ひとり山歩き523 : 北アルプス三大急登のひとつである合戦尾根経由で燕岳に登って来ました。登山道はよく整備され急登をあまり感じませんでした。平地での猛暑をわすれ涼しいひとときを過ごせましたが、ガスで展望がきかなかったのが残念です。
燕岳(2762)
2013年7月10日(水) 曇り
1 行程
@所要時間: 自宅(22:30) = 中房温泉第一駐車場(2:25/2:35) − 登山口(2:45) − 第一ベンチ(3:30) − 第二ベンチ(4:05) − 第三ベンチ(4:45) − 富士見ベンチ(5:30/5:40) − 合戦小屋(6:20/6:25) − 3角点2488(合戦沢の頭)(6:45/6:50) − 燕山荘(7:35) − 燕岳(8:15/8:30) − 燕山荘(9:00/9:05) − 3角点2488(9:30) − 合戦小屋(9:45/10:05) − 富士見ベンチ(10:20) − 第三ベンチ(10:40) − 第二ベンチ(11:00) − 第一ベンチ(11:20) − 登山口(11:45) − 駐車場(11:55/12:00) = 自宅(16:30)
Aルートマップ
Bウォッちず: 燕岳  登山口  中房温泉第一駐車場
C写真集

2 自宅 − 中房温泉
 梅雨明けとともに猛暑が続いている。栃木の山よりも涼しくて日帰りが可能ということで、北アルプス三大急登の一つである合戦尾根経由で燕岳に登ることにした。天気予報では穂高は9時ころからは晴れだが、大町は穂高よりも曇りがち。06年から7月末から10月初めにかけて計9回(9座)登っているがいずれも快晴だった。今回は梅雨明け直後で天候がまだ安定せず、予報通りになるか一抹の不安があるが決行することした。 
 気温の低い早朝に出来るだけ高度を稼ぎ、晴れる9時前には山頂に立つようにする。逆算すると23時前に家を出ねばならない。17時半に床に入ると、いつものようにすぐに眠ってしまったようである。目覚ましは22時にセットしておいたが、21時半には目が覚めてしまった。約4時間眠ったから充分とはいえないが、問題無いと考えて支度にかかる。出発時の車載温度計は32度を示していた。車を運転中は冷房をきかせているから問題ないが、現地の気温が気にはなる。豊科ICで高速を下りようとしたら、名称が安曇野ICに変わっていた。インターをおりてから中房温泉までは約30km、途中からは旭川ナンバー車の跡を追う格好になった。全面舗装で道は良いのだが、カーブは多い。夜目が利きづらくなっているので、どうしても急ハンドルが多くなる(復路で明るい時に下った感じではどうというほどのカーブでなかった)。先行の旭川ナンバー車は温泉橋をわたらずに第二駐車場方面へ直進したが、橋を渡ってすぐに、左の第一駐車場に入った。幸いにも入口に空きがあった。暗くて奥の方は分からないが、満杯に近いようであった(簡易トイレあり)。車載温度計18度

