ひとり山歩き529 : 鳳凰山の薬師ケ岳に中道コースで登り観音ケ岳の先から鳳凰小屋経由でドンドコ沢コースを周回してきました。生憎のガスで展望は全く得られませんでした。
鳳凰山(中道を登りドンドコ沢コースを下る)
2013年9月11日(水) 曇り
1 行程
@所要時間 : 上日川峠(9/10 11:35) = 鳳凰山中道登山口付近駐車地(9/10 15:20/9/11 0:00) −中道登山口(0:05) − 林道出合(1:05) − 道標「薬師3時間、青木鉱泉1時間40分」(標高1950)(2:50) − 御座石(5:15/5:25) − 薬師ケ岳(7:05/7:10) − 観音ケ岳(7:40/7:50) − 鳳凰小屋分岐(8:20) − 鳳凰小屋(9:15/9:30) − 五色ノ滝分岐(10:05) − 白糸ノ滝分岐(10:55) − 鳳凰ノ滝分岐上側/下側(11:50/12:05) − 南精進ノ滝展望台(12:35/12:40) − 登山道別れ(13:50) − ドンドコ沢渡渉(13:55/14:00) − 駐車地(14:20/14:35) = 韮崎旭温泉(15:30/16:10) = 自宅(20:25)
Aルートマップ
Bウォッちず : 鳳凰山(薬師ケ岳と観音ケ岳)  中道登山口  ドンドコ沢渡渉  青木鉱泉入口(射撃場、原山神社付近、ここから入るとカーナビの案内はないがほぼ完全舗装道)
C写真集

2 上日川告 − 鳳凰山中道登山口
 南アルプスは北アルプスに比べて栃木県からでは、交通の便が良くないこと、山小屋の利用は予約が必要なことなどでなかなか出かける気にならなかった。鳳凰山山は登山口に車内前泊すれば日帰りの可能性があり、この2、3年は密かに狙っていた。地形図には破線記載されているドンドコ沢を渡渉できれば青木鉱泉からスタートするのに比べて、時間短縮になる。砂防ダム工事でここで渡渉できない可能性もあったので、Webで検索してもヒットしなかった。ところが長い間休止されていたHP「山頂渉猟を追って」が「藪の隙間より」として今年の4月に開設された(このHPの管理者は親子ほどの年齢差があるにもかかわらず栃木県出身ということで、山歩きを始めた頃からいろいろと情報やアドバイスを頂いていた)。今年の7月17日に、この地点で渡渉してドンドコ沢コースで鳳凰山に登り、中道コースで下っている。9月11日には、その逆回りでドンドコ沢を渡渉しているのが判明した。この記録に意を強くして、鳳凰山を日帰り周回することにした。
 「激藪の隙間より」の管理者とは脚力の差は比較しようがない。同管理者の所要時間の2倍の13時間程度必要である。明るくなってからのスタートでは、歩行終了時に暗くなってしまう可能性があるので、お得意の真夜中スタートとすることにした。暗い時には中道スタートが良いか、ドンドコ沢スタートが良いか迷ったが、より安全と思われる中道スタートと決めた(鳳凰山周回者のほとんどはドンドコ沢を登り、中道を下っている。それなりの理由があるのだろうが)。
 前日の15時過ぎに中道登山口付近に車を駐めて、登山口とドンドコ沢渡渉地点の下見をして、17時過ぎに食事を摂って、24時に目覚ましをセットして車の座席を倒したら、いつもの様にすぐに眠りについたようだ。23時に目が覚めてしまったので、24時にスタートすべく、サンドウィッチを頬張り、登山準備を整えて24時を待った。星は見えないが、就寝前と気圧が変わっていないので天気の崩れはないと安心してザックを担ぐ。
3 中道コースで薬師ケ岳  特に危険箇所はない 急斜面も暗いうちに登れば苦しみ少ない 途中での展望は多分期待できないと思われる
 駐車地のすぐ先が、林道と登山口の分岐でここを左に進むと中道登山口となる。前日から車が2台駐まっていた。登山口の道標には薬師岳山頂4時間30分となっているが、手書きで6時間とも書いてある。前出管理者の2倍を目標とすると6時間半になり自分が特別遅いわけでもなさそう。登山道は明瞭でヘッデンの明るさで充分。土道で石も木の根も少なく歩き易い。暗くて廻りがよく見えないので正確ではないが、標高1400を超えるとカラマツ林で林床は低い笹となる。標高1600で林道に出合う。林道の途中は不明だが、横断地点は荒れている様子はなかった。林道を横断して登山道を進むと、引き続き低い笹道だが、はみ出しもなく歩き易い。標高1700付近は笹の刈払が行われたようで、登山道には笹を敷いたようになっていた。道筋はよく歩きやすいのだが、かなりガスが発生しているのが嫌らしい。標高1950で薬師岳3時間の道標を見る。道標によれば登山口からここまで1時間30分だが、実際には2時間45分要していてかなり遅いペースだ。目標時間で歩けなくても、明るいうちに駐車地に戻るのが自分の約束事。充分余裕はあるので焦ることはない。焦れば疲労はたまるので自分のペースをしっかりと守る。
 標高2050あたりからは勾配が急になり、登山道は岩っぽくなる。あたりはいつの間にかカラマツ林からシラビソ林に変わっていた。標高2100から2350の間は特に急勾配で岩や根が多くネを上げる。こんな急勾配でも暗いと周辺が見えないからそれほど急登しているような感じはない。相変わらずガスは発生していて、時々樹木から露が落ちてきて雨になったかと錯覚する。幾分か明るんで突然目の前に巨石が現れた。これが御座石で、まだ充分明るくなっていないので、御座石全体の写真は撮れなかった。ここの道標では薬師岳1時間30分となっていた。前出管理者の所要時間の丁度2倍でほぼ計画通りの歩きでひと安心。ここでエネルギーを補給してヘッデンを格納する。
 御座石を過ぎると、相変わらずのシラビソ林で登山道は幾分えぐれ気味となり、根の張り出しや小岩が多い。標高2100から2350の急登に比べたら勾配は緩く、登りやすい。明るくなるとかえって注意力が散漫となり、道筋の描写が少なくなり、これを書いていても様子を思い出せない。途中でシャクナゲが現れたりするが、どのあたりか覚えていない。標高2600あたりで右手に巨岩が見えて、薄い踏跡が付いていたが寄り道する気にはならなかった。その先で露岩対を登ると、周辺に巨岩が目に付き出した。白砂地になっていよいよ薬師ケ岳山頂かと元気になったが、ガスが立ち込めていてどこが山頂なのかわからない。ウロウロしていると左上方から人声が聞こえたのでそちらへ行ってみると、砂地の平坦地に辿り着いた。ここが薬師ケ岳山頂で、二人が中道へ下山していった。もうひとりは観音ケ岳方面へと下っていった。所要時時間は7時間で目標よりも30分遅れでまずまず。
 期待していた展望はガスで皆無。広い山頂部の全体像も捉えることができない始末。好天選びには自信があり、この数年は北アルプスに年一で8月か9月に訪問しているが、いずれも快晴であった。今年は異常気象で天気読みが難しい。7月10日の燕岳(ひとり山歩き523)でも、ガスで遠望は全く利かなかった。19回登って17回は好展望が得られた奥白根山ですら、8月4日(ひとり山歩き525)に20回目の登山でもガスで展望が得られなかった。今年は降雨が多い上に気温が高いので、ガス発生が多いような気がする。


