ひとり山歩き524 : 柳沢右岸尾根経由で柳沢林道終点に登り、県境の2077から錫ケ岳に登り、前白根山経由で湯元温泉まで縦走しました。錫ケ岳までは踏跡が不明瞭な箇所がありますが、慣れた人なら問題なく歩けます。白錫尾根はマーキングが増えているようです。
柳沢右岸尾根経由で錫ケ岳(2388)〜前白根山(2373)
2013年7月19日(金) 晴れ
1 行程
@所要時間: 自宅(0:00) = 赤沼茶屋(1:50/1:55) − 西ノ湖入口(3:15) − 柳沢渡渉(4:15/4:25) − 赤岩滝分岐(4:50) − 柳沢右岸尾根取付き(5:15) − 柳沢林道終点(6:10/6:25) − 標高点2077(8:00/8:10) − 標高点2241(9:45) − 錫ケ岳(10:50/11:20) − 錫の水場(12:10) − 標高点2295(12:55) − 白檜岳(14:00) − 白根隠山(14:40/14:50) − 前白根山(15:55) − 外山分岐(16:40) − 前白根山登山口(17:45) − 湯元温泉BT(18:15/18:25) = 赤沼茶屋(18:35/18:45) = 自宅(20:40)
Aルートマップ
Bウォッちず: 錫ケ岳  前白根山  柳沢右岸尾根
C写真集

2 自宅 − 赤沼茶屋
 錫ケ岳に行くには大きく分けて四通りある(@白錫尾根経由 A柳沢林道経由または柳沢右岸尾根経由 B仁下又沢経由 C柳沢遡行して 最も多いのは白錫尾根経由で、柳沢右岸尾根経由と仁下又沢経由は少ない。柳沢遡行になると更に少なくなる。今回はAの柳沢右岸尾根経由で錫ケ岳〜白根隠山と縦走し小田代原付近に下ることにする。以前は柳沢林道を経由していたが、林道の崩壊が進んだことと、山部さんが03年9月に宿堂坊山に登るのに柳沢右岸尾根を歩いて県境の2077を経由した(初めてネットに載った)。以降、錫ケ岳に行くのにこのルートが利用されるようになった。最初は03年7月27日(ひとり山歩き105)に柳沢林道を経由したが、次の06年8月31日(ひとり山歩き251)には柳沢林道でなく、柳沢右岸尾根を経由した。その他に04年6月14日(ひとり山歩き153)に柳沢右岸尾根経由で県境の2077から宿堂坊山に登っている(この時に詳細ななルートマップをネットで紹介)。11年8月8月18日(ひとり山歩き447)には柳沢右岸尾根経由で錫ケ岳〜前白根山を目指したが、笹露でびしょ濡れになり、2077手前で断念してしまった。
 最近、みー猫さんのブログに赤岩滝を見物して、柳沢右岸尾根経由で県境の2077までの記録が掲載された。同記録のコメント欄で柳沢林道終点から柳沢右俣の天女の滝が肉眼で見えるか話題になっていた。過去の写真を調べてみると、天女の滝らしいものが確認できた。この際、一昨年挫折したので、そのリベンジを兼ねて天女の滝を肉眼で確認してみようと思った。脚力が年々衰えているので、過去の所要時間を考慮して、出発事項を決めた。いろは坂の馬返しでトイレに寄って車に戻ると、パトカーが待ち受けていた。これから錫ケ岳へ行くと説明すると、気をつけてとすぐに去った。。赤沼茶屋の駐車場には数台。