燕岳(奥のピーク)
3往路   北ア三大急登だが、道は良く整備され急登の感じはなかった  生憎のガスで展望は利かず
 舗装道路を10分ほど登ってゆくと、登山口に達する。用意してきたカードを投入しようとしたら、付近の入浴施設の灯りが自動的に点灯。地形図を入念にチェックして登山道に進む。腰下笹の中の登山道はやや岩っぽいが、丸太階段など設置してあり歩き易い。曇天で少し蒸し暑いのが難点だが、いつもの様に一日でも歩き続けられるようなペースでモクモクと登ってゆく。時々下方に温泉施設の灯りが見えるだけ。丸太階段が少なくなり、道幅が広くなって勾配が緩むと、第一ベンチの道標(中房温泉1.0km 燕山荘4.5km)と水場の標識を見る。登山口からここまで標準時間は約30分らしいが、四ヶ所のベンチ間を各40分に設定しているが、最初は45分でペースがやや遅い。
 設定時間よりも遅れているからと急ぐこともなく、自分の省エネペースをキープし続ける。道筋は露岩と木の根が多くなり、短い木階段も増えてくる。両サイドの笹は背丈を越しているが、道幅が広いので圧迫感はない。35分で第二ベンチに達した(中房1.7km 燕山荘3.7km)。木の根と短い梯子は相変わらず多い。4時半に消灯して、すぐ先で左手が初めて少し開けてガスを被った大天井岳から横通岳稜線が見えた。第三ベンチ(中房2.7km 燕山荘3.1km)で初めてフラッシュなしで写真を撮る。この区間40分。第三ベンチからは砂礫の登山道となり、木階段は相変わらず多い。5時10分標高2100でテント泊らしい下山者と初めてすれ違う。富士見ベンチ(中房2.4km 燕山荘3.1km)でザックを下ろして、ここから本当に富士山が見えるなと思いながらエネルギーを補給する。この区間45分で、各チェックポイント区間は約40分で設定通り。
 岩っぽくなって樹木に「合戦小屋まで10分」の小標識を見る。自分のペースでは15分要して合戦小屋に達した。名物のスイカが気になったが、復路でということでトイレを拝借して先に進む。ジグザグに急登すると角点2488(合戦沢の頭)に達した。ここには燕山荘泊りの下山者が数名憩っていた。昨夜は中学生と高齢者の団体等で小屋はかなり混んでいたようだ。南に大天井岳〜横通岳稜線と前常念岳、東に有明山と北に餓鬼岳〜唐沢山あたりが展望できたが、生憎のガス模様ではっきりしないのが残念。3角点峰のすぐ先に10メートルほど残雪があったが、これ以外には登山道には残雪は皆無。7時ころ標高2550あたりで、高齢者の団体(30人以上?)が下山してきた。先頭のリーダは何の声もかけずに下山を続けたので、高齢者ががベチャベチャ喋りながら下りてくる。仕方なしに道を開けて通り過ぎるのを待つ。たったひとりだけ「登りが優先ね。」と声をかけてくれた。こんな団体には慣れて入るつもりだが、あまり感じは良くない。先頭のリーダが「登る人がいるので道を開けて!」といえば、こちらも息を切って登るのが辛いから「どうぞ、お先に」と返答するのだが。その後、燕山荘直下での中学生の団体とのすれ違いは気持ちが良かった。引率者(先生と思われる)が「登る人あり、道を開けて!」の号令で生徒は道を開けてくれた。道を開ける態勢を作られてしまったので、親切を無にしてはいけないと頑張って通りすぎてゆく。生徒たちは「おはようございます!」と挨拶をしてくれる。「おはよう ありがとう!」と返答しながら通り過ぎる。全部で何人だったのか数える余裕などなかった。すれ違いながら、二回ほど「楽しかった?」と問うと、嬉しそうに頷いてくれた。急いで登ったので、息が切れたがなんとも気持ちが良かった。高齢者の団体は、中学生にできることが何故できないのか。年寄りの幼児帰りというが、これは団体特有の問題なのだろうか。嫌だネ、歳を取るのは。話をもとに戻して、標高2550あたりは灌木帯になり、更に標高2600あたりで、コースで唯一の鎖場を通過する。ハイマツが目立つようになると、すぐに燕山荘に達した。ここまでにすれ違った下山者は、団体2グループがいたので数えきれない。燕山荘の広場からガスで遠望が利かないのが残念。天気予報ではボチボチ晴れなのだが、平地と山では異なるのが常で、すぐにはガスが切れそうにもない。自分の読み違いなのだから誰にも文句はいえない。
 燕山荘からは、登山道の様子がガラリと変わり、花崗岩の奇岩と白い砂礫に変わる。ガスで展望がダメなら、少なくとイルカ岩は見逃してはならじとキョロキョロしながら進む。小屋泊りの登山者の二三人グループと何組かすれ違う。晴天ならば展望は良いのだろうが、残念だ。北アルプスでは展望なしは初めて。8月以降にもう一度北アルプスでリベンジを考えつつ、岩の写真を撮りながらゆっくり登ってゆく。天候待ちだから急ぐ必要はないのだが、大した風ではないが身体が冷えるのであまりゆっくりはできない。そうこうしているうちに燕岳山頂にたどり着いてしまった。山頂部は狭く、数人が同時に立てる程度。山頂表示岩と3角点を見て、岩の影に身を寄せる。ガスはますます濃くなり、風があるのに青空が瞬時とも見えない。短時間で展望が利くようになるとは思われない。ガスに巻かれると帰りの道筋がわからなくなる可能性もあり、山頂滞在15分で下山を開始する。