左: 登山口の道標(薬師4時間30分)  中: 林道出合付近の登山道  右: 標高2100付近は岩を縫ったり跨いだり


薬師ケ岳山頂直下の巨岩群


薬師ケ岳山頂の様子  ガスで遠望は全くなし
4 薬師ケ岳 − 観音ケ岳  ガスで展望は全くなし 残念無念
 ガスで数十メートル先が見えない。展望を楽しむどころではない。観音ケ岳へ進むのさえ躊躇するほど見通しが悪い。先行者もいるし、通り道は色が変わっているので迷うことはないだろうと先に進むことにした。尾根筋にはハイマツ程度の灌木しか生えていないから、ガスさえなければ展望が楽しめるのに残念。観音ケ岳までは一旦下って登り返しになるが、道筋は砂礫地歩きが殆どで時たまハイマツの間あるいは岩を塗っての歩きとなる。勾配が緩いので中道の登りに比べたら天と地の差だ。薬師ケ岳へ向かう三人組とすれ違う。鞍部から登り返した観音ケ岳山頂は岩峰で、一瞬青空が見えて展望が期待できたが、すぐに青空は隠れ遠望は全く利かなかった。薬師からの先行者は、昨日中道を登り薬師岳小屋に泊まって、今日は地蔵岳まで行ってドンドコ沢コースを下るとの事だった。1、2時間以内にガスが切れることは期待できないので、先着者に先行して下ってゆく。
  

左:薬師北鞍部付近の砂地歩き  中: 同鞍部付近の灌木の間を通過  右:観音ケ岳直下の岩をぬって


左: 観音ケ岳の道標(薬師30分/地蔵1時間15分)  右:観音ケ岳山頂(青空はほんの一瞬)

