ひとり山歩き403 : 袈裟丸中尾根(中袈裟丸山の東尾根)を登り、奥袈裟丸山そして小法師尾根を縦走してきました。中尾根の崖状の急斜面登りが危険ですが、他には特別な危険箇所はありません。小法師尾根ではミツバツツジ、シロヤシオ、ヤマツツジが楽しめました。
袈裟丸中尾根〜奥袈裟丸山〜小法師尾根周回
2010年6月6日(日) 晴れ
1 行程    
ルートマップ(GPS)   ウォッちず : 袈裟丸中尾根  奥袈裟丸山  小法師尾根
自宅(1:10) = 餅ケ瀬林道舗装終点(3:15/3:25) − 餅ケ瀬林道ゲート(3:40) − 餅ケ瀬林道離れ(無名橋)(4:25) − 餅ケ瀬川渡渉(中尾根取付き)(4:30/4:40) − 標高点1496(6:00) − 標高点1611(6:25) − 急登危険地帯(7:55/8:25) − 中袈裟北東尾根出合(8:25) − 袈裟丸山縦走路出合(8:45) − 奥袈裟丸山(10:00/10:10) − 袈裟丸最高峰(10:30/10:35) − 小法師尾根分岐(11:15/11:20) − 標高点1784(11:50) − 標高点1690(12:35) − 笹の平最高部(13:25/13:35) − 小法師岳(14:25/14:30) − 雨降沢の頭(標高点1526)(14:55) − 標高点1425(15:30) − 巣神山(16:05) − 柄風呂林道出合(16:25) 餅ケ瀬林道出合(17:25) −林道ゲート(17:30) − 駐車地(17:40/17:50) = 自宅19:50)

2 自宅 − 餅ケ瀬林道
 餅ケ瀬川とその支流の押溜沢の合流地点の中尾根尾根(袈裟丸中尾根と呼ぶ)で、中袈裟丸山付近に登れるとうことを知ったのは、05年10月である。それは、弊掲示板でお馴染みの@宇都宮さんが、袈裟丸中尾根から中袈裟丸付近に登り、奥袈裟丸山そして小法師尾根と大周回したことである。ブログ「山野跋渉・史跡探訪」のYoshiさんが、この中尾根を昨年ピストンしたことを知った。これが契機となって@宇都宮さんのルートを自分も歩いて見ようと計画した。ネットで調べると、同じルートを06年6月にHP「THNCねくらハイキング」の管理者、07年5月にHP「たそがれオヤジのクタクタ山ある記」の管理者、09年3月にHP「等高線の狭間から」の管理者の記録を見つけた。これらの記録から中尾根の標高1800付近に危険な崖状急斜面があることが判明した。臆病な自分にはそのような危険箇所は突破できないと諦めていた。 弊掲示板でお馴染みのH@上三川さんが5月28日に同ルートを歩いたとの書き込みがあった。前出のYoshiさん(未報告だが、反時計回りで同ルートを歩いている)から、急斜面部の登りのアドバイスをいただいた。急斜面に樹木や笹のようなしがみつくものがあるなら、臆病な自分にも登れそうな気がした。
 準備を整えて、天気待ちとなった。この3・4日は平地では天気がよいが、寒気の影響で山間部は発雷や降雨と不安定である。今日は日曜日で出かけたくない日だが、明日以降の天気はあまりよくなさそうなので日曜日に決行することにした。今日の歩行時間は14時間(前出の記録では12時間程度)の計画で、明るいうちに駐車地に戻れるよう見計らって恒例の超早出出勤。昨年8月1日に押溜沢右岸尾根で小丸山に登っているので、袈裟丸中尾根の取付き地点の様子はよく知っている。餅ケ瀬林道ゲート付近に駐車できることは知っているが、ダート道の通行を避けて舗装終点の路肩に駐車した。ザックを担ぎヘッデンを点けて歩きだすと、約10分でゲートに達した。その先で下山後戻ってくるだろう唐風呂林道を右に見送る。林道は荒れてはいないが、水溜りが多く最近の雨の名残りであろう。しかも左下から聞こえてくる沢音は大きく、餅ケ瀬川の渡渉ができるか心配となる。この林道を歩くのは今回が三回目で、道筋はよく覚えている。途中でヘッデンを格納して歩き続ける。駐車地からちょうど1時間で枝沢に架かる無名橋に達した。この数メートル先から沢へ下りる踏跡へ入る。笹の中に明瞭な踏跡が続き容易に餅ケ瀬川に下れた。心配していた水量も大したことはなく、飛び石で容易に渡ることができた。

3 袈裟丸中尾根  標高1800付近の急斜面はまるで崖登り  そこ以外は藪が少なく快適
