ひとり山歩き490 : この数年慣例化した年一の北アルプス訪問で、新穂高温泉から笠ケ岳にピストンしてきました。笠新道はほとんどが岩道で難儀しましたが、なんとか日帰りすることができました。今回も例外でなく天候に恵まれ雄大な景色を楽しむことができました。前日には足慣らしを兼ねて霧ヶ峰をハイキングしました。
霧ヶ峰ハイキングと新穂高温泉から笠ケ岳
2012年9月25日(火)・26日(水)  第一日は曇 第二日は快晴
1 行程   霧ヶ峰写真  笠ケ岳写真
霧ヶ峰ルートマップ(GPS)  笠ケ岳ルートマップ   ウォッちず : 霧ヶ峰(車山)  笠ケ岳  新穂高温泉無料駐車場  笠新道登山口
第一日(9/25) : 自宅(2:50) = 車山高原駐車場(7:05/7:40) = 車山肩駐車場(7:55/8:00) − 車山(8:40/8:45) − 車山乗越(9:10) − 蝶々深山(9:30/9:40) − 物見石(10:00) − 奥切りの小屋(10:30) − 車山肩駐車場(11:30/11:40) = 新穂高温泉無料駐車場(15:40)
第二日(9/26) : 新穂高温泉無料駐車場(0:00) − 笠新道登山口(1:05) − 杓子平中間点(標高1920)(3:40) − 杓子平入口(6:30/6:40) − 笠新道分岐(双六岳分岐)(8:20/8:25) − 抜戸岩(9:10) − 笠ケ岳山荘(9:55) − 笠ケ岳(10:15/10:45) − 抜戸岩(11:35) − 笠新道分岐(12:30) − 杓子平入口(13:45/13:50) − 杓子平中間点(15:40) − 登山口(17:20) − 駐車場(18:35/18:45) = 自宅(9/27 1:15)

2 自宅 − 車山肩駐車場
 慣例化した年一の北アルプス訪問は笠ケ岳と決めていた。07年8月1日に新穂高温泉から槍ヶ岳を日帰りピストンした際、槍ヶ岳から眺めた笠ケ岳がとても美しく見えた。それ以来はいつかはと心に秘めていたが、鹿島槍ヶ岳、薬師岳、白馬岳や常念岳に先を越されてしまった。年々脚力が衰えているので、日帰りピストンするには今年が最後のチャンスになりそう。時期的には9月最終週か10月第一週と決めていたが、強烈な残暑で山行がままならずの状態で、すっかり身体が鈍ってしまった。体力・脚力が心配だが、9月26日は好天と読んで実行することにした。前日に足慣らしと時間調整を兼ねて、霧ヶ峰ハイキングも計画してみた。
 雨が止んだばかりの25日未明に家を出て、栃木ICから佐久ICまで高速道を走る。途中で小雨が降ったり止んだりしていたが、佐久手前でトンネルを過ぎたら雨が止んでいた状態でヤレヤレの気持ちで、国道152号線等で車山肩駐車場に到着した。霧が発生し寒いために、ゴアの雨具を着用してザックを担いで、車山登山口に向かう。ガス発生で周りがよく見えないが、どうも地形図とは様子が異なる。高度計を見ると、未調整で正確ではないが200メートル以上も想定より低い。地図で調べると車山肩駐車場よりも手前の山高原駐車場であることが判明した。出掛けに間違ってカーナビに打ち込んでしまったようである。再び自動車に乗り、車山肩駐車場に向かう。今度は間違いなく車山肩駐車場に到着した。すでに2・3グループが登山準備中であった。

3 霧ヶ峰ハイキング
 霧ヶ峰は美ヶ原同様に深田久弥の百名山である。現在では、自動車や公共交通機関が発達しているので、登山と言うよりもハイキング程度。深田氏がなぜ百名山に選んだか知らない自分にとっては、なぜこれが百名山という感じ。百名山ハンターにとっては、リストに載っているから仕方なしなのか。楽で助かったなのか知りたいものである。自分も県外の山に行くときには百名山を選んでいるが、百名山を全踏破しようという考えはない、というか山小屋に泊まるのが嫌いだから全座踏破は不可能と断念してしまった。
 閑話休題、駐車場のすぐ先の登山口でバイオトイレを利用して、岩の多い道を進むと120メートル程度の登りで、気象観測ドームの目立つ車山山頂に達する。山頂には平成20年に二等三角点が復旧されたが、地形図にはまだ三角点の標示はない。あいにくの天気で遠望は利かないが、間近に白樺湖と蓼科山の一部が見えた。この先、車山乗越、蝶々深山、物見石と歩いたが、高度差は100メートルもなく、翌日の足慣らしには不足だが、時間つぶしにはなった。子供連れで家族ハイキングにはもってこいのコースかも。それと好天なら眺望もあり、印象は違ったかもしれない。

