ひとり山歩き452 : 三股から常念岳〜蝶ケ岳を周回してきました。好天に恵まれ素晴らしい展望を楽しむことができました。草木とも紅葉は未だ先のようです。
三股から常念岳(2857)〜蝶ケ岳(2677)周回
2011年9月28日(水)〜29日(木) 両日とも快晴
1 行程  写真
ルートマップ(GPS)   ウォッちず : 常念岳 蝶ケ岳 三股
第一日 : 自宅(3:15) = 三股駐車場(7:15/7:45) − 三股登山口(8:00) ー 蝶ケ岳迂回路分岐(8:25) − 標高点2207(11:15/11:25) − 森林限界(12:15) − 前常念岳(13:40/13:50) − 常念小屋分岐(15:00) − 常念小屋(15:50)
第二日 : 常念小屋(5:00) − 常念岳(6:20/7:00) − 樹林帯(8:30) − 蝶槍(10:30/10:40) − 横尾分岐(10:55) − 方位盤の峰(旧山頂)(11:25) − 蝶ケ岳(11:40/12:10) − 大滝山分岐(12:15) − 蝶沢渡渉(13:40) − まめうち平(14:25) − 力水(15:35) − 登山口(15:55) − 駐車場(16:05/16:35) = ほりでーゆ四季の郷(16:50/17:30) = 自宅(21:10)

2 自宅 − 三股
 年一の北アルプス訪問を始めて6年目になった。今年は三股から常念岳〜蝶ケ岳周回をすることに決めていた。これは本来なら昨年に実施するつもりでいたが、三股への烏川林道が工事のために9月と10月に通行規制があると知って、計画を蓮華温泉から白馬岳日帰りピストンに急きょ変更をした。今年も9・10月と通行規制があることを知ったが、計画通り涼しくなる9月下旬に実行することにした。
 山小屋泊りはなじめないので、鈍足にかかわらず馬場島から剱岳、新穂高温泉から槍ケ岳、扇沢から鹿島槍ヶ岳、折立から薬師岳、蓮華温泉から白馬岳をそれぞれ日帰りピストンした。いずれも未明の1時前後に登山口を出発し、暗くなる前に無事下山できた。今回の常念岳〜蝶ケ岳は初めて周回日帰りの試みである。問題は二つ、@今年は天候不順等で山行回数が少ないうえにロングコースをあまり歩いていない。そのために(加齢によるも加えて)脚力が落ちていること。A今回のコースは出発時刻が早すぎると、日の出前に前常念岳への岩場を登らねばならない。スタートを遅くすると、力水付近を暗くなってから通過せねばならない。このあたりは台風の影響で登山道に水が流れ迷いやすい(9月25日に暗くなっての通過で、道筋がわからずビバークしたとのヤマレコ記録を見た。9月7日にも暗くなって、道筋がわからずかなり難儀したとのヤマレコ記録あり)。昨年なら15時間あれば歩けると踏んでいたが、今年は17時間くらいかかるかもしれない。これでは、力水付近の通過は暗くなってしまう可能性が強い。「彼を知り己を知れば百戦危うからず」(孫子の兵法)を、彼=山の情報、力水付近の地形等、己=自分の実力と置き換えて、前日に力水付近の様子を探って置くことにした。
 28日は、力水付近の地形調査をし、三股駐車場で車中泊することにして家を出る。金はないが暇はいくらでもあるので、4時前に高速道に乗り高速料金を半額にすべく、3時過ぎに家を出る。今日は時間を持て余しそうなので、ゆっくり奔り、途中のSAで休み休み行くべく、栃木ICから東北道、北関東道、関越道を進み、藤岡JCTで上信越道に乗り換えねばならないのに、ぼんやりして関越道を進み上里SAで間違いに気付く。本庄児玉ICで降りて、Uターンして再び高速道に乗る(これで夜間割引はパアーとなる。全く何してんだよ)。藤岡JCTは何度も通っていて間違うはずもない場所なのに、ゆっくり走っているから緊張感が足りないと反省(年のせいでボケが始まったのかも)。その後はSAで休憩せずに飛ばして豊科ICを6時半頃に降りる。そのころになると、今回の計画を変更して第一日は前常念岳避難小屋泊りで二日目に常念岳〜蝶ケ岳〜三股とすれば力水は明るいうちに通過は間違いなし、と決めてコンビニによって二日分の食糧(握り飯とパン)を調達する。バナナと水は車に積んであるので問題なし。力水付近で万一のビバークに備えてシュラフも持参している。
