ひとり山歩き483 : 女峰山の北に位置する日光三界岳をトライしましたが、残念ながら山頂を目前に時間切れで途中撤退となってしまいました。ルートの取り方をひと工夫すれば可能性はありそうですが、相当な体力が必要です。
日光三界岳(2172)(無念の撤退)
2012年6月30日(土) 晴れのち曇り
1 行程  写真
ルートマップ(GPS)  ウォッちず : 三界岳
自宅(0:00) = 霧降高原第三駐車場・女峰山登山口(1:50/2:00) − キスゲ平(2:45) − 焼石金剛(3:30) − 赤薙山(4:10/4:15) − 奥社跡(5:20/5:25) − 独標(2295)(6:25/6:30) − 水場(6:40) − 標高点2318(7:05) − 三界岳分岐(7:15/7:25) − シャクナゲ小ピーク(7:55/8:00) − ガレ涸沢出合(9:05) − 標高点2189北(標高2180)で撤退(10:10) − ガレ涸沢出合(10:50) − シャクナゲ小ピーク(12:15/12:20) − 三界岳分岐(12:55/13:05) − 独標(13:45/13:50) − 奥社跡(14:45) − 赤薙山巻き道(15:45〜16:00) − 焼石金剛(16:15/17:45) − キスゲ平(16:50) − 駐車場(17:35/17:45) = 自宅(19:25)

2 自宅 − 霧降高原
 三界岳は女峰山の北1.5kmに位置する三角点2172峰であり、地形図には名称は記載されていない。この山を初めて知ったのは、山歩きを始めたばかりの10年前に、Webに岩とヤセ尾根で難しい山であるという記録を見たことが印象に残っている。その後、この山にはついて忘れていたが。自分と同じ頃に山歩きを始めた@宇都宮さんが栃木の難しい山や尾根をいとも簡単に踏破しているのを知って、三界岳という難しい山があると情報を提供したことがある。5年7月3日に野門橋付近から野門沢右岸尾根を登って三界岳を踏んで、更に2189ピーク北鞍部のヤセ尾根と大岩をロープ等の助けもなく通過した、というルートマップ(GPS)が当HPの掲示板に書き込まれた。自分にはこんな芸当はとてもできない、と頭の隅に仕舞いこんでしまった。その後、09年7月11日に霧降高原から女峰山に登る際、問題の鞍部手前のシャクナゲ小ピークまで偵察した。このシャクナゲ小ピークまでは簡単だが、その先は急傾斜で鞍部手前まで下るのも恐ろしそうで、諦めて女峰山へのルートに戻った。このすぐ後の09年10月11日に、栃木の山283全踏破の山部さんがロープを利用して鞍部の大岩を突破して三界岳を踏んで、山名板を取り付けた。
 自分にはこの鞍部を越すのに必要な@宇都宮さんのような身軽さと大胆さはないし、山部さんのようなロープを操る技術もない。Webを詳細に調べたら、栃木の山273座全踏破(栃木の山全座踏破の先駆け)の倉持裕至氏が鞍部を避けて西側の岩盤状の沢に下りて、2189に登り返して三界岳を踏んだという記録をみた。09年7月に偵察した限りでは、自分にできるとしたら、倉持氏のルート取りに倣うことことしかないと考えた。脚力は年々衰えているので、日帰りで三界岳に挑戦できるのは今が最後のチャンスと奮い立った。うまく行っても推測17時間程度の山行となるので、少しでも時間短縮と遅れた場合に避難小屋に泊まれる志津乗越からのアクセスを考えたが、6月19日の台風4号で志津乗越への裏男体林道が崩落で通行止めとなっている。仕方ないので、霧降高原からアクセスすることにした。暗くなる19時前には霧降高原の女峰山登山口に戻るには、2時にスタートする必要がある(推測の17時間で余裕はない)。18時に就寝し23時に起床して、0時に家を出た。女峰山登山口である霧降高原第三駐車場についた時には車は3台。

3 霧降高原女峰山登山口 − 三界岳分岐(2318の南西200m)  3年前とドンピシャリ同じ時間で歩けた  後半に影響しなければよいが
 三界岳分岐は女峰山への霧降コースの途中までであり、このコースはガイドブックやWeb記録で書き尽くされているので詳細は省く。推定ルート取り  写真は10年6月24日に帝釈山から撮影
 ヘッデン頼りで歩くが道筋は明瞭で迷うような場所はない。道筋にはみ出した笹は少しばかり露を含んでいて膝下が濡れるが、特に問題なく赤薙山に達してヘッデンを格納する。赤薙山と奥社跡の間には痩せ岩稜があり、このルートでは一番嫌らしいが、充分明るくなっているので特に問題なく通過。最近は歩行速度が遅くなっているので、ノルマを課すべく09年7月11日の区間ごとの所要時間を書き込んだメモと比較しながら歩く。全く同じ時間で奥社跡まで来ることが出来た。大鹿落としの頭(2209)を通過すると一里が曽根で勾配はゆるやかになる。歩みを遅らせないようにメモをチラチラ見ながらの歩みでせわしない。ヤハズなる標識のある露岩帯では展望が開けるが、北東方面は雲海から明神ケ岳らしい山が浮き出ているだけ。石祠のある独標(2295)で女峰山と三沢左岸尾根の大岩を写真に撮って、ガレ場を下る。鞍部から登り返した水場に寄って水量をチェック、ビニールパイプからはチョロチョロ流れ出ていた。直射日光を受けると暑いが樹林の中では涼しく、3リットルの水をザックに忍ばせてきたが、余程のことがない限り復路でこの水場のお世話になることはないであろう。標高点2318で女峰山を展望し、北西に向きを変えてごく僅か下って登り返した地点が三界岳分岐である。肝心の所要時間は09年7月のとドンピシャリ同じであった。最近の歩行に比べて少しばかり急いだので、後半戦にスタミネ切れとならねばよいが。ここでエネルギーを補給しながら地形図でルート取りの再確認。

