ひとり山歩き477 :丸沼高原から奥白根山に登り、五色沼・弥陀ケ池経由で菅沼登山口に下山しました。好天に恵まれ展望と最後の残雪歩きを楽しんできました。
丸沼高原から奥白根山(2578)
2012年5月14日(月) 晴れ
1 行程  写真
ルートマップ(GPS)  ウォッちず : 奥白根山  丸沼高原スキー場  菅沼登山口
自宅(0:25) = 丸沼高原スキー場口(2:50/3:00) − 山頂駅分岐(3:50) − 仁下又沢取水口(4:35/4:45) − 山頂駅分岐(5:35) − 山頂駅(6:05/6:20) − 七色平分岐(7:10) − 森林限界(8:55/9:00) ー 山頂(10:15/10:35)
 − 避難小屋(12:10) − 五色沼(12:25) − 弥陀ケ池(13:10/13:30) − 菅沼登山口(14:50/15:00) = 自宅(18:05)

2 自宅 − 丸沼高原
 年一度の松山ヘの旅行が都合により行けなくなった。その代わりに計画外の山行ができるようになった。先週の菅沼から奥白根山登山で、今シーズンの残雪歩きは終了のつもりだった、今一度残雪歩きをすることにして、行き先を急遽考えた。昨年の5月5日に、残雪の仁下又沢を登って錫ケ岳に行くべく丸沼高原スキー場まで行ったが、ゲレンデに雪が残りアイゼンを装着するのが面倒で急遽中止した。ちょうど一週間前に奥白根山に登った時に、仁下又沢の上部から山頂にかけて白い筋が明瞭であった。それから一週間が過ぎたが、未だ残雪は充分あると判断して急遽実行することにした。
 気温上昇による踏抜きを少しでも減らそうと、例によって未明に家を出て、仁下又沢に達した時点で日の出に合わせるべく出発は零時半だがすでに5時間の睡眠を照っているので充分とはいえないが寝不足でもない。いろは坂を過ぎて奥日光に入っても、道路際に雪を見ることはないが、鹿にはびっくりさせられる。反対車線でじっとしていた鹿が、突然車の前に飛び出した。ぶっつかったと思ったが、鹿は路肩で立ち止まっているので問題なかったようだ。馬返の駐車スッポットで調べたが跳ねた形跡はなくひと安心。今の時期は餌不足か、鹿の動きが鈍いようである。夏場なら、車の前を先導するように3、40メートル走ってガードレイルの隙間へと逃げるのだが。何度も未明に奥日光を走行しているので、スピードを抑え気味に走行しているので難を逃れることが出来た。
 金精トンネルを越して群馬側に入ると、道路周辺に残雪を見るようになる。丸沼高原スキー場口に車を駐めて、すぐにザックを担ぐ。車載温度計で出発時の気温17度、駐車時2度(マイナス2度位か)。

3 錫ケ岳へ(すぐに断念)  予想外に仁下又沢の水量が多く、断念する
 ゲートを通ってスキー場に入ると、ゲレンデにはあまり雪はない。未だ身体が眠っているので、準備運動を兼ねていつもの様にスキー状の管理道路を登ってゆく。残雪のない道路を額に汗しながら登って、山頂駅分岐からは右手の林道を下る。幾分荒れてはいるが歩くには全然問題なし。リフトおおひろ基部の右手を更に下り、仁下又沢の右岸に敷設された林道に出合う。この出合いには資材置場であろうか、ソフトボールが何とかできそうな広場がある。ここを大広河原と称しておく(地形図上の大広河原とは異なる)。
 仁下又沢本流(右俣)の右岸に設置された林道を歩く頃には、目論見通りヘッデンを消灯する。林道は途中で何箇所も崩壊していて沢床を何度か歩くかされる。沢床に残雪がないことは予想通りだったが、想定外の問題が生じた。今までに何度も無雪期に歩いた時には仁下又沢(地元で仁加又沢と呼ぶようである)には全く水流がなかったのだが、今日はかなりの勢いで流れていて何度か渡渉しながら進まざるを得なかった。ほぼ想定の時間で丸沼発電所の取水口に達した。いつもなら取水口の下流には水流はないのだが、何としたことか取水口から溢れだしている。先に進もうとしたが、取水口付近からは右岸沿いには進めない。少しばかり戻って左岸に渡渉せねばならない。今日の沢遡行は渡渉に悩まされそうなので、嫌気が差してしまった。途中まで頑張って退却では、ショックが大きすぎて来年以降に再挑戦という気になれない。ここで退却しても次回以降の挑戦にあまり影響はない。あっさりと諦めて来た道を戻る。

