ひとり山歩き46 : 山歩きを始めて一年となったのを記念し、銀山平スタートの庚申山ルートで皇海山日帰りにチャレンジしました。体力度Aクラスの山歩きを無事達成でき、大きな自信となりました。年寄りの冷や水にならないよう充分注意を払い、今後とも山歩きを楽しんでいきたいと思います。
皇海山(2143.6m)登山(庚申山ルート)
2002年5月26日(日) 晴れ
1 行程
自宅(1:30) − 銀山平(3:25/3:30) − 一の鳥居(4:20/4:25) − 庚申山荘(5:30/5:35) − 庚申山(6:35/6:50) − 鋸山(9:10/9:20) − 皇海山(10:25/10:50) − 鋸山(12:00/12:05) − 六林班峠(12:50/12:55) − 庚申荘(14:50/14:55) − 一の鳥居(15:35) − 銀山平(16:25/16:30) − 自宅(18:25)
2 自宅 − 銀山平  
 富士山に登ってみたいという願望から始まった山歩きも、今月末で一年になる。一周年の記念に、日帰りで最もハードと思われる銀山平・庚申山・皇海山ルートの山歩きを前々から計画していた。
 天気予報を考慮して、今日決行することにした。ガイドブックによると、当コースの歩行時間は13時間となっている。明るいうちに山を下る必要があるので、銀山平を4時前にはスタートしたい。これを考慮して、栃木県国分寺町の家を1時半に出た。県道15号線の鹿沼・足尾線を通ることにした。暗い時に粕尾峠を越すのはチョット気になったが、5月2日に袈裟丸山からの帰りに通っていることもあってハットするようなことはなく、無事銀山平の駐車場に着いた。
3 銀山平 − 庚申山荘  途中の道はゆっくり散策すると面白そう
 銀山平に着き、靴を履き替えるやいなや懐中電灯を照らしながら、一の鳥居に向け出発した。幸い、月夜で明るいことと、常日頃から早朝のウォーキングで暗いところを歩くのに慣れているのでどうと言うことはない。途中まではアスファルト道で平坦なので懐中電灯は殆ど使用することなく、明るくなった。アスファルト道以降も道のコンディションは良い。
 一の鳥居からは、石の階段状の登りから始まる。広葉樹林帯の沢沿いの道を何回か沢を渡り返しながら、登ってゆくのだが、とても快適な歩きができる。途中、鏡岩、夫婦蛙岩、仁王門といった岩には説明板が設置されている。今日の行程は先が長いので、これらの説明をチラット読んでは先を急ぐ。また、昔の信仰登山の名残である「丁目石」を途中でいくつか見かけた。このあたりはゆっくり散策しながら歩くのに適しているようだ。
 青銅の剣のある二の鳥居を過ぎると、直ぐに猿田彦神社跡の看板が設置された広場に出る。
 記紀神話の神。天孫降臨に際して、その道案内をした。容貌魁偉で、鼻は高く、身長は七尺余。後世、庚申(こうしん) 信仰や道祖神などとも結びついた。伊勢の猿田彦神社の祭神。(大辞林)
 ここから右へ「お山巡りのみち」を分けるが、無視して左の庚申山荘に向かう。ほんの僅か歩くと、庚申山荘に着いた。同年代の夫婦が山歩きに出かけるところであった。これから庚申山に登るとのことであった。皇海山に行く人は何時頃出発したか問うと、明るくなったら直ぐに出たようですとのことであった。4時半頃までには出発したものと思われる。
 
4 庚申山荘 − 庚申山  南総里見八犬伝の化け猫退治の舞台の奇岩  荒れた岩場の急登
 庚申山荘の後ろの岩壁の下を潜るようにして通過し、笹道を木の根っ子に掴まりながら急登すると、庚申山と南総里見八犬伝の関連の説明板があった。八犬士のひとり犬飼現八が、幾百年も経て仔牛大で虎のように猛々しく神通力を持った化け猫を退治した。その猫が活動したのが庚申山のお山巡りで有名な場所である。
