ひとり山歩き482 : ドビン沢左俣を詰めて温泉平に登り、根名草山そして温泉ケ岳と稜線歩きを楽しんできました。ドビン沢左俣は滝がなく、登山靴で歩けました。稜線にはまだ残雪があり、踏抜きに少しばかり苦労しました。
ドビン沢左俣から根名草山(2330)〜温泉ケ岳(2332)
2012年6月23日(土) 晴れのち曇り
1 行程  写真
ルートマップ(GPS)  ウォッちず : ドビン沢左俣  温泉平  根名草山  温泉ケ岳
自宅(1:40) = 金精道路・刈込湖遊歩道口(3:40/3:50) − 小峠(4:15) − ドビン沢二俣(4:50) − 左俣の標高2100(6:25) − 左俣源頭(7:00) − 温泉平(7:35) − 念仏平避難小屋(8:20/8:25) − 根名草山(9:25/9:50) − 念仏平避難小屋(10:40) − 温泉平(11:25) − 温泉ケ岳取付き(11:45) − 温泉ケ岳(12:00/12:20) − 温泉ケ岳取付き(12:30) − 金精峠(13:15) − 金精トンネル・登山口(13:45/13:50) − 刈込湖遊歩道口(14:45/14:55) = 自宅(17:15)

2 自宅 − 金精道路・刈込湖遊歩道口
 09年9月25日にドビン沢左俣から温泉ケ岳に登った。沢歩きの経験がないので、沢の途中から藪斜面に取り付いてしまい150メートル登るのに2時間も要してしまった。ドビン沢左俣を最後まで詰めて温泉平に登れば、前回ほどは藪に悩まされないだろうと推測した。いつの日にかそれを確かめてみたいと考えていた。それと根名草山に金精峠方面から登ったのは03年6月27日で、地形図記載とは別の場所に新設(08年10月末)された念仏平避難小屋を見ていない。この二三日は大雨で計画が立たなかったが、昨日の天気予報では本日は晴れも期待できそうなので、急遽ドビン沢左俣から根名草山と温泉ケ岳を訪れることにした。
 ネットで第一いろは坂の崩落も修復済みであることを確認して、歩き始めは明るくなる4時を目標に金精道路の刈込湖遊歩道口の駐車場に向かった。今日は土曜日で登山者も多そうなので、出かけたくはなかったのだが、天候の都合で仕方なし。車を走らせているとわからないが、いろは坂入口の駐車ロットでいつものように登山靴とスパッツ装着していると、奥日光に向かう車がひきりなしに通過していく。一般的な登山者はこんなに早く行動を起こさないので、ほとんどは中禅寺湖のマスのキャッチアンドリリースに出かけるのであろうと推測した。案の定、中禅寺湖畔に路駐が多かった。湯元温泉分岐から金精道路を約1km登ると、右手に駐車スーペスが見える。ここが刈込湖遊歩道口で、予想通り車は皆無。計画の4時よりは少し前だが、ヘッデンなしで歩けるのでザッックを担いで遊歩道に入る。(車載温度計で11度・・・外気温は8度位か、清滝の電光掲示板で11度)

