会駒~〜七ケ岳 


同じく男鹿山塊

 4 復路
  結局往路と同じルートで戻ることにした。山頂稜線出合(別れ)までは、ほんの僅かな時間しか経過していないが気温が上昇して往路よりも足の沈みは大きくなった。以降もくだりということもあって足の沈みは踝までは状態で、何度か膝まで踏抜く。標高1700の痩せ尾根はどうというkとなく通過。標高点1591からはズボズボと何度も踏み抜く。せっかく背負って来たのだからスノーシューを履けばよいのだが、面倒でその気にならない。横着な性分はどうしようもない。神さんが嘆く気持ちわかるよ。
 標高点1301でアイゼンを外し、エネルギーを補給して下りに備える。残雪は緩んで滑りやすいので、残雪を避けて左へ右へと往路よりも不安定な軌跡を描いて、林道に無事下山。放牧場の最上部からは荒海山と七ケ岳が展望できた。もうこの尾根を登ることはないだろう。下山に使うことはあるかもしれない、など考えながら放牧場A団地とおさらばする。Jobsおじかに戻ると、専用の駐車場に車が3台、何処に言っているのかな。次回は瓢箪峠から男鹿岳または大佐飛山にチャレンジする気になれるかな。林道の雪もなくなって時期としては丁度良さそうだが。


:放牧場A団地の最上部から 荒海山〜七ケ岳  右: JOBSおじか(ワイルドフィールド男鹿)から  鹿又岳〜日留賀岳

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