ひとり山歩き532 : 松木川のニゴリ沢分岐付近から皇海山の東尾根を直登し、山頂でテント泊しました。翌日は鋸山、六林班峠、庚申山荘、銀山平経由で銅親水公園に戻りました。東尾根は標高1750以上は急勾配で針葉樹藪に悩まされましたが、1750以下には藪は殆どありませんでした。周辺の紅葉はこれからの感じです。
皇海山東尾根〜六林班峠〜銀山平
2013年10月13日(日)14日(月) 両日も晴れ
1 行程
@所要時間 : 
第1日 自宅(1:15) = 足尾銅親水公園(3:05/3:15) − 大ナギ沢出合(4:00) − ウメコバ沢出合(5:40/5:55) − 6号砂防堤(6:10) − ニゴリ沢分岐(8:10) − 皇海山東尾根取付き(8:30/8:55) − 標高点1468(10:30) − 標高1630(休憩)(11:25/11:35) − 標高1750(12:25) − 登山道出合(14:55) − 皇海山(15:05)
第2日 皇海山(4:45) − 不動沢コル(5:35/5:45) − 鋸山(6:35/6:45) − 六林班峠(8:15/8:30) − 庚申山荘(12:25/12:40) − 一の鳥居(14:00) − 舟石林道口(15:10/15:20) − 舟石峠(16:10) − 銅親水公園(17:40/17:45) = 自宅(19:40)
Aルートマップ
Bウォッちず : 銅親水公園  ニゴリ沢出合  皇海山東尾根取付き  皇海山  六林班峠  一の鳥居  舟石林道口 
C写真集 

2 自宅 − 足尾銅親水公園
 7、8年前に皇海山東尾根の直登に関する記録が偶然ヒットした(どんなキーワードで検索したのか、その後は全然ヒットしない)。その頃はこんな尾根を登る人もいるのだと思っていた。09年10月19日(ひとり山歩き376)に庚申山から皇海山東尾根と皇海沢の紅葉が素晴らしかった。それ以降、皇海沢か皇海山東尾根を歩いて見たいと思うようになった。10年10月23日(ひとり山歩き418)に皇海沢を遡行したが、シナノキ沢の先で10m滝を高巻くのに失敗して、沢歩きのド素人がやるべきことではないと退却したことがる。東尾根の方はその後も機会を狙っていた。
 最近は、天気読みに迷いが生じてうまく山行日が選べず苦労している。好天と思って出かけても曇天だったり、濃霧だったりで長時間歩きができず脚腰が弱くなってしまったようだ。9月19日の週は台風一過の好天が続いた。この機会を逃してはならじと、中秋の名月の夜に山で月見をするのもよかろうと、ザックを担いで早朝に出発した。暗闇の中を昔の林道(ダム工事道路)跡歩いて、ウメコバ沢出合で明るくなり、渡渉開始すべく靴を履き替えた。松木川をニゴリ沢出合までは何度も歩いているが、いつもは深くても膝と踝の間くらいだったのが、いきなり膝までの深さで、水流が多いので抵抗が強く進むのは無茶と判断して退却した。この判断は正解だった(ヤマレコの3、4日後に歩いた記録によると、膝程度の渡渉が多く、一度だけ腿まであったようである)。
 今年の紅葉は一週間は早いと言われているので、そろそろ時期かと天気待ちであった。13日(日)と14日(月)は連休で山に行く日ではないが、これを逃すと今週も台風襲来で山に行き損なう。コースとしてはニゴリ沢分岐付近から皇海山東尾根を直登し、第一案は中倉山尾根経由で戻る。第二案は釜五峰の岩峰1828から大ナラキ沢左岸尾根を下って、松木川を戻ることにする。二日目はできるだけ歩く距離を短くしたいので、一日目は松木川の渡渉開始地点であるウメコバ沢出合で明るくなっているように見計らって家を出た。ひょっとしたら六林班峠から銀山平経由で戻ることもあるかもと思い銅親水公園手前の足尾無料駐車場に車を駐めようとしたら、いつもは早朝に車が駐まっていないのにかなり多く駐まっているようだった。仕方なしに銅親水公園の駐車場に車を進めた。駐車中の車は3、4台(平日なら、まず駐まっていることはないのだが。駐車場入口の電光掲示板気温8度、風速3m/秒