 ほりでーゆー四季の郷から先の烏川林道は、通行規制の看板あるも、規制時刻前で問題なし。林道は全面舗装でごく一部を除いて離合は大丈夫(途中で工事トラックと離合)。三股駐車場は収容台数70台らしいが、沢側に30台くらい駐まっていた。避難小屋泊りでの二日分の装備(コンロは持参せず、オール冷や飯)をザックに詰めなおす。水4リットル(消費二日で3.5リットル)を含めてザック重量は12kgくらいか。

3 第一日(三股 − 前常念岳 − 常念小屋)  前常念岳の登りはきつかった  閑散期の山小屋利用も良いもんだ浅間山の夜明け 左に日光の山も (二日目に常念小屋付近から)
 駐車所から正面に蝶槍を見上げて、ダート道の林道を登山口まで進む。用意してきた登山カードを投入して、登山道に入るとすぐ先が蝶ケ岳(6.2km)/常念岳(7.1km)分岐で、ここからすぐに急登が始まる。25分で迂回路分岐に達する。登山道から左に迂回路の薄い踏跡が確認できた。ここから先は、地形図の破線に比べて西側に膨らんでいる。ジグザグの急登には変わりはない。迂回路分岐あたりからは多少は風を感じるが、汗がにじむ。針葉樹林の中の登山道は、浮き根や小岩ありの通常の山道で、蝶ケ岳〜三股への稜線が枝越しに見え隠れするだけ。標高1800あたりで、若者1名に抜かれる(前常念岳以降は抜きつ抜かれつ)。10時30分(標高2050)に下山者とすれ違う。標高2180で小さな標識「常念岳」を見ると、ここからは勾配はぐっと緩む。10分ほど緩やかに登ると、登山道の上に丸いコンクリート基礎が残っている。ここが標高点2207で、前常念岳と蝶槍の山頂部を眺めながらエネルギーを補給する。下山者2名通過。ここまでの所要時間はは計画とほぼ同じ。
 2207からわずか下って登りになると笹の中の土道、そして砂礫道と変わる。やや勾配が緩み標高点2355を越し、6段くらいの木梯子を登るとここからは別世界の森林限界となる。展望が開けて南東方面がよく見える。富士山、南ア、八ヶ岳に目移りするが、ここからは岩場の急登があり景色を楽しんでいる余裕はない。標高点2207への急登に続いて、これまた苦手の段差のある岩場通過。重い体重を引き上げるのに苦労する。一般的な健脚者よりも体重は20kg程度重い。20kg体重が減ったら鳥みたいに飛べるだろうな!? なんて考えちゃう(仮に全脂肪分をゼロにしてもむりな話だが)。おまけに砂礫部分は滑って登りづらい。1時間半の悪戦苦闘でやっと前常念岳避難小屋にたどり着いた。内部を覗いてみると、壁は石積みで床は合板、扉もあるので寒さは凌げそう。これからどうするかか考えていると、小屋前で休んでいる人が、常念小屋はすいているから泊まっては、とのアドバイス。時間を持て余しそうなので、すいていることを信じて今夜は小屋どまりとすることにした。
 避難小屋のすぐ上で前常念岳の三角点を見る。ここの先も岩稜であるが、勾配が緩いので先刻までの悪戦苦闘とは異なり、景色を楽しむ余裕もできてきた。正面に常念岳、やや右手に大天井岳、横通岳や燕岳、そして穂高岳も見えるようになった。今日も快晴で展望を楽しむには申し分なし。年一の北アルプス訪問も今年で6年目、各回とも快晴で、北アとの相性は抜群(天気選びだけは一流!?)で気分を良くする。ついに槍ヶ岳も姿を現した。右下には常念小屋も見えるようになった。こちら方面は万一を考えて地形図を持参しただけで調査不十分、けっこう下らねばならない。このあたりからは、登山開始早々に抜かれた若者(常念小屋テント泊)と抜きつ抜かれつとなる。常念岳山頂は明日一番の楽しみにして、常念小屋へ下る。ガレ場下りで疲れた足には堪えるが、何人も追い抜くだけの脚力は残っていた。小屋泊りで夕食前に常念岳を楽しむ人もいる。平坦な常念乗越に建つ常念小屋に無事到着。荷物を軽くするためには夕食も不要なのだが、後学ののために夕食付きとした(8500円)。
