ひとり山歩き407 : 裏見滝から廃道を辿って男体山に登ってきました。古い地形図に残る廃道はまだかなりの部分で踏跡が残っていました。藪はごく一部を除いてては薄いですが、展望は期待できません。
裏見滝から廃道を辿って男体山
2010年7月18日(日) 晴れ
1 行程  
ルートマップ(GPS)    ウォッちず : 裏見滝  薬研堀  男体山登山口(志津  男体山
自宅(2:10) = 裏見滝駐車場(3:40/4:10) − 林道出合(4:50) − コンクリート橋(5:20) − ウリュー坂北へ転換(6:00) − 沢渡渉(6:50) − 野州原林道出合(7.50) − 薬研堀左岸尾根取付き(8:05) − 薬研堀遡行(8:45/8:50) − 林道出合(9:35) − 男体山志津登山口(9:55) − 三合目(10:55) − 六合目(11:00) − 八合目(12:05) − 男体山山頂(12:40/13:10) − 八合目(13:30) − 四合目(14:35) −バス停・中宮祠(15:16) = バス停・裏見滝入口(16:10) − 裏見滝駐車場(16:40/16:50) = 自宅(18:35)

2 自宅 − 裏見滝
 山歩きを始めた2001年に購入した5万分の1地形図「日光」(平成4年発行)およびゼンリン発行(2001年)の「日光 奥鬼怒」には裏見滝からウリュー坂を通って志津に至る破線道が記載されている。平成14年発行の2.5万分の1地形図「日光北部」にはこの破線は記載されていない。いつの間にか廃道になってしまったものと思われる。掲示板でお馴染みの@宇都宮さんが05年、09年と10年に志津道の探索歩きをされて、その結果を弊掲示板にルートマップとして書き込みされた。これらの記録に刺激されて、@宇都宮さんの足跡を辿って見ようと考えた。@宇都宮さんのような緻密さを持ち合わせていないので、探索などということは忘れて裏見滝から志津まで廃道歩きを楽しむことにする。現在でも裏見滝からモッコ平、馬立経由で女峰山へのルートは生きている。以前は志津道(登山道は一部で並行か)を利用して男体山に登る人は多数いたと推測される。廃道を辿って志津まで行けたら、男体山にも登ってみようと計画した。
 今年の梅雨は中休みが少なくて、うまく山行計画が立てられず困っていたが、17日に梅雨明けが発表された。満を持して本日決行することに決めた。問題はふたつある。一に、天気予報では梅雨は明けたが大気が安定せず夕刻には「所によっては降雨と発雷あり」。二に、一ケ月のブランクで身体が鈍っているので体力的に心配。もしもの場合は、志津から野州原林道を歩いて裏見滝に戻る準備もしておく。
 裏見滝駐車場は04年7月8日に女峰山を往復(参考:往復で約10時間)して以来の訪問である。例によって明るくなったら歩き始めるべく、見計らって家を出る。駐車場に着いた時にはまだ暗かった。4時には歩き始める計画だったが、結果的には4時10分発となってしまった。約一ケ月のブランクで夜明けの読み違いである。20分ばかりはあたりをブラついて時を過ごした。

