ひとり山歩き418 : 松木川からモミジ尾根、国境平、三俣山、黒檜岳、大平山とテント泊で縦走してきました。期待していた紅葉はまだ早いのかあまりパッとしませんでした。
松木川から国境平〜三俣山〜大平山
2010年10月23日(土) 晴れ 24日(日) 曇り
1 行程   
ルートマップ(GPS)   ウォッちず : 松木川  国境平  三俣山  大平山
第一日 : 自宅(1:50) = 足尾銅親水公園(3:45/3:55) − ウメコバ沢出合(6:05) − 六号ダム(6:25) − ニゴリ沢出合(8:10/8:20) − 皇海沢・10m滝で退却(8:55/9:20) − ニゴリ沢出合(10:05/10:10) − モミジ尾根取付き(10:45/11:05) − 国境平(13:00/13:15) − カモシカ平(14:05) − 天場(標高点1828付近)(15:45)
第二日 : 天場(5:15) − カマ北コル(5:55) − 三俣山(7:10/7:30) − 宿堂坊山分岐(7:35) − シゲト山(9:50/10:05) − 黒檜岳山頂部(12:15/12:35) − 社山登山道別れ(12:50) − 大平山(13:25/13:35) − 標高点1356(15:10/15:20) − 銅親水公園(17:30/17:40) = 自宅(19:40)

2 自宅 − 足尾
 昨年の10月19日に庚申山に登った時に見た皇海山腹から皇海沢(松木川の上流)の紅葉が素晴らしかった。皇海沢を詰めて不動沢コルに突き上げたら、紅葉を楽しめるのではないかと考えた。WEBで調べると皇海沢(ニゴリ沢出合より上流)には通過に難しい滝はないらしい(沢屋さんベースで)。ひょっとしたら自分にも皇海沢遡行の可能性があるかもと考えた。危険を感じたら引き返すとことを念頭に計画を立てた。皇海沢遡行を断念した時にはモミジ尾根から国境平、三俣山、黒檜岳、大平山とテント泊で縦走する準備もした。
 09年10月19日に庚申山から見た紅葉は盛りであった。今年は約1週間は遅れていると思われる。時期的に少し早すぎる感もあるが、二日続きの好天は23日と24日しか期待できない。日帰りでも休日に山に行くのは嫌なのだが、二日続きで休日に山行は最悪だが天気には逆らえない。テント泊の重い荷物を担いで、スタートの足尾銅親水公園から松木川(上流の皇海沢)をつめて不動沢コルに突き上げるには10時間はかかりそう。12時間の行動時間を見て、銅親水公園を4時ころ出発できるよう見計らって家を出る。松木川の遡行が始まるウメコバ沢に着くころには明るくなっている(04年に2回、06年に1回、経験あり)。銅親水公園入口の電光掲示板は6度、無風で月明かりもある。条件としては最高。果たして結果はどうなるやら。

4 第一日(松木川遡行 -ニゴリ沢 − モミジ尾根 − 国境平 − 標高点1828付近)  紅葉はまだ先か?  モミジ尾根の取付きを間違って疲労が蓄積
 松木川の遡行は飛び石だけで歩くというわけには行かない。何度も水の中を歩くので、今回はくたびれたウォーキングシューズで歩くことにした。過去3度の経験ではニゴリ沢出合までは全然問題がなかった。途中で履き替えるのは面倒なので、最初から荒れた廃林道もウォーキングシューズで歩いたが特に問題はなかった。テント泊の荷物に加えて登山靴を担いでいるので荷物は15kgで、日帰りの8kg程度に比べて重いのが難点。大ナギ沢手前のゲートまでは工事で車が走行しているので全然問題なし。ゲートを過ぎて大ナギ沢を渡ると草が生えたり、崩落や落石で林道の面影のない区間が増える。草が生えている場所には細い踏跡がついているので、ヘッデンと月明かりでも充分歩ける。明るくなり始めた5時半ころにウメコバ沢出合の二つ手前の砂防ダムを過ぎた地点で川床に下りた。次の砂防ダムを乗り越すのにひと苦労。このダムを越してから川床に下りるのが正解。前3回よりも30分も余分に要してウメコバ沢出合に達した。