5 観音ケ岳 − 鳳凰小屋 − ドンドコ沢  段差の多い下りは疲れた脚腰には負担が大きい   滝分岐の標識に所要時間の記載があれば寄る人も増えるのではなかろうか
 途中で二組の4、5人グループと出逢う。最初の組のリーダーらしい人と話をしているうちにドンドコ沢を下るなんて、今までに大勢が怪我をしているのでやめた方が方が良いと脅される。少し心配になって次の組の人に聞いたら、段差が多く険しいが、特別危険な道ではないとのコメントを頂いた。どうやら最初の組は登山道でなく、ドンドコ沢を下ると勘違いしたコメントか。
 観音ケ岳から30分ほど下った標高2700は鳳凰小屋分岐で道標によると、小屋まで30分、地蔵岳30分とあった。地蔵岳まで行く計画だったが、ガスは切れる様子は全くない。地蔵岳へ行ってもオベリスクがボンヤリ程度ではやりきれない。次の機会に残しておこうと、鳳凰小屋に下ることにした。鳳凰小屋への破線道は樹林の中のややえぐれ道で、普通の登山道よりは幾分悪いという程度。小屋を見下ろせるまで下ると、最後は梯子を下り沢を渡渉して少し登り返すと鳳凰小屋に到着。今の時間帯(9時過ぎ)は宿泊者は全員出発した後で、若い女性従業員が小屋前で読書していた。挨拶してベンチで休ませてもらう。ベンチ横の水場でペットボトルに冷たい水を汲んでザックを担ぐ。
 最初は樹林からドンドコ沢の伏流地帯を歩き、標高2300あたりからは樹林歩きとなる。青木鉱泉からの登山者と初めて出逢う。以降は散発的に単独行者や二人組みとすれ違うも百名山にしては特に多いという感じではなかった。樹林の中は歩き易く、標高2250あたりで五色ノ滝分岐に達した。右に踏跡が付いているので、進んで見るとかなり下る必要がありそうで、すぐにルートに復帰した。標識に滝までの目安時間が書いてあれば良いのだが。この辺りから急下降となり、露岩帯も現れ脚腰が疲労しているので、安全第一で焦らず下ってゆく。標高2100の少し上辺りで、五色ノ滝分岐の標識を再び見たように思う。どうやら先刻の分岐から滝に下れば、ここに抜けられたらしい。初めての人ましてや下る人にはそんなことはわからない。標識をつけるなら目安や登山道への復帰の有無など記載してほしいものだ。標高2100あたりでは、白糸ノ滝分岐の標識を見るも。所要時間と登山道への復帰ルートの有無がわからないので寄らなかった。出逢った二人組みも、鳳凰ノ滝を同じ理由で寄らなかったといっていた。こんな状況では、登下山途中で滝見物に寄ってみようなんて人少ないであろう。
 相変わらず厳しい下りが続き、最初に小沢を渡渉する(以降全部で5回渡渉した。ドンドコ沢を登れば、鳳凰小屋まで必要最小限の水を担げば良い)。標高1750の鳳凰滝分岐で標識には200m、5分と書いてあった。疲労が蓄積し、滝見物なんてどうでもいいやの気分で下ってゆくと、再び鳳凰ノ滝分岐に達した。滝からの踏跡も確認できた。この滝はもとの分岐に戻らず登山道に復帰できるようだ。標識に書いてあれば寄る人も多いのだろうに。鳳凰ノ滝分岐(下側)を過ぎると岩が少なくなったようで歩きやすくなる。登山道の右手に滝がチラつき出すと、南精進ノ滝展望台(滝側が開けているだけ)に達した。二段の滝で水量は多く見事な滝だ。落差をWebで検索すると、50メートルと70メートルの二通り。推測するに上段が50メートルで下段が20メートルか。上方で三つの滝を見逃したが、これだけで充分満足。
 南精進ノ滝を過ぎると、相次いで単独行者三人に追い越された。最初はスリムな高齢者でストックは持っているが殆ど使っていない。次は若い男性でストックなし。最後は若い女性でストックなし。三人とも段差の下りは膝のバネで吸収しているからストックなど無用なのだろう。自分にはとてもじゃないがストックなしでは重い体重を膝のバネだけで支えられない。今日のルートを周回するのにドンドコ沢コースを登りに使う人が圧倒的に多いのがわかったような気がする(段差歩きの少ない中道の方が下り易いのは明瞭)。
 ドンドコ沢右岸のコンクリート擁壁がにちらつきだし、標高1400からは小さいさなジグザグ繰り返しながら急降下する。標高1300あたりで登山道から別れて適当にドンドコ沢に下ってゆく。砂防ダム上流側で飛び石ドンドコ沢を渡渉する。沢の右岸はコンクリート擁壁となっていて登れないので、堰堤のステップを利用して簡単に右岸に立つことができた。この先は林道を戻るだけだが、駐車地まで20分要した。帰り支度をしていると、ドンドコ沢を青木鉱泉まで下って、車回収に中道登山口に戻ると思われる単独行者が通り過ぎた。
 今回のルートを周回するのなら、今回とは逆回りでドンドコ沢を登ったほうがメリットは多いだろう。ドンドコ沢は水場多いので、荷を軽くできる。中道の下りは段差が少ないので疲労のたまった脚腰には負担が少ない。

左: 鳳凰小屋分岐(小屋30分/地蔵30分)  中: 鳳凰小屋  右: 小屋の水場


南精進ノ滝(上段50m、下段20m ?)


左: ドンドコ沢の砂防ダム(左岸から)  右: 堰堤の上流側(右手の堰堤のステップを昇る)
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