3 第一日(皇海山まで)  皇海山東尾根は標高1750以下は殆ど藪なし 以上では急斜面と針葉樹藪
 銅親水公園からニゴリ沢出合経由で国境平までは過去に4回歩いている(日帰り2回、テント泊2回)。何れもウメコバ沢出合付近までは暗闇の中を歩いているが、道筋は大体は記憶している。と言っても大ナギ沢出合から先は、かなりの部分は薮化したり、崩壊したりで明るくても難儀する(先月にウメコバ沢出合からの戻りは明るくなっていたが、難儀した)。大きく道筋から外れたことはないが、崩落地等で踏跡がわからなくなることがある。その場合は山側に踏跡を求めず、川側に下って見ることですぐに復帰できる。踏跡を追い求める苦労よりも、身体のバランス感覚が加齢(もともtバランス感覚は良くない。目をつぶって片足立ちが10程度しかできない)で落ちているので、崩落地の岩の上を伝い歩きするほうがよほど苦労した。初めて歩いた頃は銅親水公園からウメコバ沢出合まで1時間半で歩いた(ザックの重さにかかわらず)が、2時間半近くかかるようになってしまった。ウメコバ沢出合で登山口からジョッギングシューズ(松木川を遡る時に常用)に履き替える。登山靴はザックに収まらないので、袋に入れて袈裟がけとする。
 すぐ先の6号堰堤までに二回渡渉したが、9月19日と大違いで、水深は向う脛程度で、水圧は感じない(過去の歩きと同じ)。ここからニゴリ沢出合までは何度も記録にしているので、今回は書くつもりはない。いつものことだが、無理して飛び石を探したりせずに、すぐに水の中をジャブジャブ歩くことにしている。ニゴリ沢出合までに20回ほど水の中を歩いた。松木川の岩はコケが付いていないので、ジョッギングシューズでも滑ることはない。靴の中に砂が入るのが嫌らしい。参照記録: 皇海山から六林班峠ルート 04年6月3日(ひとり山歩き152)06年10月16・17日(ひとり山歩き256) 三俣山から大平山ルート 04年6月18日(ひとり山歩き154)10年10月23・24日(ひとり山歩き418)  
 いつもはニゴリ沢方面へ進むのだが、今日は松木川(皇海沢)を更に進み、シナノキ沢出合の少し手前で尾根に取りつくことにする。ジョッギングシューズから登山靴に履き替えてエネルギーを補給する。ほんの僅かだけ涸れ沢を遡り、左手の急斜面にとりつく。地肌は柔らかく、滑って苦労する。20分強で尾根形が明瞭となり歩きやすくなる。すると踏跡(獣道より明瞭)が現れた。ついでシャンクナゲ藪が現れ、大きなザックが枝に引っかり通過に苦労した。この先も難儀しそうと覚悟決めたが、幸いに踏跡は藪を避けている。頂上直下の針葉樹藪を除くとその後は藪の突破はなかった。標高1350あたりで、今回の第二案の1828ピークと大ナラキ沢左岸尾根が展望できた。更にはシゲト山や大平山も展望できた。特に危険箇所はないが、尾根筋にザレ気味の箇所が多く、左手を巻く細い踏跡では少しばかり注意が必要。
 標高1400あたりからは林床が笹となるも浅いので歩くのに苦労はしない。尾根筋の紅葉はポツポツで周辺の山腹の紅葉はもう少し進んでいるかと期待したが、少しばかり早いようだ(針葉樹が多いので、期待のし過ぎは禁物)。標高点1468は小広場状で、皇海山の頭が視認できた(写真では樹木でブロックされてしまった)。笹は相変わらず踝程度では歩き易い。標高1630付近で開けた場所があったのでエネルギー補給で小休止。前方には皇海山の頭や国境平、三俣山、シゲト山や大平山の展望が素晴らしい。錫ケ岳と奥白根山は残念ながら雲の中。標高1720あたりで膝下の笹のダケカンバ林を通過しする。標高1740あたりからはコメツガ林となって笹は少なくなる。
 標高1750を越すと勾配が増してくる。最初の頃は枝藪もなく、急斜面との戦いだったが標高1900辺になると、針葉樹の藪がひどくなりしかも連続するようになって、急勾配と相まって登るに苦労する。藪の少ない場所を求めて左へ右へと進むも、どこも藪だらけ。標高2100位になると幾分か藪は薄くなった感じ。やっとの思いで登山道出合だ。同じ勾配でもなんと登山道歩きは楽なことよ。もうこの時間帯では人に遭うことはあるまい(04年6月3日には山頂着11時35分で誰にも遭わなかった。百名山で人を見かけなかったのは、この時だけ)と思いながら歩いていると、下山開始の夫婦とすれ違った。すぐに皇海山の山頂に到着。今日は東尾根で強風が吹いていて、テントが張れるか心配で、途中で退却しようかとも思ったが、我慢してよかった。計画よりも1時間半ほど遅れてしまった。尾根取付きまでに30分、東尾根で1時間の遅れ。15時過ぎでは、第一案の鋸11峰の途中でテント張るのも、第二案の国境平でテントを張るのも遅すぎる。山頂でテントを張ることにして、山頂の写真を撮っていると、後続者が現れた。東京の方で中倉山尾根から鋸11峰をと通ってきたとのこと。今日は国境平らにテントを張り、明日は松木川を下るとのことですぐに下って行った。
 山頂部は記憶よりも狭く、岩や根っこに邪魔されずにどうにかテントを張ることができた。テントを張るのは丁度2年ぶりで、要領が悪い。荷を軽くするために、コンロは持参していないので、コンビニのむすびとアンパンで夕食を済ませる。まだ明るいが17時にテント内に潜りこんで明日の計画を練り直す。今日の歩きっぷりでは、第一案の中倉山尾根を戻るのはおぼつかない。第二案の大ナラキ沢左岸尾根を下るのなら何とかなりそう。最終的には明朝目が覚めてから疲労度などを勘案して決めることにしてシュラフに潜り込んだ。いつもの様にすぐに眠ってしまったようだ。テントに過去に一度使っただけのフライシートも被せた。シュラフはいまの時期は150g(180gだったかも)でゴア雨具も着用、通常ならグッスリなのだが寒くて夜中に何度も目を覚ます。テント内8度、屋外5度で、この山域でいまの時期のならこんなものなのだが。体調が悪いのかな?