 梯子、鎖と木の根っ子の助けを借りて登ってゆくと、「一の門」、「大胎内くぐり」を通過する。急登が終わると、コメツガ林の笹原を登る。緩やかに下り庚申山頂は通り過ぎてしまったのかなと思うと、少し登り返して庚申山頂に着く。山頂は展望が開けないので、少し先へ行くと、パット目の前が開ける。ここからは、これから進む鋸11峰と鋸山から皇海山が迫力ある姿を現す。目を北に向けると、奥白根山から男体山方面が、南には袈裟丸山連峰が見渡せる。ここで、景色を楽しみながら、朝食を取り、消耗した体力を回復させる。
5 庚申山 − 鋸山  緊張の連続で無事最大の難所である荒場を越す鋸山から見る皇海山(右)と鋸11峰(左)
 いよいよ鋸11峰の通過である。気を引き締めて、庚申山をスタートする。前半の第1峰の庚申山から御岳山、駒掛山、溪雲山、地蔵岳、第6峰の薬師岳までは、比較的緩やかな笹道のアップダウンで難しいことはない。笹原では、踏跡が薄く、2度ほど道を間違え、小ロスを余儀なくされた。ピーク付近ではシャクナゲの花が気を紛らしてくれる。木の切れ目からは、時々間近に迫った皇海山と鋸山が姿を見せてくれる。確実に目的地に近づいているのだという実感が湧いてくる。各ピークには小さな標識があり、自分が今どこを通過しているか認識できて有り難かった。コメツガとシャクナゲに囲まれた薬師岳で水分補給して、難関の後半5峰に備える。
 薬師岳からの下りでは、北側の谷から吹き上げてくる風がとても冷たく冬の山歩きに戻った感じがする。これから鎖、梯子、ロープの荒場を連続通過するようになると写真も撮れなくなるので、見通しの利く白山で、ビデオとデジカメの撮影をしていると、短ズボン姿の若者が追い越していった。蔵王岳(標識未確認)では根っ子に掴まって登り、鎖で下る。次の熊野岳は鎖、梯子、ロープを使って登る。最後の剣の山(標識未確認)は梯子で登って、梯子で下る。更に、鎖で登るとそこは鋸山山頂であった。緊張の連続であったが、それだけに喜びもひとしおである。山頂からは谷ひとつ向こうに皇海山が大きく迫ってくる。至仏山武尊山、谷川岳がまだ雪の残った姿を現す。更には、奥白根山、男体山と素晴らしい眺望が楽しめる。
参考までに各峰の通過時刻を下に示す。 
庚申山 御岳山 駒掛山 溪雲山 地蔵岳 薬師岳 白山 蔵王岳 熊野岳 剣の山 鋸山
6:35/6:50 7:00 7:11 7:38 7:45 8:10/8:18 8:26/8:30 8:40 8:50 8:58 9:10/9:20
6 鋸山 − 皇海山  皇海山山頂は人が溢れんばかり  眺望は樹木が邪魔して充皇海山山頂にて分でない
 鋸山からは、ロープ、針金、木の枝等の助けを借りて急下降する。急降下する途中、遠くの山々が目に入るのだが、楽しんでいる余裕はない。急下降を終わると、皇海山から下りてくる単独行氏に出会う。不動沢コースで皇海山に登り、鋸山まで行ってくるとのことであった。追貝から皇海橋までの道は非常に悪く、しかも皇海橋まで一時間歩く必要があるといっていた。不動沢コルを過ぎて登り始めたところで、単独行氏2名に続けて出合った。庚申山荘を4時半頃出発した人たちであった。
 登りはオオシラビソの林のの中の急登が続き、疲労もたまり足取りも思い。この頃になると、ドンドン下ってくる人が増えたが、言葉を交わす元気がでない。やっとのことで皇海山山頂にたどり着くと、狭い山頂が登山者で溢れていた。どうも団体登山者が交じっているようだ。
 楽しみにしていた眺望だが、樹木が邪魔して充分な展望は得られない。それでも、男体山、奥白根山等が部分的に見えた。団体が記念写真を撮り始めた。撮影が終わって下山し始めると道を塞がれてしまうので慌てて下山にかかる。 
7 皇海山 − 六林班峠 − 庚申山荘 鋸山の登りで景色を楽しむ 庚申山荘間近で皇海山直下から見る鋸歯(手前は鋸山)は緩やかな登りにも堪える