3 ドビン沢左俣 − 温泉平 ドビン沢左俣には特別危険箇所はない  最後に30分程の笹藪こぎ
 この二三日の大雨で地肌は湿っているが、歩くには全然支障ない。小峠Hidairi又に着いた時には充分明るく、立ち止まることもなく前進。小峠の大きな落石の先で遊歩道と別れて、背丈を越す笹薮をかき分けながら、旧道のあったドビン沢方面に下る。笹薮を2分程度漕ぐと、草付きとなり旧道の踏跡歩きとなる。平坦になった地点から旧遊歩道とはわかれて薄い獣道を拾いながら西北西に歩を進める。旧遊歩道から別れて数分後にドビン沢に出合ったが、雪解け水と最近の大雨のせいか前回に比べて水量はかなり多いようである。左俣も前回に比べたら水量は多そうで少し心配になる。時には沢床のゴーロ歩きもあるが、かなりの部分で獣道を拾いながらドビン沢の右岸を進んでゆく。最終的にゴーロ歩きとなり見覚えの二俣に達した。前回は左俣の水量は少なかったのだが、心配していた通り多い。登山靴のまま歩くので、あまり水量が多いようであれば、途中で引き返すことにして、とりあえずは左俣に入ってゆく。
 心配したよりは水流の幅は狭く靴底を濡らすこともなく、ゴーロを進めるので一安心。ドビン沢二俣に入って数分で二俣が現れる。本流の右へ進む。標高1820からは両岸が岩壁となる。その先で2メートル程度の段差に古い流倒木が堆積しているも通過には支障なし。標高1900位になると沢床に残雪がポツポツと現れる。ブリッジを踏み抜かないように残雪の端を歩くようにする。残雪の表面が解けかかっているので滑って歩きづらい。はっきりした地点は確認しなかったが、気がついたらここから上流は伏流になっていた。振り返ると先刻から見えていた大真名子山がかなり大きくなっていた。標高1950で左岸の岩壁(右岸はもっと下で)が切れて、草が目につくようになって再び細い水流が現れた。
 標高1970あたりで3メートル程度の滝(滝の定義を知らないので一応滝としておく)が現れる。手がかりも足がかりもあるので、少しばかり濡れるのを我慢して直登する。このときに膝をついたりしたので、ズボンから伝わって靴下まで濡らしてしまい後々まで不快感が残る。標高2000からは距離にして50メートル位残雪が連続していた。その後は特に問題もなく、登ってゆくと標高2100地点に階段状に岩場現れ最高部は2メートル程度の段差が立ちふさがる。前回はここから沢を離れて笹薮地帯に突入して苦労したので、今日はこの段差を越して沢筋を詰めることにした。
 段差を越す際、ここでも膝をついて登ったので、靴下がグシャグシャになってしまった。どうにかこの段差を越すと、沢筋は狭い岩盤状となり、笹が覆いかぶさって雰囲気が急に悪くなる。笹を掻き分けながら前進してういぅと二俣隣右は7メートル程度の滝、左は狭い沢が続く。右の滝は越せそうもないので、左の沢筋に進む。この二俣から更に20分(標高2100から35分)狭い沢を詰めると、ついに水流はなくなり沢源頭部に達した。この先は背丈を超す笹薮の急斜面登りとなる。笹の中に細い溝(雨が多い時に流れる溝とおもわれる)があり、これを追うが、段差があると寝転んだ笹で滑って登るのに苦労する。仕方なく密藪の急斜面に取り付く。勾配が緩んでくると笹丈が低くなり、振り返って日光連山を写真を収めながら呼吸を整える。沢源頭から35分の藪こぎで小さな標識のある温泉平に到達した。前回は標高2100から藪を漕いで登山道に出合うまでに2時間要したが、今回は約1時間で計画通り。