左: ウメコバ沢出合 中: お馴染みの使い捨て重機 右: 6号堰堤


: 三沢出合 中: 小足沢出合 右: 初めて皇海山が姿を現す(標高1010付近)


左: 大ナラキ沢から流れ出る滝 中: 唯一の淵(ここは右手を高巻く 右: ニゴリ沢出合(左が本流、右がニゴリ沢)


左: 皇海山東尾根取付き 中: 岩峰1828と大ナラキ沢左岸尾根(中央部) 右: シゲト山〜大平山 (中と右は標高1350付近から)


尾根上にザレ部多い 左と中:1468の手前 右:標高1580付近


左: 1468から皇海山山頂が姿を現す 右: 標高1630から


国境平・日向山・三俣山・大平山の稜線、錫・白根山は雲の中、半月はチラリと (標高1630の休憩地から)


左: 皇海山 右: 鋸11峰の後半 (標高1650から9


左: ダケカンバ林(標高1720) 中:針葉樹林(標高1770) 右: 針葉樹ヤブと倒木(標高1900)


左と中 : 皇海山山頂 右:枝越しの展望(一番左に燧ケ岳、中央のピークが錫ケ岳)
4第二日(皇海山−六林班峠−庚申山荘−舟石林道)  笹に悩まされる 紅葉はまだ早いのかパットしない
 いつものように2時を過ぎると覚醒してしまった。今日の計画を練り直すべく地形図を探ると、左手(利き手)の人差し指が痛くて動かせない。人差し指の付け根から手首にかけて腫れがひどい。手をついたり、打撲した記憶は全くない。山頂直下の急斜面の登りでストックを使いすぎて無理して腱が炎症を起こしたのかもしれない。力が入れづらいだけで痛くてたまらないということはない。鋸11峰で鎖や梯子の昇り降りで力が入らないと困る。大ナラキ沢右岸尾根の下りは未知で、ちょっと不安。安全サイドでエスケープすることにする。国境平からモミジ尾根を下り松木川を戻るのが、時間的にも体力的にもっとも楽だが、面白みにかける。六林班峠と庚申山荘経由で戻るのは、鋸山で固定ロープの世話になるだけ、その他には力仕事はない。このルートは何度も通り、安心して歩ける。銀山平から舟石林道経由で銅親水公園まで舗装道歩きが辛いが、最悪の場合はタクシー利用も可でこのルートをエスケープすることに決めた。 
 3時半からスタート準備にかかる。シュラフの収納に始まって、アンパンを食し(二日目はアンパンの類ばかり)、テントの収納とザック詰めを行う。昼間は山頂からは日光連山の一部が枝越しに見えるだけだが、暗闇の中では南西に沼田方面の市街地の灯りが美しい。まだ暗いがヘッデンを点けて歩き始める。山頂直下の固定ロープで急斜面を下ったちょっとした平坦地にテントを片付けている単独行者がいた。往路は聞き取れなかったが、復路は中倉山尾根を戻るとのことだった。Webでは中倉山尾根経由で皇海山はあまり見かけないが、今回の山行で二人に出逢った。自分は三人目になり損なったが、けっこう多いのだ。不動沢コルで、ゴア雨具を脱いでいると先刻の単独行者が追い抜いていった。やはりこんなルートを通る人は足の運びが違うわいと後姿を見送る。自分のように早朝から夕刻まで頑張らねば歩けないような人はいないようだ。
 コルから鋸山を見ると、急峻で嫌になってしまうが、たった150メートルの登り返しと自己暗示をかけて笹尾根を登ってゆく。標高1930くらいで岩場に達した。古いロープが垂れているが、ロープの助けを借りずに何とか登れた。ついでルンゼ状の場所をロープの助けを借りながら登り切ると、すぐ先で鋸山の山頂に達する。岩場もルンゼも利き手に力が入らないので、鋸11峰経由は完全に諦める。皇海山の山頂は展望はない。その分を取り返すように展望を楽しむ。どうしても昨日登った東尾根に目が張り付いてしまう。鋸山から東尾根を見ると、尾根の上部と下部が一枚の写真に収まらないので、標高1750からの斜面があまり急に見えない。庚申山から見ると、一枚の写真に収まるので、急峻さがよく分かる。庚申山を経由して写真を撮りたっかな。周辺の紅葉は09年10月19日に庚申山から見た時ほど進んでいないようだ。新聞やTVで今年は一週間早いは、全てには当たらにということ。ここまでに皇海山に向かう単独行者三人と出逢った。連休で天気はよく紅葉の季節ということで多いようだ。