 広い部屋(12畳くらいか)に単独行者3人だけ。これなら他人に束縛もされず、他人に迷惑をかけることはない。晩飯は18時から、荷物を軽くするために握り飯をパクつく。水は1.5リットルしか消費していない。小屋で補充する必要はない(150円/リットル、宿泊者は無料)。山小屋での夜食は三回目で、この小屋のそれはよいのかどうかは知らないが、冷や飯よりはずっとまし。部屋の温度は暖かいようで寝袋状の布団と毛布一枚で寒さを感じず。これなら、閑散期に小屋を利用する手もある。今後は脚力も衰えて日帰り可能の山も少なくなるので、一考の余地がありそう。

4 第二日(常念岳 − 蝶ケ岳 − 三股)  穂高岳と槍ヶ岳を中心に雄大な展望を楽しむモルゲンロートの槍ヶ岳 (二日目に常念岳への登りで)
 4時半に寝床を抜け出し、ロビーで準備をする。皆は防寒着を着用しているが、歩きはじめたら暑くなるのは必定。念のために半袖のアンダーシャツを長袖のアンダーシャツに着替える(結果的には不要だった(後刻暑い思いをした)。5時にヘッデンを点けて常念岳に向かう。すでに登り始めた人の灯りが上部に見え隠れしている。浅間山の夜明けを写して歩きはじめる。ヘッデン歩きは慣れているので、登りは全然問題なく登山道を追うことができた。歩きはじめは槍ヶ岳はシルエット状で槍岳山荘の灯りがみえた。登るにつれて槍ヶ岳が明瞭になり、あっという間に赤く染まった。モルゲンロートは山小屋泊りであればこそ楽しめる光景。火打山や浅間山方面も見えるようになった。今日も雲ひとつないが、男体山や奥白根山まで見通す透明度はない(注釈).
途中で展望を楽しみながらゆっくり登ってきたので常念岳山頂まで1時間20分も要してしまった。
 山頂の最高部には祠と方位盤がある。少し下では先着の若者2名が景色を楽しんでいた。山頂からは360度の大パノラマが広がる。目移りするが、なんといっても目の前にそびえる槍ヶ岳と穂高連峰が素晴らしい。丁寧に山座同定をしていたら何時間あって常念岳から穂高岳と槍ヶ岳も足りない。コンデジでビデオに撮った(パノラマはビデオを参照願う)。(注釈 : 自分の肉眼では確認できなかったが、掲示板でお馴染みの仕事人さんから男体山や奥白根山が写真に写っていると指摘指摘していただく)
 常念岳山頂からの観察では標高点2512ピークまでは岩稜が続き、標高点2592ピーク前後は樹林帯で、蝶槍からはアップダウンが少ない灌木(ハエマツ)帯歩きとなりそう。尾根筋の観察をして、若者2名組の後を追って蝶ケ岳へ向かう。さっそくガレ場の急降下である。特別に危険で進むのに逡巡するような場所はないが、足場が悪いので細心の注意が必要。樹木がなく無風なので多少汗ばむ程度、長袖アンダーシャツにしない方がよかった。右手に穂高岳から槍ヶ岳の展望は相変わらずすっと続く。場所によって御嶽山、乗鞍岳、反対側に富士山や南アを見ながらの歩き。足元が悪いのでよそ見は禁物。
 岩峰最後の標高点2512を下ると、灌木そして樹林帯に突入し展望はなくなる。このころになると蝶ケ岳からの登山者とすれ違うようになる。10人以上のグループもいた。樹林帯歩きは、ガレ場歩きに比べて多少緊張感を欠いて根につまずいたりする。標高点2592ピークは樹木に邪魔されるが、富士山や南ア、御嶽山や乗鞍岳が展望できる。すぐそばには蝶槍が目に入るが、穂先は低く槍とは無理したネーミングだ。2592から下り始めると、再び穂高岳や槍ヶ岳が目に入るようになる。鞍部には池塘があり、この先で小ピークを越すと標高点2462の鞍部。ここから約200メートルの登り返しとなる。途中から樹林が切れてハイマツ帯となり、展望が広がってきたが景色を楽しむ余裕はない。この登りが蝶ケ岳への最後の難関。鞍部から200メートル登るのに50分もかかってっしまった。地形図では蝶槍は西側を巻くようになっているが、実際には穂先を通過する。ここからも360度の全展望。
 蝶槍からはアップダウンはほとんどない。三角点峰の山頂は平坦で、三角点は登山道よりも右手(東)30メートルほど離れているので横目にして通過。この先はハイキングコースみたいな感じで歩ける。横尾分岐から緩やかに登ってゆくと、方位盤のある小ピークに達した。方位盤を設置してあるということは、以前はここを山頂としていたらしい。蝶ケ岳ヒュッテに立ち寄って、オレンジジュース(500円)を飲んで、現在の蝶ケ岳山頂である2677峰へ行く。ここに建つ標柱は新しいように見受ける。山頂部にはハエマツが生えていたりで一か所で360度展望というわけにはゆかない。好みの問題はあろうが、同じような景色でも常念岳からの方がだいぶ良い。