 ここからはズボンを膝まくりして左岸へ右岸へと適宜渡渉する。最初は冷たく感じたがなれるとそれほどでもない。六号ダムをロープと鉄ステップで右側を乗り越す。ダムのすぐ先で三沢、小足沢を越してゆく。これらの沢を過ぎると、両サイドは岩肌が消えて樹林帯となる。前方には皇海山の頭を見たりしながら進んでゆくと、左岸に幅広の滝を見る。その先が大ナラキ沢で左岸尾根をたどれば県境尾根の標高点1828ピークに登れるらしい。次いで釜ノ沢を通過すると、40cm滝(川底が埋まって落下高が低くなってしまったらしい)。釜は深いので左岸を高巻いて通過。右岸から丸石沢が流れ込むと数分でニゴリ沢出合となる分岐地点の樹木に「ニゴリ沢→」の小さな標識があるだけ。今までは川筋の紅葉は色づきが始まった程度であったが、ニゴリ沢方面はかなり色づいていた。
 過去3回はニゴリ沢をたどってモミジ尾根に取付いたが、今日は計画通りに松木川本流の皇海沢に進む。川幅は狭くなり、渡渉は膝下数センチだったのが、幾分浅くなりふくらはぎ程度。ニゴリ沢出合から20分ほどで右岸からシナノキ沢が合流する。このあたりからは岩が滑りやすくなって歩きづらくなってきた。シナノキ沢から15分(標高1190)ほどで三段10mの滝(表現に自信なし)に出合う。右側を通れそうな気もするが自信がないので、山腹を高巻く。滝を過ぎたあたりで小さな沢に出合う。皇海沢に下りようとしたが、2m位の岸壁でロープも持ってないので下りられない。底の減ったウォーキングシューズでは滑落を恐れても高巻き開始地点に戻る。滝の傍に行って観察したが、ど素人が越すには不安。いさぎよく(あっ気なく)皇海沢の遡行をあきらめて退却することにした。
 ニゴリ沢出合まで戻ってモミジ尾根から国境平に登り、三俣山、黒檜岳、大平山と歩いて銅親水公園に戻ることにした。国境平で水をくむのは時間がかかるので、皇海沢で2リットルを汲み、持参した2.5リットルと合わせるとますます荷が重くなってしまった。ニゴリ沢出合に戻り、ニゴリ沢の左岸を遡る。流れが西から南西に変わるとモミジ尾根の取付きが近い。前方に滝が見えて100メートル強手前の岩に黄○を見つけた。踏跡が見えないが以前に比べて薄くな皇海山ったのだろうと判断し、ここをモミジ尾根取付きとして、登山靴に履き替える(ニゴリ沢では渡渉はないのでニゴリ沢出合で登山靴に履き替えてもよい)。蛇足だが、途中で二本の角付きの鹿のしゃれこうべを見た。翌日もシゲト山手前で角1本を見る。この3、4年見なかったが、見るときには見るものだ。
 薄い獣道をたどって急斜面を登ってゆく。ジグザグに登ってゆけば登山道とマークに出合うだろうと思ったが、あまりにも斜面が急で藪がなく、つかむものがないので登りづらい。正規よりも手前で尾根に取付いてしまったようだ。軌道修正すべく西にトラバースしようとしたが、急斜面でままならず直登となってしまった。小一時間もがくと標高1400で小尾根にたどり着いた。尾根上は土がむき出しで、あたかも登山道のようであった。勾配が緩み笹原に突入すると県境の日向山や1828ピークが見えるようになり、すぐ先で赤/黄マークと登山道に出合ってやれやれ。少しばかり手前でモミジ尾根に取付いてしまい30分は余分にかかってしまった。今日はルーファンがさえていない。ルートに復帰のために三回も無酸素運動をしてしまった。後半の動きに影響すること間違いなし。モミジ尾根から見る皇海山方面の紅葉はさっぱりだが、尾根上の葉は枯れて時期を過ぎてしまったようでもあるし、早すぎたのか遅すぎたのか判断に苦しむ(早過ぎと思うのだが)。ダケカンば林次いでミウナラ林を登ってゆく。笹が低いうちはは踏跡をたどれたが、だんだん深くなり踏跡を見失う。ロープ展張を見つけてその方向に進むと県境稜線達した。付近の樹木には金属製の標識を多数見る。たき火跡もある。この地点を国境平とした。水を汲む必要がないので、エネルギーを補給して日向山方面に向かう。展望はあまりよくない、中倉山方面と皇海山が展望できる。
