ひとり山歩き537 : 松木川のウメコバ沢対岸から南西尾根に取り付いて大平山に登ってきました。尾根先端部は痩せ岩稜ですが、以降は特別の危険箇所はありませんでした。皇海山方面の展望は抜群でした。
松木川から南西尾根で大平山(1959)
2013年11月29日(金) 晴れ
1 行程
@所要時間 : 自宅(2:15) = 足尾銅親水公園(4:10/4:15) − 尾根取付き(ウメコバ沢出合)(6:30/6:35) − 南西尾根出合(8:45) − 標高点1458(9:15/9:20) − 標高点1765(10:55/11:00) − 大平山(12:15/12:35) − 標高点1805(13:00) − 標高点1356(14:25/14:30) − 安蘇沢林道分岐(15:05) − 淀沢林道分岐(15:20) − 銅親水公園(16:40/16:50) = 自宅(18:55)
Aルートマップ
Bウォッちず : 銅親水公園  尾根取付き(ウメコバ沢出合)  大平山
C写真集

2 自宅 − 足尾
 過日、足尾のRRさんが、ブログ「日光山系 ななころびのあの山の向こうに」に、松木川のウメコバ沢出合から南西尾根で大平山に登る方法について提示があった。大平山には何度も登っていて、山頂直下から目に入る南西尾根は魅力的であった。しかしながらこの尾根の先端部は岩崖で取付き方法が分からなかった。そこへRRさんの提示に目から鱗で、実践してみる気になった。ブログ管理者のななさんより先に実行するのは、全くのパクリで気が引けたが、実行することにした。
 尾根取付きは明るくなってからの基本に立ち返り、6時半頃とした。尾根取付きの松木川のウメコバ沢出合まではヘッデンで何度も歩いているので、あるい程度は時間の推測が成り立つ。足尾銅親水公園に到着時は満点の星空で、当然ながら駐車している車はなかった。車載温度計でマイナス3度(公園入口の電光掲示板は最近は故障のようだ)。
3 松木川から − 大平山南西尾根
 銅親水公園から松木川沿いにヘッデン歩きを数回しているのでルートはある程度頭に入っている。大ナギ沢出合直前のゲートまでは工事用の車が未だ走っているので問題はない。いつ出来たのかしらないが、ヘリポートの先に遊働楽舎みちくさなる茶屋まがいの建物まで立っている。話によるとお茶のサービスなどがあるらしい。ゲートをくぐり抜けて大ナギ沢を渡ると、林道は崩落したり藪化していて歩きづらい。微かな踏跡を追ってゆくのだが、崩落箇所などでは踏跡を外すことが多い(明るい時ならどうというほどではないかも)。時には、林道の姿を残す部分もあるが、ごく僅かである。ヘッデン歩きの少ない人が初めてこんな時間帯に歩くのは難しかろう。時間調整に成功して尾根取付きのウメコバ沢出合に着く頃には、これから取り付く尾根筋の様子をさぐれた。
 取付き場所を探ったが、ウメコバ沢が松木川に流入する対岸の小尾根が最適と判断した。小尾根先端部のザレ斜面を僅か登ると、痩せ岩稜となり進むに連れて様相が厳しくなる。バランス感覚が悪いので、痩せ岩稜歩きは苦手。先端に取り付いて20分(高度にして60メートル程)進んんだ地点から、あと50メートル程登れば小尾根は草付きの斜面に吸収されるのが分かったが、どうしても足が進まなくなってしまった。これで退却かと右手を見ると、樹木の生えた小尾根が目に入った。今いる小尾根から草木にしがみつきながら浅い谷に下りて、隣の小尾根に登ってみると、先刻の尾根筋とは全く異なり、灌木が生えているので安心して進むことができた。小尾根が草付き斜面に吸収された地点でケルンを見かけた。これは足尾のRRさんが積んだものだろう。ここで防寒着を脱いで一息。
 この先は、南西尾根目指して急斜面を北上する。この山腹はリョウブ林で最大40°近い傾斜で登れるか心配したが、杉や檜植林でよく見かける細く作業道状の踏跡(獣道?)が多数あり、地面は適度に軟らかく足が滑るようなこともなく、労力は大きいがなんとか南西尾根に登りつめた。尾根筋からは皇海山方面が樹木越しに見えるようになった。