柳沢林道終点から天女の滝


3 柳沢右岸尾根っ経由で錫ケ岳へ  7年前に比べて踏跡は2077までは濃くなったが、錫ケ岳までは薄くなったようだ  柳沢林道終点から天女の滝視認
 西ノ湖入口からはダートとなり、林道の入口に伐採作業中につき立入禁止のロープと標識が設置してあった。途中で何箇所かに材木が積んであった。8号橋にも同じくロープと標識が設置してあった。かなり大規模な伐採が行われている様子。昼間に林道の通行は許されそうもない雰囲気。8号橋を越すと、薮化したり崩落でかなり荒れている。柳沢の渡渉地点には飛び石がうまく並んで(人為的に投げ込まれたものも多そう)いて靴を濡らすこともなく渡渉できた。渡渉してエネルギーを補給し、笹露対策として雨具のズボンを装着。
 柳沢川床の右岸側には明瞭な踏跡があり、小さなケルンが多数あり歩き易い。赤岩滝分岐には、一昨年も見かけたのだが、小さな標識に赤岩滝方面の矢印と錫ケ岳4hとマジックで記入してある。分岐を過ぎても踏跡は続くが、右岸に登りこの先は右下に柳沢を感じながら西南西に進んでゆく。藪はないが地肌はゆるく急斜面では滑って登りづらい。小さなコブの先で南西に伸びる尾根が出現し、ここを柳沢右岸尾根取付きとする。すぐにシャクナゲ藪が現れるが、大した藪ではなくで突破する。嫌なら左下を巻けばよい。その後も稜線には藪があり、稜線の左直下に付いている踏跡を進む。標高1730あたりで尾根上に戻ると、以降は抵抗となるような藪はない。尾根の方向が南向きになると低いシャクナゲが現れるが踏跡を追えば問題なし。最終的に灌木の細尾根を突破して急斜面を20メートルほど登る柳沢林道に出合う。この付近は崩落地帯で、林道終点は西100メートル先にある。林道出合からは日光連山が見えるが生憎の逆光。林道終点方向に進んで、天女の滝を探す。過去に撮影した写真で方向を把握していおいたので、すぐに肉眼で滝らいいものが見えた。ビデオをズームで撮影し、帰宅後確認すると滝の流れも見えた。
 林道終点から左(南)の標高点1804西鞍部目指して薄い踏跡を追う。途中で踏跡を外したが、さしたる苦労もなく尾根上に達すると藪は少なく、踏跡(獣道)が付いている。以降は針葉樹の枝がうるさくなると左(南)側の笹原に入ったり出たりしながら進んでゆく。笹露は大したことはなかったが、雨具のズボンを履いていて正解。標高1950あたりからは膝下の笹の急斜面を登る。笹は濡れていて滑って登りづらい。錫ケ岳までに現れる4回の笹急斜面登りの最初でかなり消耗してしまった。急斜面を50メートルほど登って尾根を乗り換えると平坦で踏跡も付いている。下って来る時にはこの地点を見つけるのが難しいかもしれない。県境尾根に進むには標高点2077の下を右に巻く踏跡を前回は追ったが、今回は低い笹斜面を急登し最後に数メートル幅の混合藪を突破すると、前方が開けて標高点2077ピークに到達(今日の第二の難所)。ここからは好展望で皇海山、赤城山、浅間山、四阿山が展望できる。錫ケ岳も展望できるのだが、今日は林道終点でもそうだったのだが、まだガスを被っていた。
 

左: 柳沢渡渉地点の飛び石 中: 赤岩滝分岐の標識 右: 赤岩滝は対岸へ


左: 柳沢右岸尾根のシャクナゲ藪 中: 標高1750から中禅寺湖 右: 標高1750の尾根の様子


左: 柳沢林道終点付近 中: 天女の滝の位置 右: 天女の滝(ビデオからキャプチャ)