4 車山肩 − 新穂高温泉
 白樺湖温泉すずらんの湯(700円)に浸かって汗を流すというよりかは時間つぶし。諏訪ICから松本ICまでは高速利用。松本ICを下りて、コンビニで夕食と翌日の朝食を買って国道158号線を高山方面に向かう。新穂高温泉も上高地に行くもこの道路を通るのだが、今の時間帯はほとんどが高山方面に向かう車のようである。上高地への分岐を過ぎるとすぐに有料の安房峠道路で6kmで750円と高いが便利である。栃尾温泉からは立派な道路が新穂高温泉まで敷かれている(県道475号)。07年8月に槍ヶ岳に登る際、通行するときにもこんなに立派だったのか、記憶に残っていない。スノーシェードの中間で「深山荘入口」の標識を見て左折して下ってゆくと、新穂高温泉無料駐車場に達する。駐車場到着時点で6、7割がふさがっていた。トイレ(仮設)の利便性を考えて最下段に駐める。翌日は未明の出発につき、様子を見ておくために蒲田川左俣林道をゲートまで歩いて、駐車場に戻り17時過ぎにに夕食の弁当を食べる。18時過ぎに車に入ってリクライニングを倒すといつの間にか寝てしまった。23時に目が覚めると、満天の星空。北アルプスに来ると、前日は雨模様でも当日はいつも晴れ。今回もその例にもれないようである。水で流し込みながら冷めたコンビニ弁当を食して、登山準備のために車外に出ると、夕刻よりも車は減っていたが、自分の周辺はかなり車が入れ替わっていた。

 新穂高温泉 − 笠ケ岳   登山口から主稜線までは岩また岩の登山道に苦しむ  主稜線と山頂からの展望に癒される
 駐車場から10分程度で橋を渡って蒲田川左俣林道へはいってゆく。途中からダートとなるが、非常によく管理された林道で路面の凹凸はみられない。約1時間の歩きで、左岸から右岸に渡り数百メートル約10分で左手に看板と標識のある笠新道登山口到着する。
 道標にしたがって新道に取り付くと、岩道から始まり、すぐに土道となってホッとしたのもつかの間、再び岩道となり以降は殆どが岩道の連続となる。ヘッデン歩きでも危険な場所はないが、苦手の岩ゴツ道にはまいる。以降小さな標識が順次現れる。「ブナ原生林」、「標高1700」、「標高1800」、次に現れるのが「標高1920 杓子平中間点 杓子平1.5時間、登山口1時間」、ここまでに登山口から約2.5時間要した。下りで1時間はとても無理。この所要時間は健脚者向きで、自分のような高齢者には黒部五郎岳から〜槍ヶ岳〜穂高岳〜南アルプス (山頂から)無理なコースタイムである。
 更に「・・・」(標高2000?)、「標高2100」、「標高2200」と続く。この標高は概ね地形図に一致しているようだ。標高2100と2200の標識には穂高岳展望と書いてある。まだ暗いのでシルエットとしてしか見えない。これから先穂高岳は何度も展望できるが、シルエットで眺められるのは超早立ちの功徳。岩道の連続で辟易していると、標高2000あたりで草付きになり少しばかり岩の少ない土歩きができた。残念ながらこのような土歩きは長い行程のごく一部。今までの数すくない北ルプス山行で登山道がもっと岩っぽくて、一番いやらしいコースだ。5時半に消灯し、明るくなるに連れて周りの山が見え出し、標高2250あたりで、槍ヶ岳、穂高岳、焼岳、や乗鞍岳が写真に映るようになった。ジグザグに岩道を急登し、小尾根を乗り越すと、目の前が開けて笠ケ岳が初めて姿を現した。道標のあるこの地点を杓子平入口とする。この区間は2時間50分で、途中で見た1.5時間はとても無理なことを再確認。今日は明るいうちに登山口に下れば良いのだから、焦る必要はないと再確認して笠ケ岳から抜戸岳稜線を眺めながらエネルギーを補給する。この先の杓子平から抜戸岳に続く厳しい道筋を観察してザッックを担ぐ。
 杓子平を反時計周りに巻きながらゆるやかにわずか下って、登り返しになると「立ち入り禁止」の小標識をみる。ここが旧登山道の分岐で、こちら側のほうがより厳しそう。ここからの300メートルのガレ道登りは堪えた。途中で小屋泊り、テント泊まりの、単独行者3人とすれ違う。昨夜は小屋はかなり空いていたようである。最近の運動不足が祟りバテバテで、計画時間よりも遅れ気味である。この調子では明るいうちに下山は難しいのでは、と頭にチラつき出す。万一の場合は、山小屋に泊めてもらえば良いのだから、と自分に暗示をかけながら登ってゆく。やっと稜線にたどりつつき笠ケ岳への稜線が目に入ると、もう引き返すわけにはゆかない。抜戸岳方面に踏跡が続いているが、無視して笠ケ岳に向かって岩道を下ると、すぐに笠新道分岐(双六岳分岐)に達する。
 この先は今までと比べようもなくないほど岩が少なく気持ちよく歩ける。黒部五郎岳と薬師岳が視認できたが、水晶岳は微妙。北アルプスは主稜線を歩くに限る。日帰りだと主稜線歩きが短くてせっかくの眺望を充分に楽しめないのが欠点。先刻すれ違った女性の単独行者は、槍ヶ岳から笠ケ岳に縦走したとのこと。なんとも羨ましい話だが、小屋泊り嫌いじゃどうしようもない。北アルプスの百名山で日帰りできそうなう山は立山しか残っていない。今年で北ア卒業ならぬ、自主退学となりそう。こんなことを考えながら歩いていると、笠ケ岳がだんだん近づいてきた。抜戸岩で写真を撮っていると、双六小屋からの単独行者に追い越された。笠ケ岳からはクリア谷経由で下山とのこと。この単独行者は山頂に着いた時にクリア谷方面に下山して行った。
 左手に槍から穂高、焼岳、乗鞍岳、更にはかすかに南アルプス、右手に黒部五郎、薬師等を目にしながら小ピークを二つ越して、三つ目の登り口にキャンプ場がある。ここから山小屋まで10分はかかる。テント泊まりも大変だな! 時間もかなり遅れているので、笠ケ岳山荘は素通りして山頂に向かう。あいかわらのガレ道登りで、100メートル足らずの登りだが、神社のある山頂部まで20分も要した。笠ケ岳の山頂は時間にして2分程度南に位置していて三角点が設置してある。計画よりも1時間強余分にかかってしまった。360度の大パノラマを楽しんで神社に戻ってエネルギー補給していると、5時に新穂高温泉を出発したという若い単独行者が現れた。自分の倍の速度で登ってきたことになる。本来はこのような健脚者にのみ日帰りが許されるべきで、自分のような鈍足が日帰りするような山ではないことは充分認識しているのだが、今回も性懲りなくやってきた。今までも馬場島から劔岳、新穂高から槍ヶ岳、扇沢から鹿島槍ヶ岳、折立から薬師岳、蓮華温泉から白馬岳と未明の出発で、明るいうちにいずれも下山できた。昨年は、三股から常念岳〜蝶ケ岳周回も日帰りを計画したが、スタート時間が遅く小屋泊りとなった。果たして今日も明るいうちに無事下山できるか。