 すぐ先で砂地に天然の矮小なカラマツを見る。国境平から日向山は100メートルの登りだが足取りは重くなり、ザックが肩に食い込むような感じ。04年6月18日に今回と同じルート(皇海沢の遡行はなし)で日帰りした時の行程と比べて、今日は淡い希望の三俣山まではとても無理。天場をどこにするか考え始める。日向山を下った鞍部がカモシカ平でここも砂地と矮小なカラマツが目につく。次の標高点1736ピークへの登りは、楽をしようと獣道を追ってゆくと県境からそれて軌道修正。足も頭も働きが悪くなってきた。コメツガの小ピーク(釜五峰の5番目?)を過ぎると東側切れ落ちている。このあたりがオオノゾキというのか、それとも1736ピーク先をいうのかはっきりしない。ガスが登り始めて岩峰の1828ピークはかすみだした。1828ピークの西側を巻いて通過した地点は比較的平坦で笹も低く、時刻は15:45分。場所も時間的にもここを天場と決めてテントを張る。
 まずは明日の食料と水を整えて、晩飯(例によってコンビニのおにぎりとアンパン)を摂る。ガスコンロの代わりにモーリンヒートパック(商品名、水酸化カルシュウムとアルミニウムと水を反応させて加熱する)を持参したが、横着で冷や飯に慣れた俺様には不向きで使用せず。17時にテントに入ると、例によってすぐに爆睡。22時ころ目が覚めてラジオをかけると中日が巨人を藪って日本シリーズになんて放送をしていた。またすぐに眠ってしまい、翌朝2時に目を覚ます(家にいるときと同じ)。

5 第二日(1828 − 三俣山 − シゲト山 − 黒檜岳 − 大平山 −安蘇沢林道)  疲れた!! 体力の限界を感じる
 日課のウォーキングの代わりに深夜放送を聴く。テント(フライシートなし)内温度は8度、屋外は5度で、ゴア雨具と180グラムのシュラフで快適な夜が過ごせた。3時半にシュラフ収納から出発準備を開始する。昨日の歩きようから判断して、足尾に明るいうちに戻るには暗いうちに出発することにする。
 天場から次のピークまでは笹尾根を北にたどる。笹は膝程度でなんとか踏跡を追うことができる。樹木の切れ間から朝焼けが見えだす。1840級ピークで方向を変えて下りだす。獣道を追っていると方向がずれてくるので適宜軌道修正を重ねる。下る途中でヘッデンを格納。カマ北コルでは足尾の中倉山方面の朝焼けがきれい。この景色は山中泊した者の特権。1840級ピークからコルまでの笹は腰ないし膝程度。登りになると樹林に入り笹は薄くなるが、急登が始まる。今日一番の難所で標高1800あたりに岩場があり、樹木や根の助けを借りながらよじ登る。岩場を越すと幾分緩やかになるが深い笹の登りに悲鳴を上げる。笹が露で濡れていないのが救い。標高点1847からは平坦な細尾根を進み、標高1850からの登りは笹の中に隠れた道筋をたどる。道筋を外すと抵抗が大きくなるは言うまでもない。登山道のマークの傍を通っても道筋が分からないでで始末が悪い。笹を嫌ってコメツガ林を歩くと朝焼け (カマ北コル付近、ザックの天蓋がひっかり歩きづらい。使用している60リットルのザックは型が古く、今どきのザックに比べて天蓋部が高いので藪山では歩きづらい。年に一二度しか使わないので、いまさら新規購入の考えはない。カマ北コルからは左手に峰山〜三ケ峰、後方に皇海山あたりが時々展望できる。笹尾根の急登の後に久しぶりの三俣山が待っていた(04年8月以来)。
