ひとり山歩き444 : 中央アルプスの空木岳をピストンしてきました。森林限界に出るころにはガスが昇り遠望は利きませんでした。標高2200付近に障害物の多いヤセ尾根がありますが、鎖・ワイヤー、梯子・桟道塔が設置してあり、特に危険ということはありませんでした。
空木岳(2863)
2011年7月11日(月) 晴れのち曇り
1 行程   写真
ルートマップ(GPS)  ウォッちず : 空木岳
自宅(0:05) = 駒ケ根市・古城林道ゲート(あかつきの塔付近)(3:35/3:50) − 登山口(4:25) − 古城林道終点(本来はここが登山口)(4:55/5:00) − 水場・池山新避難小屋分岐(6:10/6:20) − 尻無(7:00) − マセナギの頭(7:10) −大地獄(7:55) − 迷い尾根(8:20) − 標高点2415西鞍部(9:15/9:25) − 空木平分岐(10:00) − 駒石(10:40) − 駒峰ヒュッテ(11:25) − 空木岳(11:40/12:05) − 駒峰ヒュッテ(12:10/12:15) − 空木平分岐(12:35) − 標高点2415西鞍部(13:30/13:40) − 迷い尾根(14:20) − 水場・池山避難小屋分岐(16:00/16:10) − 林道終点(16:55) − 下山・林道出合(17:20) − 駐車地(17:40/17:55) = 途中SAで2時間仮眠 = 自宅(0:40)

2 自宅 − 駒ケ根
 8月から9月にかけては恒例となった年一度の北アルプス訪問を考えているが、最近は梅雨もあって山行が滞っていて身体が鈍って計画倒れになりそう。身体の鈍りを解消するために空木岳のピストンを考えた。いかに脚力が衰えているとはいえ、山小屋泊りは自分のスタイルではない。自宅から駒ケ根市の登山口までは高速道をつっぱしても4時間はかかる。登山口で車中前泊をして翌早朝(深夜)に登山開始するのが、無難ではある。梅雨は一昨日の9日に明けたが、大気が不安定で午後に降雨・発雷の確率が高い。前日に天気が読めなかったので、23時に起床して天気予報を確認してから家を出ることにした。
 天気予報を確認して最終準備を整えて家を出たのが零時を5分過ぎとなってしまった。駒ケ根までは4時間強が見込まれるので、登山口に着くころには照明無しで歩けるようになっているはずである。駒ケ根ICを降りて、カーナビに従って古城林道を登ってゆくと、車2台が駐まっているのが見えた。ここが林道古城線のゲート手前の駐車地と判断して車を駐めた。予想よりも30分以上は早くついてしまい未だ真っ暗である。すぐに出発準備にかかると、隣りの車も起きだして準備を始めた。もう一台は車の横のテントで睡眠中のようである。