3 裏見滝 − ウリュー坂 − 志津  かなりの部分に踏跡が残っている
 駐車場から裏見滝への道の左手を川原に降りて仮設橋を渡ると、給水施設がある。施設の南側へと薄い踏跡を辿って回り込み、給水ヒューム管の右手から尾根に取り付く。すぐに抉れた道筋が見つかり、これを追うことにした。抉れ道には枝の被さり等の障害物があるので適当に出たり入ったりしながら進む。標高920で道筋が分かれ、石の道標があるも暗くて字が読み取れない(@宇都宮さんのMAPによると、「追分の道標」で右は慈観の滝)。ここは細い方の右に進む。
 多少の笹藪はあるも踏跡を拾いながら進んで行くと、林道に出合う。この林道を進むのが確実だが、薄い踏跡が見えたので、林道を突っ切って行くと再び林道に出合う。この頃には、藪漕ぎ用雨具のズボン(ゴアよりも透湿性に劣る、当然値段は廉い)を着用していたが、蒸れて靴下まで濡れてしまい嫌気がさしていたので林道を歩くことにした。二つ目のヘアピンカーブ地点が丹勢/慈観滝分岐で、ここは右の細い道筋に進む。涼しい風を受けながら林道を進むと、無名のコンクリート橋を渡る。
 このまま林道を進めば楽なのだが、廃道を追うという目的から外れるので、低い笹や草の中の薄い踏跡を拾いながら進む。林道に二度出合うがこれを突っ切って進む。抉れ道を出たり入ったりしながら歩き易い所を選んで進んで行く。直線的に西北西に進んで行くこのあたりは古い地形図にはウリュー坂と記載してある。標高1180あたりからは、方向が西北西から北北西に変わるも、カラマツ林の中に細いが明瞭な踏跡が続き、ウリュー坂北進の踏跡多数のピンクリボンが目につく。安心して進んで行くと笹が膝丈程度となって踏跡を見失ってしまった。前方(北)に沢筋を感じながら古い有刺鉄線に沿って北西に進んで行くと、笹は腰〜胸丈となり歩きづらくなってしまった。このあたりでしっかりと地形図と@宇都宮MAPを確認すればよかったのだが、右手(北側)の沢が薬研沢とばかり思い込んでいたので未だ計画ルートから外れていることに気付かなかった。笹藪が深くなり歩き辛くなったので沢を渡渉した。こんな狭い沢を渡るのに@宇都宮さんが苦労するのはおかしいとやっと気付いて、地形図とGPSをチェックすると、薬研沢は更に北に位置することが判明した。先刻の有刺鉄線の所を北に進み沢筋に下りるべきだった。いま渡ったのは薬研沢の枝沢だったのだ。
 廃道を忠実に追うなら、更に北進して薬研沢を渡るべきだが、いま渡った枝沢の左岸は藪がなく踏跡と見紛う獣道が付いている。地形図からこの尾根筋を北西に進めば、野州原林道に出合うと読み、軌道修正をせずに枝沢の左岸尾根を進むことにした。途中で針葉樹林に変わったりするも藪は全くなしで踏跡も明瞭で快適な歩きとなる。途中で女峰山を右手に見ると、すぐ先で野州原林道に出合う。
 野州原林道を5分ほど北上すると、薬研堀に達する。「薬研堀」の標柱も見かける。少しばかり林道を進んで、薬研堀の左岸尾根(再び計画の廃道ルート)に取り付く。薄い踏跡を追うとウリュー坂北進で見たピンクリボンを見かける。左手に男体山を見たりしながら低い笹の踏跡を追う。小沢を二本渡って(いずれにもピンクリボンあり)、薬研堀に下りる。虚空蔵石仏を求めて沢を遡行する。沢内は苔むしていて滑りやすい。虚空蔵石仏のあるあたりを通り越してしまったのかと、諦めて沢から出る。@宇都宮さんの詳細MAPを持参しなかったのが悔やまれる。家に帰って調べたら、更に3・4分沢内を歩けば石仏を見ることができたのに、残念!!(@宇都宮に比べて、緻密さと執念が足りないことを恥じる)。
 詳細地図がないので、享保9年の石祠も見ることができなかった。途中で10分ほどの小休止でエネルギーを補給するとともに雨具のズボンをぬぐ。蒸れてズボンはびしょびしょ・・・夏場の蒸れる時期にはいくら透湿性が有るといえども、ゴア製には勝てない。ゴアの廃品同様に使い古したものの方がましだ。局所的に笹が深い部分もあるも概して笹藪は浅く踏跡を拾いながら進む。予想通りに左手に林道(名称不明)に近接した。すでに計画ルートとは一部外れているし、暑さと久しぶりの山行でバテ気味でもあり、計画ルートから外れて林道歩きに替える。林道を下ってくる夫婦に出逢う。どこへ行くのか問うと、女峰山へ行くという。志津林道を勘違いして下ってきたようである。志津乗越へ話しをしながら戻る。私が戦争で疎開してそのまま小学校まで過ごした茨城県八郷町(現在は石岡市)と同じ地区に住んでおられるとのことで、現在の様子など聞かせて頂く。もうすぐ男体山登山口と言う地点で、若い女性の二人連れに出逢う。登山口を見逃して林道を下ってしまったようである。程なく男体山登山口に達した。女性二人組が登山道に入るのを見送って、これからどうするか検討する。