 この先は何度も歩いているので詳述するつもりはない。六林班峠へ笹の連続で、特に標高1900からの下りになると、笹は深くなる。ルートを踏み外すことはなかったが、笹に隠れた倒木には要注意。六林班峠から庚申山荘までも笹道の連続だ。笹が踏跡の上に寝ている箇所が多く、何度も滑って転んだ。天下見晴分岐の手前で鋸山への登りですれ違った単独行者に追い越されてしまった。02年から04年頃(テント泊のザックを担いでも)は、鋸山〜六林班峠は約1時間、六林班峠から庚申山荘は約2時間だったが、昨年は70分と2時間40分要している(日帰り)。今回は1時間半と4時間も要している。最近は長時間山行をやっていないので、当然といえば当然だが、加齢による衰えも大である。スリムな人や、若い頃から山歩きをしている人は加齢による衰えは遅いだろうが、今元気に歩いている中高年の方々も遅かれ早かれやってくるのですぞ!?(年寄りの世迷い言と読み流し(?)願う)
 このルートで刈払直後に歩いたのは初めての02年5月だけで、その他は笹の刈り払い時期に歩いたことない。庚申山荘で最後のガソリン補給。昨日は風が吹いて涼しかったせいで、3リットル担いできたが、夕食を含めて1リットルの消費。今日もここまで1リットルしか消費していない。残り1リットルでは少し不安で、1.5リットルに調整。
 一の鳥居まで登山道がしっかりしているので、特に問題なし。銀山平の舟石林道口まではダートと舗装道歩きで退屈極まりない(疲れの裏返し)。かじか荘に寄ってタクシーを呼ぶかどうしようか迷う。今日は休日で好天、タクシーがなかな来ないないかもしれない。待つのは嫌いな性分で、舟石林道を歩き出す。舟石峠までの180メートルを登り切ってしまえば下るだけ。明るいうちに駐車場に戻れなく構わないと思うと、ますます歩みが遅くなる。かなり下った地点で中倉山〜庚申山を歩いて庚申山荘経由で下ってきた栃木市の方がかなりの速度で追い付いてきた。少しばかり話しながら歩いているうちに、この方の歩きに併せてスピードを上げる。多少はペースを落としてくれたのかもしれないが、なんとか並んで歩けた。舗装道のような平坦な道ではまだその気になれば歩けることがわかった。定年になってからトレセンで筋力トレーニングをしているが、10年以上経ったが同じトレーニングを続けているので、筋力がそれ程落ちているわけではなさそう。山歩きで速度が落ちている最大原因は、バランス感覚が衰えて、転びそうで早く歩けないことではなかろうか。次は段差の昇降に膝だけで吸収できずにストック、樹木の助けを借りたり後ろ向きで下りたりするためのようだ。栃木の方のお陰でどうにかヘッデンを点灯させることもなく駐車場に戻れた。最後に少しばかり自信が回復。 参照記録 : 02年5月26日(ひとり山歩き46) 04年6月3日(ひとり山歩き152) 12年6月5日(ひとり山歩き480)

左: 出発時は未だ暗い 中: 不動沢コル 右: コルから鋸山


鋸山から 左: 東尾根上部 右:下部


左: 白根山〜男体山(後列)、日向山〜三俣山〜大平山(鋸山山頂から) 右: 袈裟丸山と赤城山(右奥)(鋸山頂直下から)
HOME
inserted by FC2 system