3 空木岳への登山  ヤセ尾根は安全対策あり、特に危険ということはなかった  ガス模様で遠望利かず
 ペンライト片手に歩き始めると、1分も経たないうちに右手に三角形の屋根が見えたが、これはあかつきの塔で展望台らしい。明るいうちに下山して帰りに展望を楽しみたいなどと考えていると、すぐ先でゲートをくぐる(翌12日からはゲートは3km先になったようである)。林道を歩いているうちにペンライトも不要となり、林道のカーブの左手に池山ハイキングコース登山口なる標識が見えた。この先にスキー場からの登山道があるはずで、これを確認すべく林道を2・3分進むと、右手から登山道を合わせて、左側に登山口の標識があったのでここを登山口とした。
 明瞭な登山道で、すぐ先で先刻の登山口からの道を合わせた。多少は小岩や根が浮き出すもハイキングコースというくらいだから歩きやすい。林道を横断して登山道を進むと三本木地蔵で小さな石像と標識を横目に先を急ぐ。再び林道に出合うとすぐ先が林道終点で、従来はここまで車で来られたが、現時点では林道崩落で1時間ほど余分に歩くことになってしまった。ここからは南アルプスの赤石岳方面が展望できるのだが、雲で見分けることはできなかった。林道終点広場の奥で登山カードを投函して先に進む。
 従来の地形図ではこの先は尾根上に破線が記載されているが、ウォッちず(電子国土基本図版)では、尾根の南側を巻いている。実際のハイキングコース(登山道)もその通りになっている。登山道がいったん尾根上に戻ると、藪化しつつある従来の登山道を横切るが、そこには通行禁止の標識があった。再び尾根の南側を巻いて進んでゆく。道筋はハイキングコースと称するくらいだから傾斜は緩く障害物はなく歩きやすい。途中で「篭ケ沢洞窟」へ160mの道標を見て道筋は折り返して尾根上に向かう。尾根上が池山への分岐で、東に100mで野生動物観察舎もあるようだ。この分岐からまたまた尾根の南側のトラバースとなる。道標はよく整備されていて、旧池山避難小屋分岐と池山直登分岐の道標を見ながら進んでゆく。勢いよ檜尾岳〜宝剣岳 (ヤセ尾根から)く水槽に流れ込む水場に達した。ここからも池山に踏跡は通じているようである。ここまでの所要時間は2時間20分でほぼ計画通りだが、水はすでに500ミリリットルを飲んでしまった。蒸し暑いせいか水分補給が思ったよりも多そうなので、ここで空ペットボットルに水を満たし、合計2.5リットルとした。
 水場から1分弱で池山新避難小屋(100m)分岐がある。ここから先は、遊歩道経由でも登山道経由でも次の地点(尻無)まで1.7kmとなっている。復路で元気があれば遊歩道を経由することにして往路は登山道へ進んだ。尾根の北側の針葉樹林を進むようになって幾分かは涼しさを感じるようになった。尾根上に復帰した地点に尻無の道標があり、標高1970と刻んであったが、実際は1930くらいである。カラマツやダケカンバが目立っていたが、尻無からはシラビソが支配的となる。マセナギの古い木標識の先からは尾根の北側から南側のトラバース歩きとなる。段数の少ない木階段とスチール階段が増えてきたが特に問題にするような箇所はなかった。
 尾根上に復帰すると「この先 ○○メートルは、急峻でヤセ尾根のため、転落・滑落多発しているので要注意」大きな看板をみる。看板どおりこの先はヤセ尾根で障害物が次々とあらわれるが、階段、桟道、ワイヤ−ロープ、鎖等が適宜設置されているから普通に注意していれば特に危険ということはない。このあたりになると下山者が増えてきた。ほとんどが千畳敷からの縦走者のようである。女性の単独行者もいた。ほとんどの人は木曽殿泊りのようだが、若者5人組はテント泊で縦走らしく大きなザックを担いでいた。昨年、檜尾岳避難小屋泊りで計画したが、途中挫折してしまった。山小屋に泊まれる人やテント泊できる人がうらやましい。大地獄(古い木標識あり)を通過すると、樹木が切れて檜尾岳から宝剣岳が展望できた。結果的にはガス模様で今日唯一の遠望写真となってしまった。方向が西から南に変わると危険個所はなくなる。先刻のヤセ尾根の注意看板と同じものが設置してある場所に迷い尾根の古い標識も見かける。その前後を含めてなぜ迷い尾根というのかわからなかった。
 迷い尾根からは南側のトラバースとなり、階段や桟道などの安全対策が施されているので安心して歩けた。標高点2415の西鞍部でザックを下してエネルギー補給していると、下山してきた数人組もここでザックを下した。栃木からの日帰りだというと驚いていたが、山小屋泊りもテント泊もできない自分には、これしかないのだと苦しい説明。ここからは尾根の北側のトラバース歩きとなる。ガスが上がってきた。これでは森林限界に達しても遠望は利きそうにない。登山口で前泊して深夜に歩き始めるべきだったと悔やんでもどうしようもない。遅くても森林限界には9時前に達していないと展望はあきらめである。今回は山頂までピストンできればよしと鼓舞する。空木平分岐(避難小屋500m)に達した。ここまでに三組・4人に追い越された。最近は登りで追い越すなどということはなくなってしまった。山歩きを開始して丁度10年が経過し脚力は弱まっているのに体重は全然変わらずだから当たり前の話だが。
 分岐から灌木地帯を登ってゆくと樹木が薄くなり、ついに森林限界に達した。案の定、ガスで遠望は利かず南東に南アのごく一部が認められる程度。幸いに前方にみえる駒石と空木岳はガスが切れている。消耗してしまい、太腿が攣ってしまいちょっとした段差も越すのが容易でない。休みやすみの登りで、山頂は断念せざるを得ないかと半分はあきらめの気持ち。休みやすみでも歩いていれば目的地は近づくもので、ハイマツや花崗岩を縫って亀のごとく歩む。弱いが風があるので助かった。駒石そして駒峰ヒュッテとなんとか通過した。先刻抜かれた夫婦が下山してきて、励まされてしまった。 どうにか空木岳山頂に達した。ザックを下して座り込む。エネルギー補給して水を飲むと元気が回復した。残念ながら遠望は利かない、赤梛岳と南駒ヶ岳がかろうじて見えるだけ。先着の単独行者は下山していった。途中で抜かれた4人のうち1人は木曽殿方面に進んだのか、あるいは空木平経由で下山したのか会うことはなかった。

空木岳直下らの展望


4 下山  駒峰ヒュッテで冷たい水を飲んでからは太腿の攣りから解放される
 山頂でエネルギーと水分を補給したので、疲労は回復したと思ったのだが、下山途中で何度も大腿が攣ってしまった。残る水も1リットル強で心もとない。駒峰ヒュッテで管理人に水の販売は未だかと問うと、あるとのこと。500ミリリットルのボトルを2本購入し、1本をがぶ飲みした。これが効いたのか以降は攣りはなくなった。ヒュッテから空木平分岐までに三組(10人くらい)とすれ違った。木曽殿山荘泊りであろうか。通常のペースに戻ったようで一安心。標高点2415鞍部で小休止をして、迷い尾根から先ののヤセ尾根下り備える。大地獄の古い標識を見て時計を見ると、14時46分で、東日本大震災からちょうど4ケ月が経過したことを思い出す。自分の足取りは遅いが、それ以上に大震災からの復旧・復興が遅い!! 嫌になってくる。自分のことばかりしか考えない政治屋どもばかりで日本の将来が心配。ヤセ尾根もなんら問題なく通過し、明るいうちに下山できると確信する。
 尻無からは遊歩道を歩こうと考えていたが、空は明るいが遠方から雷音が聞こえてくるので、安全策として往路の登山道をそのまま下った。池山新避難小屋100mの道標を見たが、二度とここには来ることもなかろうとパス。水場で冷たい水をガブ飲みして、さらに1.5リットルの水をペットボトルに詰め込む。最後は往路で最初に出合ったハイキングコースの登山口経由で下山した。ゲート脇をすり抜けて、その先のあかつきの塔から駒ケ根市街を俯瞰する。晴れていれば南アが見えるのに残念。駐車地には車が4台あり、3台は無人、1台は明日に備えてかくつろいでいた。
 
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