笠ケ岳からの展望


6 下山  なんとか明るいうちに下山 計画よりも往復で1時間強の遅れ
 笠新道分岐までは往路に比べて累積標高で100メートルの下りだが、所要時間は往路と変わりなかった。疲労が現れているのは疑いようもない。途中で小屋泊リ(全部で20名位と)と思われる登山者とすれ違うようになる。先刻の若者は途中で追い越すとあっという間に姿が見えなくなってしまった。主稜線からの下りはガレているので、スピードが上がらない。途中で正規の登山道から外れたガレ場を下ってしまった。鞍部から杓子平入口までは平坦だが疲れでスピードは上がらない。往路に比べて思ったほど短縮できなかった。この調子ではこの先も嫌いな岩道が続くので明るいうちの下山は難しそう。急いで怪我をするよりも、暗くなっても特に危険な場所はないので安全第一での下りに切り替える。バナナを二本平らげて、難路の下りにかかる。笠ケ岳はガスがかかってしまった。
 往路でシルエットだったが今はガスのかかった槍〜穂高の稜線を見ることができる。往路では暗くてわからなかった植生も把握できた。紅葉は杓子平の草が色づき始めたばかり。杓子平中間点までは1時間の短縮ができた。この調子なら明るいうちに充分下山可能と思うと気分的に楽になる。沢音が大きくなり、時々樹木の切れ間から蒲田川が見えるようになった。まだ充分明る17時20分に登山口に無事下山。
 緩やかな林道下りは、道に凹凸がないから歩きやすい。途中で暗くなったが、月明かりで照明は不要。左俣谷口で無事下山の旨、家に電話していると、無灯火の単独行者が追い越していった。双六小屋方面から下ってきたのであろう。ぼんやりしていて駐車場への下り口をを通過してしまった。戻るのも癪で、スノーシェードの途中から駐車場に戻る。

7 帰路
 07年に槍ヶ岳からの帰りに利用した平湯の森温泉に行ってみたが、暗くてわからずそのまま帰路に着く。途中で眠気をもようしたので、東部湯の丸SAで30分ほど仮眠をとり、帰宅は日付が変わった1時15分。こんな無理な山行は今年がお終い。来年は、北アへ行くとしたら、百名山でなくとも充分日帰り可能な山にしたい。出来れば閑散期に山小屋に泊まれれば良いのだが。もう一つの秘策がある。健脚者の体重(kg)は身長(cm)X1/3程度と言われている。その経験則が成り立つとすれば、20kgほど体重を減らせば良いのだが、こんなこと死んで焼かれるまで無理な相談。
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