左: 小尾根先端 中: 取付き 右: 痩せ岩稜


左: 小尾根が草付き斜面に吸収される 中: 振り返ってウメコバ沢 右: 最初のケルン(中央)


左: ケルンの先の露岩帯 中: リョウブ林の急斜面 右: 時には露岩も現れる


南西尾根出合 左: 下側 中: 上側 右: 皇海山

 尾根上は樹木がまばらで、枯れた草付きとなっていて歩き易い。相変わらず皇海山方面の展望は得られる。松木川下流側の展望はどうしても大ナギ沢右岸尾根より劣るが、オロ山〜皇海山〜三俣山方面の展望はこちらのほうが優れる。南西尾根の傾斜は概して大ナギ沢右岸尾根よりも小さく笹は殆ど無い。、標高点1458手前からは樹木がなくなるとともにザレ気味になり少し歩きづらくなる。踏跡?(獣道にしては窪みすぎ)がかなりの部分で通っている。途中で第二のケルンを見たり、大岩を左から巻いたりしながら登ってゆく。標高点1765直下は急勾配できついが、特に危険な箇所はない(松木川からの小尾根部を除いて)。標高1500を過ぎると、矮小な笹が断続し、標高点1765では膝下くらいになる。踏跡は依然として拾えた。


標高1350付近から 左: 1828岩峰〜三俣山〜シゲト稜線 中: 尾根上の様子  右: 右手の様子


標高1450付近から 左: 1458ピーク 中: ウメコバ沢の下部 右:ウメコバ沢の上部


1458からのパナラマ オロ山〜鋸山〜皇海山〜1828岩峰〜三俣山〜シゲト山


左: 1458から1765への稜線 中: 第二ケルン(1470あたり) 右: オロ山〜鋸山〜皇海山(1470付近から)


左: 1530あたり 中: 1530あたりの大岩(左を巻く) 右: 1580あたりの大岩(左を巻く)


左: 標高1620あたり 中: 1720あたり 右: 南東尾根が見えるようになる (標高点1765から)

 標高点1765を過ぎると左手(北西側)はコメツガ林で、低い笹の他には障害物はなく風を遮ってくれるから頬や指先の痛みから開放されて気持ちよく歩く。栃木の冬山歩きの楽しみのひとつである浮きツクバと富士山が見えて満足。南東尾根(松木尾根)出合からは笹は膝程度になり、微かな踏跡を追って樹林の中の大平山山頂に達した。松木川から南西尾根歩きは、最初に取付いた痩せ岩稜の他は特別な危険地帯はなく、藪もなく皇海山方面の展望を楽しみながら登ることができて至福の時を迎える。南西尾根直下の急斜面を登るには脚力不足の悲哀を感じたが。
 RRさんのご教示に感謝するとともに、ななさんのブログに集うその道の皆さんを出し抜いてしまったことをお詫びします。


左: 標高1800あたり(尾根の左手はコメツガ林となる 中: 中倉山方面(1830から) 右: 沢入山〜オロ山(1830から)


左 : 浮きツクバ(1830から中央奥微かに) 右: 富士山(1910から)

 
左: コメツガ林(1910あたり) 中: 南東尾根出合付近 右: 大平山山頂

4 下山
 当初計画では、南東尾根(松木尾根)を通しで下ろうかと思っていたが、南西尾根の登りに思ったよりも時間がを要したために安全サイドで標高点1356からは林道を下ることにした。このルートは何度も歩いているので説明は省略する。
 南東尾根を下り始めると、大腿(内転筋)がつり始めた。休んでは歩きを数回繰り返すことになってしまった。特に倒木を跨ぐときとか、急斜面を下るときに引き攣るのでゆっくりと下ってゆく。過去に大腿が攣ることは何度もあったが、片脚だけで済んでいたのが、今日は左と右が交互に引き攣って往生した。往路での急斜面歩きと気温低下の影響は大。予定よりも30分も余分に時間は要したが、なんとか標高点1356まで下ることができた。
 林道を下り始めると、障害物はなく勾配が緩んだせいか銅親水公園までは脚の引き攣りはなかった。明るいうちに駐車場に戻ったが、他に車はなかった。来月から5月中旬までは雪山歩きを中心とするつもり。


南東尾根出合直下から 左:南西尾根の下部: 南西尾根の上部


1805付近からのパノラマ 男体山(頭)〜社山〜半月山〜赤倉山〜中倉山
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