 飛び石渡渉は不可能と思っていたので、ここまでは古いジョッギングシューズで来た。予想はよいほうに外れ、気分をよくして登山靴に履き変える。昨年に様子を探っておいたので、迷うこともなく中尾根の末端に取り付く。尾根上の明瞭な踏跡を登って行く。途中で古ワイヤーを二箇所で見かけた。その後も古ワイヤーをみかけたので、この踏跡は林業関係者がつけたものであろう。緩急混ぜた尾根筋は藪は殆どなく(笹は鹿に食い尽されている)快適なハイキング気分で歩ける。標高1400から1450は急登だが、疎らに見かけるミツバツツジが疲れを癒してくれる。露岩を見かけるようになると、烏帽子岩と言われる大岩が尾根を塞いでいる。ここからは県境から小法師岳稜線(標高点1784あたりが展望できる。烏帽子岩の左をすり抜けて、ヤセ尾根を更に5分でミツバツツジとシロヤシオの咲く標高点1495に達した。
 標高点1495を越すと北西に奥袈裟丸山・最高峰と小法師尾根の付け根が展望できる。すぐ先で落葉樹林からコメツガ林に変わる。尾根の左手には低い笹、尾根上と右手には笹はない。程なくダケカンバが混ざり、笹は腰丈の急登をこなす。踏跡は尾根の右手に薄く続いている中尾根危険地帯のロープので笹藪は障害には殆どならない。他のツツジに比べて華やかさに欠けるが、シロヤシオがぽつんぽつんと咲いているのは慰めとなる。標高点1611は低い笹の小ピークでシロヤシオが開花している。
 標高点1611の先で左手に小丸山から前袈裟丸山が枝の切れ間から窺える。更に鋸11峰と皇海山の頭が小法師尾根越しに展望できる。この尾根は笹藪が多少あるが、ハイキング気分で気持ちよく歩ける。この先に魔の急斜面が待ち受けていなければ申し分ないのだが。標高点1611からはコメツガ林を緩やかにアップダウンしながら進んで行く。前方に中袈裟丸山付近が枝越しに見えるのだが、急斜面の様子を探ることはできない。標高1600あたりで焚き火跡を見ると勾配はきつくなり始める。コメツガ林で笹は深くて腰丈となるも踏跡(獣道か)が通っているので歩きづらいというほではない。標高1700を過ぎると幾分か勾配が緩みひと息つく。中袈裟丸山の東岩壁を展望する。
 いよいよ危険地帯と呼ばれる急斜面登りが始まった。標高1750あたりからはまるで崖を登っているような感じになる。脚だけではとても登れない。笹や木の根を握って身体を引き上げるという感じ。急斜面には樹木がついているので、転落の恐怖感はないが緊張はする。岩や大木を避けながら手がかりを求めて左へ右へと登って行く。大岩の正面に古ロープが垂れているが、利用できるような場所ではない。大岩を左に避けて更に登って行くと、長いトラロープの最上部に達した。前出の記録に出てくるロープだと直感したが、下を見る垂直に近い傾斜である。このロープを末端で見つけたとしても、重量級の自分を引き上げられたか疑問。このロープを越すと幾分かは勾配が緩んだような気がするが、相変わらずのボルダリング紛いの登りが続く。北東尾根が見え出したので右手に方向転換する。北東尾根出合は低い笹の中に踏跡が下の方にも伸びている。これは鹿道にしては明瞭過ぎるように思うが、追跡する気にはなれない。
 北東尾根を登ると中袈裟丸山の直下で袈裟丸山縦走路に出合うのだが、この尾根は03年10月に間違って標高1800付近(今回の尾根出合付近)まで下ったことがある。尾根筋はあまり雰囲気がよくなったように記憶している。前方(西)に同じレベルで袈裟丸縦走路の尾根筋が見えている。ここは鹿道を辿ってトラバースと決め込む。危険箇所はないが、地面がゆるく滑り易いことと予想外の大岩の出現で高巻いたりで効果的なトラバースではなかった。トラバースは10分位と予想したが20分もかかって袈裟丸縦走路に達した。急がば回れだったかも。

4 中袈裟丸山北鞍部 − 奥袈裟丸山 − 小法師尾根出合  特に危険箇所はなく縦走路が続く 展望はあまりない
 この間は04年5月25日に縦走(ひとり山歩き151)しているので参照願う。
 縦走路歩きとなった皇海山と奥白根山  (奥袈裟丸の北から)途端に油断から獣道に引き込まれ軌道修正。この縦走路は基本的に尾根上につけられている。途中に笹で道筋は見えない場所がある。道筋が判らなくなったら、右手の尾根上を目指せばよい(尾根の右手・栃木側は急斜面で、迷い込むことはない)。縦走路歩きは低い笹の部分が多いが、多少はシャクナゲ(花はポツポツだった)邪魔されるがたいしたことない。特別危険な場所もなく、奥深い山域という以外はノンビリと歩ける。途中で武尊山や男体山を枝越しに見て奥袈裟丸山に達した。04年5月に見かけたポール付の山名板(小法師尾根まで40分、前袈裟丸山1時間40分と記入あり)を見かけなかった。3枚の山名板を見かけた。ここでエネルギー補給の小休止。