4 温泉平 − 根名草山  新避難小屋先で残雪地帯あり  
 この間はガイドブックやWeb記録で知り尽くされているので詳細は省略する。温泉平から念仏平避難小屋方面に向かうと処々で残雪が現れる。03年6月27日に歩いた時には、残雪は全くなかったように記憶している。今冬は降雪が多かったのが思い出される。旧避難小屋は完全に撤去され狭い広場となっていた。旧避難小屋の前と後の沢は水場として活用できる。立ち枯れが目に付くようになるとすぐに真新しい新念仏平避難小屋に達した。位置としては標高点2326ピークの南東の2300付近。水場は小屋のすぐそばにあるが、雰囲気として旧避難小屋の水場の方が良い。新避難小屋の南側は小広場となっているので温泉ケ岳が望める(温泉ケ岳から小屋を視認できる)。
 標高点2326ピークの右手を巻いて通過し、下りになると雪がまだかなり残っている。先行者の真新しい踏跡を追うことが出来た。踏跡がなければルートを探すのに苦労したであろう。標高点2237は鞍部でここからは残雪はなく、尾根の左手を巻くように登ってゆく。山頂が近づくと樹木の切れ間から白根山、武尊山や日光連山が展望できる。更に進むと根名草山の山頂で、先行の夫婦が憩っていた。残雪地帯のトレースを利用させてもらった例を述べて写真を撮っていると、単独行者が相次いで2名現れた。更に驚かされたのは、早朝に女夫淵温泉を発ったというご婦人が現れた。こんな時間に着くとはかなりの健脚だと感心していると、鬼怒沼に行くつもりで登ってきたとのこと、相棒は後から登ってくるとのことで盛んに心配していた。何処で間違えたか、加仁湯まではわかっていた。日光沢温泉から間違えたのか、手白沢温泉手前から登ったのかも分からない。地形図は言うに及ばす、ガイドブックも持っていないようである。こんな山歩きをしているといつの日にか、遭難なんてことも考えられる。このご婦人のように地図もガイドブックも見ないで歩く人は多いのであろうか。自分は近所の里山に行く時でさえ地形図、コンパスと高度計は持参するのだが。
根名草山と温泉ケ岳からの展望


5 根名草山 − 温泉ケ岳  温泉ケ岳を訪れる人も多い!!
 標高点2326手前の残雪登りでは何度も向う脛程度の踏抜きに悩まされる。新避難小屋手前の水場のある沢はまっすぐに薄い踏跡がついているので、まっすぐに進んでしまいそう。温泉平までに数人の登山者とすれ違う。土曜日の登山道歩きは人が多いのだと改めて認識。一日中、人の気配のしない山を歩く事が多いので、少しばかり戸惑う。温泉ケ岳のトラバースで日光連山が目に入る。於呂倶羅山稜線と三岳の間に刈込湖と切込湖も視認できた。
 温泉ケ岳取付きには少しばかり残雪があり、登ってゆくと2名組みと11名グループとすれ違う。04年の頃は、踏跡は薄くテープを追って登ったのだが、今は踏跡は明瞭で、かくも大勢が登る山と化してしまった。04年に栃木百名山が制定され、その中に含まれてから登る人が増えたのであろう。温泉ケ岳山頂には先行者が2名、後続者が4名と大変な賑わい。展望は楽しめるが、樹木が茂っていて360度のパノラマというわけにはいかない。白根山は樹木越しに山頂部が見えるだけ。新念仏平避難小屋は注意深く見ると視認できる。根名草山は山頂部だけ。

6 金精峠経由下山  標高1950の崩落地トラバースは滑りやすく要注意
 金精道路を1時間近く登山靴で歩くのが苦痛で、南東尾根で標高点2061経由で駐車地付近に下る計画である。この尾根筋は標高点2061付近が笹薮が濃いが、他はそれほどでもない。この方が1時間ほど余分にかかるが舗装道歩きに比べたら楽しい。今日歩いた範囲では残雪が予想以上に多かった。南東尾根にも多少は残雪があるだろう。特別に困難はないが、小さな踏抜きや滑りを考えると気を使う必要がある。足腰も疲労しているし、ドビン沢で靴下を濡らしてしまい足指に肉刺ができかかっている。安全策をとって金精峠経由で下ることにする。
 標高2230あたりで白根山や金精山を展望すると、登山道は尾根の左(北)を巻くように下ってゆく。このあたりはシャクナゲが多いが花はポツポツという感じ。藪としてのシャクナゲは嫌らしいが、花は美しい。金精山を展望するとすぐ先が金精峠だ。2名が休憩中で、1名が下っていった。ここから金精トンネル登山口までは梯子、丸太階段やロープの助けを借りての下りとなる。標高1950の崩落地のトラバースは、通常でも嫌らしい場所なのだが、最近の雨で緩んでいるせいか滑り易く気を使う。金精峠トンネル登山口の駐車場には車が14、5台。 約4キロメートルの舗装道歩きは苦痛だが、幸いに足の指が痛くなることもなく、無事に駐車地に戻ることが出来た。車は他に2台。
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