 今日は昨日よりも荷物が軽いのと下り勝手ということで疲労は少ない。常念岳から蝶ケ岳まで計画4.5時間に対してほぼ同じ。昨日は常念岳に登ったとして計画の6.5時間に対して約7.5時間で約1時間のオーバー、これは重荷のせいか脚力の衰えか。さてこれからの下りは歩行時間3.5時間の計画だがはたしてどうなるやら。景色を堪能しエネルギーを補給したので下山にかかる。
 大滝山分岐を過ぎて最終ベンチ(ヒュッテ0.9 三股5.5)からは地形図に比べて、実際のルートはかなり北側を通っている。山腹のトラバース道は蝶ケ岳から常念岳往々にしてこのようなずれがある。登山道を追っているかぎりどうということはないが、万一道を失った時に、地形図から高度計頼りに自分の位置を探すような場合に支障をきたすことがある。(ヤマレコ記録は地形図をなぞっただけの場合が多いのであまり信用しないこと。時たまGPS軌跡を載せている例があるので調べておいた方がよい。地形図さえ持たず歩いている人が圧倒的に多いように見受ける。迷ったらどうするのかなと、他人事ながら心配。自分は地形図を首からぶら下げて、現在どこを歩いているか常にチェックしながらでないと不安で歩けない。道筋は小岩あり浮き根ありのありふれた山道、特別な危険個所はないが、左側が急斜面になっている個所が多いので要注意。登ってくる人は多い。蝶ケ岳は百名山ではないが、北アルプスでは比較的登りやすい手ごろな山なのだろう。蝶沢は最近の台風の影響か水量は多く、冷たい水で顔を洗う。
 蝶沢からは方向を東から北東に変えて樹林地帯を下ってゆく。常念岳から前常念岳が時には樹木の切れ間から展望できるのはお慰め。針葉樹林をずっと下ってほんの僅か登り返した小ピークが標高点1916でまめうち平と標識で知る。ここからは明瞭な尾根を北東に下り、三股2kmの小さな標識を見て、東に向きを変える。ここから次に南東に向きを変えるまでは、小岩もなく蝶からの下りで一番歩き易かった。標高1540で登山道は急に向きを南東に変えて尾根から外れて下るようになる。地形図ではそのまままっすぐに尾根上を進むようになっているが、笹薮で道筋はない。木梯子と木階段を途中で通過して、さらに5分ほど下ると力水である。
 力水付近は登山道に水が流れている。大雨の3・4日後では沢状に流れているのだろう。今日は台風15号から8日経過しているので、登山道に流れる水量は少ない。登山道の方向は水流の方向だが、力水の表示板では左手の藪の方向を指している。登山道を水の流れる方向に20メートルほど下ると、幾分左にカーブする。すると登山道の左手に枝沢が流れ、右手に本流が流れる。力水からこの付近が水浸しで、暗闇だったら確かに迷いそうだ(今日くらいの水流なら暗くても何とかなりそう)。登山道は左手の枝沢と右手の本流の間を通っている。最近つけたのか登山道の上部にピンクリボンが目についた。やがて登山道から水が引き、先刻の枝沢を渡ると、蝶沢の下流である本沢に架かる吊り橋を渡る。橋を渡ると左手に迂回路の看板は倒れている。その左上に薄い踏跡が認められる。これを追うと前日に目にした迂回路分岐に通じるのだろう。吊り橋から先は大雨後に水浸しになりそうな地形である。常念岳分岐のすぐ先が登山口で無事下山完了。蝶から登山口まで3.5時間の計画に対して15分ほどオーバーしたが、17時まで林道が通行止めで力水付近の地形をs詳しく調べたりでゆっくりしたせい。
 力水付近の地形を昨日調べておいて、日帰りを今日試みたとしたら成功しただろうか。実際にやっていないので微妙なところだ。そんなことを考えながら駐車場に戻る。林道通行解放時間を待っているらしい人が何人かいた。後から下山してきた単独行の山ガールが果敢にも、16時35分に下り始めた。自分もまねて後を追う。途中でタクシーが上がってきたので安心して下る。確かに工事はやっているが、道路上の工事でないから通行は可能であった。ほりでーゆー四季の郷(500円)で一風呂浴びて帰路につく。 

常念岳からの展望
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