4 奥白根山へ  山頂駅からは残雪は連続 一部にトレイルが消え斜面化 チェーンスパイクとピッケルで特に危険は感じなかった山頂駅から白根山を望む
 こんなこともあろうかと奥白根山ヘの準備もしてきた。スキー場のリフトおおひろ基部からは、白さの少なくなった奥白根山を目にして、林道を山頂駅分岐まで戻る。ここからはスキー場の管理道路を適当にショートカットしながら山頂駅を目指す。管理道路は言うまでもなく、ゲレンデには残雪はごく僅か。山頂駅広場にある天空の足湯でザックを下ろして、休息を取りながら武尊山から至仏山の山並みを楽しむ。この何ヶ月は真っ白だった奥白根山は、白黒模様に変わってしまった。
 山頂駅広場には残雪はないが、チェーンスパイク(どの程度活用できるか調べるために、アイゼンとともに持参)を装着して登山道に進む。赤い鳥居をくぐって、二荒山神社まで進むと登山道には残雪は連続している。トレイルには深い踏抜跡が残っているが、今は気温が低くよく締まっていて気持ちよく歩ける。トレイルはかなり荒れていて凹凸が多いが、チェーンスパイクはアイゼンとは異なり引っ掛けて躓くということがないので安心して歩ける。血ノ池地獄分岐からは数十メートルほど急勾配部を登ると、平坦になる。小さな木のハウジングに収まった大日如来像はまだほとんどが残雪の中。七色平分岐を過ぎると、トレイルは夏道通りに南東から南南東へと向きを変えて山腹をトラバースしながら進む。
 途中で樹木の切れ間から武尊山から至仏山を展望して、地獄谷薙を渡る。すぐ先はトレイルが消えて急斜面のトラバースとなる。チェーンスパイクは充分滑り止めの役目を果たしてくれる。この先何度もトレイルが消えるが、消えたトレイル部は色の違いでルートから外れることはない。標高2250辺りまで来ると、足元に不安はないが、ストックでは急勾配を登るのがきつくなる。それと万一滑落すると止めようがないのでストックからピッケルに変更した。標高2330辺りのダケカンバ林は日当たりがよく表面が融けて爪の短い(約10っm)チェーンスパイクでは上滑り傾向となる。ピッケルの活用で危険という感じはなかったのでそのまま登り詰める。樹木が切れて森林限界に達した。振り返って武尊山から至仏山を眺めながら一息つく。
 森林限界からはロープで仕切られた登山道歩きとり、雪は多少残るが地肌部を選んで登ってゆく。標高2480あたりからは雪渓歩きとなる。表面の溶けた雪渓歩きを嫌って地肌部を歩こうとしたが、雪解け水をたっぷり含んでいて軟らかくて登りづらい。すぐに雪渓に戻って登り詰めると、道標の立つ山頂駅口に達した。これから先は残雪はなく、アイゼンとは異なりチェーンスパイクは便利。神社まで来ると前方の山頂直下を登っている人が目に入る。浅い谷を渡って奥白根山頂に達すると、先着の外国人がザックを下ろして展望を楽しんでいた。
 イスラエル人で2月に日本に来て9月には戻るとのこと。湯元から登り始め、昨晩は避難小屋に泊まったとのこと。三ヶ月程度の滞在で片言ではあるが日本語をけっこう話すのには驚かされた。もっと驚かされたのは、アイゼンもピッケルもなしでストックだけ登ってきたことである。これかどうするかと聞くと、弥陀ケ池へ下るとのこと。自分はアイゼンを持っているから、チェーンスパイクを貸すというも、ゆっくり下りるから大丈夫と言う。下山後のスケジュールは決めていないが明日の天気によっては、尾瀬ヶ原へ行くという。明日は雨だというと、ヒッチハイクで千葉県の野田市(何か用があるらしい)へ行くという。下山後に自宅付近の小山市まで送ってあげることにした。自分は南斜面を下って五色沼経由で弥陀ケ池に下るので、13時頃に落ち合う約束をした(自分も弥陀ケ池へ下りても良いのだが、自分の姿が目について彼氏があせる可能性もあるので、あえて先週も下った避難小屋、五色沼経由とした)。急いでエネルギーを補給し、山頂からの展望を写真に収める。この一週間で山頂から目に入る山並みの白さが薄くなったという感じはしない(帰宅後、Webで調べてみると、先週末に白根山は降雪があったようである。