4 三界岳へチャレンジ  シャクナゲと針葉樹藪と急登に悩まされる  所定のルートに復帰するのにプラス30分・・・暗くなってからの下山を避けて潔く撤退
 登山道から別れて北西へゆるやかに尾根を下ってゆく。針葉樹とシャクナゲの小籔があるが、踏跡をかなりの部分で拾える。小さなコブを四つ五つ越した分岐から約500mのシャクナゲの小ピークに難なく達した。オーソドックスにはこのピークから北に下って鞍部の大岩と痩せ尾根を通過するのだが、自分にはその技量はない。倉持氏のルート取り(図はあるが距離、高さ等が不明)に倣って北北西に岩盤状の沢目指して下って行くことにする。不明瞭な尾根上にはシャクナゲと針葉樹の藪が繁茂しているので、尾根の左手を巻きながら樹木にしがみつくように下ってゆく(尾根の右手はより急斜面でとても歩けそうにない)。標高2200位になると尾根筋は明瞭になるのだが、藪を避けて左手を徹底してトラバース気味に下ってゆく。計画では標高2180あたりで方向を幾分北寄りに修正して岩盤状の沢を目指すことにしていたのだが、シャクナゲ藪を避けているうちに、目標の方向とはちょっとずれて西寄りに下ってしまった。標高2130あたりで勾配が幾分緩むと共に藪も薄くなったので方向を修正した。ここで思い切って北東に修正すれば計画ルートに乗れたのだが、もっぱら歩いている尾根筋とは異なり地形が読めない。方向修正が思うようにできないまま、更に下ってゆくとガれた涸沢に達した(計画地点よりも標高で50m下方)。これが倉持氏がいう岩盤状の沢であろうと推定した。
 この涸沢はガレていて登るのが嫌らしい。ここで計画を変更し、標高点2189の北90mから西に派生している枝尾根に登って、2189から三界岳への稜線に復帰することにした。取り付いた斜面は藪はないが急傾斜で這うように登ってゆく。このあたりには何十年か前に伐採が入ったようで朽ちた伐採倒木を多く見かけた。約30分で枝尾根上に達した。ここからルートに載せるべく尾根を東に登ってゆくのだが、シャクナゲと細い針葉樹に邪魔される。針葉樹の間隔は狭くすり抜けるのに苦労する。この枝尾根を30分進んだ地点に赤テープを発見し正規ルートに達したことを知る。、ここからは北へと三界岳ヘの主稜線をたどれば良い。三界岳分岐からこのあたりまでに計画よりも30分は余分にかかってしまった。山部さんは2189から三界岳まで1時間10分で歩いている。自分の脚力ではここから多少の休憩時間込みで往復3時間を見ておくべき。復路もさまよいをなくすためには、復路と同じルートをたどることにすると、ガレ涸沢からシャクナゲ小ピークへの登り返しはシャクナゲ藪突破で往路と同じ所要j間を見ておくべき。いろいろと計算をする。この先がうまく行っても、霧降高原には20時頃の到着となりそう。自分自身の決め事である、明るいうちに登山口に戻るを守るには残念だが、ここで退却(2189の北90メートル、三界岳まで約400メートル)せねばならない。これが自分の実力でこれ以上頑張るのはあまり意味が無い。480回を超す山行で暗くなってからの下山は2回だけ(計画のミスと道迷い各1回)、3回目は避けよう。
  往路をたどりガレ沢に着床、シャクナゲ小ピークへの登り返しは標高2150のシャクナゲ地獄に踏み込んでしまい往生する。往路の下りでは藪の薄い箇所が見えたのだが、急斜面の登りでは場所選びが思うようにはいかなかった。シャクナゲ小ピークへは、往路とほぼ同じ所要時間で戻れた。三界岳分岐に戻って、エネルギー補給。分岐到達前後に3名が相次いで女峰山へ向かった。
 反省としては、ガレ涸沢着床目指して@シャクナゲ小ピークから北西に下り過ぎた。A沢着床後は、これを辿って2189ピークを目指すべきだった。
 
5 復路
 登山道へ戻れた安心感から歩みが遅くなるのを避けて、09年7月の区間所要時間と見比べながら下ってゆく。三界岳への登り下りで藪こぎや、急斜面の登り下りで疲労しているせいか徐々に遅れだす。二人連れの二組に途中で追い越された。登る人は多く、10人くらいとすれ違う。これから登る人は、避難小屋泊まりか。裏男体林道が通行止めで、霧降コースに回るせいなのか。
 赤薙山の巻き道はアップダウンや岩が多く、往路の赤薙山経由と時間的には変わらなかった。焼石金剛では往路で見ることのなかった祠をみる。キスゲ平(標高点1601付近に位置するが、なぜか標柱には1635メートル)へは道筋は多いが、岩のない道筋を選ぶと地肌が滑りやすく、周辺の展望に比べて快適な歩きとはいえない。キスゲ平からの下りが、滑りやすくて更に嫌らしい。疲労と慎重さが相まって駐車場までに往路の登りと同じ時間要してしまった。女峰山登山口のリフトは撤去され高原ハウスなる立派な建物が建っていた。
 無理して三界岳まで行っていたら、奥社跡と赤薙山間の痩せ岩稜通過の頃は暗くなっていたかもしれない。途中で撤退して正解、と自分を慰める。
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