 奥袈裟丸山の先でシャクナゲと針葉樹が縦走路に被さっているが、特に障害となる程でない。皇海山の右肩越しに奥白根山を展望し写真を撮る。袈裟丸山連峰の最高峰の左直下を縦走路は通り過ぎる。薄い踏跡が山頂に向かっている。これを追うと1分かからずにコメツガとシャクナゲの茂る最高峰(1961)山頂である。展望は期待していなかったが、栃木側は開けて男体山や庚申山方面、小法師尾根更には今歩いてきた袈裟丸山連峰が展望できた。標高を示すプレートも三枚ほど。思いがけないボーナスの支給に気分をよくする。
 最高峰から下った鞍部付近は笹で縦走路が薄くなっている。分からなくなったら右手へと進路を取ればよい。標高点1932は左手を通過して北へと下って行く。鞍部は低い笹のコメツガ林で、大木に小法師尾根入口の小さな標識を見る。
袈裟丸山最高峰からの展望


5 小法師尾根 − 餅ケ瀬林道
 05年5月21日にひとり山歩き202で報告しているので参照願う。
 小法師尾根は分岐からは見えない。しかも最初は浅い谷筋を下るので初めての場合は多少不安になるだろう。標識の矢印と地形図を信じて浅い谷筋の踏跡を追うとすぐに尾根形が現れる。この先は尾根筋は明瞭で間違うことはないだろう。ガイドブックによると高点1784の次の小ピーク付近は笹が深いと書いてあるが、腰丈程度で区間も短く「小泉抵抗族」のようなことはない。標高点1690付近からはシロヤシオの花を見かけるようになった。前回は5月21日ということでアカヤシオが盛んに咲いていたが、今年はツツジの開花が例年よりも遅いと言われているが、今回はアカヤシオは全く見かけなかった。
 笹は概して膝丈で踏跡を追う巣神山への踏跡とヤマツツジのは難しくはない。笹の平への登りになると、尾根上は笹が深くなるが尾根の左手は藪が薄い。笹の平の最高部でエネルギー補給の小休止。今日一番の笹の濃い場所の通過となる。笹藪の左端(北側)は笹の頭が鹿にかなり食い尽くされている。将来は笹なし平になってしまうかも。好き好んで藪の中を歩く必要はない。できるだけ左手(北側)の笹が薄い所を選んで進むが、すぐに背丈ほどの笹原に飛び込む。約15分の奮闘で、カラマツ林に突入して尾根形が現れると笹は低くなる。小法師岳手前の小ピークに達すると、シロヤシオに混ざってミツバツツジも見かけるようになった。鞍部からの登り返しは勾配はゆるいが、疲れがたまってきたのか足取りが重い。小法師岳は小さなピークで三角点と風雪に耐えた山部3Dプレートを見かける。展望は良くないが、庚申山〜中倉山の稜線上に奥白根山が頭だけを出している。
 小法師岳のすぐ先で主三角点を見る。ここからは樹間に庚申山から鋸11峰と皇海山が展望できる。カヤト地帯を過ぎた鞍部から登り返すと雨降沢の頭で、立ち木に原向駅→」の標識をみる。ここからは防火帯(と思われる)樹林の合間に笹道が南東にほぼ一直線に巣神山まで続いている。最初の鞍部から登り返した標高点1425あたりからはシロヤシオとミツバツツジに変わってヤマツツジが道筋にぽつりぽつりと現れる。標高1380付近で尾根が分岐しているが、ここだけは注意が必要。ここを過ぎると一直線の下りが続く。ヤマツツジの間隔が狭まってきたようだ。岩が目に付きだす巣神山でピークのようには見えない。
 ここから方向転換をして南尾根の踏跡を辿る。5分ほど下ると右下に林道が見えるようになる。樹木の助けを借りて急斜面を適当に数分下ると、唐風呂林道に無事下山できた。現在は地形図にこの林道は記載されているが、05年5月には地形図には記載されていなかった。唐風呂林道が巣神山直下を通っているらしいという記録がネットで検出された。実際に唐風呂林道に下山するまでは不安だったことを思い出す。
 よく管理された林道を退屈しのぎにラジオを聴きながら下って行く。地形図を見るのは面倒で高度計を見ては下り具合をチェックする。約1時間で餅ケ瀬林道出合、そしてゲートを通り抜ける。更に10分で駐車地に戻れた。今日の工程時間は14時間15分でほぼ計画通り。前出の方々に比べたら所要時間は長いが、計画通りに歩けるた。この老頭児もまだ捨てたもんじゃない!?
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