白根山からの展望


5 下山(五色沼〜弥陀ケ池〜菅沼)  南斜面は残雪表面が融けて滑り易い アイゼンに履き替えて慎重に下る
 ちょうど一週間前には標高2500の道標までは登山道に残雪なかったのに、今日は登山道の一部に残雪があるが歩くにはどうということはない。相変わらずチェーンスパイクを履いたままだが、ガレていてもザレていても装着感がないのが良い。先週と同じく標高2490あたりからは残雪が連続となる。ちょうど湯元からの登山者が登ってきたので、様子を聞いてチェーンスパイクからアイゼンに交換した。先週は夏道よりも南側を下ったが、今回は夏道に沿って明瞭な踏跡が続いている。気温が上がり残雪の表面は融けて滑り易い。先週は森林限界の上部で30メートルほど滑落したので、今日はより慎重に足を運ぶ。脚の筋力が体重に伴わないので、ステップ状のトレースを利用するが難しい。小幅にステップを切りながら下って行く、場所によっては恥も外聞も捨てて後ろ向きの下りを混ぜる。二つの大岩の間を過ぎると森林限界に達した。ここからは勾配も緩み樹木があるのでシリセードを混ぜながら下る。
 避難小屋で時間をチェックすると、先週よりも30分も余分にかかってしまった。約束の13時に弥陀ケ池まではやや苦しい。避難小屋を通過して、五色沼に下る。先週よりも気温が高く湖畔での足の沈みは大きい。問題は五色沼からの登りにあった。先週はどこを歩いても踏抜きはなかったが、今日は数えきれないくらい膝まで踏み抜いた。苦労して登りつめると五色山分岐で、この辺は先週よりも地肌の露出が増えた様子はない。弥陀ケ池の南端で山頂で出逢ったイスラエル人が待っていてくれた。10分の遅刻を謝る。彼氏は30分ほど前にここにたどり着いたようである。慎重にくだるので大丈夫と言っていたが、アイゼンもピッケルもなしで湯元から白根山を登って下るのはとてもじゃないが真似はできない。
 小休止して座禅沢を下ってゆく。急斜面では歩みは遅くなるが、少し勾配が緩むとシリセードまで混ぜる余裕がある。先に下っては待つを繰り返しながら、無事に菅沼登山口まで下った。途中で追いついてきた宇都宮からの方に、事情を話して丸沼高原スキー場口まで送っていただく。約束通り、小山市まで送ってあげる。今夜はどこか公園でテント泊とのことであった。23歳でその行動力はすごい。たった三ヶ月の日本滞在で、岐阜県(滞在の根拠地らしい)からヒッチハイクで千葉県の野田市に向かう途中で奥白根山にまで登るとは!!
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