左: 2077手前から宿堂坊山方面 中: 2077から皇海山方面 右: 同じく錫ケ岳


2077からのパノラマ
 2077ピークアからは灌木藪の中にに隠れた登山道を追って少し下ると、灌木から開放されて針葉樹林の中の踏跡を追うようになる。膝丈程度の笹で踏跡は時々隠れるが、すぐに踏跡が現れる。ブリキ板の小さな標識も多いので、この地域に踏み込むような人なら迷うようなことはない。標高2150あたりは笹薮を選ぶか針葉樹藪を潜るかの苦しい選択が続く。標高点2241ピークへの登りは、今日の三番目の難所の腰丈笹斜面の急登となる。先週登って来た北アルプス三大急登の合戦尾根なんか、こんな藪山の急登に比べたら楽なものであった。今日のペースは前回(06年8月31日)に比べて、かなり遅れている。年々脚力が衰えているが、特に急斜面登りで苦労するようになった。救いは疲れて立ち止まって振り返ると皇海山や今歩いてきた尾根筋が枝越しに展望できる事である。疲れを癒しては歩き出すの繰り返し。
 2241ピークを越すと笹はますます深く密になり、錫ケ岳への約150メートルの登りには辟易する。立ち止まっては、右(東)手の男体山・中禅寺湖周辺や後方の尾根筋を眺めては疲れを癒す(第四番目の難所)。錫ケ岳山頂部からの展望はあまり良くないが、ここの笹斜面からの方がはるかに良い。やっとの思いで笹急斜面を登って平坦になっても錫ケ岳山頂までは更に10分近く歩く。山頂にたどり着いて、最初に弓矢の的を探すと、山名板の後ろに隠れていた。この的みたいな標識は、02年8月26日(ひとり山歩き58)に菅沼から登った時には、すでに山頂で見かけた。立木に括り付けてある山名板よりも古く、山頂の主的存在。でもこの的は訪れるたびに場所が変わっている。今回は7回目の訪問である。四通りのうち柳沢遡行を除いた三ルートを歩いているが、楽さ加減では仁下又沢経由、次が白錫尾根経由で、今回のルートは最も厳しい(逆周りにした方が楽かも)。同じルートで前回(06年は)は赤沼茶屋から7時間10分、今回は8時間55分、比べるのも嫌になるほど時間がかかっている。14時半に白根隠山をスタート出来れば南尾根を下るつもりだが、かなり怪しくなってきた。途中の経過を見て前白根山経由で湯元温泉に下るか決めることにしてザックを背負う。


左: 笹薮か針葉樹薮か(標高2149付近) 中:時には錫ケ岳も(標高2150から) 右: 藪が薄くなることも(2241手前鞍部


左: 錫直下の笹斜面 中: 男体山と中禅寺湖(標高2350から) 右: 通ってきた尾根筋、柳沢林道終点部の崩落地も見える


左: 山頂の的標識 中: 山頂部 右:山頂からの展望
4 錫ケ岳= 前白根山 − 湯元温泉  足が伸びず計画の白根隠山南尾根経由をやめて湯元温泉に下りる 
 白錫尾根は過去に4回も歩いているし、Web記録で多数見かけるので詳細(写真も含めて)は省く。02年に初めて白錫尾根を歩くにあたってWebで調べると当時は三四件しかヒットしなかったように記憶している。現在は錫ケ岳で検索すると数えきれないほど多数の記録が見つかる。
山頂で雨具のズボンを脱いだのでだいぶ歩きやすくなった。下りだしてて数分後に、金精峠から登って来た宇都宮の方とすれ違う。錫の水場を過ぎて標高点2295への登りで追い越されてしまった。今日は特に暑いわけでもなく体調が悪いというわけでもないが遅々として進まない。前回の所要時間に比べてますます遅れてゆく。今日は水は3リットル背負ってきて、まだ1リットルしか消費していないので錫の水場には寄らなかった(最近のヤマレコに涸れていたとの記録あり)。
 標高点2295への登りも苦しかったが、白檜岳直下の笹斜面の登りはもっときつかった。踏跡がついているので、錫ケ岳への笹急斜面の登りに比べたら、楽だった。白檜岳で14時、休むこともなく白根隠山に向かう。通常なら30分行程であるが、今日は足が伸びずに40分も要した。エネルギーを補給しながら、この先のルートを検討する。南尾根を下り小田代原BSまでは過去に3時間で歩いている。更に赤沼茶屋まで1時間として、駐車場に戻る頃には暗くなっている。今日の足取りではこれもおぼつかない。前白根山経由で湯元温泉までは通常なら3時間、18時25分のバスに乗るには3時間半しか残っていない。これに乗り遅れると19時25分まで1時間近くバスを待たねばならない。これから先は写真はいっさい撮らず歩きに専念することにして湯元温泉へ下ることにした。
 こんな日に限って展望は素晴らしい。カメラに収めるておきたいところをじっと我慢して歩き続ける。前白根山へのザレ場の登りは通常は北側山頂部を目指すのだが、少しでも時間を短縮したくて、南ピークへ直登した。足元が崩れてズルズルと滑りなんとも登りづらい。外山分岐までは下りだが思ったよりは時間がかかった。18時25分発のバスまでは残り2時間弱、通常は90分で下っているので、何とかなりそう。名にし負う悪路であまり急いで怪我をしてはつまらない。前白根山登山口のスキー場管理道路出合で残り40分。それからも急いでバスターミナルには出発の10分前に到着。やれやれくたびれた!! 
 白錫尾根は歩くたびにテープ類が増えているようだ。02年頃に比べたら踏跡も明瞭になったかな?
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