 先に何が待ち構えているかわからないので、ゆっくりしている余裕はない。皇海山を急いで下る。この頃になると登ってくる人にかなり出会う。多分、不動沢コースからの登山者が殆どであろう。不動沢コルを過ぎて登りにかかると、前方にマッタホルンのように尖った鋸山が見えてくる。これを登り返すのかと思うと、ますます疲れる。ロープ、針金や木の枝を伝っての登りであるが、時々振り返ってみると至仏山、武尊山、谷川岳がとても美しかった。手を使えたので思ったより楽に登りきった。鋸山山頂に着くと、親子がラーメンを食べているところであった。今朝5時半に銀山平を出発し、六林班峠経由鋸山のピストンでこれから戻るところであった。山頂で、これからの行程を地形図で再確認して出発する。
 鋸山を下り始めると笹原でここからの眺望も素晴らしい。小さなピークを四つほど越すがたいしたことはない。このあたりの笹は胸くらいまであるが、登山道に沿って刈ってあるので歩行の障害にはならない。ピークを越すと雑木林の中の笹道を下るだけなので、足も軽い。皇海山に登る途中で出会った庚申山荘出発者を追い越した。山荘は結構快適であったといっていた。次にこの方面に足を伸ばす時には使ってみよう。六林班峠はどの辺かなと地図を広げていると、鋸山で出会った親子が通りかかったので峠まで数分の間一緒に歩いた。中学生の歩行はしっかりしていて結構早い。
 笹原の中の六林班峠からは、親子に先行して急いで下った。道が比較的平らなので、足が止まらず、小走りで下った。途中で、鋸11峰のいくつかが前方の枝の間から見えた。全部で沢を十幾つ渡ったが、その都度しばらくは荒場を歩かざるを得ない。六林班峠から下り始めて1時間経った頃から、シロヤシオとミツバツツジを見かけた。更に進むとダケカンバが目立つようになると、緩やかなアップダウンを繰り返す。たいした登りでもないのに、かなり歩行速度は落ちた。今日の疲労が一気にでた感じである。右に天下の見晴まで200mの標識を見たので寄ってみることにした。そばまで行くと。鎖が見えたので、これ以上冒険はするまいと登るのを諦める。空腹感が急に出てきた。おにぎりをぱくつき水を飲むと元気が回復したようだ。急いでもと来た道へ戻る。そこから数分で庚申山荘にたどり着く。山荘前では数名が、下山準備をしていた。
8 庚申山荘 − 銀山平  階段状の下りで、膝付近が痛くピンチ
 ここまで来たら一安心と下り始めたが、右足の膝あたりが疲労のためか痛い。平らなところはそれほど感じないのだが、階段状のところではとても堪える。気が着くと後にグループが迫っている。下りは絶対の自信をもっていて、今までに抜かれたことは極めて稀であった。今日は追い越されるかなと観念する。平らなところでグット差をつける。階段状のところで迫られるが続いたが、一の鳥居で振り返ってみたが、後ろに姿はなかった。一の鳥居からは平ら道であり、歩行に障害はない。急いで下ったつもりであるが、結果的に今朝、暗いうちに歩いて登ったのと同じ時間掛かってしまった。途中、天狗の投げ石では、自然の造形を不思議なものだと変な感心をしていたら、俄か雨が降ってきた。空は明るいかったので、直ぐに止んでくれた。ついに銀山平の駐車場に着いた。今日はよく歩いたの満足感がこみ上げてきた。
9 銀山平 − 自宅  山歩き二年目は山小屋泊まりを取り入れより楽しく
 不思議なもので、目的を達成すると満足感で疲れも吹き飛んでしまった。車を運転するのも全然苦痛にはならない。粕尾峠も明るいうちの通過であり、どうということはない。今日は日曜日でもあり、交通量も少ないので、朝と同様にスムース。先行車に追いつくと、先行させてくれる。袈裟丸山の帰りに比べると、快適運転ができた。
 運転しながらも、前々から計画していたことを達成した喜びがこみ上げてくる。山歩き一年目は無事に済んだ。これに油断することなく、技術のレベルアップを図ると共に、山小屋泊まり等を取り入れてより楽しい山歩きを心がけよう。 
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