 山頂からは武尊山、峰山から錫ケ岳あたりが展望可能。履いていた登山靴は履き古しで、底が剥がれそうで今回で履き納めにするつもりであった。昨日、釜五峰を歩いているうちに両足の底が外れそうになってしまった。このことは予想していたのでアスリート用のテープを用意してきた。その時に巻いたテープが切れてしまったので、巻き替える。
 三俣山から5分ほど北に緩やかに下ると、宿堂坊山分岐でここからは県境尾根と別れてシゲト山、黒檜岳へと東に進むことになる。この尾根は何度か歩いたことがある。シゲト山の前後がミスをし易い。針葉樹林の尾根筋には3,4種類のテープ類がついている。03年6月に初めて歩いころにはもっと多くのテープ類がついていたような気がする。けっこうアップダウンがあるので疲労のたまった足には負荷がかかる。樹木の切れ間から見える周辺の山腹の紅葉はあまりパッとしない。時期的にまだ早いのか、針葉樹が多いのでこんなものなのかわからない。中倉山から庚申山あたりが時々見えるのが救い。
 シゲト山前後は三俣山から黒檜岳に向う方が逆に比べて易しいように思う。ルートミスもなくシゲト山に達した。ここでエネルギーを補給して、標高点1919ピークを目指す。ここも無事通過したという安心感か、疲労によるものかいつの間にやら北に下っているのに気が付く。軌道修正するのに20分のロス。黒檜岳と1919の中間の鞍部あたりはシャクナゲが尾根上に藪となっている。左(北)手に踏跡がついているので、これを追うのだが針葉樹の枝がザックの天蓋にあたり通過するのがひと苦労。登りになると尾根上にシャクナゲが生えているが、間をかき分けて進める。尾根の左手に黒檜岳雨量観測局があり、ここからは白根山、錫ケ岳、皇海山まで枝で邪魔されるが展望できる。すぐ先が地形図上の黒檜岳山頂で、山部3Dと達筆の山名板を見る。次の標高点1976が現在の山頂で標識が立っている。次に現れるのが、標識やテープの目立つ社山分岐である(このあたり一帯を黒檜岳山頂部と仮称する)。
 マークを追って薄い踏跡を南下する。標高1930あたりで社山への踏跡から別れて大平山に向かう。針葉樹林や笹原を進み標高点1954(笹原にほんの僅かの高み)を通って、さらに小ピークを越して、針葉樹林を登り返すと7回目の大平山山頂である(縦走の通り道になっている)。山頂からは下山尾根と足尾あたりが展望できる。ここで靴底にテープを巻きなおして最後の下りに備える。山頂の南西から1805への尾根筋を下り始めると、風が強くなる。皇海山あたりから中倉山にかけての展望が素晴らしい。標高点1805あたりは低い笹原で展望もよく気持ちよく歩ける。1805からの下りは急斜面で掴まるものがなく、油断しているとしりもちをつく。標高1680あたりからはカラマツ林の歩きとなるが、笹は腰ないし膝程度となる。踏跡を拾ったり外したりしながら下ってゆく。尾根筋が南東から南向きになると歩きやすくなり、カラマツ林は途切れる。標高点1356で尾根歩きは終了となる。
 ここからは安蘇沢林道(このあたりは支線と呼ぶ?)歩きとなる。過去の実績では銅親水公園までは下りで2時間弱。登りで2時間半位だが、疲れで足が進まない。明るいうちに駐車場に戻るつもりだったが、結果的には最後の10分ほどはペンライト照らしながらの歩きとなる。ペンライトを点けると同時に小雨となる。駐車場に戻った時には本降りとなっていた。
 6年前には日帰りできたコースが多少回り道したとはいえ一泊でも苦しかった。テント泊の重荷を担いでの藪山はもう無理ということか。情けないが・・・

カマ北コルからの展望
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