4 男体山(志津から中宮祠へ)  人ひとまたひと
 男体山に登るか、野州原林道を戻るか決心がつかぬまま、とりあえず志津小屋まで行ってみる。この時刻(10時)になると多数の下山者とすれ違う。志津小屋に達すると先刻の二人連れが迷っている。途中で下山者とすれ違うので、登山道を進んでよいものか迷っているようだ。この時点で男体山に登ることにして、二人の先導を努めた。一合目の標柱で、以降も各合目に標柱があり、道筋は明瞭で迷うことはないと説明して、朝食を摂る二人に先行した。足取りが重く、千葉からの二組 (三合目にて)最近NHKの「ためして ガッテン!」で放映していた”えんか歩行”を実践(もともと自分の歩き方はこれに近い)。三合目で件の二人連れが追いついてきた。自分は遅歩きなので先行してもらう。
 志津側から登るのは初めてだが、中宮祠から登って志津へ下りたことは二回ある(03年5月30日08年7月30日を参照願う)。下山者が多いのにビックリ。今日は梅雨山頂から奥社明け、三連休中日の日曜日、夏休みに入ったの三条件が揃ったせいか。樹林の中は風が通らず暑いが、樹林が切れると風が通って気持ちがよい。六合目から七合目は足場が悪いので注意が必要。
 八合目から九合目に掛けての急登を終えると勾配はグッと緩み足取りも軽くなる。ひっきりなしに下山者や憩う人とすれ違う。ユックリ登ってきたが追い越す人は一人もいなかった。目標の2時間30分よりは若干オーバーしたが、無事に男体山の山頂に登れた。裏見滝から8時間30を要した。裏見滝〜女峰山同様に登山道が整備されていたら、裏見滝〜ウリュー坂〜志津〜男体山は充分日帰り往復は可能であったと思われる。
 山頂部から奥社、その西側広場には人ひとであふれている。この暑いのにご苦労様なことである。残念ながらガス模様で周辺の展望は得られない。昼食を摂って下山の準備をしていると、件の二人つれが挨拶に来てくれた。千葉県からこられた二人は、日光駅から乗り合いのマイクロバスで志津乗越まで来て、中宮祠へ下るとのことで、再び先導して下山を開始する。登りでは二人組に太刀打ちできなかったが、下りでは何度か追いつかれはしたが追い越されることはなかった。下山者の数が凄いが、登る人もけっこう多い。最後の登山者は14時20分頃に五合目付近ですれ違う。五合目で脚がつって小休止して下り始めると、件の二人組みが追いついてきた。これ以降は合うことはなかったが、バスで日光まで戻り、電車で千葉まで帰るのは大変。自動車登山行ばかりしている自分には決してできないであろう。若い人は行動力があってうらやましい。
 四合目の鳥居を潜ってそのまま林道を下る。勢いが止らず林道で数人を追い越した。三合目からの山道でも大勢を追い越す。登拝門手前で靴を洗い、手洗いを済ませてバス停に向かうと、バスに乗り込んでいる最中。駆け足でバス停に急いで辛うじてバスに乗り込む。待ち時間ゼロでハッピーとこの時は思ったが。道路も渋滞していてバスの進みは遅い。20分を要してバス停・中禅寺湖温泉に達した。ここから先は立ち乗り禁止で、補助椅子を利用となったが、中宮祠で最後に乗った三人は補助椅子に座れない。次のバスに乗り換えるか、運転席左側の狭いスペースの床に座るかとなった。次の便を待つよりも我慢の子を決め込む。バス停・裏見滝入口まで30分は苦痛だったが、次の便を30分待つよりもよかった!?
 バスを降りて自販機でコーラ買って飲み、30分ばかり緩やかに舗装道を登り、裏見滝駐車場に無事戻れた。一ヶ月ぶりの山行は身体が鈍っていたので辛かった。これではアルプスは無理。もう一度脚腰をいじめて置かねばなるまい。

山頂の様子(ビデオ)

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