【注釈 : 北アルプス三大急登は劔岳への早月尾根、烏帽子岳へのブナ立尾根と燕岳への合戦尾根ということになっているらしい(鹿島槍ヶ岳への赤岩尾根も)。最近では笠ケ岳への笠新道を入れる人もいるようである。烏帽子岳へのブナ立尾根以外は全部登った。早月尾根(06年9月20日、ひとり山歩き254)笠新道(12年9月26日、ひとり山歩き490)に比べたら、合戦尾根は全行程(山頂までの距離)が短いのでもっとも楽だったような気がする。】

左: 第三ベンチの道標 中: ベンチ 右: このような短い木階段多い


左: 小屋直下になるとこのような岩が増える 中: 合戦小屋道標 右: 合戦小屋


左 :大天井岳〜横通岳稜線(前常念岳僅かに) 右: 唐沢山〜餓鬼山  何れも3角点2488から


左: 標高2500付近 中: 標高2550の下山者 右: 標高2600の鎖場


左: 燕山荘 中: 燕山荘広場 右:燕山荘


左:標高2680付近の岩 中: こんな岩も、他に多数あり 右: 燕山荘方面を振り返って


左: 燕岳山頂はガスの中 右: 山頂がやっと見えた


左: 山頂直下 中: 燕岳山頂部 右: 山頂からガスで展望なし
4 復路
 下山を開始するとすぐに、単独行者(日帰りか)とすれ違う。往路で肝心のイルカ岩を見逃してしまったので、周辺を見回しながら下山してゆく。山頂直下で眼鏡岩を見つけて撮影する。イルカ岩が見つからないまま、途中で小屋泊りの人とすれ違い、場所を聞いて見たが分からないとのこと。先刻の登山者が下りてきたので、問うてみるも怪訝な顔していた。イルカ岩は山頂に近い場所とばかり思っていたので、見逃してしまったかと意気消沈しながら下って、燕山荘への登り返しで登山道から10メートルほど右(西)にひと目でそれと判るイルカ岩が目に入った。展望はなし、イルカ岩は見つからずでは悲惨だったが、これでなんとか格好がついた。燕山荘の広場に戻って方位盤を覗くも燕岳さえも見えないのだからどうしようもない。
 燕山荘から下りだすと、明るくなってから出発したと思われる登山者とすれ違うようになる。登山者に道を譲ったり逆に譲られたりしながら今日の楽しみの一つを求めてドンドン(自分のペースとしては早すぎる)下って行く、南東の市街地方面は晴れているようだが、尾根筋は下山するまでに晴れそうにもない。3角点2488(合戦沢の頭)では数人が休んでいたので、声をかけて素通り。合戦小屋に着いたら、大勢が休んでいる。今日の目的のひとつであるスイカを購入、幅30cm程度でひとりでは大きすぎる感じでも800円とは安い。スイカを食してから登山口までノンストップで下るのでエネルギーを補給する。
 途中で数えきれないくらいの登山者とすれ違う。単独行者よりも二人ないし少人数のグループが目に付く。富士見ベンチも第三ベンチでも数人が憩っていたので、声を変えけて通過。第二ベンチ付近は大勢の中学生が登山口の方を向いて立ち止まっていた。引率者の合図で道を開けてくれたので、急いで通過する。往路の燕山荘直下ですれ違った中学生の団体にしては4時間でここまでしか下っていないのは遅すぎる感じ。別の団体が燕山荘にいたのかな? これから登るのなら合戦小屋方面を向いて滞留しているだろうに??? 第一ベンチ付近で最後の登山者とすれ違う。第一ベンチには小さな石像を見る、水場の方向には明瞭な踏跡あるので、近いのだろう。沢音がドンドン大きくなり下方に温泉施設が見え隠れするようになり、すぐに登山口に無事下山。往路はいつものペースで登ったので標準タイムよりも約1時間遅いが、復路は急いだので標準タイム通り。
 駐車場に戻り、ザックと登山靴をトランクに放り込んで、400メートルほど下った有明荘で温泉に浸かって帰路につく。北関東道の伊勢崎付近で強烈な雷雨に見舞われる。車載温度計が38度から25度に下がるほどの雨。雨がおさまると最高40度を示していた。今日はガスで展望はなかったが稜線で涼しい思いができたから良いとしよう。

左: 山頂直下のメガネ岩  右: イルカ岩


左: 第一ベンチと石像 中: 登山口  右: 第一駐車場

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